白色彗星帝国

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白色彗星帝国(はくしょくすいせいていこく)は、アニメ『宇宙戦艦ヤマトシリーズ』の『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(以下、『さらば』)及び『宇宙戦艦ヤマト2』(以下、『ヤマト2』)に登場する架空の国家、敵対勢力の地球側からの呼称[1]

『宇宙戦艦ヤマト』のリメイク作品『宇宙戦艦ヤマト2199』に登場する勢力「ガトランティス」についても、本項で記述する。

概要[編集]

国号は「ガトランチス」[2]、もしくは「ガトランティス」[3]。国家元首はズォーダー大帝。宇宙の彼方から飛来し、圧倒的な軍事力で星々を次々と侵略していく。

劇場版『さらば』では漠然とした強大な敵として描かれていたが、TVシリーズ『ヤマト2』では、軍事力こそ強大だが有能な人材が不足しているため、人手不足に悩まされる組織として描かれていた。

国家体制[編集]

人工国家で、力を正義として自国の侵略行為を正当化するなど、アメリカ合衆国の負の部分がモチーフと推察されている[4]

白色彗星によって宇宙を旅し、進路上の星々を破壊か侵略することで植民地としている。『ヤマト2』の劇中ではアンドロメダ星雲を手中に収めたと語られており、次の目標として銀河系を定め、その足掛かりとして地球の侵略に乗り出した。国難回避目的[5]ではなく純粋な国益追求による侵略であり、『さらば』の劇中では植民地となった惑星の原住民が強制労働に駆り出され、少しでも休むと銃で撃たれるなど、消耗品同然の扱いをされている。

その一方、『ヤマト2』第15話の晩餐会では将官も下士官も平等に扱われており(デスラーが拘禁中であるにもかかわらず、タランまで招待されていた)、側を歩いているズォーダーに誰も敬礼すらしていないことから、階級制度や身分制度にはさほど頑迷には囚われていない気風や社会体制であることがうかがえる。

ガトランチス人[編集]

支配層を構成するガトランチス人の姿は地球人に酷似する。

男性の肌の色は緑で、眉とこめかみが繋がっている容姿の人物が多く見られる。また口内の色は、『さらば』及び『ヤマト2』序盤では赤だったが、『ヤマト2』第5話からは濃緑になっている。また、血液は明るいオレンジ色である[6]

女性はサーベラーをはじめ、晩餐会で女性の踊り子数名が確認されており、明るい肌色、明るい灰色、褐色、明るい水色、紫色など多種に渡るが、緑色の肌の人物は確認できない。男性との肌の色の違いが、性差によるものか種族自体異なっているためかは不明。

服装は三角と四角模様を多数あしらった独特のデザインをしている。しかし、『ヤマト2』では作画簡略化のため[7]この模様を大きく減らしたデザインへと変更されている。

白色彗星[編集]

白色彗星帝国の本星。その名の通り、高速中性子と高圧ガスの嵐が形成する純白の巨大彗星の形態を持つ。

劇中ではクエーサー、もしくはパルサーなどと真田志郎が推定している。なお、企画段階では彗星ではなく白色矮星という設定だった[8]

大きさについては、小説版でアメリカ大陸ほど[9]と記述されたほか、の半分程度[要出典]とする資料が存在する。『宇宙戦艦ヤマト2』でのテレサの説明では、直径6600km(地球の約半分)とされている。通常時の移動速度は第16話で50宇宙ノットと説明されており、第18話では更に3倍の150宇宙ノットにまで速度を引き上げることが可能と判明している。この巨大彗星は一種の擬態であり、対惑星級の破壊力を備えた兵器と、本体の防御幕を兼ねていた。

さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち
大宇宙を地球へと驀進、地球防衛軍連合艦隊の拡散波動砲斉射をまったく受けつけず、連合艦隊を画面一杯の白い大渦巻に飲み込んでしまう。その後、ヤマトはデスラーが言い残した弱点「渦の中心核」を収束した波動砲により攻撃し、ガス帯を消滅させることに成功する。だが、それは文字通り「ガス帯だけ」を消滅させたに過ぎなかった。
宇宙戦艦ヤマト2
大宇宙を我が物顔で突き進んで、出会った惑星を時に征服、時に体当たりで蹂躙粉砕しながらアンドロメダ星雲を征服し、銀河系へと突入して地球へと迫る。
テレサの警告をも無視して地球へと進撃しようとしたためテレザート星の自爆攻撃を受けるが、それさえも一時的な機能停止を起こしただけであった。その後、太陽系でバルゼー艦隊を撃滅して勝利に沸く地球防衛軍連合艦隊の至近に不意にワープアウト、ヤマト率いる機動部隊や連合艦隊の巡洋艦などを飲み込んだ。その後、アンドロメダを始めとする連合艦隊の拡散波動砲斉射によりガス帯を消滅させたが、『さらば』同様内部の都市帝国は無傷だった。なお、本作では渦の中心核が弱点という描写はない。

都市帝国[編集]

擬態と防御幕である、白色中性子ガス帯が消滅すると、本体である半球状の小惑星の上に都市が築かれている、直径15km、全高10km[10]の都市帝国が正体を現す。「都市要塞」とも呼ばれるようである。

都市帝国の赤道にあたる部分は回転して巨大ミサイルや光線を発射し、ガス帯の竜巻を放射して上部の都市部を防御する。半球状の小惑星には無数の防衛用の砲が配備されている。

下半部の小惑星には戦闘機発進口がある。そこからヤマトクルーの侵入を許し、動力炉を破壊されて機能を停止する。

宇宙戦艦ヤマト2
地球連合艦隊の最後の力を振るった拡散波動砲の斉射を受けた白色彗星の中から、まったく無傷の姿を現して連合艦隊を殲滅してしまう。
無条件降伏を迫る彗星帝国へ地球連邦政府は和平交渉を打診するが、彗星帝国はこれを受け入れず、逆に見せしめとして都市の赤道部から発射した光線とミサイルで月を月面基地もろとも火の海にする(第22話)。これを見た地球連邦政府は無条件降伏を受諾。都市帝国は条約締結のため、地球の首都メガロポリス沖の海に着水する。
都市帝国には、センサー類の集中する都市の頂点と下半部に弱点が存在する。第25話ではその両方の弱点をヤマトとその艦載機による上下同時攻撃によって突かれ、地球から離脱を図るが、ヤマトに追いつかれて戦闘機発進口から突入され、動力炉を爆破されて破壊される。

主要人物[編集]

所有メカ[編集]

昆虫甲殻類のような印象をもつディテールの多いデザインであり、白と黄緑を主体としたカラーリングが多い。艦船の多くは複眼のようなハニカム模様のレーダーが備わっているのが特徴。

艦船[編集]

戦艦[編集]

巡洋艦[編集]

  • 巡洋艦(PSゲーム版におけるオリジナル艦)

ミサイル艦[編集]

空母[編集]

駆逐艦[編集]

潜宙艦[編集]

輸送艦[編集]

宇宙要塞[編集]

航空機・宇宙艇[編集]

陸上兵器・地上部隊[編集]

兵器・関連技術[編集]

  • 超巨大砲
  • 火炎直撃砲
  • 衝撃砲
  • 破滅ミサイル
  • 回転速射砲塔
    • メダルーザやミサイル艦などの一部を除き、白色彗星帝国艦艇に標準装備されているエネルギー砲。ひっくり返したお椀型をした円形砲塔へ360度放射状に砲口を穿った多連装砲である。目標へ砲塔自体を指向させる必要が無く、砲塔を回転させてガトリング砲的に次々とエネルギー弾を連続発射するため、射撃レスポンスが速く、圧倒的な弾幕で敵を制圧する速射砲である。
      なお、回転速射砲塔は同盟国であるガミラス帝国へ技術が流れたと見え、後のガルマン・ガミラス帝国の主要艦艇に広く装備されているのが確認出来る。

宇宙戦艦ヤマト2199[編集]

概要(2199)[編集]

設定が大幅にアレンジされ、帝星ガトランティスという名称で登場する。

元々は『宇宙戦艦ヤマト』で語られていなかったガミラスが戦っている各戦線の敵の1つとしてのゲスト出演という、ファンサービス的な登場でしかなかった[11]。しかし、新作劇場版『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』(以下、『星巡る方舟』)の製作に当たって主敵として登場することが決まり、本格的に詳細な設定が作りこまれることになった。

アメリカ的な要素が入っていた『さらば』『ヤマト2』とは異なり、本作では中世的要素[12]が入っており、野蛮で粗暴[13]な戦闘民族となっている。この大胆な変更は、旧シリーズにおける敵国が総じてステレオタイプな軍事国家だったことを鑑みて、異なる星で歴史を刻んできたなら文化も異なるだろうという考えから、第二次世界大戦時の国家の要素が盛り込まれたガミラスとの差別化のために行われた[14]

ガトランティス人は旧シリーズ同様緑色の肌だが、戦闘民族らしく体格が良く筋骨隆々な人物が多い。髪型はナスカやゲルンのようにこめかみが繋がっている人物や、ズォーダーのように眉が中央で繋がっている人物が多くいる。口内の色はオレンジに近い黄緑で、血液の色は濃いオレンジ。なお、本作では女性も緑色の肌をしている。服装に関しては、軍服は四角と三角の模様をあしらっている点こそ共通しているものの、形状が甲冑型になっており、一般兵は鉄仮面、指揮官クラスは陣羽織を着用している。ガミラス語やイスカンダル語などとは異なる独自の言語「ガトランティス語」を話す。

大帝[15]を頂点とした国家で、蛮勇で宇宙に名を轟かせているとされている。また、捕虜とした科学者・技術者を「科学奴隷」として生かし、新兵器などを開発させて戦力を増強していっている。

なお、『2199』シリーズでは国名を始め「白色彗星」という語句は一切出てこない[16]。移動する帝国であることが出渕の口から語られている[17]が、それが白色彗星であるかどうかは不明。

劇中では小マゼラン銀河外縁部へ侵入を繰り返してはガミラスと交戦しており、「蛮族」と言われている[18]。第11話では前哨艦隊が、第8話でガミラスから派遣されたエルク・ドメル中将率いる艦隊「第6空間機甲師団」と交戦するが、一方的に押されて自軍艦隊の7割を撃沈され、敗走した。

第14話では、ガミラスの国家元帥ヘルム・ゼーリックの奴隷となっているガトランティス人女性が登場する。第21話では、ガミラス支配下の収容所惑星レプタポーダで捕虜となっているガトランティス人たちが多数登場する。ガミラスの反乱分子の手引きを受け、ザルツ人やオルタリア人など他の種族の囚人たちとともに反乱を起こし、レプタポーダを解放する。

『星巡る方舟』では、イスカンダルからの帰路に就いたヤマトの敵として登場する。

主要人物(2199)[編集]

  • 大帝 - 容姿は不明。
  • ゴラン・ダガーム - 「雷鳴」(らいめい)の異名を持つ大都督
  • シファル・サーベラー - 「白銀」(しろがね)の異名を持つ丞相
  • イスラ・パラカス - 「疾風」(しっぷう)の異名を持つ指揮官
  • ボドム・メイス - メガルーダ艦長

所有メカ(2199)[編集]

デザインの基本ラインは『さらば』『ヤマト2』と変わらず、白と黄緑を主体としたカラーリングで、艦船には複眼状の構造物がある。

ゲスト出演時にメカデザインのリファインや新規メカのデザインなどが行われたが、あくまでも1話限りのゲストであるために三面図などの詳細な設定は作られず[19]、3DCGモデルが作られることもなく、劇中ではほとんど止め絵での登場だった[11]。なお、艦艇の名称設定は地球の古代文明に関係したもの(ナスカ文化ラスコー洞窟ククルカン)が多い。

『星巡る方舟』の制作に際してメカのリデザインと設定の再構築が行われ、3DCGモデルも作られた。艦級名はガトランティス神話の事物が由来と設定され、艦種名には「殲滅型」や「打撃型」など、ガトランティスの好戦志向をまっすぐに表したものが設定されている[20]

以下の名称は『星巡る方舟』におけるものである。

艦船(2199)[編集]

航空機・宇宙艇(2199)[編集]

兵器・関連技術(2199)[編集]

テーマ曲[編集]

本国家のイメージを印象付ける要素の1つとなっているのが、テーマBGMである「白色彗星」である。パイプオルガンによって奏でられる荘厳な曲であり、パイプオルガンの2つの音を同時に出せるという特性が、白色彗星帝国に知的なイメージを与えているとも言われている[21]

本曲はヤマトシリーズの劇伴を担当していた宮川泰にとっても会心の出来だったと推測されており[22]、ヤマトシリーズの中でも名曲の1つして数えられている。多数のアレンジ曲が作られ、劇中各所で使用されており[23]、この曲のメロディーは白色彗星帝国には欠かせないものと評されている[14]

本曲は武蔵野音楽大学に設置されているパイプオルガンを使用して演奏された。序盤の足鍵盤パートを大学の教授が、中盤以降のパートを宮川泰の息子である宮川晶(宮川彬良)が演奏しており、宮川彬良がヤマトの音楽に関わるきっかけともなった。ただし、劇中で頻繁に使用されるパートは武蔵野音大教授が弾いた足鍵盤パートである。晶にとっては慣れないパイプオルガンということもあり、収録の際には演奏中のミスによるリテイクが非常に多く重なった。最終的に収録用テープが底をつき、何とかOKをもらえたが、ミスタッチがわずかに残っており、劇中で使用されたものは本来のものとは若干音程がずれている[24]

『宇宙戦艦ヤマト2199』では「不滅の宇宙戦艦ヤマト ニュー・ディスコ・アレンジ」でアレンジされた曲を宮川彬良がリアレンジしており、彬良にとっては当時のリベンジをする形となった[22]。『星巡る方舟』においても本テーマをアレンジした新曲が作られたが、ガトランティスのイメージ変更により、パイプオルガンではなく打楽器をふんだんに盛り込んだ野性味溢れるアレンジが中心となっている。

脚注・出典[編集]

  1. ^ 劇中では、国を指す場合は「彗星帝国」、もしくは「彗星帝国ガトランチス」。天体の呼称としては「白色彗星」もよく使用されている。その構造物は都市帝国(都市要塞)と劇中で呼ばれているが、設定資料やムックなどには、「白色彗星帝国」と記されている。『ロマンアルバムエクセレント(53) - 宇宙戦艦ヤマト PERFECT MANUAL 1』(徳間書店)ほか。
  2. ^ 『宇宙戦艦ヤマト2 DVDメモリアルボックス 保完ファイル』、『週刊宇宙戦艦ヤマト OFFICIAL FACTFILE』等。
  3. ^ PSゲーム版、『宇宙戦艦ヤマト発信!情報班資料室』等。
  4. ^ 東北新社 ヤマトチャンネル 情報班資料室「宇宙戦艦ヤマト発信! ズォーダー大帝」(インターネットアーカイブ2008年2月26日分キャッシュ)
  5. ^ ガミラス帝国暗黒星団帝国ディンギル帝国などに見られた種の存続目的の侵略など。
  6. ^ 『ヤマト2』第12話のミルの流血シーンより。
  7. ^ 『宇宙戦艦ヤマト2 DVDメモリアルボックス保完ファイル』P29。
  8. ^ 超重力などの設定からも、その名残が窺える。彗星の定義から大きく外れるものに「白色彗星」という名称を採用したことについては、作家の高千穂遙がSF雑誌『スターログ』のSFアニメ特集号におけるコラムで「豊田有恒氏の『白色矮星が地球に接近する』というSFのアイディアを、『矮星は難しい。白色彗星にしよう』と言い出し、本当にそうしてしまったプロデューサーもいるのだ」と語っており、西崎義展の科学的無知に起因するものであることを暗に批判している。ただし、白色彗星自体のアイディアは西崎のブレーンであった安彦良和の発案であることを『松本零士初期SF作品集』の中で本人が明かしている。
  9. ^ 正しくは本体である都市帝国の描写。超巨大戦艦は日本列島に例えられていた。
  10. ^ 『宇宙戦艦ヤマト全メカ大図鑑』(朝日ソノラマ)より。
  11. ^ a b 『宇宙戦艦ヤマト2199ぴあ』P24、25。
  12. ^ 大都督丞相といった役職や後述の軍服など、古代の東洋の要素が特に見られる。
  13. ^ 本作監督の出渕が使った例えは「太鼓叩いて、肉食いながら攻めてくるイメージ」(『宇宙戦艦ヤマト2199ぴあ』P48)。
  14. ^ a b 『宇宙戦艦ヤマト2199ぴあ』P25。
  15. ^ ガトランティス語での発音は「ズォーダー」。
  16. ^ 彗星を連想させるものとしては、渦巻き状のリングから白色のガスとともに艦艇が飛び出すというワープアウト描写があり、小説版において実際に「彗星」と例えられている。
  17. ^ 出渕裕総監督が語る"波動砲封印"とSFドラマの主眼「相互理解を描きたかった」-『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』 (3) 火焔直撃砲艦載の巨大兵器はがおもしろい構造に仕上がった、マイナビニュース、2014年12月7日
  18. ^ この「蛮族」呼ばわりは、ガトランティスの気質を表したものというより、ガミラスの慢心による蔑称とされる(『宇宙戦艦ヤマト2199ぴあ』P25)。
  19. ^ 『モデルグラフィックス』2014年3月号P30。
  20. ^ 『宇宙戦艦ヤマト2199ぴあ』P19。
  21. ^ 『宇宙戦艦ヤマト2199ぴあ』P48。
  22. ^ a b 宇宙戦艦ヤマト2199 第四章パンフレットP26。
  23. ^ なお、第1作の主敵だったガミラスには国家単位での明確なテーマBGMは存在していない。
  24. ^ 祝!「宇宙戦艦ヤマト」復活!宮川彬良先生インタビュー!、EnterJam、2012年4月6日

参考文献[編集]