シド・ミード

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シド・ミード

シド・ミードSyd Mead, 本名:Sydney Jay Mead, 1933年7月18日 - )はアメリカ工業デザイナー

概要[編集]

フォードでのカーデザインをスタートに、 数多くの企業のデザインコンサルタントを担当し1970年に「シド・ミード社」として独立。 その後、出版やプロモーションの機能として「オブラゴン社」を設立。

1961年からの連作 United States Steel社の企業カタログ・画集に掲載されたコンセプトカーのデザインでカーデザイナー、イラストレータとして工業デザインの分野で一躍有名に。独立後、初の個人画集『センチネル』1979年に掲載された雨の中の高速道路「Express Highway」を見た映画監督リドリー・スコットが、映画『ブレードランナー』の「カーデザイナー」として起用したことで、映画界で注目される。このときシド・ミードは映画スタッフ(メカデザイナー)としてでなく、あくまで「工業デザイナー」としての参加とし、その才能ゆえ、ユニオンの規定以上の守備範囲とその仕事量で他のプロダクション・デザイナーを圧倒。カラーイラストで描写した際、その背景の混沌としたトーンに魅了されたリドリー・スコットが車両以外のインテリア、鍵、ハンターの銃、ベッド、パーキングメーター、ショーウィンドー等のセットや小道具のデザインを依頼。さらに背景となる建築、都市の外観、列車や駅、コンピュータ等のインターフェースに至るありとあらゆるデザインを担当した。ほぼ同時期に映画「トロン」用に「ブレードランナー」と同時並行でデザインしていた。

『ブレードランナー』公開以降、彼のデザインやコンセプトに影響を受けたSF作品は数多く、『ブレードランナー』とほぼ同時期に関わっていた映画『トロン』やそれ以前の『スタートレック』を含む未来デザインで教祖的存在となる。その後、ハリウッド映画作品の中でも特にSFジャンルの「ハードウエア・デザイナー」として『2010年』と「エイリアン2』で世界的な第一人者として認知される。映画芸術科学アカデミーやデザイナー組織などの会員としてどこにも属していないため、参加する映画ごとにその肩書きは「ビジュアル・フュ-チャリスト/コンサルタント」「コンセプチュアル・アーティスト/デザイナー」「フューチャー・デザイン」「ヴィジュアル・フューチャリスト」等、さまざま。2012年より、自称「フューチャリスト・デザイナー」。

米テーマパークデザイン委員会の理事や、ホワイトハウスの諮問機関クーパーヒューイット財団の顧問に就任。パサディナにあるアートセンター・カレッジ・オブ・デザインの特別名誉講師など、全米のアニメーション制作会社、ゲーム制作会社、自動車メーカー、デザイン教育機関を対象に講演会やセミナーなどを対象に精力的な活動を続けている。

日本における活動[編集]

1983年(昭和58年)には東京大阪で「未来のカーデザイン展」、1985年(昭和60年)に東京で開催された個展「テクノ・ファンタジー展」が大きなきっかけとなり、これ以降、ポスターアート、商業施設、テーマパーク、プロダクトデザインなどを数多く手掛け、同時に講談社から2冊目の画集『オブラゴン』(OBLAGON)を出版。1987年(昭和62年)以降、アジアの中でも特に日本は彼にとって重要なマーケットとなった。この年、同じく講談社から3冊目の画集『センチネル II』(SENTINEL II)を出版。テレビCMでは川崎製鉄の『鉄からさらに』で彼のイラストが多数起用。続くソニーの『HiTBiT』(シリーズ2種)ではアニメーションスタッフルームが企画とアニメーションを、アートミックと共に制作し、平面(アニメーションとイラスト)と立体(セット、ミニチュア、人物)を合成したユニークなビジュアルを展開し、話題となった。日本では、タイガー魔法瓶のエアポット『とら~ず』や、ディスコ「トゥーリア」のインテリアなどの商業施設、特にポスターのデザインは1985年(昭和60年)から1993年(平成5年)に最も多く手がけた。1990年には開発中であったNHKによるハイビジョン撮影で初めてのドキュメンタリー番組「イマジネーション」に出演。

アニメーション作品では『YAMATO2520』の18代ヤマトを中心にハードウェアデザインを、『∀ガンダム』では主要なモビルスーツ、計8体のデザインを担当。ガンダム史上過去に例がない背面ディテールと流れるようなラインは、「機能的なアイディアが70%にファンタジーとユーモアを30%」という彼独特のアプローチによるもの。それらは工業デザインや建築をベースに培ってきた、エンターテイメント性を重視したSF用のデザインであった。それまで慣れ親しんできた玩具を中心に展開したガンダム特有のプロダクトデザインとは一線を画し、ロジックが備わったカタチに必然性のある「工業デザイン」をベースにデザインされていたのが、それは富野由悠季監督が希望していた、コピーが繰り返されることに甘んじていた国内のメカニック・デザイナーに対する挑戦でもあった。『∀ガンダム』放映から時間が経過し、富野由悠季監督とシド・ミードの目指した機能的で、動くことで新しいカタチが出現する従来にはなかった外観をまとった「表裏一体」(back to the face)なコンセプトが、改めて評価されつつある。2007年(平成19年)8月には、カトキハジメを中心にバンダイの技術力が結集し、∀ガンダムはガンダム・プラモのマスターグレードシリーズの記念すべき100作目として発売された。

∀ガンダム』以前には、『機動戦士Ζガンダム』の構想段階に4点のイラストを提供。ザク(未発表)のプロポーションからディテールに至るまでプロポーションを再構築し直したデザインにも取り組んだ。前半の主役メカ・ガンダムMk-IIを単独で描いたもの(他2種)はメインスポンサーであるバンダイが玩具店等へ配布する番宣用ポスターとして使用され、彼の画集『オブラゴン』(講談社)に掲載されている。

名古屋で開催された「愛・地球博」で三井東芝館パビリオン映像「グランオデッセイ」の宇宙船ネモニック号とその背景デザインを担当。日本のゲーム用デザインにもセガを中心に数多く起用され、PSP『バウンティハウンズ』のコンセプトワークを担当。NUTSがプロデュースする限定モデルのアート腕時計「NUTS COLLECTION」シリーズの「ESSENCE」(黒)と「ALWAYS」(白)。ステップ・バイ・ステップと呼ばれる彼独自の技法を克明に解説した「Gnomon DVD」(4種)。イギリスのアパレルブランド「ADDICT」からは限定Tシャツを4種。マテル社のホットウィ-ルのデザイン・ディレクター:ネイサン・プロックが幼少の頃に画集『SENTINEL』に出会い、デザイン担当した「Syd Mead's Sentinel 400 LIMO」は限定モデルも合わせ9種類(グリーン3色、ブルー、ダークブルー、ハロウィーン、レッド、ブラック、ディナーダンス)を展開。2007年12月、初のドキュメンタリー作品『VISUAL FUTURIST: The Art & Life of Syd Mead』をDVDで国内リリース。2007年12月、映画『ブレードランナー』(DVD)のコメンタリー解説に参加。2008年12月、短編ドキュメンタリー『2019: A Future Imagined』をリリース。2011年 デジタル・ボーンより「シド・ミード センチュリーII」(日本語版)を刊行。BMWが主催する未来のクルマを扱ったドキュメンタリーにコメンテーターとして出演している。

映画[編集]

ゲーム[編集]

  • サイバータンクアーケード用ポスターデザイン)
  • テラフォーミング(PCエンジンスーパーCDロムロム用ソフト。ビジュアルコンセプト担当)
    メガCD版の発売も予定されていたが、結局リリースされなかった。余談だが、本作品の為にミード自身が描き下ろしたイラストの数点が開発/販売元であるライトスタッフの倉庫で半ば打ち棄てられるように保管されていたという話がある。その後ライトスタッフは倒産しているが、そのイラストがどうなったのかは不明。
  • グランチェイサー(セガサターン
  • サイバーレース
  • A列車で行こう5(プレイステーション)
  • MaelstormPC/Merit Softwareビジュアルコンセプト担当)
  • Blade RunnerPC/Westwood。コンセプチュアル・アドバイザー担当)
  • Jet Moto VPSP。ビジュアルコンセプト担当)
  • TRON 2.0/ Killer APPPC/X-Box。コンセプチュアル・アドバイザー/新ライトサイクル担当)
  • Battlestar Galacticaプレイステーション2。背景デザイン担当)
  • バウンティ ハウンズ(PSP)(コンセプチュアル:環境/ハードウェアデザイン担当)
  • ALIENS(コンセプチュアル・デザイン:環境/ハードウェアデザイン担当)

アニメ[編集]

  • ∀ガンダム(スモー、∀ガンダム、ターンX、フラット、ウォドム、バンディット、モビル・リブ)
  • フューチュラマ(宇宙船)
  • YAMATO2520(18代ヤマト、戦艦、護衛艦、戦闘機、戦車、コスチューム、小銃、惑星、都市)

書籍リスト[編集]

    • Atlas Cement社刊 Return Of The Nejji
    • Rationale
    • United States Steel社刊 Fashion In Steel (1961)
    • United States Steel社刊 Concepts (1961)
    • United States Steel社刊 Projections (1962)
    • Allis Chalmers Corporation社刊 Land Of Power (1963)
    • Celanease Corporation社刊 Celcon (1965)
    • United States Steel社刊 Innovations (1968)
    • United States Steel社刊 Perspective (1968)
    • United States Steel社刊 Interface (1969)
    • Dragon Dreams社刊 Steel Couture Syd Mead Futurist "SENTINEL"(1979)
    • ツルモトルーム刊 Future Car Design(ラフォーレ原宿「未来のカーデザイン展」図録)(1983)
    • Studio Image ONE,TWO & Three(スケッチ/画集) ※上記の「未来のカーデザイン展」同サイズ
    • ツルモトルーム刊 SYD MEAD TECHNO FANTASY ART(西武アートフォーラム「テクノファンタジー展」図録)(1983)
    • A Wallaby Books刊「The Official Art Of 2010」スケッチブック(1984)
    • 講談社刊 OBLAGON(スケッチ/画集)(1985)
    • オブラゴン社刊 OBLAGON カレンダー(1987/1990/1991/1992/1993 のみ)
    • 講談社刊 Sentinel2(画集)(1987)
    • カーグラフィック別冊 「Future Concepts SYD MEAD」(スケッチ/画集)(1992)
    • 講談社刊 Mead Gundam(スケッチ集)(2000)
    • バンダイ刊 Kronolog = Kronovecta(スケッチ集)+Kronovid(レーザーディスク版.又はVHS版)+Kronoteco(画集)+スピナーモデル付き
    • バンダイ刊 Kronolog2(CD-ROM アーカイブ)
    • 「ヤマト2520 オリジナルサウンドトラック-1」初回限定版(スケッチ/画集)
    • 角川書店刊 Syd Mead's Sentury(画集)
    • ボーン•デジタル刊 Syd Mead's Sentury II (画集)

特集記事 その他の書籍[編集]

  • Automobile Quarterly 特集記事で合計3冊
  • Paper Tiger社刊 SYD MEAD
  • The Art Of Tron(スケッチ/画集)
  • ビジュアルガイドブック「トロン」(東宝出版事業部)
  • The Official Art Of 2010(白黒2色刷りの絵コンテ、スケッチ集)
  • 2010 Film and Arts(東宝出版事業部)
  • ツルモトルーム刊 スターログ No.54 / No.56 シド・ミード特集
  • TVC-15刊 スピナー読本 各種
  • カースタイリング 特集記事扱いで5冊と別冊1冊[Future Concepts: The World Of Syd Mead(イラスト/スケッチ)
  • 映画ストーリー クライシス2050 (学研)
  • Blue Dolphin社刊 Blade Runner Sketchbook(スケッチ集)
  • バンダイ刊 Cinefex 「ブレードランナー」(SFX/メイキング)
  • ドン・シェイ著「Blade Runner Inside Story」(上記Cinefex版と同じモノ)
  • バンダイ刊 Cinefex 「2010年」(SFX/メイキング)
  • ソニーマガジン刊「メイキング・オブ・ブレードランナー」
  • 付録冊子 999(腕時計)シリーズ
  • 愛・地球博 「オフィシャル・アート・オブ・グランオデッセイ」(通常版/限定版)日経BP
  • 日経エンターテイメント
  • 日経アーキテクチャ(2007-5-14号)
  • AXIS (アクシス) 2008年 06月号

その他 映像(出演)[編集]

  • NHK(旧)ハイビジョン放送 「IMAGINATION」
  • BBC放送 「The Edge Of Blade Runner」
  • 「Making Of m:i:III」
  • ドキュメンタリーフィルム 「VISUAL FUTURIST: The Art & Life of Syd Mead」
  • Discovery Channel 「Future Car」ゲストコメンテーター
  • 機動戦士ガンダム30周年記念 みんなのガンダム 完全版 - アニマックス、VTRコメント出演
  • WOWOW ノンフィクションW 「ブレードランナーの世界を創った男 シド・ミードが描く2042年」

ウェブサイト[編集]