ジョルジョ・キエッリーニ

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ジョルジョ・キエッリーニ
イタリア代表でのキエッリーニ(2021年)
名前
愛称 キエッロ
ラテン文字 Giorgio Chiellini
基本情報
国籍 イタリアの旗 イタリア
生年月日 (1984-08-14) 1984年8月14日(39歳)
出身地 ピサ
身長 187cm
体重 78kg
選手情報
在籍チーム アメリカ合衆国の旗 ロサンゼルスFC
ポジション DF (CB, LSB)
背番号 14
利き足 左足
ユース
1999-2000 イタリアの旗 リヴォルノ
クラブ1
クラブ 出場 (得点)
2000-2004 イタリアの旗 リヴォルノ[注釈 1] 55 (4)
2004-2022 イタリアの旗 ユヴェントス 425 (27)
2004-2005 イタリアの旗 フィオレンティーナ (loan) 37 (3)
2022- アメリカ合衆国の旗 ロサンゼルスFC
代表歴2
2000  イタリア U-15 8 (0)
2000-2001  イタリア U-16 12 (2)
2001  イタリア U-17 1 (0)
2002  イタリア U-18 6 (1)
2001-2003  イタリア U-19 18 (1)
2003-2007  イタリア U-21 26 (6)
2004  イタリア 五輪 2 (0)
2004-2022 イタリアの旗 イタリア 117 (8)
獲得メダル
イタリアの旗 イタリア
オリンピック
アテネ 2004
UEFA EURO
2020 欧州11カ国
1. 国内リーグ戦に限る。2022年5月21日現在。
2. 2022年6月1日現在。
■テンプレート■ノート ■解説■サッカー選手pj

ジョルジョ・キエッリーニ(Giorgio Chiellini, 1984年8月14日 - )は、イタリアピサ出身のサッカー選手メジャーリーグサッカーロサンゼルスFC所属。ポジションはディフェンダー。元イタリア代表

クラブ経歴[編集]

12歳の時に、地元のクラブチームのASリヴォルノ・カルチョの下部組織に入団すると、サイドバックとして頭角を現す。チームのセリエB昇格に貢献すると、2002年にASローマとの共同保有となる[1]。リヴォルノが保有権を一旦買い戻した後、ローマへの移籍が既定路線とみられていたが、急遽関心を示したユヴェントスFCへ移籍することとなる[1][2]。出場機会を得るため、2004年から1年間ACFフィオレンティーナへレンタル移籍[2]

2005-06シーズンよりユヴェントスに復帰し、シーズン開幕直後に右サイドバックのレギュラーだったジョナサン・ゼビナが首脳陣と問題を起こしたため、ザンブロッタが右サイドに回る形で、キエッリーニが左サイドのレギュラーに定着する。ザンブロッタがFCバルセロナに移籍した2006-07シーズンには本来の左サイドバックだけでなく、怪我人が多発したセンターバックのポジションでも起用され、及第点のプレーを見せる。2007-08シーズン開幕前にはセンターバックとしての能力が開花したが、怪我で度々欠場をしたり[3]、コンテ監督時代にも度々サイドバックでプレーする事もあった。また2011-12シーズンは、リーグ戦無敗優勝に貢献した[4]

2012-13シーズンのキエーヴォ戦にてセリエA250試合出場を達成[5]。2013年度のUEFAチーム・オブ・ザ・イヤーではイタリア人として唯一候補に選ばれたが[6]、選出はされなかった。

2014年1月5日のローマ戦にてセリエA300試合出場を達成[7]。2014-15シーズンにはコッパ・イタリア決勝ではSSラツィオを相手に先制点を記録し優勝に貢献[8]UEFAチャンピオンズリーグでもクラブの決勝進出に貢献したが、決勝は怪我の為欠場し、チームはバルセロナに敗れた[9]

2016年5月14日のサンプドリア戦でユヴェントスでの400試合出場を果たし、その試合ではゴールを決めた[10][11]。2016年10月サンプドリア戦では2ゴールを決め勝利に貢献[12]。2016-17シーズンのチャンピオンズリーグ準々決勝・バルセロナ戦では、バルセロナの攻撃陣を1stレグ、2ndレグともに無得点に抑えるだけではなく、1stレグではユヴェントスの3点目となるヘディングでのゴールを決め、チャンピオンズリーグベスト4入りに貢献した[13]

2018-19シーズンより、退団したジャンルイジ・ブッフォンの後を継いで、キャプテンに就任することが決定した。チャンピオンズリーグのベスト16、アトレティコ・マドリード戦で通算500試合出場が達成された[14]

2019-20シーズン、2019年8月30日のトレーニング中に大けがを負い、シーズン全休の見通しとなった[15]。しかし、24節のブレシア戦で後半78分から出場し復帰を果たし、25節のSPAL戦では先発出場した[16]。怪我の影響で、優勝が決定したサンプドリア戦までリーグ戦4試合のみの出場ながら、チームで唯一セリエA9連覇を果たした選手となった[17]。2021年2月、ナポリ戦でセリエA通算400試合出場とユヴェントスでの通算500試合出場を達成した[18]。怪我での欠場などで出場機会を減らし、シーズン終了後には退団の可能性が報じられたが[19]、2021年8月2日、2023年まで契約を延長した[20]。2021-22シーズン終了後、17年間所属したユヴェントスを退団。

2022年6月13日、ロサンゼルスFCへの加入が発表された[21]

代表経歴[編集]

イタリア代表でのキエッリーニ(右)

2004年11月17日にメッシーナで行われたフィンランド戦で代表デビュー。2007年11月21日のEURO2008予選フェロー諸島戦で代表初ゴールを記録。

EURO2008初戦のオランダ戦で0-3の惨敗したのを受けて、第2戦のルーマニア戦以降センターバックとして先発フル出場、3試合を1失点に抑え、負傷したファビオ・カンナヴァーロ(カンナヴァーロは大会前の練習中のキエッリーニとの接触プレーで負傷した)の穴を補う活躍を見せた。特に準々決勝のスペイン戦では、好調だったダビド・ビジャフェルナンド・トーレスの2トップを完全にシャットアウトしたが、チームはPK戦の末敗退した。

2010 FIFAワールドカップではグループリーグ最終戦のスロバキア戦では自身のマークミスでローベルト・ヴィッテクに2点目を許す失態を犯し、チームもグループリーグ敗退という結果に終わった。

EURO2012ではグループリーグ全3試合にスタメン出場したが、怪我の影響で準々決勝のイングランド戦を欠場。しかし準決勝のドイツ戦では復帰し、決勝進出に貢献したが、決勝のスペイン戦では前半途中で負傷交代を強いられ[22]、チームは守備の要を失ったこともあり、0-4と敗れ、準優勝に終わった。

2014 FIFAワールドカップのグループリーグ第3戦・ウルグアイ戦においてウルグアイ代表のルイス・スアレスに噛み付かれたと審判に訴えたが、審判がスアレスに退場処分を下さなかったことを批判した[23]

2016年、EURO2016、ラウンド16のスペイン戦では先制点を決め勝利に貢献した[24]。2018年11月17日のUEFAネーションズリーグポルトガル戦で代表100試合出場を達成した[25]

2021年、UEFA EURO 2020ではグループステージ第2戦のスイス戦で負傷交代、決勝トーナメント1回戦のウェールズ戦は欠場したが[26]、準々決勝のベルギー戦でルカクを抑え込むなど、レオナルド・ボヌッチとの優れた連携で好DFを見せ準決勝進出に貢献[27]、準決勝のスペイン戦でチームはPK戦を制して決勝進出を決めたが、このPK戦前に行われたコイントスでジョルディ・アルバを茶化す様なシーンが話題となった[28]。決勝のイングランド戦でもフル出場してラヒーム・スターリングを抑えるなど堅守で貢献[29][30]、メジャー大会初優勝を果たした。

ワールドカップ予選プレーオフでのイタリア代表の敗退後の2022年4月25日、6月にウェンブリー・スタジアムで行われるコパ・アメリカチャンピオンのアルゼンチン代表とのフィナリッシマ試合を最後にイタリア代表から引退をした[31]

人物[編集]

  • イタリアの名門大学トリノ大学を2010年に卒業している[32]
  • ゴールパフォーマンスとして、ゴリラのドラミングの真似を披露することで知られ、自身をイメージしたゴリラのキャラクターが存在する。
  • 子供の頃はバスケットボール選手になることが夢だったが、身長が低くて諦めた。憧れのバスケット選手にコービー・ブライアントの名前を挙げている[33]
  • 2010~2017年において最も優れたセンターバックの一人とされている[34][35][36][37]
  • 2020年5月に出版した自伝で、マリオ・バロテッリフェリペ・メロアルトゥーロ・ビダルらを名指しで批判するなど、毒舌な一面も見せる[38][39][40]。ただし、ビダルに関しては「彼がチャンピオンであることに疑いはない。弱さは人間の一部で、重要なのはチームにどのような結果をもたらすかだ」と自伝の中でフォローはしている[41]

個人成績[編集]

クラブ シーズン リーグ リーグ戦 カップ戦 国際大会 その他 合計
出場 得点 出場 得点 出場 得点 出場 得点 出場 得点
リヴォルノ 2000-01 セリエC1 3 0 1 0 - 0 0 4 0
2001-02 5 0 8 0 - 2 0 15 0
2002-03 セリエB 6 0 1 0 - 0 0 7 0
2003-04 41 4 1 0 - 0 0 42 4
通算 55 4 11 0 - 2 0 68 4
フィオレンティーナ 2004-05 セリエA 37 3 5 0 - 0 0 42 3
通算 37 3 5 0 - 0 0 42 3
ユヴェントス 2005-06 セリエA 17 0 0 0 6 0 0 0 23 0
2006-07 セリエB 32 3 3 1 - 0 0 35 4
2007-08 セリエA 30 3 2 0 - 0 0 32 3
2008-09 27 4 1 0 8 1 0 0 36 5
2009-10 32 4 2 0 6 1 0 0 40 5
2010-11 32 2 2 0 9 2 0 0 43 4
2011-12 34 2 3 0 - 0 0 37 2
2012-13 24 1 0 0 8 0 0 0 32 1
2013-14 31 3 1 0 11 0 1 1 44 4
2014-15 28 0 4 1 12 0 1 0 45 1
2015-16 24 1 4 0 6 0 0 0 34 1
2016-17 21 2 2 0 9 1 1 1 33 4
2017-18 26 0 4 0 7 0 1 0 38 0
2018-19 25 1 2 0 6 0 1 0 34 1
2019-20 4 1 0 0 0 0 0 0 4 1
2020-21 17 0 4 0 3 0 1 0 25 0
通算 404 27 34 2 91 5 6 2 535 36
総通算 496 34 50 2 91 5 8 2 645 43

タイトル[編集]

クラブ[編集]

ユヴェントスでプレーするキエッリーニ(2012年)
ASリヴォルノ・カルチョ
ユヴェントスFC
ロサンゼルスFC

代表[編集]

イタリア代表

個人[編集]

最優秀ディフェンダー賞(Migliore difensore): 3回 2008, 2009, 2010

勲章[編集]

イタリア共和国功労勲章

カヴァリエーレ(cavaliere): 2004年9月27日

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 2002年から2004年までローマとの共同保有[1]

出典[編集]

  1. ^ a b c ディ・マルツィオ 2021 68頁
  2. ^ a b ディ・マルツィオ 2021 69頁
  3. ^ “Juve, è ansia per il Fulham: mancano portiere e difesa” (イタリア語). Tuttosport. (2010年3月15日). http://www.tuttosport.com/calcio/serie_a/juventus/2010/03/15-60081/Juve%2C+%C3%A8+ansia+per+il+Fulham%3A+mancano+portiere+e+difesa 
  4. ^ Juve Campione d'Italia, 2–0 al Cagliari. Milan ko” (イタリア語). tuttosport.com. Tuttosport (2012年5月6日). 2015年7月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年4月15日閲覧。
  5. ^ Chiellini a quota 250” (イタリア語). juvenewsradio.it (2012年9月23日). 2015年4月15日閲覧。
  6. ^ UEFA announce the candidates for the 2013 Team of the Year”. 2013年12月16日閲覧。
  7. ^ Chiellini, 300 da Protagonista!” (イタリア語). juventus.com (2014年1月6日). 2015年4月15日閲覧。
  8. ^ Juve infinita, vince la 10ª Coppa Italia: Matri piega la Lazio ai supplementari” [An infinite Juve wins its 10th Coppa Italia: Matri sinks Lazio in extra-time] (イタリア語). La Gazzetta dello Sport (2015年5月20日). 2015年5月21日閲覧。
  9. ^ Juventus v Barcelona”. BBC Sport (2015年6月4日). 2015年6月5日閲覧。
  10. ^ Juve celebrate in the sign of Five”. Football Italia (2016年5月14日). 2016年5月14日閲覧。
  11. ^ Juventus 5 Sampdoria 0: Dybala double wraps up season in style”. FourFourTwo (2016年5月14日). 2016年5月14日閲覧。
  12. ^ Juventus 4 - 1 Sampdoria”. Football Italia (2016年10月26日). 2016年10月26日閲覧。
  13. ^ Emanuele Gamba (2017年4月12日). “Anche la Juve sa fare il circo Dybala domatore del Barça la semifinale è a un passo”. la Repubblica. http://ricerca.repubblica.it/repubblica/archivio/repubblica/2017/04/12/anche-la-juve-sa-fare-il-circo-dybala-domatore-del-passo38.html 2017年4月28日閲覧。 
  14. ^ Ronaldo hat-trick inspires Juve Remuntada”. Football Italia (2019年3月12日). 2019年5月5日閲覧。
  15. ^ Serious knee injury for Chiellini”. Football Italia (2019年8月30日). 2019年12月5日閲覧。
  16. ^ C・ロナウド、リーグ記録タイの11試合連続得点。ユベントスがCL前に順当勝ち- フットボールチャンネル 2020年2月23日
  17. ^ 9連覇のユベントス、経験者はキエッリーニたった1人”. web.ultra-soccer.jp (2020年7月27日). 2020年7月27日閲覧。
  18. ^ Chiellini 500, ma a Napoli non si festeggia: per una sera decisivo al rovescio”. ガゼッタ (2021年2月14日). 2021年6月10日閲覧。
  19. ^ キエッリーニ、引退せず!アメリカへ移籍か”. コリー (2021年4月29日). 2021年6月10日閲覧。
  20. ^ Chiellini 2023 | La storia continua! - Juventus” (イタリア語). Juventus.com. 2021年8月6日閲覧。
  21. ^ LAFC Signs Defender Giorgio Chiellini” (英語). Los Angeles FC (2022年6月14日). 2022年6月14日閲覧。
  22. ^ “ユーロ2012決勝 スペインvsイタリア”. https://web.ultra-soccer.jp/index/index/c/digest_national/id/2012_0701_euro2012_1 2020年6月27日閲覧。 
  23. ^ ウルグアイ代表のスアレスにかみつき疑惑=FIFAが調査、出場停止も 時事ドットコム
  24. ^ “Dominant Italy brush aside champions”. Union of European Football Associations. (2016年6月27日). http://www.uefa.com/uefaeuro/season=2016/matches/round=2000744/match=2018002/postmatch/report/index.html 2016年6月27日閲覧。 
  25. ^ Giorgio Chiellini earns 100th cap for Italy”. www.goal.com (2018年11月18日). 2020年9月11日閲覧。
  26. ^ 快進撃続くイタリア代表に朗報…キエッリーニが全体練習復帰”. サッカーキング (2021年6月25日). 2021年7月9日閲覧。
  27. ^ 36歳&34歳が“代表最強CB”コンビ カテナチオの魂受け継ぐイタリアの番人”. ザワールド (2021年7月5日). 2021年7月9日閲覧。
  28. ^ 「このウソつき!」 キエッリーニvsアルバの“温度差エグすぎシーン”がおもしろい”. コリー (2021年7月7日). 2021年7月9日閲覧。
  29. ^ Italy 1-1 England (aet, 3-2 on pens): Euro 2020 final at Wembley player ratings”. ガーディアン (2021年7月12日). 2021年7月12日閲覧。
  30. ^ イタリア、53年ぶりEURO優勝の立役者は…イングランドではGKピックフォードが最高評価”. ヤフーニュース (2021-0712). 2021-0712閲覧。
  31. ^ https://www.soccer-king.jp/news/world/ita/20220426/1642904.html
  32. ^ ジョルジョ・キエッリーニ”. PUMA Athletes. 2014年8月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年2月21日閲覧。
  33. ^ 憧れはコービー…キエッリーニ「子供の頃はバスケをやりたかった」”. サッカーキング (2014年11月16日). 2015年5月5日閲覧。
  34. ^ #FC100: Gerard Pique is the best centre-back in football”. ESPN (2016年11月14日). 2017年1月31日閲覧。
  35. ^ The 11 best defenders in the world”. FourFourTwo (2015年12月18日). 2017年1月31日閲覧。
  36. ^ Barzagli, Bonucci and Chiellini - the latest Italy wall looking to deny Germany”. FourFourTwo (2016年7月1日). 2017年1月31日閲覧。
  37. ^ Chiellini: the key to defence of Italy's crown”. The Independent (2010年6月5日). 2017年2月2日閲覧。
  38. ^ メロとバロテッリがキエッリーニに反撃!「男じゃない。俺には面と向かって言う勇気がある」”. goal.com.jp (2020年5月10日). 2020年5月27日閲覧。
  39. ^ “腐ったリンゴ”と言われたフェリペ・メロがキエッリーニに反論「いつだって臆病者だった」”. 超ワールドサッカー (2020年5月10日). 2020年5月27日閲覧。
  40. ^ キエッリーニが元同僚ビダルの“酒癖”を明かす「年に数回トレーニングに姿を見せなかった」”. サッカーキング (2020年5月16日). 2020年5月27日閲覧。
  41. ^ ビダル、“アルコールが弱点”というキエッリーニの言葉に反論”. goal.com.jp (2020年5月23日). 2020年5月27日閲覧。
  42. ^ UEFA Champions League squad of the season”. UEFA.com. Union of European Football Associations (2015年6月9日). 2015年6月9日閲覧。

参考文献[編集]

  • ジャンルカ・ディ・マルツィオ 著、片野 道郎 訳『カルチョメルカート劇場 世界一クレイジーな移籍市場の秘密をすべて教えよう』ソル・メディア、2021年。ISBN 978-4905349563 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]