ホースラディッシュ

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セイヨウワサビ
セイヨウワサビ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: フウチョウソウ目 Brassicales
: アブラナ科 Brassicaceae
: セイヨウワサビ属 Armoracia
: セイヨウワサビ A. rusticana
学名
Armoracia rusticana
和名
セイヨウワサビ
英名
horseradish

ホースラディッシュ(horseradish、学名:Armoracia rusticana)は、アブラナ科の耐寒性の多年草。和名はセイヨウワサビ(西洋山葵)。

別名にワサビダイコン、フランス名(raifort)由来のレフォール(レホール)、ウマワサビ、西洋ワサビ、英名の直訳でウマダイコン。 北海道では、清水に育つ本ワサビ(水ワサビ)と区別するため「蝦夷山ワサビ」「山ワサビ」「野ワサビ」「根ワサビ」と呼ぶ。

特徴

フィンランド東ヨーロッパが原産。先の尖った60センチほどの明るい緑色の大きな葉が特徴である[1]。日本では、明治時代に食用として導入された。現在は、北海道を中心に野生化しアイヌワサビエゾワサビと呼ばれている。野生化したホースラディッシュは形質が不安定になりやすく、地域ごとに変種が生じやすい[2]

現在ではアメリカイリノイ州が世界需要の80%の生産を担っている。アメリカでは、コモンタイプとボヘミアンタイプの2品種が知られている。

白色をした根には強い辛味があり、すりおろしたものはローストビーフ薬味として欠かせないものとされる[1]。また根を乾燥させ粉末にしたものは、粉ワサビやチューブ入り練りワサビの原料となる。 ホースラディッシュの辛味成分は、カラシと同様に配糖体で存在するため、すりおろすことで酵素が作用して辛味と香味が発現する。

北海道では、すりおろしたものに醤油をかけて薬味として使用したり、醤油漬けにしてご飯のおかずにする。

生化学実験では本種由来の酵素ペルオキシダーゼが市販、利用されている。

栽培

栽培は非常に容易。生命力が強く、根の断片を土中に埋めるだけで容易に発芽する。収穫の際に取り残したり、分断してしまった根からも増える。キャベツと同じアブラナ科の植物であるため、時としてモンシロチョウ幼虫青虫)に葉を食害される。は様々な昆虫に好まれ、ほとんど葉脈を残すだけになるほどに食い尽くされることも少なくないが、通常、それが原因で枯れてしまうことはない。

脚注

  1. ^ a b 北野佐久子『基本ハーブの事典』東京堂出版、2005年、 p152-3
  2. ^ 武政三男 『スパイス&ハーブ辞典』、文園社、1997年、pp171-172