暗黒星団帝国

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暗黒星団帝国(あんこくせいだんていこく)は、アニメ映画『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』(以降、『新たなる旅立ち』)および『ヤマトよ永遠に』(以降、『永遠に』)に登場する架空の星間連合国家。

概要[編集]

「暗黒星団帝国」という名称は『新たなる旅立ち』のみで言及されており、『永遠に』における敵が前作と同一であるという説明は一切ない。国家元首である『新たなる旅立ち』のグレートエンペラー(声のみ登場)と、『永遠に』の聖総統スカルダートが同一人物なのかも不明である。そのため、『永遠に』公開直後のアニメ雑誌「アニメージュ」には両作の敵が同一なのかに疑問を示す記事も掲載された。しかし、2013年現在の公式設定ではそれらは同一とされている。

宇宙戦艦ヤマトシリーズ』で、地球を制圧・占領した唯一の国家である。

暗黒星団帝国の実用化した金属元素タキオン粒子と過剰に反応するため、それらの要因となる波動砲を持つヤマトの存在を恐れており、地球占領後にヤマトを捕獲ないし破壊することを最重要目的としていた。それゆえ、波動エネルギーを防ぐ自動惑星ゴルバなどのコーティング技術、新波動砲も効かない超合金などを実用化している。しかし、一旦破られると波動エネルギーに対して極めて脆い面を露呈する。

準備稿での国家名称は「暗黒星団帝国ウラリア」[1]である。ゲーム版では、自動惑星ゴルバなどに「ウラリア式」との表記が見られる。準備稿では人名も「ガルバス」や「ガボーチン」などボラー連邦的なロシアウラル)風で、初期設定では皇帝(グレートエンペラー)を頂点とした帝政ロシア的な国家をイメージしていたと推測できる。

2004年から2005年にかけて発売された、『新たなる旅立ち』『永遠に』を原作としたPS2用ゲームソフト『宇宙戦艦ヤマト イスカンダルへの追憶』『宇宙戦艦ヤマト 暗黒星団帝国の逆襲』『宇宙戦艦ヤマト 二重銀河の崩壊』(以降、3本を共通して「ゲーム版」と表記)は、単なるゲーム化ではなく、原作脚本の不備な点が多数補完され、オリジナルキャラクターが多数登場するなど、原作リメイクに近い内容であり、本国も多数の変更点やオリジナル要素が加わっている。

デザリアム星[編集]

暗黒星団帝国の本星。地球から40万光年、大マゼラン星雲から約57万光年の距離にある、黒色銀河と白色銀河からなる二重銀河の中にある惑星。

200年後(2402年)の地球に偽装し、惑星の外観は元より、スフィンクス万里の長城などの古代遺跡からクラシック音楽などの古代芸術まで忠実に再現していた。しかし、新波動砲によるグロデーズ艦隊の爆発で偽装が剥がれ、正体を現す。それは、肋骨の中の心臓のような姿に赤い光が脈打つ、堅牢な装甲を持ったグロテスクな人工天体だった。真田志郎によれば、装甲は「新波動砲すら通用しない超金属」とのこと。惑星の中心核からパイプを介してエネルギーが供給され、中心核内部には水晶都市があり、南北の両極にここへの出入り口が存在する。

防衛兵器として収納式の大型砲と、ボラー連邦機動要塞ゼスバーデに似た外観を持つ要塞化された浮遊隕石が無数に配備されているため、撃破はおろか接近すら容易ではない。水晶都市はガミラス帝国の天井都市のように大型ミサイルとなっており、極地の出入り口から敵が侵入した場合はこれで迎撃する。なお、ガミラス帝国の天井ミサイルがビルそのものがミサイルなのに対し、水晶都市のミサイルは撃ち出されたビルの外殻の水晶が途中で剥がれてミサイルの本体が露出するようになっている。

内部ではスカルダートや彼の側近サーダ以外の人物が描かれず、サーシャが内部破壊工作に動いた際もスカルダートが席を立って彼女を探していた。これらの描写により、内部からの攻撃を想定していないことが窺える。

ゲーム版におけるデザリアム星[編集]

アニメ版と同様に200年後の地球に偽装されている。アニメ版とは異なり、ヤマトが200年後に移動したのではなく、地球が過去に移動したとされている。劇中から150年後に太陽系が崩壊し、辛うじて地球のみは白色銀河までワープさせることで難を逃れたが、大質量を持つ物体を長距離ワープさせた反動により、劇中から50年前にタイムスリップしたとされている。

当初はヤマト乗組員を信じさせることに成功するが、相原が持ち帰ったグラスと土の成分が、地球にとって全くの未知の物質であることから、200年後の地球が本物ではないことに気づく。

褐色矮星群の中にある星系全体がガス状の暗黒物質で覆われ、「ダイソン球殻」とされている。球殻を構成する暗黒物質は恒星が放射するエネルギーを変換したものであるため、恒星が存在する限り球殻が消滅ないし破壊される心配はなく、さらに球殻そのものが巨大なエネルギー貯蔵庫の役目も果たすことができる。また、ダイソン球殻は溜まった熱を赤外線として外部へ放射する必要があるが、暗黒星団帝国はこれを逆に利用し、球殻を同じく赤外線を放射する褐色矮星に偽装していた。

通常のダイソン球殻と違い、球殻を構成するものがガス状物質であるため、球殻そのものには居住できず、同球殻内の惑星デザリアムに住んでいる。デザリアム星そのものの設定は原作と大差ないが、水晶都市の周りにはエネルギー偏向フィールドが展開されており、一切の攻撃が通じない。ただし、宙に浮かぶ水晶都市は内殻表面のエネルギー中継ユニットを通さずにはフィールドを形成するためのエネルギーを受け取ることができず、この中継ユニットの存在に気づいて発見することさえできれば、中継ユニットを攻撃・破壊することでフィールドを無力化できる。また、原作と違い水晶都市内にも衛兵が多数存在する。

暗黒星団帝国人[編集]

暗黒星団帝国の人々は頭部のみが生体で、首から下がサイボーグ化している。これは、高度な機械文明によって人間は脳だけ使用し、あとは機械で補うようになったためで、その弊害として肉体的に退化し、種としての生命力が衰え、生命体としては末期的な状況にあった。そのような事態になった経緯は語られないため、不明である。

男性の肌は、『新たなる旅立ち』では灰色で、『永遠に』ではガミラス人より幾分濃い、暗青い灰色に変更されている。強膜(いわゆる白目と呼ばれている部分)は青色(スカルダートのみ赤色で)で、眉毛は生えていない。また、頭髪を生やしている人物は少ない。唇の厚く顎が角ばった顔立ちが多数見られ、メルダーズアルフォンのような細面は少数である。

女性はサーダ1名しか登場しない。肌色や白目を持つサーダの容姿が地球人と同様なのは、性差なのか異民族出身なのかは不明である。なお、ヤマト乗組員たちを出迎えた際のスカルダートが地球人の姿へ変装していたうえ、サーダの指に指紋が存在しなかったことがヤマト乗組員たちへ正体が露呈するきっかけとなったため、彼女の容姿も変装だった可能性はある。

ゲーム版における暗黒星団帝国人[編集]

サイボーグの設定はアニメ版同様である。外見は『新たなる旅立ち』の方がベースとなっており、肌の色の関しては灰色の人物の方が圧倒的に多くなっているほか、服装等も大半が『新たなる旅立ち』の方に近いものになっている。

ヤマトを騙す際の「暗黒星団帝国人の正体」はアニメ版と異なり、200年後の地球人ではなく、地球を占領した暗黒星団帝国人の末裔であるとされている。そのため、アニメ版のように指紋によって嘘が発覚する展開は無い。

暗黒星団帝国軍[編集]

過去の地球の軍事組織(現実の世界の各国軍隊)で使用されていた尉官等から構成される階級制度と同じものを採用している。暗黒星団帝国軍人の制服(サイボーグ化された身体)は、『新たなる旅立ち』では肌の色と同じで全裸のような外観になっていたが、『永遠に』では基本的に黒色に変更されている。また、両作とも階級に関係なく黒色のマントを羽織っている。

ヤマトを味方のゴルバ型浮遊要塞ごと撃破しようと目論むなど、任務遂行のためにはいかなる犠牲もいとわない冷酷な面が見受けられる。

艦艇や兵器の機体色は濃紺色とオレンジ[2]。光線兵器の色は『新たなる旅立ち』では緑がかった黄色で、『永遠に』ではピンク色だったゴルバ型浮遊要塞を除き橙色に統一されている。暗黒星団帝国の艦隊は、地球側から「黒色艦隊」と呼ばれていた。

劇中での描写[編集]

宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち[編集]

西暦2201年、遂行中の宇宙間戦争に必要なエネルギー源となるガミラシウムとイスカンダリウム獲得のため、ガミラスおよびイスカンダルへマゼラン方面軍を派遣。ガミラスでガミラシウムを採掘していたところ、故郷に一目別れを告げに来たガミラス総統デスラーが率いるガミラス残存艦隊と遭遇する。母星を侵され憤激したデスラーの命により両艦隊は交戦状態に突入し、この戦闘で暗黒星団帝国側は作業船団と護衛艦隊が壊滅する大損害を受けた。この戦火の影響でガミラスが爆発して消滅してしまい、引力のバランスが崩れたイスカンダルは漂流を始めてしまう。

イスカンダル女王スターシャ救出のためにイスカンダルを追うガミラス艦隊を、デーダー率いる帝国第一艦隊が捕捉。圧倒的な戦力で報復攻撃を加え、デスラーに「もはやこれまでか」と言わしめるほどに追い詰めたが、救援に駆けつけたヤマトによって艦隊は全滅する。唯一残ったデーダー座乗の艦隊旗艦プレアデスも、ヤマトの波動砲によって失われた。

第一艦隊が敗北したことを知ったマゼラン方面軍総司令メルダーズは、自動惑星ゴルバにより自ら出撃。さらなる報復攻撃でヤマトとガミラス艦隊を殲滅しようとする。デスラー砲すら通用しないゴルバの戦闘力は圧倒的で、ガミラス艦隊とヤマトに事実上の勝利を収めた。しかし、自艦をゴルバに特攻させて自らの命と引き換えにスターシャを救おうとするデスラーの行動を見かねた彼女が暗黒星団帝国にイスカンダリウム採掘を許可したため、両軍は戦闘を停止。ゴルバはイスカンダルへの降下を開始したが、スターシャがイスカンダルを自爆させたためにゴルバは星もろとも消滅し、当初の目的であるガミラシウムやイスカンダリウムの採掘は失敗に終わった。

しかし、グレートエンペラーはメルダーズに地球侵略を示唆していた。ただし、この戦役における暗黒星団帝国は暴力性が低い面もある。(無人だったとはいえ)無断でガミラス星の資源を採掘し、またイスカンダルに対しても武力を背景に採掘権を求めたことは侵略的と言えるが、スターシャら住民の虐殺そのものを目的とはせず、ヤマトに外交交渉を求め平和裏に解決しようとし、スターシャが採掘を認めたときには即座に停戦に応じ、脱出の妨害もしなかった。

ヤマトよ永遠に[編集]

西暦2202年、重核子爆弾を地球へ発射。その着弾と並行し、カザン率いる地球攻略軍が奇襲をかけ、地球全土を占領する。侵略の目的は、蔓延する生命活力の減退を打破すべく、重核子爆弾によって地球人類を脳死させ、健全な生身の肉体を手に入れるためだった。

しかし、暗黒星団に配備していた前線補給中間基地は運良く太陽系を脱出したヤマトによって、一方的に攻撃されて消滅。暗黒銀河(ブラックギャラクシー)にて、地球から追撃した地球攻略艦隊がヤマトと会戦した後、ゴルバ型浮遊要塞群へ追い込む。ヤマトに猛攻撃をかけるが、波動カートリッジ弾を撃ち込まれた1隻のゴルバの爆発が全てのゴルバを誘爆させ、全滅する。波動カートリッジ弾の威力に見合わないこの大戦果が、真田志郎に疑問を与えることになる。なお、ヤマトを追撃した地球攻略艦隊はゴルバ戦以降の描写がないため、消息は不明。ゴルバの誘爆に巻き込まれた描写もなかった。

白色銀河に出たヤマトは、200年後の地球に偽装していたデザリアム星へ接近する。聖総統スカルダートはデザリアム星に上陸してきたヤマト乗組員へ、ヤマトが地球に帰還しなかったという模造した歴史を見せ、降伏を促す。しかし、ヤマトは在留を希望するサーシャを残して地球へ飛び立ったため、スカルダートは5隻の黒色戦艦グロデーズを差し向けて先述の歴史通りに葬ろうとするが、相原義一徳川太助が偽装を看破して士気を取り戻したヤマトの新波動砲により、新黒色艦隊を殲滅された爆発の余波がデザリアム星にまで及ぶ。星表面を火の海と化したこの光景から、波動エネルギーがデザリアム星のエネルギーと融合して大爆発を引き起こすことを真田は知るが、デザリアム星は表面の偽装が剥がれたのみで本体は無傷だった。そして、その炎の中でスカルダートも本性を現し、重核子爆弾を起爆させると脅してヤマトに降伏を強要した。

だが、同刻に地球で森雪を中心としたパルチザンによって重核子爆弾本体の起爆装置を解体されたうえ、サーシャによってデザリアム星の起爆装置を破壊されたため、一時的に重核子爆弾が起爆不能にされる。さらに本星外部の攻撃をかいくぐったヤマトがサーシャの手引きで中心核にまで侵入したため、水晶都市のミサイルで迎撃する。その後、サーシャを発見して射殺したスカルダートは自身も相討ちで虫の息になりながら脱出口を閉じようとするが、ヤマトに新波動砲を発射されて消滅。中心核と波動エネルギーが融合したデザリアム星は爆風に包まれ、二重銀河も崩壊するほどの大爆発となり、新たな銀河が誕生した。

母星崩壊後、地球占領軍がどうなったかは不明である。

主要人物[編集]

  • グレートエンペラー - 『新たなる旅立ち』時の国家元首。
  • スカルダート - 聖総統。『永遠に』時の国家元首。
  • サーダ - スカルダートの側近。
  • メルダーズ(ゲーム版では「メルダー」) - マゼラン方面総司令官。
  • デーダー - マゼラン方面第一艦隊司令官。
  • カザン - 黒色艦隊司令兼地球占領軍総司令長官。
  • グロータス - 浮遊要塞総司令官(ゲーム版では「暗黒銀河防衛軍総司令長官」)。
  • グロデーズ艦長 - 黒色戦艦グロデーズ艦長。
  • アルフォン - 地球占領軍技術部情報将校(少尉)。

以下の面々はゲーム版オリジナルキャラクター。

  • サーグラス - 帝星近衛軍・黒色艦隊総司令官(准将)。
  • ミヨーズ - 地球侵攻軍・第二特務艦隊司令官(大佐)。
  • クーギス - 恒星エネルギー資源採掘艦隊左翼指揮官(大佐)。
  • ルーギス - 恒星エネルギー資源採掘艦隊右翼指揮官。クーギスの兄。
  • グノン - 地球侵攻軍中間補給基地司令(大佐)。

所有艦艇[編集]

戦艦[編集]

空母[編集]

巡洋艦[編集]

駆逐艦[編集]

護衛艦[編集]

輸送艦・特殊艦[編集]

大型戦闘艇[編集]

宇宙要塞[編集]

航空機・宇宙艇[編集]

陸上兵器・地上部隊[編集]

兵器・関連技術[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 月刊OUT「新たなる旅立ち」の予告記事より。
  2. ^ オレンジは、『新たなる旅立ち』では主に航空機の多く使われている色だったが、『永遠に』では航空機も濃紺色主体になっており、オレンジが主体のメカニックはほとんどない。また、『永遠に』は全体的に暗いシーンが多いため、メカニックの色は実質黒色となっている(設定画ではしっかり濃紺色となっている)。

参考文献[編集]