ボーイスカウト日本連盟

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公益財団法人ボーイスカウト日本連盟(ボーイスカウトにほんれんめい)は、「世界スカウト機構憲章に基づき、日本におけるボーイスカウト運動を普及し、その運動を通じて青少年の優れた人格を形成し、かつ国際友愛精神の増進を図り、青少年の健全育成に寄与することを目的とする」[1]文部科学省所管の公益法人財団法人)である。ボーイスカウト日本連盟の英語表記は、以前はBoy Scouts of Nipponであったが、現在は Scout Association of Japan (略称は Scouting Japan 、略語は SAJ )[2] である。変更によりボーイ (boy) が付かなくなったのは、ボーイスカウト日本連盟が全ての部門で女子の加盟登録を認めているからである。世界的にも、正式名称に現在でも「ボーイ」を取り入れているのは、イスラム圏の国々を始めごく少数である(→ジェンダーフリーを参照)[要出典]。 ボーイスカウト日本連盟では、今後日本語の名称についても「ボーイ」という呼称を削除する方向で検討することになっている。[要出典]

沿革

  • 1908年 日本にボーイスカウト運動が伝わる。
    ベルギー日本大使だった秋月左都夫が、英国ボーイスカウトについての情報を日本に報告。
    広島高等師範学校の校長だった北条時敬が、万国道徳会議出席のためイギリス訪問の際にスカウト運動についての調査を行い、帰国後、広島などでスカウト運動に関する講演などを行う。
  • 1910年 文部省督学官として英国留学から帰国した蒲生保郷が、英国ボーイスカウトに関する書籍を桂太郎首相と小松原英太郎文部大臣に贈呈し、政府に「日本でも少年団活動を検討すべし」との建白書を提出する。
  • 1911年
    ロバート・ベーデン=パウエル卿(以下 B-Pと表記することあり)が訪英中の乃木希典大将と会見。乃木は帰国後に片瀬海岸神奈川県藤沢市)でボーイスカウト式キャンプを実施。
    横浜在住の実業家であり、日曜学校の教師でもあった英国人クレアランス・グリフィン (Clarence Griffin) がグリフィン隊(英国人12名、米国人3名、デンマーク人2名、ノルウェー人1名。ボーイスカウト横浜第一隊とも呼ばれた)を結成。
    神戸在住のイギリス人牧師フレデリック・ウォーカーがウォーカー隊(米国人を主とした27名)を結成。
  • 1912年4月 世界一周旅行中のB-Pが日本を訪問。グリフィン隊を視察。
  • 1913年 東京で小柴博らによって「少年軍」が設立(この“軍”は、いわゆる軍隊ではなく、救世軍を意図したもの)。大阪基督教青年会(YMCA)内でジョージ・グリーソン (George Gleason) によりスカウト活動を展開(「大阪少年義勇団」の母体)。
  • 1914年
    • 8月 深尾韶が静岡で「静岡少年団」を創設。
    • 9月5日 「大阪少年義勇団」が正式に発会。
    • 12月 東京の「少年軍」が「東京少年団」に改称。
  • 1915年11月1日 大正天皇即位大礼の記念事業として、少年に対する社会教育事業の創設の議が有志者の間に起こり、その一環として「京都少年義勇軍」の結団式が平安神宮で行われる。
  • 1916年8月 京都少年義勇軍によって日本のボーイスカウトによる初野営(キャンプ)が琵琶湖畔の雄松崎(滋賀県志賀町)で行われる(現在、同地には『日本ボーイスカウト初野営の地』記念碑が建てられている)。
  • 1917年 訪英した二荒芳徳がスカウト本部を訪問。
  • 1920年 第1回世界ジャンボリー
    日本からは「東京少年団」の小柴博、「北海道岩内少年団」の下田豊松、「横浜インターナショナル隊」の鈴木慎(鈴木リチャード)の3名が参加。
  • 1921年 ロンドンにおいて、昭和天皇(当時は皇太子)にB-Pが謁見し、英国ボーイスカウトの最高功労章であるシルバーウルフ章を贈呈する。
  • 1922年
  • 1923年
    • 関東大震災。少年団日本連盟による救援・奉仕活動が行われる。
    • 神戸市に日本人が組織した最初のウルフカブである「須磨向上会ウルフカブ」が誕生。
    • 副理事長の三島通陽の妻の純らが中心となり、「少年団日本連盟」の女子向け組織(ガールスカウト組織)として、「日本女子補導団」が設立。
  • 1924年
    • 第2回世界ジャンボリーおよび第3回国際会議に三島通陽ら24名参加。ボーイスカウト国際事務局に正式加盟。その後、佐野常羽がギルウェル実修所に入所。(日本人初)
    • 8月 福島県で第1回全国野営大会を開催。後藤新平総裁を初代総長に推戴。
    • 12月 連盟歌『花は薫るよ』(作曲:山田耕筰、作詞:葛原しげる)を採用。少年団日本連盟に「海洋部」を創設。
  • 1925年 第1回指導者訓練所を山中湖畔で開設。ちかい(宣誓)とおきて(12項目)を制定。
  • 1928年 日本連盟加盟規則の改訂。これにより、連盟に加盟する団体を3つ(ボーイスカウトの宣誓とおきてを採用した諸団体、前項と同様の海洋諸団体、それ以外の団体)に分ける、いわゆる“三部制”がしかれる。
  • 1929年 第3回世界ジャンボリーに佐野常羽以下28名が参加。
  • 1931年 佐野常羽がB-Pよりシルバーウルフ章を贈られる(同章を受けた日本人は昭和天皇と佐野の2名のみである)。
  • 1932年 "三指礼問題"が勃発(当時の反米反英世論にのった軍関係者が、「敬礼とは五指であるべきで、英国かぶれの三指礼はやめるべきだ」とボーイスカウトの三指礼を批判・攻撃。同年10月20日の大阪毎日新聞に同趣旨の記事が掲載される)。
  • 1935年 7月 少年団日本連盟が財団法人化して「大日本少年団連盟」に改称。
  • 1938年 海洋健児部が「大日本海洋少年団連盟」として分離発足。
  • 1941年 1月 政府の方針により、大日本少年団連盟、大日本青年団、大日本連合女子青年団、帝国少年団協会を解体し「大日本青少年団」に統合。初代団長は文部大臣・橋田邦彦
  • 1942年 6月 大日本青少年団が大政翼賛会の傘下となる。少年団体の統合に反対する旧・日本少年団連盟関係者が「財団法人健志会」を発足。
  • 1945年
    • 6月 大日本青少年団が解散し、全団員は「大日本学徒隊」に再編される。
    • 8月15日 第二次世界大戦が終戦。
  • 1946年
    • 2月 三島通陽らがボーイスカウトクラブの研究会を開催。
    • 12月 民間情報教育局(CIE)が関東におけるボーイスカウト運動の再建を承認。
  • 1947年 1月 GHQの許可を受け、東京と横浜で活動再開。
  • 1949年
    • 4月 財団法人健志会を基として財団設立認可が下り、「財団法人ボーイスカウト日本連盟」が再発足。(通常総会でマッカーサー元帥を名誉総長に推挙)
    • 9月 全日本ボーイスカウト大会(後の日本ジャンボリー)が皇居前広場で開催。
  • 1950年
    • 6月30日 ボーイスカウト国際連盟に復帰。
    • 10月 三島通陽が三島家別荘(栃木県那須塩原市)の土地と家屋を日本連盟に譲渡し、11月に那須野営場が開設される。(初代野営場長は中村知
  • 1951年 三島通陽が第4代総長に就任。1級スカウトの上に菊、隼、不二(富士)スカウトが出来る。
  • 1952年 カブ、シニアー、ローバーの各プログラムを制定。
  • 1956年 第1回日本ジャンボリー開催(軽井沢)。
  • 1962年 B-P夫人オレブ・ベーデン=パウエルが来日(訪日は1962年1966年の2回。1963年には日本政府から勲一等瑞宝章が授与された)。
  • 1971年8月 第13回世界ジャンボリーが日本(静岡県富士宮市)で開催され、富士山麓朝霧高原に87カ国約23000人の青少年が集った。その跡地には静岡県立朝霧野外活動センターが建立されている。また同年、第23回ボーイスカウト世界会議が東京で開催され、昭和天皇が臨席した。
  • 1972年 ボーイスカウト日本連盟創立50周年。記念パレードが東京・銀座で実施された。沖縄のボーイスカウトが日本連盟へ正式移管される。
  • 1973年 第1回日本アグーナリー(国際障害スカウトキャンプ大会)開催(愛知青少年公園、現在:愛・地球博記念公園)。
  • 1984年 第1回シニアースカウト大会(日本ベンチャー)開催。(南蔵王山麓)
  • 1986年 ビーバー隊を発足(翌年、「ビーバースカウト」と改称)。
  • 1988年 12項目あった「おきて」が8項目に整理統合される。
  • 1991年 9月15日を「スカウトの日」として制定し、全国的な奉仕活動を展開する日とした。ローバースカウト部門(18歳以上)への女子の参加が認められる。
  • 1995年 ビーバー隊から指導者までのすべての部門において、女子の加盟登録が認められる。
  • 1996年 財政確立の一手段として、ボーイスカウトカード(クレジットカード)の発行を開始。
  • 2000年 日本政府から世界スカウト財団の基金へ1億円の拠出が決定される。
  • 2001年 5月の全国会議において日本連盟呼称の英文表記変更が承認され、5月20日に従来のBoy Scout of NipponからScout Association of Japanへ変更になった。
  • 2007年 第21回世界スカウトジャンボリーがスカウト運動100周年を記念して英国で開催(参加者は4万人で過去最大)。日本からは1518人のスカウト(リーダー、IST含む)が派遣隊として参加。
  • 2010年 公益財団法人化に伴い、5月25日の全国会議において、正式名称が「公益財団法人ボーイスカウト日本連盟」に変更された。第15回日本スカウトジャンボリー開催。

構成

年齢によって

  • ビーバースカウト小学校入学前年の9月 - 小学校2年生)
    • 就学前の幼稚園年長組相当児については、小学校入学直前の1月からか、もしくは隊および団が対応できる場合は、就学前年の9月(幼稚園年長組9月)から受け入れることができる。
    • 活動自体は、幼稚園児・保育園児から小学2年生まで同じ活動をするが、その中でも小学2年生は、ビッグビーバーとなり、カブスカウトへ上進する準備期間であると共に、年下のビーバー隊のスカウトの面倒もみる。
    • カブスカウトよりも幼い児童にもスカウト活動を、との声が広がったことと、カブ隊のスカウト(とその親)に同行して弟もついでにカブに入隊できないかという声が多かったこと、また外国でも同様の現象がみられ既にビーバースカウト年齢相当の隊を発足している国がいくつかあったことなどから、この制度が導入された。ビーバースカウト制度はもともとカナダ連盟のもので、それに倣い、日本の子どもにも対応できるプログラムを研究して日本で発足させたもの。この制度を日本連盟に採用する際に新たな呼称を作ろうとしたが、日本らしい動物の名称が見つからなかったため、カナダ連盟の“ビーバー”の名をそのまま使うこととなった。
    • 小学校2年生の9月以降は上進準備のためにカブ隊で「りすの道」の課程を履修することができる。上進の時期については小学校2年生の9月以降で各隊・団が独自に決めることができるが、小学校2年生を修了した後は、ビーバー隊に留まることはできない。
  • カブスカウト小学校2年生9月 - 小学校5年生)
    • カブとは「(オオカミクマなどの)獣の子ども」のことである。そのため国によっては“ウルフ・カブ”とも呼ばれる。
    • カブ隊では、カブスカウトたちの自然な仲間の集団として組長(ボス)を中心とする組(デン)を作り、兄貴分であるデンコーチ(ボーイスカウト)と、よき理解者であるデンリーダー(保護者などの成人指導者)が補佐するという形の班制教育を行う。デン(den)は獣の巣。
    • 進歩制度としては、年齢により区分された必修科目のステップ章と、興味のある分野に挑戦する選択科目のチャレンジ章がある。ステップ章には動物の名前が設定されており、入隊後すぐに「りすの道」の課程を履修した後、小学校2年の9月から小学校3年の8月までは「うさぎ」の課程、小学校3年の9月から小学校4年の8月までは「しか」の課程、小学校4年の9月以降は「くま」の課程を履修し、各課程を修了するとクリア章(完修章)がもらえる。各ステップ章は、期間内に修了することが望ましいが、たとえ修了しなくても期間が過ぎれば次のステップ章の課程に進まなければならない。
    • 小学校5年生になると、ボーイ隊への上進準備のため上進章を着用し、カブ隊とボーイ隊の指導者の協力により運営される「上進章集会」に参加して上進章課目を履修する。上進章集会に参加する「くまスカウト」たちを、カブコールの歌詞に残っている旧課程の呼称で「月の輪熊(つきのわぐま)」と呼んだり、上進章集会を「月の輪組集会」や「月の輪班集会」と呼ぶ隊も多い。なお、上進の時期については小学校5年生の9月以降で各隊・団が独自に決めることができるが、小学校5年生を修了した後は、カブ隊に留まることはできない。
  • ボーイスカウト(小学校5年生9月 - 中学校3年生)
    • スカウト運動は班制教育進歩制度野外活動という3つの柱によって各年齢層に合ったプログラムが作られており、これは全ての部門において共通だが、ボーイスカウト部門はその中核をなしている。班制教育では班長と班員という構成で団体行動を学び、進歩制度では個人としての技量を鍛える。年齢に関係なく入隊したスカウトは、ボーイスカウトバッジを着用し、初級スカウト2級スカウト1級スカウト菊スカウトへの進級を目指す。進級する際、必ず隊長や団関係者と面接を行う。ボーイスカウト部門の進歩制度における最高のランクとして設定されているのが菊スカウト章(きくすかうとしょう)で、取得者は「菊スカウト」と呼ばれる。菊スカウトへの面接は地区の面接を行う。(来年度からは1級・菊章スカウトを対象にベンチャー上進後そのまま章をベンチャー章をとるまで着用できることになった。また、菊章はベンチャー章取得以後スカウト顕彰「菊」というバッチを着用することになった)2級スカウトになって初めて一人前のスカウトとみなされ、日本ジャンボリー等への参加条件となる。
    • その他に、ターゲットバッジマスターバッジ技能章という特定分野への選択科目も設定されている(技能章はベンチャー隊と共通)。
    • ベンチャー隊への上進の時期については中学校3年生の9月以降で各隊・団が独自に決めることができるが、中学校3年生を修了した後は、ボーイ隊に留まることはできない。なお来年度(2011年9月1日)からは中学3年生のベンチャー隊でボーイ隊のとき1級の人は中学生である年度末まで菊スカウトに挑戦可能である(ボーイベンチャー隊長要相談・認定はボーイ隊長が原則)
  • ベンチャースカウト(中学校3年生9月 - 18歳未満)
    • シニアースカウト。旧制度におけるシニアースカウトは、「自主性」という点において充分なプログラムであったとは言えなかったため、ベンチャースカウトへと発展的に解消された。
    • ベンチャースカウトは、ボーイスカウトと異なりプロジェクトに対して自主的な企画・計画、実行、評価・反省、報告が求められている。この一連のサイクルが評価された場合は、プロジェクトアワード(現行規定)⇒プロジェクトバッチ(改正後)が授与される(社会・地球環境、国際文化、高度な野外活動、体力づくり・スポーツ、文化活動、専門分野の探究、奉仕活動の7分野から成る)。
    • ボーイスカウトのような班制度はないが、活動ごとに活動チームという小グループを編成し、チーフを中心に自治を行うという形で班制教育を行う。また進歩制度では、年齢にかかわらず入隊後にベンチャーバッジを着用し(来年度からは菊・1級スカウトはそのまま着用)、ベンチャー章(+スカウト顕彰「菊」着用※来年度の菊スカウトのみ。ローバースカウトまで着用)、隼章(はやぶさしょう)富士章(ふじしょう)の取得を目指す。(改正に伴い隼章・富士章に最低6ヵ月の期限が設けられた)ベンチャースカウト部門では富士章がその最高ランクとして設定されている。(なおベンチャー規程改定にともない新たに隼章を新設した。これは来年時(2011年9月1日地点)に執行となる。また現行規程から新規定移行に伴い平成26年3月31日まで移行期間を設けた。対象は現在高校1年生以上が対象に入る)その他に、技能章という特定分野への選択科目も設定されている(ボーイ隊と共通)。
    • ベンチャー隊のベンチャーは、「ベンチャー企業」の言い方に見られるように、チャレンジ精神旺盛な青年が冒険をしている姿をイメージしている。
    • 18歳に達したスカウトは、自動的に、ローバー隊か指導者に選択することができる
  • ローバースカウト(18歳以上 - 25歳以下)
    • ローバー隊は自ら自治規則(憲章)を設定し、隊(クルー)の型を決め、自治原則により運営される。
    • ローバー隊の活動は、ローバースカウト自らが実施する自己研鑽と、隊(クルーまたはグループ)が行う奉仕活動、社交活動及びその他のプログラム活動とによって行われる。
    • ローバー隊のローバーには、「さすらう」「漂流する」という意味があり、自己の研鑽をすることをイメージしている。B-Pの著書「ローバーリング・ツー・サクセス」 (Rovering to Success, 1922) から命名された。

という5つの部門に分かれ、活動を行っている。

ボーイスカウトの少女・女性とガールスカウトとの関係

日本のボーイスカウト運動における女性の参加は、カブ隊におけるデンマザーのように、限られた役割を果たしているだけであったが、世界スカウト会議における「スカウティングにおける成人」および「スカウト運動における少年少女と男女に関する方針」を受けて、日本でも女性の指導者と少女のスカウトが誕生した。その背景には、女性の社会進出や男尊女卑の撤廃、女性ならではのソフト面の対応への期待等があげられる。

ガールスカウトは、ボーイスカウトの目標(良き社会人の育成)に加えて、「自立した女性の育成」という目標ももっているため、受け入れの対象は少女のみであり、特に少年に対応したプログラムはもたない。一方、ボーイスカウトは、少女の受け入れをしており、裁縫料理介護応急処置などの、いわゆる女性的なプログラムをもつ。しかし、全ては良き社会人となるためのプログラムであるため、少年だからやらない・少女だからやる、という区別はない。なお、ガールスカウト日本連盟の英語表記は、「Girl Scouts of Japan」であり、ボーイスカウトに「 boy 」が入らないのに対して、ガールスカウトには「girl」が入る。

ボーイスカウトの団の中には、少女がいる隊には女性のリーダーを必ず配置したり、キャンプ等の際、女子専用のテントを増設したりする等、少女に対して配慮をしている団も存在する。ただし、まだ少女の受け入れをしていない団もあり、それはその団のカラーであり特色であるとして容認されている。

ボーイスカウトとガールスカウト(ガールガイド)はルーツが同じである為、共通する事項も多い。

  • モットーはどちらも同じ「そなえよつねに」である。
  • スローガンは、ボーイスカウトは『日日の善行』、ガールスカウトは、『一日一善』だが、 英語表記では、Daily Good Turn. または Do a good turn daily.と共通しており、意味は同じである。
  • 入団式を経た後に初めてスカウトの象徴である「制服」と「ネッカチーフ」の着用を許される。

活動

  • キャンプハイキングなどの戸外活動のほかに、地域への社会奉仕(ボランティア)活動も行なっている。(よりよい大人になるため)地域の教会神社寺院などを拠点に活動が行われている場合もあり、また時にロータリークラブライオンズクラブなどと共同して社会奉仕活動に参加することもある。このような社会奉仕活動は「目的」なのではなく、青少年育成の「手段」として行われる。9月15日は、「スカウトの日」とされており、ボランティア活動をする団が多い、しかし、近年日本では少子化や、クラブ活動・塾に専念する子供が多く大変ボーイスカウトの知名度が低くなっている。そのため現在一部の団では人が少なすぎて団の運営・活動の維持が難しくなっているところが少なくはない。中には維持できず他の団に吸収(移籍)されたケースもある。
  • 4年ごとの夏に日本ジャンボリーと呼ばれる2万人規模のボーイ隊の大会が行われる。最近の開催は2010年、場所は静岡県朝霧高原。次回は2013年山口県きらら浜で行われる。この他、4年ごとにムート(野外活動を中心に討論なども含めた大会)が開催される。最近のものとして2005年8月19日から24日にかけて、スカウトムート2005が山梨県の山中野営場で開催された。
  • 4年ごとの夏に世界ジャンボリーや、ベンチャースカウトにはベンチャースカウト大会 (NV) が開催されるが、生まれ年によってはいずれも参加できない不運なスカウトもいる。
  • 障害児にもスカウト運動の門戸は開かれており、障害児専門の団もある。日本アグーナリー(国際障害スカウトキャンプ大会)も開かれている(ボーイ隊のジャンボリーに相応する)。
  • 毎年10月に、JOTA(ジャンボリー・オン・ジ・エア)といわれる無線によってスカウト同士で交流する大会が開かれる。また、それと同時に、JOTI(ジャンボリー・オン・ジ・インターネット)というインターネットにより世界中のスカウトと交流する催しも開かれる。

ちかいとおきて

ボーイスカウトには、その活動の支柱となる三つのちかい (Scout Promiseと8つのおきて (Scout Lawがある。

スカウトのちかい/カブスカウトのやくそく/ビーバースカウトのやくそくは、良き社会人のもつべき信条であり、スカウトのおきて/カブ隊のさだめ/ビーバー隊のきまりは、より具体的な内容を示している。

カブスカウトやビーバースカウトにとっては、三つの「ちかい」と八つの「おきて」の内容に理解が難しい部分がある為、歳相応の分かりやすい言葉に噛み砕いたものが「カブスカウトのやくそく/ビーバースカウトのやくそく」であり、「カブ隊のさだめ/ビーバー隊のきまり」である。

なお、「ちかい」の部分は世界各国のスカウト連盟においてほぼ差がない。しかし、おきてについては国によって微妙に異なっており、その数も八つとは限らない。

スカウトのちかい

私は、名誉にかけて、次の3条の実行をちかいます。
1. )ととに誠を尽くしおきてを守ります。
1. いつも、他の人々をたすけます。
1. からだを強くし、をすこやかに、を養います。

スカウトのおきて

  1. スカウトは誠実である
    スカウトは、信頼される人になります。
    真心をこめて、自分のつとめを果たし、名誉を保つ努力をします。
  2. スカウトは友情にあつい
    スカウトは、きょうだいとして仲よく助け合います。
    すべての人を友とし、相手の立場や、考え方を尊重し、思いやりのある人になります。
  3. スカウトは礼儀正しい
    スカウトは、規律正しい生活をし、目上の人を敬います。
    言葉づかいや制服に気をつけ、行いを正しくします。
  4. スカウトは親切である
    スカウトは、すべての人の力になります。
    幼いもの、年寄り、体の不自由な人をいたわり、動植物にもやさしくします。
  5. スカウトは快活である
    スカウトは、明るく、朗らかに、いつも笑顔でいます。
    不平不満を言わず、元気よく、進んでものごとを行います。
  6. スカウトは質素である
    スカウトは、物や時間を大切にします。
    むだをはぶき、ぜいたくをせず、役立つものは活用します。
  7. スカウトは勇敢である
    スカウトは、勇気をもって、正しく行動します。
    どんな困難なことがあってもくじけずに、新しい道をきり開きます。
  8. スカウトは感謝の心を持つ
    スカウトは、信仰をあつくし、自然と社会の恵みに感謝します。
    お礼の心で、自然をいつくしみ、社会に奉仕します。

なお、創立当初よりのおきては12項目あったが1988年に現在の8項目へ整理統合された。以前の 12項目のおきては米国スカウト連盟 (Boy Scouts of Americaが現在も使用しているものに近く、それらは順に「誠実である」「忠節を尽くす」「人の力になる」「友誼に厚い」「礼儀正しい」「親切である」「従順である」「快活である」「質素である」「勇敢である」「純潔である」「つつしみ深い」となっていた。

カブスカウトのやくそく

ぼく(わたくし)はまじめにしっかりやります
カブ隊のさだめを守ります

カブ隊のさだめ

  1. カブスカウトは すなおであります
  2. カブスカウトは 自分のことを自分でします
  3. カブスカウトは たがいに助けあいます
  4. カブスカウトは おさないものをいたわります
  5. カブスカウトは すすんでよいことをします

入団式や入隊式でカブスカウトの場合は「やくそく」と「さだめ」を関係者の前で宣言するが、「さだめ」は「すじたおす」と暗記するコツがある。

ビーバースカウトのやくそく

ぼく(わたくし)はみんなとなかよくします
ビーバー隊のきまりをまもります

ビーバー隊のきまり

  1. ビーバースカウトは げんきにあそびます
  2. ビーバースカウトは ものをたいせつにします
  3. ビーバースカウトは よいことをします

モットーとスローガン

スカウトのモットー(規範)は、『そなえよつねに』(備えよ常に、Be Prepared)。

「いつなん時、いかなる場所で、いかなる事が起こった場合でも 善処が出来るように、常々準備を怠ることなかれ」という意味である。

ビーバースカウトのモットーは『なかよし』、カブスカウトのモットーは、『いつも元気』である。

スローガンは、『日日の善行』(一日一善、 Daily Good Turn. または Do a good turn daily. )。

この『日日の善行』のような言葉が、ボーイスカウトの逸話『アンノウン・スカウト(無名スカウトの善行)』に登場する。

敬礼とサイン

スカウトの敬礼(ボーイスカウト以上)

「ちかい」の3項目にちなみ、3本指(人差し指・中指・薬指)だけを伸ばした挙手注目の敬礼が、礼式の一つとして定められている(三指(さんし)の敬礼、三指礼(さんしれい)と呼ばれる)。 姿勢を正し、右手で三指を作り、ひじを肩とほぼ水平になるように横に張り、ひじを曲げ、人差し指が右目の上の額に軽く触れるようにする。(手の上げ下ろしは最短距離を通るようにする。)

この三指の敬礼については、「無名のスカウト戦士Unknown Soldier 。注:無名スカウトの善行 (Unknown Scout Story) とは別)」という逸話が残っている。第二次世界大戦末期、戦場で負傷し身動きできなくなった米軍兵士が日本兵と遭遇した。意識を失った彼を日本兵は殺さず、傷の手当てをして立ち去った。米軍兵士の手元に残されていたメモには、「私は君を刺そうとした日本兵だ。君が三指礼をしているのをみて、私も子供の頃、スカウトだったことを思い出した。どうして君を殺せるだろうか。傷には応急処置をしておいた。グッド・ラック」と英語で記されていた。スカウトだった米軍兵士は、死に瀕して無意識に三指の敬礼をしていたのであった。このエピソードがアメリカ大統領に伝わり、当時の日本の少年団(現在のボーイスカウト日本連盟)に問い合わせがあったが、名乗り出る者はいなかった。この日本兵は戦死したのではないかと言われている。後に、日本中のスカウトの募金によって、神奈川県横浜市の「こどもの国」にこの無名のスカウト戦士の記念像が建立された。無名スカウト戦士の記念像の作製の際に作られた木製の原版は、栃木県那須野営場入り口に鎮座してある。

スカウトの敬礼は敬意を表すものであり、国旗のセレモニーやスカウト同士の挨拶として行う。ちなみにスカウト同士の手紙では、敬礼の代わりに拝啓と同様の扱いとして「三指」を、敬具と同様の扱いとして「弥栄(いやさか)」という字を添え、敬意を相手に伝えることが多い。

スカウトサイン(ボーイスカウト以上)

スカウトの敬礼と同じく右手で三指を作り、上腕部を肩の高さまで水平に横に上げ、ひじを直角に曲げて前腕部を垂直に立てる。

スカウトサインは世界中のスカウト共通のサインで、まっすぐに伸ばした三指は、「ちかい」の三ヶ条を片時も忘れずに実行していることを表している。

スカウトサインは、「ちかい」をたてる、「おきて」を唱和するときに行うほか、静かに注目してほしいときにも用いる。

カブスカウトの敬礼

「カブスカウトのやくそく」にちなみ、右手の2本指(人差し指・中指)だけをV字に開いて伸ばし、右ひじを曲げ、人差し指を帽子のひさしに付ける。

2本の指を開きV字にするのは、2本の指を動物の耳と見立てているためである。

カブサイン

カブスカウトの敬礼と同じく右手の人差し指と中指をV字に広げ、右手を肩の上にまっすぐ高く上げる。

カブサインは世界中のカブスカウト共通のサインで、仲間であることを示す「秘密のサイン」である。

ビーバースカウトの敬礼

「ビーバースカウトのやくそく」にちなみ、右手の2本指(人差し指・中指)だけを付けたまま伸ばし、右ひじを曲げ、人差し指を右目の横に付ける。

ビーバーサイン

ビーバースカウトの敬礼と同じく右手の人差し指と中指を付けたまま伸ばし、右ひじを曲げ、前腕部を垂直に立てる。

ビーバーサインは、「ビーバースカウトのやくそく」、「ビーバー隊のきまり」を唱えるときに用いる。

祝声

世界各国のスカウトは自国語の祝声(Cheer、他者を祝賀、賞賛する際や、再会を約して別れる折などに唱和する掛け声のこと。一般に用いられる万歳のようなもの)を持っている。

ボーイスカウト日本連盟の祝声は、弥栄(いやさか)である。

またこの祝声はギルウェル指導者訓練所の祝声としても用いられている。これは、1924年、ギルウェル指導者訓練所の所長であったJ・S・ウィルソンから、その時入所していた13国の指導者全員に、各国のスカウト祝声を披露するようにとの命令があった。このとき日本から参加していた佐野常羽が「弥栄」を披露し、「ますます栄える(More Glorious)」という意味であることを説明したところ、ウィルソン所長は、「発声は日本のものが一番よい。そのうえ哲学が入っているのが良い」と賞賛し、以後、ギルウェル訓練所の祝声を「弥栄」とすることに定められたものである。

組織

全国組織

  • 理事会
    • 常任理事会
    • 中央名誉会議
    • 委員会
  • 評議員会
  • 教育本部
    • 教育本部コミッショナー
    • 教育本部会議
    • 常任教育本部会議
    • 常設委員会
    • 特別委員会

都道府県連盟

47都道府県にそれぞれ1連盟、計47連盟がある(なお、「東京連盟」「滋賀連盟」といったように「○○連盟」と名乗る連盟と、「埼玉県連盟」「山口県連盟」といったように「○○連盟」と名乗る連盟がある)。

地区

都道府県連盟は、地域の実状により、連盟の運営を円滑にするために「地区」を設置できる。地区は数個~十数個の団から構成される(例:渋谷地区、大多摩地区など)。

団・隊

青少年に対しスカウト教育を実施する単位を「隊」といい、運営の単位を「団」という(例:三鷹第1団、大阪第165団など)。団は団委員会及びビーバーからローバーまでの各隊をもって標準とする。

  • ジャンボリーなどの際に編成される隊は、スカウト8名の班を4つと指導者8名の計40名で構成される。

団は特定の地域を本拠として設置されている(市町村、区、あるいは学区など、本拠としている地域はそれぞれの団によって異なる)。ただし、特定の宗教を本拠としている団や、大学のサークル(大学ローバー)として大学を本拠としている団もある(例:京都第65団は八坂神社、千代田第3団は中央大学を本拠としている)。

ビーバー隊からカブ隊、カブ隊からボーイ隊、ボーイ隊からベンチャー隊、ベンチャー隊からローバー隊に進級することを、上進(じょうしん)という。

スカウト活動の基本にして最小単位は「班」である(カブ隊では「組」と呼称される)。年長の少年あるいは青年を班長とし、彼を含め9名がひとつの班を構成する(これを班制度/パトロール・システムと呼ぶ)。数個の班が集まって隊を、隊が集まって団を形成する。伝統的に各班には動物や鳥の名前がつけられ、決まったものは原則的に変わらない。

近年少子化や、クラブ活動・塾に専念する子供が多くなり上記のような班構成の維持が難しくなってきている。現状としては5~6人で1班しかできないような状態のところが数多くある。

団委員会

団委員は通常5人以上おり、各人に仕事を割り振るため、また団の現状を把握するために団委員会という会議を行う団もある。その際の議長は団委員長がつとめる。スカウトの教育訓練はリーダーが行うため、直接団委員会が携わることはない。しかし、

  • 団内の資産の管理
  • 団の財政についての責任
  • 団行事(夏期野営実施など)についての便宜
  • リーダーの選任やリーダーの訓練への便宜
  • スカウトの進歩の促進
  • 入団・退団・上進・団の加盟登録などの手続き
  • スカウトの健康や安全

などについては団委員会がこれを行う。 団によっては、リーダーと団委員を兼任している者もいる。

指導者

  • ボーイスカウトの指導者は、一定の訓練を修了した者に限られる。(デンリーダー、補助者を除く)
    • ボーイスカウト講習会(1日7時間15分が基本):満18才以上の者が参加可能。修了者は指導者手帳が交付され、導入訓練修了章(胸章(若草色に銀色の綱))を着用することができる。
    • ウッドバッジ研修所(事前課題研修、及び3泊4日のキャンプ):ボーイスカウト講習会を修了した加盟員に限り参加可能。各都道府県連盟が開設。各部門用のプログラムがある(ビーバー、カブ、ボーイ、ベンチャー、及びローバーの5部門)。修了者は、基礎訓練修了章(胸章(各部門を表す色に銀色の綱))及びウォッグル(皮紐製のチーフリング)を着用することができる。
      ウォッグル
    • ウッドバッジ実修所(事前課題研修、5泊6日のキャンプ、及び3ヶ月以上の奉仕実績訓練):加盟員で各部門で1年以上の隊指導者経験があり、ウッドバッジ研修所修了者に限り参加可能。日本連盟が開設。各部門用のプログラムがある(ビーバー、カブ、ボーイ、及びベンチャーの4部門)。修了者には、上級訓練修了章(胸章(各部門を表す色に金色の綱))とウッドバッジ、及びギルウェルスカーフを着用することができる。
    • 団運営研修所(事前課題研修、2泊3日の舎営):ボーイスカウト講習会を修了した加盟員に限り参加可能。各都道府県連盟が開設。団の運営に携わる方々を対象に開催され、スカウト運動への理解を深めるとともに、団の運営の基本的な方法などについて小グループを編成して行われる。修了者は、団運営研修所修了章(胸章(白色に銀色の綱))を着用することができる。
    • その他に、成人指導者訓練として各種のコミッショナー(地区、県連盟)を対象としたコミッショナー研修所、コミッショナー実修所、指導者の訓練を担当するトレーナーを養成する、副リーダートレーナーコース、リーダートレーナーコース、トレーナーリフレッシャーコースなどがある。
    • ウッドバッジ研修所・ウッドバッジ実修所は、野営と呼ばれる野外でのキャンプを通して行われる。ビーバー部門は自分のことがまだ自分でできないスカウトもいるため基本的に泊り禁止、カブ部門は舎営と呼ばれる室内での泊りが原則であるが、リーダーはスカウトに自然のすばらしさを伝えるために、あえて野営で研修を受ける。
  • カブ隊では組の指導者(組全体の保護者的な意味合いが強い)としてデンリーダーが存在する。デンリーダーはカブスカウトの保護者等から選出され、ボーイスカウト講習会を修了しているかどうかは問われない。以前はデンマザー・デンダッドと呼ばれていた。
  • ボーイ隊のスカウトが、デンコーチ(デンチーフ)としてカブ隊につくことがある。これはスカウト活動における奉仕活動の一例である。
    • デン (den) とは「動物の巣穴」の意味である。
  • ビーバー隊では隊長や副長の補佐として、ボーイスカウト講習を修了していない保護者等が補助者として隊につくことがある。
  • 指導者は無報酬のボランティアである。県連盟や日本連盟には専従の職員がいるがそれは全体のごく僅かで、ボーイスカウトに携わる者のほとんどは無報酬である。
  • ローバー隊だった元スカウトがリーダーをする場合とスカウトの親がデンリーダーを経てリーダーになる場合が多い。
  • 一般的に、ボーイスカウトやガールスカウトの活動には手がかかり、いわゆる「習い事」と比べて保護者の負担が重い、と勘違いされることが多い。しかし実際は、団委員や隊指導者が無償のボランティアとして組織運営を引き受けているため、保護者にかかる負担が著しく重いということはない。

コミッショナー

日本連盟や各県にはそれぞれコミッショナーがいる。スカウト運動におけるコミッショナーとは、全国や地方の組織において、特定分野を担任して指導にあたる役員のことである(ただしその任務は各国によって違いがある)。

日本のボーイスカウトにおけるコミッショナーの任務は、スカウト運動の目的・原理・方法といった普遍的なものの周知・普及と、これらに則した適正な判断を行うことであり、スカウト運動の基幹である教育プログラムに関すること、青少年を支援する成人に関することなどの調整・実施・推進等を行うことである。また、このような任務から、コミッショナーは「良き社会人」であり「良き指導者」として模範を示す者でなければならないので、導入訓練として各課程のウッドバッジ実修所修了の他に、各コミッショナーの役割に応じて、コミッショナー研修所、コミッショナー実修所を修了することが必要である。

日本連盟(教育本部)には、

  • 教育本部コミッショナー(1名)
  • 教育本部副コミッショナー(若干名)

都道府県連盟には、

  • 県連盟コミッショナー(1名)
  • 県連盟副コミッショナー(担当任務につき必要数)

地区には、

  • 地区コミッショナー(1名)
  • 地区副コミッショナー(担当任務につき必要数)
  • 団担当コミッショナー(概ね3から5個団につき1名)

がそれぞれおかれている。

各隊の教育指針

ビーバースカウト隊

該当年齢の児童を対象とする活動であり、隊の活動に参加することによって自然に親しみ、基本的生活技能や社会性表現力等を伸ばし、カブスカウト隊への上進を目指す。また、親や学校の先生以外の異年齢の人々と接していく中で、自分が守られる為に他の大人や先輩を信頼し、団体行動を行う上での約束事を身につけて行くことも目標とされている。

カブスカウト隊

該当年齢の少年・少女を対象とする活動であり、家庭や近隣社会での生活指導及び組や隊の活動に参加することによってよき社会人としての基本を修得し、ボーイスカウト隊への上進を目指す。

ボーイスカウト隊

該当年齢の少年・少女を対象とする活動であり、班及び隊の活動に参加することによって自分の責務を果たし、野外活動を主とした体験学習を通してよき社会人たる資質の向上を図り、ベンチャースカウト隊への上進を目指す。

ベンチャースカウト隊

青年男女がスカウト運動の目的を達成するために、ちかいとおきての実践と、グループワークの手法を用いたプログラムを通して自ら考え行動し、その結果に責任を負うことができるよう育てることを目指す。 以前はシニアースカウトと言う名称であった。

ローバースカウト隊

青年男女が各自の生活において、ちかいとおきてをより強力に具現する機会を与えるとともに、自らの有為の生涯を築き、社会に奉仕する精神と体力を養うことを目指す。

制服・正帽

各スカウトには制服、正帽、チーフ(後述)が存在する。

ボーイスカウトの制服は各国連盟によって異なるが、基本となっているのはB-Pが組織した南アフリカ警察隊の制服(やわらかい襟の上衣、半ズボン、チーフ、つばの広い帽子)。

制服・制帽についての記述は「2008年版規約」に準拠する。

ネッカチーフ

制服、正帽とともにスカウトの服装の象徴でもあるのがネッカチーフである。

ネッカチーフは正方形または二等辺三角形の布で出来ており、応急処置用の三角巾や埃よけのマスク風呂敷など多目的に使用することもできる。ネッカチーフの色や模様はさまざまで、所属する団によって異なり、同じ団でも隊によって異なる場合もある。また、ジャンボリーなどの特別なイベント時のみに着用するネッカチーフや、日本国外派遣時に着用するネッカチーフ、各連盟事務局のネッカチーフなどもあり、それらはすべて視覚的にスカウトの所属を表すものである。

日本のスカウトはこれを三角形の長辺から反対側の頂点方向に巻き、両端がとがった棒状にして用いる(日本国外のスカウトでは太くざっくりと巻くスタイルのものもあるが、日本では細く巻くスタイルが好まれている。ネッカチーフを極細に巻く事が出来る者は、同じ団や班の仲間からちょっと尊敬されるので、どれだけ細く巻けるか仲間同士で競うこともある)。これをにかけ、両端をチーフリング(他国ではウォッグルとも言う)と呼ばれる小さな輪状の器具に通す。チーフリングをの前(鎖骨の合わせ目辺り)まで引き上げ、ネッカチーフを留める。日本国外ではチーフリングを用いずネッカチーフを直接結ぶスカウトも多くいるが、日本ではほとんどの場合チーフリングが使用され、チーフリングを使わずに直接結ぶという方法はたいていの場合、だらしないものとみなされる。

チーフリングには一応正式なものが定められているが、装飾や記念品としての価値もあり、ジャンボリーやさまざまな行事に合わせて、特殊なデザインのものが作られている。また、個人の趣味・余技として自作されることもあり、ジャンボリーなどで他のスカウトと友情の印として交換されることもある。正式なものは真鍮などの安価な金属製であるが、チーフリングの作成に用いられる材料は、木材皮革などの動物の、細紐、ビニールプラスチック、中には陶器製の物まであり、多種多様である。なお、チーフリングはその形状・材質によって外れやすいものもあるため、脱落防止に紐や脱落しにくいリングをもう一つ付ける場合もある。

ボーイスカウトの制服は、厳密に言えばワッペンの貼り付け方一つにいたるまで公式の規定が存在する。 そんな厳密な規定のある制服の中で、唯一自分の好きに着用できるのがチーフリングであり、 ある意味でスカウト達の「自己主張の場」となっている。 過度に華美なものや危険なもの、スカウト精神に反すると思われるようなものでなければ どのようなチーフリングをつけていても、スカウトの自由である。 中には指導者をも唸らせる自作のチーフリングを作るものも時々いる。

「日日の善行」を忘れないために、ネッカチーフの先端に一つ結び目を作り、何か善行をしたらそれを解く、ということもよく行われる。B-Pの肖像写真にもネッカチーフの先端を結んだものが残っている。但し、「一日に一つ良いことをしたら、完了」という考え方は良くないとの見解を唱える者もいる。

ビーバースカウト

  • 水色のキャップ
    • 正面に水色の「ビーバー記章」をつける。
  • 水色のポケットがついた茶色のベスト。
    • 左ポケットに進級章(ビーバー・ビッグビーバー)と進歩記章(小枝章)をつける。
    • 右胸に自分の所属する団の所在市町村、都道府県、団号数をつける。
  • ベストの中には、冬場のトレーナーと夏場の半そでTシャツ(ただしこれは、団によって柔軟に運用され、私服が許されている団もある)。
  • 茶色の半ズボン。
  • 水色のソックス。
  • 水色のチーフをチーフリングで留める。
  • 団によっては、なるべくお金をかけない(「ボーイスカウトは質素である」)、子どもによってはビーバー隊にいる期間が短いなどの理由から、先輩が残してくれた制服を貸与している団もある。
  • 2004年(平成16年)から2007年(平成19年)の期間は、世界スカウト運動100周年を記念して、上着の左胸に100周年記念標章(世界共通デザインの記念標章)を付ける(カブスカウト以上は左ポケット上部に装着する)。

カブスカウト

  • 青(紺色)を基調にした制服
    • 左袖の肩に近い位置に自分の所属する団の所在市町村、都道府県、団号数を付け、右袖の肩に近い位置に組を示す逆三角形の記章を付ける。
    • 左胸ポケットには進級章(うさぎ・しか・くま)、りすバッチを付ける。
    • ズボンは同色の半ズボンもしくは長ズボン。
  • 青(紺色)を基調にしたキャップ。
    • 正面に黄色い四角形の徽章を縫い付ける。デザインは熊の顔。
  • 青(紺色)を基調にしたソックスと黄色のガーター(靴下止め)。
  • 細く巻いたチーフを首にかけ、チーフリングで留める。

ボーイスカウト

  • カーキ色(薄茶色)を基調にした制服。上着の胸ポケットズボンポケットと肩に緑色の縁取りがある。
    • 左袖の肩に近い位置に自分の所属する団の所在市町村、都道府県、団号数を付け、右袖の肩に近い位置に班別章をつける。
    • 左胸ポケットには進級章(ボーイバッジ・初級・2級・1級・菊)をつける。
    • 右胸ポケットには大会参加章などをつける場合もある。
    • 上級班長章、隊付章、班長章、次長章は左袖の団号章の下につける。
    • 左ポケットの上に世界環境保護バッジをつける。
    • 右ポケットの上に世界スカウト記章、連盟員章をつける。
    • ズボンについては、以前は半ズボンとハイソックス、緑色のタッセル(飾り房)付きガーターというスタイルであったが、現在は長ズボンが制服とされている。
  • 緑色のベレー帽帽章(金色のスカウト章)を左目の上部につける。
    • 以前はフェルトキャンペーン・ハットが制帽であった。ベレー帽は副帽として使用され、紺色が主流であった。(近年一部の指導者の中に、スカウト人気復活のためにキャンペーン・ハットの復活を求める声がある。また、これを使用していた年配指導者の中には今でもこだわりを持って使用し続ける者もいる。)
  • 細く巻いたチーフを首にかけ、チーフリングで留める。
  • 右袖に技能章をつけ、「たすき」(右肩から左脇にかける)にターゲットバッジ(旧・特修章)をつける。
  • 日本国外派遣隊参加の際は、右胸ポケット上部に国旗標章(日の丸)をつける。
  • 左ポケットの上に名前を縫い付けたり、名前のバッジを付ける人もいる。

ベンチャースカウト

  • カーキ色を基調にした制服。ズボンのポケットの形状はボーイスカウトの制服とは違い縦にまっすぐ口が開いており、緑色の縁取りはない。
    • 左袖の肩に近い位置に自分の所属する団の所在市町村、都道府県、団号数を付け、右袖の肩に近い位置にベンチャー隊所属章及び進歩記章(技能章)を付ける。
    • 左胸ポケットには進級章(ベンチャーバッジ・ベンチャー・富士)と進歩記章(プロジェクトアワード)を付ける。ちなみに、富士章は進級章の中でも最も名誉とされ、取得もそれに比して困難である。また、旧進歩制度(シニアースカウト)での富士スカウト章取得者は、ローバースカウト上進後も略章を着用することが認められている。
    • ズボンについては、以前は半ズボンとハイソックス、紺色のタッセル付きガーターというスタイルであったが、現在は長ズボンが制服とされている。
  • 緑色のベレー帽。帽章(銀色のスカウト章)を左目の上部の位置につける。
  • 細く巻いたチーフを首にかけ、チーフリングで留める。

ローバースカウト・指導者

  • カーキ色を基調にした制服。
    • 左袖の肩に近い位置に自分の所属する団の所在地名章、都道府県名章、団号章を付ける。指導者は役職に応じた腕章(団・隊指導者は緑色、地区役員は紺色、都道府県連盟役員は水色、日本連盟役員は赤色の円形、都道府県連盟事務職員は青色のひし形)を左袖につける。
      • なお地区役員は所在地名章の代わりに地区名章、都道府県連盟役員及び都道府県連盟職員は所在地名章・都道府県名章の代わりに都道府県連盟章、日本連盟役員は所在地名章・都道府県名章の代わりに日本連盟本部章、何れも団号章を付けない。
    • ローバースカウトは隊で指定した所属章を右袖につけてもよい。指導者は右袖には何もつけない。
    • ズボンについて現在は上着と同色の長ズボンとしている。以前は半ズボンとハイソックス、ローバースカウトは赤色、指導者は緑色のタッセル付きガーターというスタイルであった。
  • 緑色のベレー帽。帽章(金色の一重ロープ付スカウト章)を左目の上部の位置につける。
    • 隊長・副長・団委員・連盟役員は、“月桂冠に抱えられたスカウト章”の一回り大きな帽章をつける。隊長は緑色、副長は赤色、団委員長・副団委員長は白色、コミッショナーは紫色のふさが付く。
  • 細く巻いたチーフを首にかけ、チーフリングで留める。チーフの代りにネクタイを着用することもできる。
  • ベルトには、伝令バッグと呼ばれる小さなバッグを装着することもある。
  • 女性のスカウト・指導者はスカートを着用することができる。

携行品

ボーイ隊以上の携行品

標準的な携行品は以下のようなもの。

  • ナイフ(小刀やカッターナイフではなく、登山ナイフに類するもの[注釈 1]
  • 綿ロープ
  • 手旗信号用の赤白の旗
  • 雨具(野外活動においてはよりも、両手が自由に使えるポンチョ合羽などが良いとされる)
  • コンパス方位磁石オリエンテーリング用のシルバコンパスなど)
  • 応急処置用の救急キット
  • 軍手
  • スカウトハンドブックとスカウト手帳と歌集
  • 地面に座る際に下に敷くためのシート類(厚手のビニール袋に新聞紙等を入れて座布団状に密封したものも良く用いられ、シーターポン(英語の sit upon から)と呼ばれる)
  • 弁当(おにぎり。スカウト弁当、略してスカ弁・カブ弁という呼ばれ方をすることもある。スカウトのおきて「スカウトは快活である」「スカウトは質素である」が根拠であり、ゴージャスな弁当ではなく、おにぎり(中身は梅干)3つが基本である。)
  • 水筒(中身は、傷口の洗浄も考え「白湯(さゆ)」が良いとされてきているが、近年は救急キットの普及もあり、お茶を持参する場合が増えた)
  • マグライト懐中電灯などの照明器具(中長期のキャンプにおいてはランタンなどを携行することもある)

制服・制帽と同様に日本連盟公式のハバザック(Havasack。手提げ・襷掛け・背負いが出来る多機能鞄。米軍でもかつて同種の物が使用されていた)がある。色はオリーブドラブで、垂れ蓋には日本連盟のマークが印刷されている。普段の活動あるいはキャンプのスペアバックなどに重宝される。

数日以上の長期間にわたるキャンプなどでは、これとは別に、衣類寝袋食材、調理用具、野営用具などを運搬するためにキスリングやアタックザックなどの大型リュックサック(通常のキャンプへの参加では45L以上、日本ジャンボリーへの参加では50L以上)用いられる。

ボーイ隊は長期キャンプなどを行うことが多くなるため、隊装備という隊員が共有する装備を各団で所有している。

  • テント(4人用あるいは6人用のドームテントが使用されることが多くなっているが、基本技能を身につけるのにふさわしいという理由から、旧来のいかにもテントの形状をした帆布製のテント(A形テント/家形テント)を使用している団もある(所有団は少なくなってきている)。鉄製の骨組みと頑丈なペグ(くい)を用いた、ジャンボリーテント(略してジャンテンとも言う)というテントを持っている団もある。ジャンボリーテントは、大きく重いのが欠点であるが、台風などの悪天候にも耐えるよう補強と工夫がなされ、高温多湿の日本の環境でも居住性が高くなるよう配慮されている。)
  • 調理器具

カブ隊の携行品

  • カブブック(「りすの道」と、学年により「うさぎ」「しか」「くま」の4種類がある)
  • チャレンジブック
  • カブ歌集
  • 筆記用具
  • タオル・ちり紙
  • ゴミ袋(スーパーのレジ袋
  • 雨具
  • 敷物(シーターポンまたはレジャーシート)
  • 軍手
  • ロープ
  • 保険証のコピー
  • 水筒(水または茶)

上記のような物品を携行するために用いるものとして、カブザック(日本連盟公認の黄色と黒のリュック)を統一して用いる団と、これらが収納できるリュックであれば自由な団がある。カブ隊に続くボーイ隊への進級を考えると、カブザックの購入はもったいないと考える団もあり、多くの団はボーイ隊用のハバザックを持たせている。

ビーバー隊の携行品

まだ幼くカブ隊以上よりも活動内容が限られる為、携行品が多少違ってくる。

  • ビーバーノート
  • ビーバー歌集
  • レジャーシートまたはシーターポン
  • 雨具
  • ハンカチ
  • ティッシュ
  • 茶または水(野外活動中に怪我をしたが近くに水がないという場合、飲料として持参したや水で傷口を洗い流す必要があるため、スポーツ飲料ジュースよりも茶や水が良いとされている)

これらの物を子ども用のリュックに入れ、活動をする(手提げ式のバッグではなくリュックである理由は、両手の自由を確保する為)。

記章・標章類

進級記章

  • ビーバースカウト:横長の楕円形で、ベストの左ポケットに着用。下からビーバー章(水色の縁取り)・ビッグビーバー章(赤色の縁取り)の2種
    • ビーバー章・ビッグビーバー章は、年齢による区分であり、一定の基準に達することで取得するものではないので、厳密には進級記章ではない。
    • これとは別に、進歩・進級記章ではないが、ビーバースカウト隊仮入隊期間に着用するビーバーバッジがある。(仮入隊課目を履修し、正式に入隊した時には、年齢に応じてビーバー章・ビッグビーバー章を着用する。)
  • カブスカウト:赤色のひし形で、制服の左胸ポケットに着用。それぞれ動物の顔がデザインされている。下からうさぎしかくまの3種
    • うさぎしかくまステップ章は、年齢による区分であり、現在、どの課程に挑戦しているかを示している。なお、各課程を修了したことを示す完修章(クリア章)が進歩・進級記章として別に設定されている。
    • これとは別に、進歩・進級記章ではないが、カブスカウト隊上進準備期間または仮入隊期間に着用するりすバッジがある。りすバッジは「りすの道」課程の履修期間中に着用し、修了すると、年齢に応じて、うさぎ、しか、くまの各ステップ章を着用し完修章(クリア章)取得を目指す。また全部クリアしたカブスカウトは中々パーフェクト者がいない事からスパーカブと呼ばれる事がある。
  • ボーイスカウト:縦長の楕円形で、左胸ポケットに着用。下から初級章(緑色)・2級章(青色)・1級章(赤色)・菊章(紺地に白の菊花)の4種
    • これとは別に、進歩・進級記章ではないが、ボーイスカウト隊上進(入隊)後、初級章取得までの期間に着用するボーイスカウトバッジ(通称:見習い)(黄色)がある。
  • ベンチャースカウト:縦長の長方形で、左胸ポケットに着用。下からベンチャー章(クリーム色)・富士章(えんじ色)
    • これとは別に、進歩・進級記章ではないが、ベンチャースカウト隊上進(入隊)後、ベンチャー章取得までの期間に着用するベンチャーバッジがある。
    • 旧シニアースカウト部門で富士章を取得した者は「富士スカウト略章」を着用できる。
  • ローバースカウトは進級制度がないので記章は存在しない。

進歩記章

木の葉章・小枝章

ビーバースカウトが取得する進歩課目である。生活・健康・自然・社会・表現の5つの分野に分かれており、毎回の集会でこのうちの1つまたは複数の分野の章がもらえる。

取得した木の葉章はビーバーノートに貼り付け、木の葉章10枚で小枝章1個を取得する。取得した小枝章は制服(上着)の左ポケットに着用する。

チャレンジ章

カブスカウトが取得する選択課目である。種類は次の5分野39種類。

  • 1)社会生活
国際、市民、友情、動物愛護、案内、自然保護、手伝い、災害救助員
  • 2)自然と野外活動
天文学者、自然観察官、ハイカー、キャンパー、地質学者、気象学者、探検家
  • 3)技術
写真博士、コンピュータ博士、自転車博士、工作博士、通信博士、修理博士、乗り物博士、技術博士、救急博士、特技博士
  • 4)スポーツ
水泳選手、運動選手、チームスポーツ選手、スキー選手、アイススケート選手
  • 5)文化・趣味
収集家、画家、音楽家、料理家、フィッシャーマン、旅行家、園芸家、演劇家、マジシャン

取得したチャレンジ章は、6課目までは制服右袖に着用する。ただし、5課目以上の場合はたすきに着用できる。

修得課目(うさぎしかくまのステップ章)を完修(クリア章の取得)していないカブスカウトでも、選択課目(チャレンジ章)の取得は可能だが、選択課目の履修が先行して、修得課目が疎かになることは好ましくない。(修得課目の完修は大原則である。)

ターゲットバッジ

初級以上のボーイスカウトが取得できる選択課目である。種類は次の7分野53種類。各バッジには6つの細目が課されており、うち3つを履修した時点で該当するターゲットバッジを取得できる。また、残りの3つの細目も履修するとマスターバッジを取得できる。

  • A)スカウト精神
メンバーシップ、家庭、地域社会、公民、郷土文化、世界友情、地球市民、B-P、リーダーシップ
  • B)健康と発達
健康、安全、水泳、運動能力、救護、クラブ活動、外国語、情報処理、マネジメント
  • C)スカウト技能 ハイキング
ハイキング企画、読図、記録、写真、自転車、オリエンテーリング
  • D)スカウト技能 追跡
観察、計測、通信、森林、野生生物、気象観測、天体宇宙
  • E)スカウト技能 キャンピング
キャンプ企画、野外料理、キャンプクラフト、燃料、ロープ結び、たき火、キャンプマネジメント
  • F)スカウト技能 冒険
食料、キャンプファイア、サバイバル、フィッシング、パイオニアリング、ウォーターアドベンチャー、スカウトソング
  • G)社会生活
自然愛護、デンコーチ、近隣奉仕、環境保護、伝統工芸、防災、リサイクル、ガイド

取得したバッジはたすきに着用する。

技能章

2級以上のボーイスカウト及びベンチャースカウトが取得できる選択課目である。日本における技能章の種類は以下の68種類。

野営・野営管理・炊事・救急・案内・エネルギー・介護・看護・手話・世界友情・通訳・点字・園芸・演劇・音楽・絵画・華道・書道・水泳・竹細工・伝統芸能・文化財保護・木工・安全・沿岸視察・家庭修理・環境衛生・コンピュータ・裁縫・搾乳・自動車・事務・珠算・消防・信号・森林愛護・洗濯・測量・測候・鳥類保護・釣り・溺者救助・電気・天文・土壌・農機具・農業経営・簿記・無線通信・有線通信・養鶏・養豚・ラジオ・わら工・アーチェリー・オリエンテーリング・カヌー・自転車・スキー・スケート・漕艇・登山・馬事・パワーボート・ヨット・武道武術

取得した技能章は、9課目までは制服右袖に着用する。ただし、7課目以上の場合はたすきに着用できる。

プロジェクトアワード

ベンチャースカウト部門において、活動プロジェクトを実施後、内容に応じて指導者から授与される。横長の長方形で左胸ポケットの上に着用する。種類は次の7分野

1)社会・地球環境(水色) 2)国際文化(青色) 3)高度な野外活動(緑色) 4)体力づくり・スポーツ(橙色) 5)文化活動(薄紫色) 6)専門分野・得意分野の探求(黄色) 7)奉仕活動(赤色) 

宗教章

ボーイスカウト日本連盟では、全ての加盟員が、それぞれ明確な信仰を持つことを奨励しており、明確な信仰を持つように導く一つの方法として、信仰奨励章(しんこうしょうれいしょう)と宗教章(しゅうきょうしょう)を設けている。

信仰奨励章及び宗教章の取得に関しては、一定の取得要件を満たさねばならず、また、宗教章は富士章取得のための課題の一つにもなっているので、手続き上は、進歩・進級記章類に似ているが、どちらかというと表彰に近い性格を持つ有功記章類に近い。

信仰奨励章

信仰奨励章は、初級以上のボーイスカウト及びベンチャースカウトを対象に、宗教章の前段階として、特定の教宗派について取り扱うものではなく、スカウツオウン(Scouts' own serviceの略、大意は「スカウト自身による礼拝」)を通じて日常のスカウト活動の中から信仰心への導きを促す目的で制定された章である。

なお、宗教章の前段階という位置付けだが、進歩記章ではないので、信仰奨励章を取得しなければ宗教章に挑戦できないというものではない。

宗教章

宗教章は、1級以上のボーイスカウト、ベンチャースカウト及びローバースカウトを対象に、明確な信仰への導きとして、各教宗派が定めた授与基準を満たしたスカウトに授与される(なお、成人指導者は「既に明確な信仰を持っている」と考えられており、本章の授与対象にはならない)。

現在、神道仏教キリスト教金光教世界救世教の5種類が定められており、左胸ポケットの上に着用する。

ガールスカウトとの連携

ガールスカウトとは兄妹関係になるため、常に連携を図っている。赤い羽根共同募金など、地元のガールスカウトとボーイスカウトが協力して、同じ活動をすることもある。

団によっては、合同行事の実施や運営の共同化(団委員会の支援組織である育成会を合同運営するなど)をしているところがある。

子育て支援

  • 日本の少子化進行に対する子育て支援のため、独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター子どもゆめ基金を利用し、団員以外の一般の少年少女のための企画を実施している団もある。
  • 障害児専門の団も存在する。4年に一度、日本アグナリーという日本ジャンボリーに相応する障害児のジャンボリーがある。
  • 指導者入門向けのボーイスカウト講習会(旧・指導者講習会)は、もともと文字通りスカウト活動のリーダーを養成するためのものであるが、これをスカウトの保護者にも開放し、スカウトの保護者の気持ちが楽になり、肩の荷が下りるような講習会になるようにも工夫されている。
  • ビーバー隊保護者会、カブ隊保護者会というように、各隊の保護者会が逐次開かれる。保護者会では、スカウトの円滑な活動を助けるためにリーダーからの情報伝達や保護者間の情報交換が行われる(それぞれの団によって「母の会」や「父の会」など、その名称は異なることがある)。
  • ビーバースカウトの場合、日常の活動およびキャンプなど宿泊を伴う訓練は、保護者と一緒に行動する事になる。勿論、どうしてもリーダーの手が回らない場合があるからという理由もあるが、最大の理由は、親子で共に想い出を共有して欲しい、という配慮からである。
  • 日本では、年長9月からビーバー隊に入団できるのが原則である。しかしこれは比較的柔軟に対応されており、幼稚園年少の年齢になっていれば入団できる団もある。この場合、「トイレに行きたい」、「おなかが痛い」など、子どもがリーダーに対して直接に自分の生理的欲求を伝えられるかどうかが判断の目安となっている。この場合、スカウトは日本連盟・県連盟には登録されないが、団には登録されるため、必要経費(月会費や実費)はスカウト保護者が団に支払うこととなる。
  • スカウトの保護者は、スカウトの登録や継続のために、日本連盟に対して登録料を、スカウトが所属する団に対して育成会費(月々の会費)を支払う。これ以外に、活動に必要な実費(様々な施設への入場料、個人の交通費など)や、諸経費(団集会、例えばキャンプやスキーキャンプなどの費用)が必要である。育成会費や実費・諸経費について、保護者の被る経済的負担を軽減するために、団の所属する地域(スカウトハウスの所在地である場合も多い)でのバザーやお祭りへ出店し、その収益金を団運営に当てている団もある。

脚注

注釈

  1. ^ 野営地以外での携行を禁止している隊もある。

出典

  1. ^ 団体概要より。
  2. ^ 公益財団法人ボーイスカウト日本連盟教育規程 第1章 第2条 第2項

関連項目

外部リンク