宇宙戦艦ヤマト 完結編

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宇宙戦艦ヤマト 完結編
Final Yamato
監督 勝間田具治
西崎義展
舛田利雄(総監修)
脚本 山本英明
笠原和夫
山本暎一
舛田利雄
西崎義展
製作総指揮 西崎義展
出演者 富山敬
麻上洋子
納谷悟朗
仲代達矢(ナレーター)
音楽 宮川泰
羽田健太郎
主題歌 「古代(おれ)とヤマト」(ささきいさお
「ラブ・シュープリーム〜至上の愛〜」(八神純子
撮影 清水政夫
編集 千蔵豊
製作会社 東映動画株式会社
配給 東映株式会社
公開 1983年3月19日(35mm版)
1983年11月5日(70mm版)
1985年8月10日(特別篇)
上映時間 152分(35mm版)/163分(70mm版)
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 17.2億円
前作 ヤマトよ永遠に
次作 宇宙戦艦ヤマト 復活篇
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宇宙戦艦ヤマト 完結編』(うちゅうせんかんヤマト かんけつへん)は、1983年公開の劇場用アニメ映画作品。

通称「完結編」「ヤマト完結編」「ファイナル・ヤマト(Final Yamato)」。ナレーションは俳優の仲代達矢

宇宙戦艦ヤマトシリーズの最終作品として製作された。ただし、2009年には続編の「宇宙戦艦ヤマト 復活篇」が製作されている[1]

キャッチコピーは「宇宙にひろがる永遠のロマン!ファイナル・ヤマトの熱い感動を―いま、あなたに伝えたい…」。

作品解説[編集]

制作状況[編集]

最終作を意図して製作されたこともあり、スタッフの本作に対する意気込みは凄まじく、製作に携わった人数も尋常ではない。

本作が公開された1983年春は、『うる星やつら オンリー・ユー』、『幻魔大戦』、『クラッシャージョウ』と長編アニメーションの公開が重なり、掛け持ち状態の主要スタッフが多かった。

作画監督である金田伊功は「野田(卓雄)さんへの義理がある」とのことから、ほとんど『幻魔大戦』にかかりっきりとなり、原画自体はヤマト発進シーン、自沈シーン等数カットに留まる。

安彦良和は、「最後だから数カットくらい参加しても」と言っていたといわれる[2]が、実現はしなかった。冒頭シーンでの第一艦橋のシーンでわずかに湖川友謙の原画カットがある。

高橋信也は高沢孫一の名義で、『うる星やつら』と掛け持ちで参加している。

志願して、ルガール総統関連のほとんどを手がけた二宮常雄や、水関連を手がけた角田紘一等作画レベルは比較的高い反面、メカニック描写に関してはキャラクター描写に比べ徹底さを欠いている部分も見受けられる。ハイパー放射ミサイル以外のミサイル兵器は透過光でごまかす(冒頭のヤマトの迎撃ミサイルでさえ、射出シーン以外は青色の光線で表現)、ガトリング砲の回転描写や水雷艇の発進プロセスなどの設定が表現されていない。

また、本作のトピックとして、それまでピアニストとしてヤマトの音楽を支えてきた羽田健太郎のBGMの作曲への参加が挙げられる。音楽量は膨大なものになり、羽田は主にディンギル側の音楽と、ヤマトの小曲、ラストのピアノコンチェルト等を手がけ、宮川は従来通りヤマト側と戦闘曲、イメージ曲等を担当して両者の個性を相乗効果で盛り上げることとなった。

演出[編集]

時系列では直前の作品である『宇宙戦艦ヤマトIII』で艦長に就任した古代進は、冒頭で多数の犠牲者を出してしまったことで引責辞任し、戦闘班長に降格している。これに伴い、ヤマト初代艦長であった沖田十三が復活し、再び艦長に就任する。

沖田が蘇ることは事前に公表されており、ご都合主義との批判が多かった。劇中でも佐渡酒造が自らの誤診を「全国の皆さんに坊主になってお詫びせにゃならんな」と発言するシーンがある。

古代がヤマトのパルスレーザー砲を「高角砲」と呼んだり、コスモタイガーIIの塗装がそれまでの銀色から大戦後期以後の日本海軍機色(濃緑色、明灰白色)への変更、随伴して出撃した駆逐艦冬月」を始め、太平洋戦争末期の戦艦大和最後の出撃に随伴した艦と同じ、あるいはそれに近い艦名が使用されている。

また、ヤマトが都市衛星ウルクに着陸して戦闘する描写は天一号作戦において大和が目指した自力座礁して陸上砲台となるという構想を基としているなど、大和の水上特攻をモデルとする演出が多く見られ、ヤマトの最期であることが示されている。

時代設定[編集]

前作『宇宙戦艦ヤマトIII』は制作当時の設定年代は西暦2205年(劇中のナレーションは西暦23世紀初頭と述べるのみ)であり、本作も制作開始当初は、前作の設定年代を守り[3]、西暦2205年とされていた。

しかし「昔のように感情豊かな古代をドラマで描きたい」[4]という理由で、西暦2203年に強引に変更された[5]。西崎は公式資料集にて、冒頭の銀河の大異変は『ヤマトIII』時に創ったガルマン・ガミラス帝国とボラー連邦を消し飛ばすために登場させたと述べており[6]、このことからも、西崎は『ヤマトIII』と『完結編』とがつながっていることを意識していることが分かる。

初回上映版と完全版の差異[編集]

1982年夏に公開予定[7]だったが、製作作業の遅れから1983年3月19日に延期、さらに一部劇場では19日にフィルムが届かず翌20日からの公開となったところがある(最終の絵の完成は、3月18日の午前0時だったといわれる)。

本作品は、35mm版の初回上映版と70mm版の完全版が存在する。これは当初予定の70mm撮影と6チャンネルステレオでの録音が完全に間に合わなかったことによる。

35mm版
初日の公開時には、古代進と森雪のラブシーンとエンドロールの間に宇宙空間の中のアクエリアスのシーンが存在したが、その日のうちに急遽そのシーンを丸々カットする修正作業が行われたため、以後は上映時間が2分間ほど短くなっている。これは「アクエリアスのシーンへ移る際のラブシーンの留めの絵の作成が間に合わず、シーンがうまくつながらないと判断したため」と公開後に発売された書籍ロマンアルバム「宇宙戦艦ヤマト完結編」内にてプロデューサーが語っている。
初回公開版でのEDは挿入歌「宇宙戦艦ヤマト'83」に乗せて『宇宙戦艦ヤマト(劇場版)』、『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』、『ヤマトよ永遠に』のハイライトが過去を振り返っていく形で流れた。
大幅にカットし、『オーディーン 光子帆船スターライト』の公開時に一部の劇場で併映された特別編集版(ヤマトが艦首を持ち上げた後、アクエリアスからの水柱でできた海へ沈むところで終了する)も存在する。
2008年の時点で、35mm版のビデオ(VAP版)(前述のアクエリアスのシーンは、カットされた後の状態で収録されている)を入手するのは困難だが、2枚組みのCD「宇宙戦艦ヤマト 完結編(ドラマ編)」では35mm版の音源を使用しており、音声だけならそちらで確認できる。宇宙空間の中のアクエリアスのシーンはDVDの特典映像として収録されている。
70mm版
欠番カットの復活他、選曲のタイミング等にかなり手が入っている(映像と音楽のタイミングを極力一致させるため、細かい部分の映像の新規追加や削除、音楽そのものの編集などが行われている)。一方で古代と雪のラブシーンはカットされた(DVDでは映像特典として収録されている)。結果、尺は35mm版の152分に対して70mm版は163分となった。
また、ニュートリノビームや水柱のシーン等でスキャニメイト効果がかなりの量で取り入れられており、画質はかなり荒くなってしまっているもののかなりの効果を上げている。西崎プロデューサーの「ヤマトはアニメ技術の先端でありたい」という言葉の現れともいえ、CG技術が無かった時代の最先端技術が駆使されていると言っても良い。

ストーリー[編集]

西暦2203年、銀河系中心部の宇宙で大きな異変が生じた。異次元断層から別の銀河が現れ、核恒星系付近で銀河系同士の衝突が起こり、多くの星々が消滅した。古代進は宇宙戦艦ヤマトの艦長として地球防衛軍の命を受け調査に向かった。かつての盟友デスラー率いるガルマン・ガミラス帝国は壊滅的な被害を受けていた。

そんな中、銀河を回遊する水惑星「アクエリアス」が現れ、ディンギル星を水没させる。ヤマトはディンギル星から1人の少年を救った後地球に向かうが、ディンギル帝国の艦隊の攻撃に遭い、全乗組員が戦死もしくは意識不明となり、付近の惑星に墜落。偶然作動した自動操縦システムによって地球へ向かう。

地球はヤマトの情報から水惑星の存在を確認。接近してくる水惑星を避けるために各惑星やスペースコロニーへの避難を開始したが、ディンギル艦隊の巧みな戦術とハイパー放射ミサイルの攻撃の前に避難船団や地球艦隊は全滅していき、地球は封鎖されていく。ディンギルの長ルガール大神官大総統は新たな移住先として地球を目指していた。そして地球に移住するために取った方法とは、自らの星を水没させた水惑星アクエリアスを人為的にワープさせることで、同じく地球を水没させて地球人類を絶滅させた後に移住するというものであった。

帰還したヤマトから奇跡的に救出された古代進は恋人である森雪の懸命の看護により一命を取り留めたが、自分の判断ミスにより多くの乗組員の命を犠牲にしたと艦長を辞任する。その頃、ルガール・ド・ザール率いる艦隊は地球艦隊を撃滅し、一歩一歩地球に向かっていた。これに対抗するのは、もはやヤマトしかなかった。古代もヤマトに乗り込もうとするが、自身が艦長を辞任したことで躊躇する。しかし、ヤマトの第一艦橋で聞いた初代艦長沖田十三の声にヤマトに乗り組む決意をする。

ヤマトの船出の日、地球防衛軍司令長官より驚愕の発表がされた。新たなヤマトの艦長が沖田十三であることを。沖田はイスカンダルへの航海の途中、ヤマトの艦医佐渡酒造の診断で死亡とされたが脳死には至っておらず、ヤマトのために戻ってきた。蘇った沖田のもと、全地球の祈りを受けヤマトは発進した。

残存艦9隻を率いて冥王星での戦いに臨んだヤマトは、ほとんどの艦を失いながらも辛うじて勝利を収め、単身アクエリアスへと発進する。アクエリアスへ到達したヤマトは、そこに現れた女神クイーン・オブ・アクエリアスから、アクエリアスのワープの原因、そしてそれを引き起こすディンギル人の正体が太古に地球から脱出した地球人の末裔という事実を知らされる。出現した敵艦隊を退け、敵の拠点ウルクへと強行着陸したヤマトは敵のワープシステム破壊を試みるが、失敗に終わる。その戦闘の中で、ディンギル星からただ1人救いあげたディンギルの少年や、古代の親友・島も命を落とす。

アクエリアスを追い、ヤマトは地球へと辿り着くが、もはやアクエリアスが地球に接近することを止めることは不可能だった。そんな中、沖田と古代はヤマトを自爆させ、アクエリアスから地球へ伸びる水柱を断ち切るという計画を考える。反対する乗組員たちを古代は諌め、誰もが悲しみに暮れる中、ヤマトの自沈計画のための準備を進めていく。そして地球へと向かおうとした時、ウルクを脱出したディンギル艦隊が出現。反撃できないヤマトは包囲され撃沈されそうになるが、その直前にデスラー率いる艦隊が駆けつけ、これを撃退する。

地球へ到着したヤマトは合流した駆逐艦冬月へ乗組員を乗り移らせ、単艦自沈のために発進する。しかし、その第一艦橋には沖田の姿があった。自動操縦と偽って進めた自爆計画は、沖田による手動操縦で行われるものだった。ヤマト乗組員たちが困惑して騒ぐ中、古代と雪、そして真田と佐渡はヤマトと沖田に向かって敬礼し、他の乗組員たちもそれに従い敬礼でヤマトを見送る。

地球とアクエリアスの中間点に辿りついたヤマトは、アクエリアスから伸びる水柱を自爆により断ち切ることに成功。その後、行き場を失いアクエリアスと地球の間に広がった水からヤマトの艦首が起き上がり、そのまま静かに宇宙の海へと沈んでいった。

主な登場人物[編集]

地球人[編集]

古代進
前作でヤマト艦長に就任したが、本作で辞任する。その後、戦闘班長として再びヤマトに乗り込むことになり、沖田の指揮の下で戦いを潜り抜けていく。
最後は冬月の展望台からヤマトと沖田の最期を見届けた。
森雪
物語冒頭では地球防衛軍司令部に勤務していた。地球に戻ってきたヤマトの艦内で、宇宙服なしでまともに放射線を浴びて倒れている古代を発見。古代が死んだと思い、自らも命を絶とうとするが、真田に止められる。その後、奇跡的に一命を取り留めた古代を看病する。
ヤマト再出撃時に再びレーダー手として復帰する。なお、本作では艦内服が前作までの黄色から白に変更されている。
島大介
本作でもヤマト航海班長としてヤマトを支えるが、都市衛星ウルクでの白兵戦において負傷し、それを隠して任務を遂行。最後は爆発するウルクからヤマトを脱出させた後、古代に必ず雪を幸せにするよう約束させ、そのまま古代達に看取られながら息を引き取った。
沖田十三
ヤマト初代艦長。第1作の最後で宇宙放射線病によって死亡したと思われたが、実はその時点ではまだ辛うじて死には至っておらず、極秘裏に治療を進められていた[8]。ヤマトのアクエリアスワープ阻止のための発進に際して、再びヤマト艦長の任につく。
アクエリアスが最後のワープをしてしまった後は、ヤマトの自沈による地球水没の阻止を立案。自動操縦では失敗する可能性があるとして、沖田自身による手動操縦で自沈を遂行。最期は息を引き取った状態でヤマトとともに宇宙の海へ沈んでいった。

ディンギル人[編集]

ルガール
ディンギル帝国を収める大神官大総統。ディンギル星の爆発により母星を失った後、地球への移住を目論み、アクエリアスによる地球人殲滅を計画する。
ルガール・ド・ザール(ルガールII世)
ルガールの実子。典型的なディンギル人の思想の持ち主で、物語序盤において目の前に現れた国籍不明の戦艦(ヤマト)を問答無用で攻撃した。その後、ルガールから太陽系制圧艦隊の指揮官を任され、艦隊を率いて出撃する。
ディンギルの少年
水没するディンギル星からただ1人ヤマトに救出された少年。名前は不明。救出された後、地球に行くが、ヤマトの再発進時に密航。以降は雪に世話されることになる。実はルガールの実子で、ド・ザールの弟。
冥王星会戦においてヤマトを守ろうとする駆逐艦の行動から、ディンギル人とは異なる価値観を知っていく。

その他[編集]

デスラー
銀河系中心部・核恒星系に本星を持つガルマン・ガミラス帝国の総統。本作冒頭にて銀河交錯によりガルマン・ガミラス本星が壊滅し、デスラーも死亡したと思われた。
しかし、偶然その時は国境視察に赴いていて難を逃れており、終盤でヤマトの救援に駆けつける。その後、ヤマトの最期を見届ける。

主な登場メカ[編集]

地球防衛軍[編集]

宇宙戦艦ヤマト
物語冒頭で銀河系中心部を訪れた後、アンファ星系まで到達。そこでディンギル艦隊の襲撃を受け、損傷しながらも自動操縦で地球へ帰還。その後、アクエリアスの接近とディンギル艦隊の襲来に伴い、沖田を新艦長として、修理も不完全な状態で再出撃する。
最終的にアクエリアスの水柱を断ち切るために、トリチウムを艦内に満載し、波動砲を暴発させて自爆する。
コスモタイガーII
ヤマト艦載機。カラーリングが変更されている。
戦艦
避難船団の護衛のために出撃するが、ディンギル艦隊が使用するハイパー放射ミサイルの猛攻の前に壊滅する。
巡洋艦
戦艦をスケールダウンしたような艦型が特徴。ディンギル艦隊の襲撃でほぼ全滅する。月面基地に駐留していたため難を逃れた「矢吹」が、駆逐艦8隻を伴い、ヤマトとともに冥王星会戦に臨む。しかし、画面上ではほとんど確認できず、敵の第1波攻撃の後に撃沈した状態で画面端にわずかに映るのみとなっている。
駆逐艦
ディンギル艦隊の襲撃で艦隊が壊滅する中で、月面基地に駐留していた8隻がヤマトの出撃に同行するが、冬月1隻を残して全滅する。
冬月
冥王星会戦に参加した残存艦の唯一の生き残り。艦長は水谷。
ヤマトが自沈に向かう際、ヤマト乗組員を収容し、ヤマトの最期を見届ける。

ディンギル帝国軍[編集]

都市衛星ウルク
ディンギル星を脱出した後のディンギル人たちの拠点。ワープシステムを備えており、距離の制限ができるものの惑星規模の物体すらワープさせることができる。
ヤマトの強行着陸により戦場となり、最後はヤマトを道連れにしようとする形で爆破された。
移動要塞母艦
ルガール・ド・ザールの補給基地となる大型機動要塞。冥王星会戦において、ヤマトの波動カートリッジ弾による長距離砲撃によって大破・炎上する。
巨大戦艦ガルンボルスト
ルガール・ド・ザールの乗艦で、太陽系制圧艦隊の旗艦。冥王星会戦において敗北した際、ただ1隻でウルクまで逃走する。
後に同型艦が多数登場するが、ヤマトの波動砲により全滅する。
水雷艇
ハイパー放射ミサイルを搭載した水雷艇で、水雷母艦によって運用される。地球艦隊との戦闘における要を担った。
ハイパー放射ミサイル
ディンギル帝国が使用するミサイルで、それ自体の破壊力はもとより、放射性物質の放出により乗組員へ直接ダメージを与えるという特性を持つ。
当初、地球側は有効な防御手段を持たなかったため、このミサイルによる攻撃により艦隊が壊滅する。しかし、中盤で真田が対抗装備を完成させたため、完全に無力な兵器に成り下がる。

登場勢力[編集]

地球連邦
アクエリアスの接近に伴い、全人類の宇宙への一時避難計画を進めていたが、ディンギル艦隊によってほぼ全人類が地球上に封じ込められてしまう。
地球防衛軍
ディンギル艦隊の襲撃により各惑星基地が壊滅し、艦隊もほぼ全滅させられ、残存戦力はヤマトと月面基地にいた宇宙戦闘艦数隻のみとなった。
ディンギル帝国
太陽系から約3000光年の距離にあるアンファ星系の第4惑星を本星とする国家。アクエリアスにより母星が水没・さらに特殊な化学反応で爆発し、移住先として地球を定める。
その正体は太古に地球がアクエリアスによって水害に見舞われた際、宇宙人(原ディンギル人)によって救出された者たちの末裔であり、地球人とは同種同根の関係。過去の経験から極端なまでの自己中心的かつ弱肉強食思想の文化が育っている。
回遊惑星アクエリアス
広大な長楕円軌道を描きながら銀河を回遊する水惑星。接近した惑星に引力の関係から大量の水を降り注がせ、文明を丸ごと洗い流してしまう。その一方で、降り注いだ水には生命の芽も含まれており、アクエリアスから芽を与えられた星は豊かな生命が誕生する。
太古に創世期の地球に接近し、地球に水と生命の芽を与えた、言わば地球人のルーツとなる星でもある。

キャスト[編集]

役名は劇中EDクレジットに準拠。

スタッフ[編集]

主題歌・挿入歌[編集]

主題歌
「古代(おれ)とヤマト」
作詞 - 阿久悠 / 作曲 - 宮川泰 / 歌 - ささきいさお
「ラブ・シュープリーム〜至上の愛〜」
作詞・作曲・歌 - 八神純子 / 編曲 - 宮川泰
八神のアルバム『LONELY GIRL』(1983年2月21日発売)収録のもの(編曲 - 瀬尾一三)とは一部歌詞とアレンジが相互に異なるバージョンとなっている。
挿入歌
「明日に架ける虹」
作詞 - 阿久悠 / 作曲 - 井上大輔 / 編曲 - トランザム / 歌 - トランザム、桑江知子
「宇宙戦艦ヤマト'83」
作詞 - 阿久悠 / 作曲 - 宮川泰 / 歌 - ささきいさお ※70mm版では未使用。
「二つの愛」
作詞 - クニ河内 / 作曲 - 井上大輔 / 編曲 - 宮川泰 / 歌 - 桑江知子

カットされたシーン[編集]

本作には脚本の段階や、製作中、試写後にカットされたシーンが幾つかある。主なものを挙げる。

  • ガルマン・ガミラス星において、古代が花束を投げた直後に恒星の衝突が起きているシーン。これがカットされ、急に避難・発進したように見える。
  • 地球防衛軍にてアクエリアスが24時間ごとにワープしていることに動揺するシーン。これがカットされ、いきなり周知の会議をしているようになっている。
  • アクエリアス付近でルガール・ド・ザール艦隊との戦闘時、ヤマトが敵の猛攻から小惑星帯へ回避するシーン。これがカットされ、波動砲発射の際、いきなり小惑星の陰に入っているように見える。台詞での「前方に小惑星が」「小惑星ごと粉砕せよ」はこの名残り。
  • ウルクに着陸したヤマトが、コスモタイガー発進口が使用出来ないことで白兵戦を強いられる説明のシーン。第一艦橋から古代と島も銃を手に、加勢しに向かう箇所がカットされており、説明不足でなぜ最初にコスモタイガー隊を発進させないのかと思われてしまう感じになっている。
  • デスラー艦とルガール総統の宇宙艦の戦いのシーン。本来は激戦でルガール総統の艦だけが撤退し、その後アクエリアスの水柱を断とうとするヤマトを狙って現れ、そこへデスラー艦が駆けつけてデスラー砲で粉砕する内容だった。このシーンがカットされたため、デスラー砲を撃つデスラーの服がいつの間にか汚れているように見える。
  • ヤマトから総員撤退後、古代と雪が波動砲の回路を切り替えに行く時に佐渡も残っており、艦長室に訪れ、沖田と別れの杯を交わすシーン。これがカットされたため、冬月の展望室で佐渡も冷静に敬礼をしているのがいささか唐突になってしまっている。

その他[編集]

本作品の第一稿では原稿用紙500枚分という、4時間を超える分量のストーリーが用意されており、編集前のラフ・カットは白身部分を含めて3時間28分に及んだ。

本作は全作画工程を同時進行させるという、これまでに無い製作システムが採られた。これは、絵コンテから仕上げまで、全てのパートが同時に作業を進めるといった途方も無いものである。

作画監督の1人である金田伊功は、本作の製作前に先駆けて、通称「ヤマト百態」と呼称される膨大な量のイメージイラストを描いている。これは作画サイドから「これまでに無いヤマトの姿を描きたい」という提案を受けてのもの。

本作ではヤマトシリーズとしては初めてCGを使っている。ヤマト発進の際、真田の席のパネルに映る曲線ゲージがそれである。当時のCGはまだ簡単な模様しか作れなかったが、技術的な背伸びをせずに使うべき箇所に使い、後年に観ても違和感の無い効果を上げている。

アクエリアスから都市衛星ウルクが延々とワンカットでの引きで現れるシーンは、サイズの異なるウルクの背景をマルチで組み、オーバーラップさせながら合成してまとめ上げている。当時はまだコンピュータでカメラを制御しておらず、撮影用の目盛りと撮影スタッフの職人的な勘が頼りだった。結果、途中でややスピードが変わったり、オーバーラップが上手く重ならなかったりと限界があった。しかしこの東映動画の技術は後に改良され、『聖闘士星矢』や『ドラゴンボール』の劇場版で完成型を見ることになる。

出典・ 脚注[編集]

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  1. ^ 1990年代に本作の続編とされる作品として、OVAYAMATO2520』及び映画『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』が企画された。前者は未完となり、後者の製作も一度は中止されたがのちに再開、2009年に公開された。
  2. ^ 豪華本スーパーデラックス版では「ヤマトから学ぶべきものはもう何もない」ので参加する気がまったくなかったことが記述されている。
  3. ^ 少なくとも1982年2月アップのシナリオ案の段階では2205年表記である(『スーパーデラックス版‘宇宙戦艦ヤマト完結編’』76頁)。この時点では、ディンギルの名がバルカンであるなど実際の作品とは異なる部分もあるものの、銀河の大異変が発生してガルマン・ガミラス、ボラー両国が壊滅、アクエリアスが接近するなどの基本部分はすでに出来上がっている。
  4. ^ ここまでくると古代も雪も大人であり、艦を指揮する立場から感情をあらわにする演出は難しくなっていた。
  5. ^ この変更のため、『宇宙戦艦ヤマトIII』の設定年代は資料により西暦2202年や2205年など記述が異なる。またこれ以外にも、『新たなる旅立ち』では赤ん坊だったサーシャが、その次作である『ヤマトよ永遠に』でわずか1年で成人になる、『ヤマトIII』のガルマン・ガミラス帝国が1年で建国したりなど、制作者の都合よる変更や都合のいい方に持っていく、ご都合主義的な設定変更が頻繁におこなわれ、結果として築き上げたリアルな世界観を自ら破壊するに至り、作品を支えてきたファンも激減していくことになる(宇宙戦艦ヤマトの放映と影響を参照)。
  6. ^ 『スーパーデラックス版‘宇宙戦艦ヤマト完結編’』(ウエストケープ・コーポレーション)26頁。銀河系内に2大国家が健在なままではやりづらいと述べている。
  7. ^ 『宇宙戦艦ヤマトIII』最終回でのテロップより。
  8. ^ この事に関して、『完結編』のスタッフで『宇宙戦艦ヤマト2199』の総監督を務めた出渕裕が「冒頭に衝突する二つの銀河とあるが、銀河の直径は約10万光年あり、衝突には10万光年かかる。あれは衝突ではなく、他世界解釈で『もう一つの銀河』が重なりあったとし、もう一つの銀河にはヤマトが旅立てなかった赤い地球がある。そしてそこには発進できなかったヤマトが眠っていて、艦長室に沖田艦長がいる。それだったら登場しても可笑しくない」と進言したが採用されなかったと『月刊モデルグラフィックス』2014年3月号のP31で語っている。

参考文献[編集]

  • 『スーパーデラックス版‘宇宙戦艦ヤマト完結編’』(ウエストケープ・コーポレーション、1983年)

外部リンク[編集]