ノラガミ

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ノラガミ
ジャンル ファンタジー
漫画
作者 あだちとか
出版社 講談社
掲載誌 月刊少年マガジン
発表期間 2011年1月号 - 連載中
巻数 11巻(2014年7月現在)
アニメ
原作 あだちとか
監督 タムラコータロー
シリーズ構成 赤尾でこ
キャラクターデザイン 川元利浩
音楽 岩崎琢
アニメーション制作 ボンズ
製作 ノラガミ製作委員会
放送局 #放送局を参照
放送期間 2014年1月 - 3月
話数 全12話
テンプレート - ノート
ウィキプロジェクト 漫画アニメ
ポータル 漫画アニメ

ノラガミ』は、あだちとかによる日本漫画。『月刊少年マガジン2011年1月号より連載中。

2014年にはアニメ化された。詳細は#テレビアニメ#OADを参照。

あらすじ[編集]

社を持たない無名の神、夜ト。たった5円の賽銭で水道管修理やらコンビニのアルバイトなどなんでも引き受けるデリバリーゴッド。とある依頼を遂行中だった夜トは不注意から、壱岐 ひよりを交通事故に遭わせてしまう。ひよりは一命を取り留めたが、幽体離脱しやすい体質になってしまい、その体質改善のために夜トと関わるようになる。

彼岸の世界に関わるようになったひよりは、たびたび邪悪な妖に襲われるようになる。彼女を助けるため、夜トは武器として仕えてくれる死霊が必要となり、わずか14歳で死んだ少年霊を見出す。夜トに「雪音」の名を与えられた少年霊は、ひよりを慕い、神らしからぬ夜トに反発し、此岸への未練からやがて万引きなどの盗みを犯し始め、夜トの体に消えない穢れを植えつけていく。そして雪音の心の穢れは遂に、夜トの命を脅かし、雪音自身まで妖に変えかけるほどのものとなるが、「若くして落命した雪音に人として生きるチャンスを与えたい」と言う夜トの真意を知ると、雪音は激しい苦痛を伴う「禊」に耐えて心を清め、ようやく夜トを主として認めるのだった。

時を同じくして、最強の武神と謳われる女神・毘沙門天が、夜トの前に現れる。彼女はかつて、仕える死霊たちが妖化し落命しかけたところを、夜トのおかげで助かったものの、仕える死霊たちを殺した夜トを仇敵と付け狙っていた。しかし、毘沙門天に仕える死霊の一人・陸巴は、そんな彼女を代替わりさせるために夜トを利用しようと目論み、夜トの“弱点”であるひよりの霊体を高天原へ拉致する。肉体と霊体が引き離され、生命の危機に陥ったひよりを助けるため、夜トは高天原の毘沙門天の本拠地へ殴り込む。互いを誤解したまま夜トと毘沙門天は戦い始めるが、陸巴の目論見によって毘沙門天に仕える死霊たちが次々と妖化しはじめ、事態は混乱し、毘沙門天は再び落命しかける。そこへ監禁状態から脱出したひよりたちが駆けつけ、夜トと毘沙門天の誤解を解くと、夜トはひよりを連れて下界へ戻り、毘沙門天は陸巴と妖化した死霊たちの始末を自らの手でつけ、夜トとの長い因縁にケリをつけた。

登場人物[編集]

主要人物[編集]

夜ト、夜卜(やと)(やぼく)
- 神谷浩史
本作の主人公。「デリバリーゴッド」を名乗る、八百万の神の中でも末端の末端の存在であり、祀られる社もないマイナー無名神。武神としてあらゆるものを斬る能力を持つ。また戦闘能力も非常に高く神器を持っていない状態でも、相手が一線を引ける程度の神器なら棒切れ1本で圧倒できる実力を持つ。神器の名前には「音」の一文字を入れる。
かなりガサツ、気分屋、ヘタレな性格で口もかなり悪い。その上手汗が多く手に持たれるタイプの神器はかなり苦痛を感じる。しかし、命を全うできなかった神器を思うがゆえに命を粗末にする人間を許せないといった一面や、自らの不注意で半妖になったひよりや、自らの神器になった雪音を気に掛ける面倒見の良さを見せることもある。ちなみに女子力も妙に高い。
「知名度を上げ自分の社を持ち、将来あらゆる人々に求め敬われる日本一の神になる」という野望を持つが、現実は上述の性格のため人気は皆無で知名度ゼロであり、また神器からも「生理的に嫌」という理由でことごとく関係を長続きできない有様であった。
布教活動としては、あらゆる所に困っている人にしか見えない自分の携帯電話の番号を書いたり、SNSを使って「5円の料金(賽銭)でお悩み解決します」と依頼を募っているがほとんどが雑用。しかし長年そういった便利屋まがいの地道な活動をしているため、様々な仕事(パンク修理、ゴムパッキンの交換、おむつ替えなど)のスキルをかなり持っている。依頼の際は前金で受け取り、受けた時に「あなたにご縁があらんことを」という決め台詞がある。信者がほとんど一見さんな、この本業だけでは生計が成り立たないため、副業として毘沙門をモデルにした同人誌を書いている(ペンネームは「とぉや」で、絵がかなり上手い)。
客に覚えてもらうため、現在は黒いジャージ姿で首に手拭いをまくという服装(本人曰く「ゆるふわ」)で統一しているが、売り方にブレがあったらしく頻繁に装いを変えているらしい。また、「自称神だと名乗る住所不定無職のジャージの人」と怪しがられたりなじられたりすることもあり、そのたびにショックを受ける。
時化を嫌がるが自分の社がないため、今まで天満宮等妖が入らない神域に勝手に寝泊まりしてやり過ごしていたが、雪音が改心してからは小福の家に成り行きで居候することにした。また自分の力だけで高天原へ行くこともできなかったが、毘沙門編後ひよりに小さな社を作ってもらったことで、自称ではなく正式な神として認められ、高天原に2坪6.6平米のとちを手に入れることができた。
出自は不明だが(ただしひよりに自らを「人の腹からではなく願いから生まれた」と語っていた)、人間の父親がおり彼に「夜卜(やぼく)」という真の名を与えられた。また名前が似ている夜刀神とも無関係である。
かつて野良を使って人斬りも行っており、禍事を好む卑しい禍津神として知られていた。犯罪者の始末のような汚れ仕事を「奇跡」として行っていたことによるため、信者のほとんどが一見さんであり神器にも恵まれないのに、何百年も消滅せず存在し続けられる。またこの過去の時に兆麻からの依頼で、ヤスミによって堕ちた毘沙門の神器を野良と共に皆殺しにしたため、その経緯から毘沙門に仇として執拗に狙われるようになる。この時から兆麻や毘沙門との因縁が生じたものの、高天原に拉致されたひより救出作戦を機に一応和解した。
神器である雪音が情緒不安定に陥ったことにより刺されたため、ヤスミをこじらせ、通常なら神器を破門しなければならないほどの重篤な状態に陥る。しかし雪音を鍛え、人として生かすためにあえて禊を行い、雪音に灸をすえた。
長らく社を持たず固定の信者もいなかったため、自身と関わりたがるひよりを特別視し大切に思っている節がある。此岸の存在であるひよりが自身を介して彼岸に焦点を合わせた生き方をするようになったため、天神からのアドバイスを受けひよりから距離を置くようにしているが、雪音がひよりによくなついているため、着信拒否はしているもののつぶやきにはマメに返信している(そのため、ひよりからは「かまってちゃん」と勘違いされている)。毘沙門との戦いの後、ひよりが自分との縁切りを拒んだために彼女のストーカーと化し、そのせいで一時的な着信拒否に加えついったもブロックされてしまう。
高天原から正式に神として認められたことで父親の元を離れて独り立ちを決意するも、雪音がいないときに面の妖に襲われ連れ去られてしまう。1カ月の軟禁生活の末、父親に独り立ちの条件として恵比寿救出を命じられ野良と共に黄泉へ向かう。恵比寿を彼岸に帰す代わりにイザナミに囚われてしまうが、自分の真名を突き止めたひよりに「呼ばれ」たことでかろうじて彼岸に帰還することができた。
壱岐 ひより(いき -)
声 - 内田真礼
本作のヒロイン兼語り部。良家の令嬢。物語開始時点では、15歳の中学3年生(のちに高校1年生)。発想にまだ子供っぽさがあるものの、優しくしっかりした性格の少女だが、隠れ格闘技マニアという一面があり、蟷野(声 - 高橋伸也)という選手のファン。彼女自身も彼の決め技でもあるジャングルソバッとが得意技で、半妖になった際夜トと自らを襲った妖に見舞ったことがある。良家の令嬢で家族関係は医者の父親に、古風でやや口うるさいが酔っていても狭間の存在に気付く鋭さを持っている母親、年の離れた兄(ひより談)となっている。
依頼で探していた猫を追って道路に飛び出した夜トを助けようとして自分がバスにひかれてしまい、幸い命に別状はなかったものの半妖となり、魂が抜けやすい生霊として中途半端な狭間の存在になってしまった(夜ト曰く「体をよく落とす」)。そのため、頻繁に眠り込むようになって幽体離脱してしまい、しかも自分の意思では体に戻れなくなってしまう。この体質を治してもらうよう夜トに依頼し、何かと夜トに付きまとうようになる。後に夜トに小福を紹介され世話を焼いてもらうようになるが、彼女に危機に陥った夜トを助けてもらうように頼んだため、100万円の借金を背負うことになる(それでも学割で9割安くなっている)。
半妖としては、趣味の格闘技と霊体にもかかわらず此岸に軸足を置く加重攻撃ができる能力のため、肉弾戦はかなり強く妖との戦闘で勝利することもできるが、尻尾状の「緒」で肉体とつながっているため、そこが切れると死んでしまうという弱点がある。この状態では基本的に人間に触れることはできずにすり抜けてしまうが、狭間が見えているものには干渉できる。また、夜トや雪音の匂いが好き(いい香りがするらしい)で、その匂いをたどって彼らを犬のように追跡できる。
毘沙門編にて夜トの弱点ということで兆麻と共に陸巴に攫われてしまい、呪で隔離された空間にとらわれ一時的に命の危機に陥ったが、無事救出された。その後、天神との契約に従い縁を切ろうとした夜トに対して共にいたいと願ったため、狭間の存在としての生活を続けている。
毘沙門編後、高等部に進級。前述の願いの影響で夜トが神懸かりできるようになり、自身の肉体に宿った夜トが暴走したことで散々な高校デビューを果たしてしまい学内での自分の評価が二極化してしまう。
夜トが行方不明になった際、学校で忙しく神や神器にしばらく会うことがなかったことで夜トや雪音のことを忘れかけていたことに気づき、自分も此岸の人間である以上例外ではなく彼らのことを忘れてしまうことを認識した。
雪音(ゆきね)
声 - 梶裕貴
本作の準主人公。名は「雪」。14歳で死んだ少年(初期設定時は、小6~中1)。死霊となって漂っていたところを神器として夜トに拾い上げられ、彼の神器となった。神器としての形状はも無い白銀の刀で、のような細長い白布で覆われている。夜トからは「斬れすぎる」と評されるほどの凄まじい切れ味を持つ。
かなり生意気で反抗的な性格で、最初は自らの主である夜トに対しても敬おうという気持ちは微塵もなく、強気に心をえぐる言葉やツッコミを入れているため口論が絶えなかった。夜トの「破門せず、人として鍛え彼を成長させる」狙いから禊を受けた後は改心し、素直な性格になり反抗的な様子は見せなくなったが、夜トに辛辣なツッコミを入れるところは変わらない。
生前の記憶はないが父親で苦労していたらしく、彼の過去の記憶を見た夜トが涙を流し愕然としたことから、かなり悲惨な境遇だった様子。また、死んでいる自分には生きている人間が持っているものが何もないことを悲しみ、自分の姿が人から見えにくいのをいいことに、魔が差して盗みなどを繰り返してしまう。悪事を働くたびに夜トを刺し、ついには妖に転じかける。
しかし禊を受ける中で夜トからの「人として生きろ」という言葉を受け自分の罪を吐き出した。その後は今まで盗んだ分の金を返すため大黒の元で働き始め、皆と同じことがしたいという理由で、ひよりに中学校の勉強を習い始める(その様子から、ひよりと夜トに「成長した」と感激し号泣された。)
高天原でのひより救出戦の際に、毘沙門の攻撃から夜トを庇い斬られてしまい、死んだように思われたが、直後「祝の器」として覚醒し、新たに二刀一対の白銀の刀の姿となった。雪音自身が精神的に成長したためか神器としての力も高まっており、これまで受け切れなかった毘沙門の神器の攻撃を受けきり、逆に押し返すほどの力を見せた。
祝の器として覚醒したことを契機に夜トの道標としての道を模索し始めるようになる。その一環として兆麻に師事し術や呪歌の扱いを訓練し習得。夜トが黄泉から帰還してからは、彼を福の神にするべく毎日ノルマとして100匹の妖を退治させている。

神と神器[編集]

天神とその神器[編集]

天神(てんじん)/菅原道真(すがわらのみちざね)
声 - 大川透
全国に多くの系列神社を持つ、天満グループの長。老人の姿で、巫女装束の数多くの神器を持つ。登場する際には、持ち歌の「東風吹かば~」の歌を詠む。神器の名前には「喩」の一文字を入れる。
受験シーズンは多忙になるため、夜トに仕事を依頼することもある。夜トに喧嘩を売られることもあるが、何かと頼りにされており、ひよりに対するアドバイスもしている。
夜トたちがひよりの救出に向かうときには、自分が係わったことをオフレコにすることと、ひよりを連れ戻せた場合夜トが彼女との縁を切ることを条件に、彼らを高天原に昇げた。
普段は温厚で好々爺然としているが、「三大怨霊」や「負け犬」、「左遷」と言われると激昂して雷を落とすことも。
梅雨(つゆ)
声 - 早見沙織
天神につき従う女性。古風な口調が特徴的。神器ではなく、1000年以上前に左遷された道真を追って飛んで行った梅の木の精。そのため、木々と会話する能力を持っている。
真喩(まゆ)
声 - 今井麻美
かつて「伴音」の名で夜トに仕えていた神器(その時の名は「伴」)。伴音の頃から和服を着ているおかっぱの女性。「生理的に無理」という理由でたった3カ月で夜トの神器をやめている。現在の名は「真」。
伴器だった時は小さなナイフに変わったが、現在の神器としての姿は煙管。
かつての縁から、夜トの禊に協力する。夜トのことについては悪い方ではないがろくでなしだと思っている。
戦中を生きた人物で生前は出征した夫とキヨコという娘がいたが、空襲に巻き込まれた際に娘をかばって死亡している。
歩喩(あゆ)
声 - M・A・O
南喩(なゆ)
声 - 茜屋日海夏
実喩(みゆ)
声 - タカオユキ
雪音の影響で、主である天神を刺してしまい、禊を行った後、名前を消され、破門された。
望喩(もゆ)
声 - 井澤詩織
天神の神器。自分達のことを「天神シスターズ」と名乗っている。

エビス小福とその神器[編集]

エビス小福(えびすこふく)
声 - 豊崎愛生
「夜トの彼女」と名乗る、ピンクのセミショートのかわいらしい女神。明るく能天気なドジっ子で、誰彼構わず抱き着く癖がある。普段はおバカな発言が目立つが、毘沙門相手に一歩も引かず暗に恫喝する程の肝っ玉の持ち主。神や神器たちにはあだ名をつけて呼ぶ(ひよりを「ひよりん」、雪音を「ユッキー」と呼ぶなど)。自らの神器の呼び名には「大」の字を入れる。
七福神の一柱・恵比寿と名乗るがそれは源氏名で、その実態と真名は「貧乏神」。厄災しか引き起こせずバブル崩壊の主犯も彼女である。風穴が開く場所を予知できるが、彼女が示したことで風穴が開くともいえる。
社も神器もないにもかかわらず力をつけてきたため天から神器を持たないよう命じられていたが、大黒に一目ぼれして禁を破り神器とした。また、「小福」という名前は大黒が「小さくてかわいかったから」という理由でつけられたもの。
他の神々からは「サゲマン」と呼ばれ嫌われているが、本人はあまり気にしていない様子。また夜トからは完全にたかられている状態だが、「頼りにされている」と誇らしげで一切気にしておらず、彼を甘やかしている。ちなみに1回の依頼料は500万円と法外な額を請求する。
大黒(だいこく)
声 - 小野大輔
小福の唯一の神器で道標。名は「黒」。強面で顎鬚、オールバックのいかつい外見だが、実は子供好きで家庭的。小福のことを「カミさん(神さん)」と呼ぶ。神器としての形状は扇子。一度使われると風穴が開き一気に時化り、辺り一帯の妖が増加する。
自らの主である小福を思うが故、彼女にたかる夜トに警戒していて、だらしない性格には折檻や説教をするため口論が絶えないが、夜トの禊の際には協力者を探して奔走したなど、根っから険悪ではない。
道標だが、自身が祝の器になると日本が壊滅する危険があることなどから今の状況でいいと考えている。主と共にバブル崩壊を引き起こしたため、「術習得の不可並びに天による強制破門、命令時の無条件受諾」という規約を結ばされている。
大吾を実の息子のようにかわいがっており、精神的に追い詰められ小福が自分を救うために彼を破門してからも息子への思いを断ち切れず主を刺してしまう。夜トに頼んで息子への思いを断ち切ってもらったと思っているが、夜ト自身は何もしておらず自分自身で傷を乗り越えている。
大吾(だいご)
かつて小福の元にいた神器。名は「吾」。幼い男の子。
子供を欲しがる大黒のために小福が見つけた死霊で、自分が一切成長しないこと、友人が自分のことを忘れてしまうこと、飼い犬が自分を置いて死んでしまうことなどに疑問を覚え無邪気な質問を繰り返し、大黒を精神的に追い詰めてしまう。
100年たったころ大黒の苦痛が限界を迎えたため小福によって破門され、以降は天の預かりとなる。

毘沙門天とその神器[編集]

毘沙門天(びしゃもんてん)
声 - 沢城みゆき
長い金髪の女性の姿をした、最強の武神。七福神の1柱。神器からは「姉様」など、様々な呼び名で呼ばれている。「歩く武器庫」と形容されるほど多くの神器で全身を武装しており、身に着けている物の一つ一つがすべて神器である。現在の神器の名前には「巴」の一文字を入れる。高天原にはスフォルツェスコ城に酷似した屋敷を構えている。
かつては「麻」の一族を率いていたが、ヤスミの亜種により堕ちてしまい互いに疑心暗鬼となって妖化した神器たちに取り込まれかける。兆麻の依頼を受けた夜トが妖を皆殺しにしたことで一命を取り留めるが、自分の子供同然の神器たちを殺した夜トを恨み、執拗に追い回している。昔から優しい性格だったが、神器を皆殺しにされて以来、その罪悪感から死霊を見捨てられない。しかし、大量の神器を抱えているために身体への負担が大きく、今では沐浴では足りず薬漬けになってしまっている。
高天原に侵入してきた夜トを殺すため、交戦するがその最中に薬が切れ堕ちてしまう。陸巴の陰謀を知った後も夜トに襲いかかるが、兆麻が身を挺したことで戦闘をやめ、陸巴を放った後に面の妖を倒す。
体裁を守るために苦痛を隠し、暗黙の内に神器たちに笑顔を強要していたため、雪音には「地獄」、ひよりには「息苦しい」と言われるような関係になっていた。そのことを反省し、再び兆麻に道標になるよう頼んだ。その後、夜トとも一応和解するが、酔った夜トの蛮行のため、いまだに彼を嫌っている。
紹巴のジャケットを着ていた際は夜トに露出狂女と呼ばれており、内心では気にしてチャックを閉めていることもあった。
七福神の中では単独で目立たないことを気にしている。
兆麻(かずま)
声 - 福山潤
毘沙門の神器。名は「兆」。眼鏡をかけた青年。毘沙門のことを「ヴィーナ」と呼ぶ。彼女の神器の中では最古参で、「麻」の一族唯一の生き残り。神器としての形状は桜の花のピアス。兆麻自身の戦闘能力は低いが、全ての神器を取りまとめ、個々の能力を最大限発揮(命中精度の修正、攻撃範囲の補佐など)させるなど、毘沙門の神器の中でも重要な役割を担っている。その正確なナビゲートは「毘沙門を最強の武神たらしめる要因」と形容されるほどで、夜トも一目置いている。
雪音と同様「祝の器」として覚醒しており、神器になりたてのころはただの小さな釘のような形状で、境界も引けなかった。主の身を刺す形状のために不吉とされていたが、その当時から妖を察知する能力に長けていた。かつて毘沙門が落ちた時、主を救うべく夜トに魔に落ちた一族を殺してもらうよう依頼したため、彼に借りがある。
ひよりに頼まれ、仇でありながら恩人でもある夜トのため、禊に協力する。自分について高天原にやって来てしまった雪音をかばうべく毘沙門に対して一線を引いてしまったため、一族から追放される。その後、小福のもとに厄介になっていたが、陸巴に襲われたひよりを助けようとしたところを、ひよりと共にとらわれてしまう。しかし、脱出すると身を挺して毘沙門の暴走を止め、追放を解かれて再び毘沙門の道標となる。
毘沙門への敬愛は病的なまでであり、携帯電話の画像フォルダは毘沙門のもので占められており、「とぉや」(=夜ト)の同人誌の隠れファンでもある。
囷巴(くらは)
声 - 井上和彦
毘沙門の神器。名は「囷」。髭面の中年男性。ライオンの姿の騎獣となり、嗅覚によって敵を追跡する。毘沙門のことを「お嬢」と呼ぶ。夜トとの戦いで右目を負傷し、眼帯を付けている。同じ神器の子供たちに懐かれている。
単行本巻末のオマケ漫画でネタにされることが多く、しばしば猫扱いされる。
紝巴(きぬは)
声 - 佐藤奏美
毘沙門の神器。名は「紝」。ロングヘアーの女性。神器としての形状は長い鞭。皆からは「お紝さん」と呼ばれている。
紹巴(つぐは)
声 - 小澤亜李
毘沙門の神器。名は「紹」。新人だが、毘沙門が中つ国を訪れる際に連れて行くため、同じ神衣となる先輩の藍巴からいじめを受ける。そのため、当初はお団子ヘアーだったが、藍巴に髪を切られてしまう。神器としての形状は裸ジャケット状の神衣。
毘沙門編後は、藍巴と和解し彼女の恋バナを聞いている。
秋巴(あきは)
声 - 高橋伸也
毘沙門の神器。名は「秋」。バーコード頭で丸眼鏡の小柄なおじさん。神器としての形状は小刀。囲碁が趣味。
陸巴(くがは)
毘沙門の神器。名は「陸」。色黒でギョロ目の男。植物に関する造詣が深く、薬師として毘沙門が飲む薬の調合を行う。その仕事の一環で中つ国に降りることはあっても基本的には高天原に残ることが多い。神器としての形状は天秤。
当代の毘沙門が荒ぶる武神としての名跡を汚すという考えで毘沙門の代替わりを狙い、さらに次の毘沙門の道標となるべく、野良と手を組み暗躍する。毘沙門を薬漬けにすることでその戦闘力を奪うとともに、ひよりを誘拐して夜トを高天原におびき出して毘沙門を殺させようと企む。「陸」の名で縛ったにもかかわらず術が効かないことから、別に主を持っているとも考えられるが、身体に他の文字は見当たらないなど謎が多い。「父様」にも「役(えだち)」の名で仕える野良だったことが後に判明した。
夜トと毘沙門が戦闘している間に弱い神器たちを面の妖を使役して大量に殺害、そのことを知った毘沙門により放たれる。
その後、夜トを探すひよりの前に再び現れ、駆けつけた雪音を話術で翻弄するが敗北し、情報を聞き出す目的で天神から「斯」の名を与えられ拘束された。
藍巴(あいは)
毘沙門の神器。名は「藍」。神器としての形状は丈の長いスカート付きの西洋風の鎧。高い防御力を誇り毘沙門の神衣として半世紀一線で戦っていたが、今では後輩である紹巴にその役をもっぱら奪われ高天原に居残りすることが多くなり、毘沙門の気を引こうとするもほとんど名を呼ばれなくなってしまったため、紹巴をいじめたことで魔が差してしまうが、陸巴の薬でごまかしている。その薬のために陸巴の手先となり、呪を絡めた百杖や面の妖を使い、夜トを襲撃し彼が妖に気をとられて目を離したすきにひよりを捕らえる。
陸巴に利用されていたことを知り、兆麻とひよりを助け出す。その後、禊に耐えて皆と和解した。
嶺巴(みねは)
毘沙門の神器。名は「嶺」。死霊となって妖に襲われていたところを毘沙門に救われ神器となる。ただし、魂がそがれているため、まともな神器になることはできず、その形状も割れた鏡。
鈴巴(すずは)
毘沙門の神器。名は「鈴」。短髪の少年。園芸が趣味。主の仇である夜トの存在を知らなかったため、雪音と友達になる。自分のことが見える1人の女性に出会うが、狭間の存在であるが故に毎年出会っては忘れられてしまう。その女性と春に桜を見る約束をしてから30年経っているが、未だその約束は果たされていない。毘沙門からも何年も名前を呼ばれておらず、その隙を陸巴につかれ面で操られた妖に殺されてしまう。
刈巴(かるは)
毘沙門の神器。名は「刈」。ポニーテールの少女。神器としての形状は回転式拳銃。高威力だが照準を合わせるのが苦手なので兆麻が零点規正していた。
数巴(かずは)
毘沙門の神器。名は「数」。幼い少年。神器としての形状は自動式拳銃。刈巴と共に銃担当をしているが、彼女と同様の癖があるため、兆麻の補佐のおかげで一線で戦っている。
靫巴(ゆぎは)
毘沙門の神器。名は「靫」。神器としての形状は片刃の大剣。「線引き」が苦手で現世の物を斬りすぎてしまうため、兆麻が加減していた。
瑠巴(りゅうは)
毘沙門の神器。名は「瑠」。和装の老人。神器としての形状は馬の柄の付いたステッキ状の仕込み刀。高天原が妖に襲われた際は戦闘能力のない者を率いて泉に逃げ込んでいたが、毘沙門が為すべきことを為すと決意した際には「若い衆にはかわいそうでさせられない」とのことから汚れ役を一人で引き受け妖化した仲間の神器を討伐した。
詢麻(とうま)
かつての毘沙門の神器「麻」の一族。名は「詢」。神器としての形状は鍋蓋。兆麻の指南役だった少女だが、毘沙門にヤスミが現れた際に当時の道司の対応を批判したことで真っ先に処刑されてしまった。このことが、「麻」の一族が一線を越え魔に落ちるきっかけとなってしまう。

恵比寿とその神器[編集]

恵比寿(えびす)
七福神でも大黒天と共に双璧をなす1柱。正装は狩衣だが、商業の神であるため、普段はサラリーマン風の服を着ている。代替わりが多いため、考え方が進んでいるとされる。長身痩躯の男性。極度の運動音痴だが、釣りは得意で海が好き。
当代の恵比寿は野良を扱うことをいとわないなど神々の常識を外れた行動をとっており、祝の器となった雪音のシェアリングを夜トに依頼したこともある。実際、自らの屋敷にいる神器の半数以上が野良である。その神器からは「若」と呼ばれている。
また、この世で起こる災いの一部でも制御するべく面の妖を使役しているが、術師としては不完全であるために妖からしばしば刺されており、強運の福の神であるにもかかわらず代替わりが多いのも、飼っている妖に食われてたびたび命を落としているためである。
完全な術師になるために夜トと共に黄泉に向かう。当初は代替わりが効くからという理由で自分の命に対して淡白な様子だったが、夜トとの交流を経て考えを改めるようになる。母だとされるイザナミを騙して黄泉の言の葉を奪い、妖の力で風穴を開けて現世に帰還するも、天に居場所を捕捉され不意を突かれて致命傷を負い、駆けつけた毘沙門に言の葉と夜トの救出を頼み、「死にたくない」と願いながらも最期を迎えた。その後代替わりによって少年の姿で転生し夜卜には「チビエビ」と呼ばれる。
その後たびたび毘沙門邸をおとずれ巌弥に会いに行っていて、トヨタ最高級車であるセンチュリーを使用している事も判明。
巌弥(いわみ)
恵比寿の神器で道標。代替わりの多い主に仕えているため、先代の主の遺志を引き継ぐことを目的としている。天による恵比寿討伐後、破門されることになったが、新たな恵比寿の頼みで毘沙門邸で身柄を預かる形になっている。転生した恵比寿に命を大切にするよう告げた。
邦弥(くにみ)
恵比寿の神器。名は「邦」。大柄な男性で、素舞いを得意とする。珍しい憑依型の神器で、極度の運動音痴である恵比寿に自分の動きを再現させることができる。恵比寿の黄泉行きに同行した神器の中で唯一帰還するが、恵比寿が天の攻撃で致命傷を負った直後に天に身柄を拘束される。その後解放され、新たな恵比寿の道標となった。
高弥(たかみ)
恵比寿の神器。名は「高」だが、野良。主が術師であるとして天に捕縛され、天により同僚たちが殺し合わされるのを目の当たりにしながら主と道司の居場所を言うように命じられ、仲間をかばって主の居場所を話してしまう。

七福神[編集]

通称「神7(セブン)」。ツートップの大国主と恵比寿以外のメンバーの恋愛はご法度らしい。

大国主命(おおくにぬしのみこと)/大黒天(だいこくてん)
七福神の双璧をなす1柱。豪快な印象の老人。
ぶっきらぼうだが体調を崩している恵比寿のことを気にかけている。自分の名前を神器に付けたとして小福に対して苦手意識を持っており、同じく名前を騙られている恵比寿と共に共同訴訟を起こそうと意気込んでいる。
見かけとは裏腹にいなばちゃんというウサギを溺愛している。
大昔に天と争い封じられたこともある猛者で、自らの体を巨大な蜘蛛に変化させることができる。
弁財天(べんざいてん)
髪をアップにまとめた女性。非リア充で、寿老人に恋人ができた際には激怒していた。
福禄寿(ふくろくじゅ)
タキシードを着た老人。非常に長いシルクハットの下にある頭も長い。大国主が暴走した時には、他の七福神から一方的に彼の贄の役を押し付けられた。
寿老人(じゅろうじん)
よぼよぼの老人。短編では年下の彼女との恋愛が発覚して七福神を一時脱退したが、年齢詐称がばれて元の鞘に納まった。
布袋(ほてい)
肥満体の男性。神議の最中にラジオを聴いていたり、何に対してもめんどくさいと思ってるような言動が目立つ。

タケミカヅチとその神器[編集]

タケミカヅチ
天に属する神の一柱で、恵比寿討伐の指揮を執る。
黄云(きうん)
タケミカヅチの神器。名は「黄」。「雷刃」と称された強者で、雷を操る竜の形をした稲妻の姿をしている。黄泉から帰還した恵比寿を襲うが、駆けつけた毘沙門の攻撃を受け手傷を負う。

その他の神と神器[編集]

イザナミ
黄泉の女王。相対した者と親しい女性の姿で現れるが、本当の肉体は腐り朽ち至る所から虫が這い出している。緋曰く「手の届かない遠いところ」にいるらしく、神器による攻撃でも傷を与えることができない。
黄泉に踏み込んだ恵比寿と夜トをもてなし、自分の友達として永遠に黄泉に留まるように頼むが、恵比寿が黄泉の言の葉を奪って逃げたため、無数の黄泉醜女を伴って追跡を行う。黄泉の出口を塞ぎ、自身の髪の毛を自在に操り、夜トや救出に駆けつけた毘沙門達を捕らえるが、現世からのひよりの呼びかけにより取り逃がしてしまう。
野良(のら)/緋(ひいろ)
声 - 釘宮理恵
全身に無数の名が刻まれた白衣に天冠の少女。かつて夜トの神器として、毘沙門の神器を惨殺した。下賤の者として神や神器からは忌み嫌われ、名前を呼ぶことも疎まれている。夜トが付けてくれた名を気に入っており、彼の神器であることを望んでおり、これまで夜トを刺したことは一度も無い。しかし一方であらゆる状況においても平然と薄ら笑いを浮かべる等、非常に冷淡な性格の持ち主である。夜トの真の名を知る一人。
「不和」を目論む「父様」の面の妖と共に暗躍し、「気に入らない」という理由からひよりを襲撃し、更には陸巴の陰謀に加担する等、作中の事件の黒幕的存在となっている。しかし恵比寿の謀殺に憤慨した夜トにより、黄泉からの帰還後放たれる。
夜トの神器としての名は「緋器(ひき)」で、白鞘の刀となる。他にも5代前の恵比寿には「筒弥(つつみ)」、「父様」には「螭(みずち)」の名で仕えている。
アニメ版では「零器(れいき)」の名で蠃蚌の神器になり、ひよりから奪った記憶を盾に取って夜トを蠃蚌との決闘に臨ませた。
蠃蚌(らぼう)
声 - 櫻井孝宏
血を浴び彼岸に狂い咲く禍津神(まがつかみ)。あだちとかの原案による、アニメオリジナルキャラクターである[1]
元々は「御前(みさき)」と呼ばれる汚れ仕事を行う人間で、仕事の後で口封じのために主に殺されたが、彼の祟りを恐れた人々に祀られて禍津神になったらしい。昔の仲間だった夜トとの対決に執着しており、そのためには呪詛で無理やり己の体を保つことも、時化を飲み込み妖と同化することも厭わない。

その他の人物[編集]

山下 晶(やました あきら)
声 - 高山ゆうこ
ひよりの友人。あだ名は「やま(ちゃん)」。百鬼夜行というヴィジュアル系バンドのファン。高校に上がってから藤崎に好意を抱いていたが、藤崎の友人で自分と同じく百鬼夜行のファンである阿部という先輩と付き合うことになる。
田端 愛美(たばた あみ)
声 - 高橋未奈美
ひよりの友人。ゼニーズというグループのファンで、グループのリーダーの名前を飼い犬につけている。
藤崎 浩人(ふじさき こうと)
高校3年時からひよりの学校に編入してきた男子生徒。元々は田舎に住んでいたが、姉が子供を連れて実家に戻ったために自分の居場所がなくなり、単身赴任していた父親の元に身を寄せている。ひよりの高校デビューを目撃してから、正義感の強い彼女に興味を持っていたと語っており、カピパーランドにひよりたちと行った際、彼女にキスをして、以降避けられている。頼みごとを断れない性格。頭もよく運動神経もいいがクラスでは変わったやつだと思われている。
実は天が追っていた真の術師であり、夜トの生みの親の「父様」と呼ばれる存在。人間だが他人に取り憑いて何百年も生きており、かつて黄泉に赴いて「言の葉」を手に入れている。
夜トに人斬りをさせていたが、独り立ちを願うようになった彼に恵比寿を救うよう依頼する。その真の目的は自分の身代わりとして恵比寿を殺害させることだった。ひよりにちょっかいをかけているのは「ダメ息子から救ってやりたい」「困らせたくなるタイプ」という二つの理由があるからとのこと。
現在は新たに手に入れた言の葉の練習をしている。
ひよりのママ
声 - 伊藤美紀
ひよりの母親。
ひよりのパパ
声 - 家中宏
ひよりの父親。医師。
圭一
声 - 久野美咲
アニメの1話に登場した、男の子で母親( 声 - 青木瑠璃子)も登場。
睦美
声 - 小松未可子

用語[編集]

神器(しんき)
神に見定められ、神の許で武具となった死霊のこと。すなわち神に仕える死人の霊魂だが、原則として生前の名は使われず、主たる神から新たに名を与えられる。体のどこかに名を示す漢字が一文字刻まれ、人としての名は訓読み、武具としての名は音読みで呼ばれる。
普段は人と変わらぬ姿をしているが、主である神からの呼びかけにより武具に変化する。どのような武具になるかは個人や主となる神によって異なり、武器や防具になるものもいれば騎獣や鏡などになるものもいる。主たる神を変えることもでき、その際は名と武具としての姿も異なるものになる(人としての姿は変わらない様子)。
矛の形にした手で一線を引くことにより、嫌悪や恐怖により己と他を分かち妖の侵入を防ぐ「境界」を作ることができる。弱い妖相手ならばある程度抵抗することができるが、神器本来の力は主である神が身に纏わなければ発揮できない。
神や妖と同じく彼岸の存在なので、此岸の住人の死角にあり、基本的に動物や赤ん坊、此岸と彼岸の境界に立つ者以外には認識されにくく、認識されたとしてもすぐに忘れられる。なお、魔に憑かれた自殺者などの魂は穢れているため、神器にすることができず、魂の一部を削がれた死霊はまともな神器になれない。
主たる神と神器の間には特別な関係があり、神器の精神が乱れると神は苦痛を感じる。神器に魔が差し、神を裏切る、罪を犯すなどして精神が穢れると、神に苦痛と共に消えないヤスみが生じる。この状態を「神を刺す」と言い、同時に神器の体には言葉を発する目玉が生じ、神を刺した分だけ目玉も増えていく。状態が悪化すると神器は妖に転じ、破門にせず繋がったままだと神も堕ちてしまう。破門された神器は名を失い一線の使えない死霊に戻る。
生前の記憶を一切持たないが、主たる神はその記憶を知っておりそのことは「神の最たる秘め事」とされる。
祝の器(はふりのうつわ)
主である神のために進化を果たした稀な神器のこと。名を懸けて主を守った証であり、武具になった際の形状が変わるのが特徴。作中では兆麻と雪音がこれに該当し、兆麻はただの釘から桜の花びら型のピアスに、雪音は一本の刀から二刀一対の形状に進化した。進化に至る過程は明らかになっていないが、作中では「主である神に二心なく忠誠を誓う」と表現されている。
道標(みちしるべ)
神に従いその道を示す存在のこと。神器が大勢存在する場合はその中の一人が正義の指針となるが、夜トや小福のように神器を一人しか持たないものは必然的にその一人が道標となる。神の半身ともいえる存在であるため、何事にも動じず「善」の指針となることが必要とされる。
野良(のら)
多数の主に仕え、名を複数持つ神器。しかし数多の名を持つ神器はそれだけ主を裏切ることとなり、忌むべきものとされる。名前を複数持つため、名が必要な術が無効となるという特性を持つ。
(みそぎ)
神器が主である神を刺した場合に行われる儀式。3人の神器が刺した神器を「獄」という結界に閉じ込め、犯した罪を全て吐かせ贖罪させることが目的となる。閉じ込められた神器には想像を絶する激痛が走るため、夜トはこの儀式を「リンチ」と称している。
禊は常習化すると効果を成さず、神器間の罪の共有によって主を少しずつ蝕む「ヤスミの亜種」とも言うべき病に陥ることがある。
術(じゅつ)
名を縛ることで相手に技をかける技術。その特性上相手の名前を知らなければ術をかけることはできず、自分より格上の存在にかけることはできない。使い方を間違えれば主を刺す危険な術である。
時化(しけ)
彼岸の住民である妖が好む陰鬱な空気のこと。それが発生することを「時化る」という。
ヤスム
不浄を受けること。ヤスんだ部分は変色し周囲の者にも伝染し、手水舎の清水などで清めない限り体を蝕み続ける。また、神器が神を刺して生まれたヤスみは清めただけでは治らないため、上記の「禊」が必要となる。
風穴(ふうけつ)
妖が出てくる場所で黄泉にあいた穴。基本的に不規則に発生するものだが、エビス小福のようにあらかじめ場所を決められる神もいる。
面の妖
目玉模様の面をつけた妖の総称で、高天原では「呪によって使役される妖」とされている。妖に仮名をつけて操る技術だが、使役者自身を刺すことななるので本来それを行う神が存在することはできないとされる。本能に逆らって主の命に忠実に従うという特徴がある。
黄泉の言の葉
妖を使役するための筆の形をした道具。元はイザナミが自分の話し相手を作るための道具として開発したもので、面や呪の詠唱も不要で名づけるだけで使役を可能とする。また、操った妖を人間に憑かせることで強制的に自殺させることも可能。
代替わり
なんらかの理由で落命した神が再生すること。神が再生するか否かは神の知名度に左右され、毘沙門天や恵比寿のように著名な神は(社会的に忘れられない限り)何度でも再生するが、夜トのように無名な神が落命すると代替わりすることなく消滅する可能性が高いとされる。
具体的な詳細は不明だが、代替わりすると神器に変化はないが、神自身の容姿は幼くなり以前の記憶も失われることを示唆する描写がある。
神憑り(かみがかり)
特定の状況下で神が人間の肉体に乗り移ること。シンクロ率が100%になれば人の肉体でその能力を最大限に引き出すことができる。ただし肉体に大きな負荷がかかるため、やりすぎると怪我などを負うこともある。
神議(かむはかり)
年に一度、全国の神が出雲に集まって話し合う会議。高天原を持ち、同時に正式に神と認められていないと招集されない。緊急時には時期に関係なく招集される。これまでには、夜トと毘沙門天の戦いの後や、恵比寿の妖使役容疑時などに招集されている。
カピパーランド
夜トが日頃行きたいとねだっているテーマパーク。このテーマパークのキャラクターはカピパー(声 - 高橋伸也)という名前で、夜トがそのTシャツを着ていることがある。
ちなみに小福の厄災により、チャック全開でカピパーがパーク内を徘徊したことがある。夜トはカピパーが実在すると純粋に信じている。

単行本[編集]

月刊少年マガジン+に掲載された番外編を収録した短編集。

テレビアニメ[編集]

スタッフ
原作 あだちとか
(「月刊少年マガジン」連載中/ 講談社
監督 タムラコータロー
シリーズ構成 赤尾でこ
キャラクターデザイン 川元利浩
総作画監督 川元利浩、山崎秀樹
妖・神器デザイン 佐藤雅弘
美術監督 永井一男
色彩設計 梅崎ひろこ
撮影監督 古本真由子
編集 坂本久美子
音楽 岩崎琢
チーフプロデューサー 南雅彦、大山良、立石謙介
プロデューサー 天野直樹、飯泉朝一、寺尾友里、古川慎
黒田康太、田中葉子、中川岳、堂下律明
アニメーション制作 ボンズ
製作 ノラガミ製作委員会[注 1]

2014年1月から3月まで放送された。全12話[3]

監督はアニメ映画『おおかみこどもの雨と雪』の助監督を経て本作で初監督を務めるタムラコータロー、シリーズ構成は『荒川アンダー ザ ブリッジ』や『謎の彼女X』の赤尾でこキャラクターデザインは『カウボーイビバップ 天国の扉』や『トワノクオン』の川元利浩、アニメーション制作は、『鋼の錬金術師』や『エウレカセブンAO』のボンズが、それぞれ担当する[4]。なお、エンディングには毎日放送プロデューサー丸山博雄が「協力」としてクレジットされている。

2014年4月1日エイプリルフール企画では、公式サイトが『ノラネコ』へ変更され、登場キャラクターがネコミミ姿でSD化したオリジナルのBD/DVD発売告知映像も制作された。

製作[編集]

原作の第1話を読んだ時点で着目していたボンズのプロデューサー南雅彦が、『おおかみこどもの雨と雪』の制作が終了した辺りでタムラコータローへ話を持ちかけてきた作品の1つが本作だった。あまり漫画を読まないタムラにとっては本作も知らない作品の1つだったが、読み進めるうちにどこかで見たような要素の組み合わせにおもしろさを感じた彼は依頼に応じて監督となり、ハードな展開の入り口部分は気を付けながら常に原作に沿いたいと制作に務めた[5]

基本的に原作のあだちとかからは一任されているが、脚本の打ち合わせには担当編集者が毎回必ず出席しており、不明な点があるとすぐにあだちと電話で確認してもらううえ、原作で外したくない点の指摘も受けている。当初から夜ト・ひより・雪音ら主人公3人の関係性に重点が置かれており、疑似家族感が本作の大きな魅力とされている。また、ひよりのキャラクター性にはかなり気が使われている[5]

アクション演出は夜トの強さによる斬撃の盛り上がりの不足を考慮し、あだちや編集者と一緒に決め台詞が考案された。画面演出は心情表現を丁寧に描く意味から平凡なものとなっているが、ギャグとシリアスのバランスには毎回悩んでおり、軽いノリの中で後半のシリアス展開を匂わせている[5]

萌え演出はポルノまがいのものになっている近年の傾向に反し、原作に沿った「ちょっとハズしてる感じ」を出すことで、過度のエロさを出さないように心掛けられている[5]

アニメオリジナル要素は、全12話という尺では原作で人気の高い「毘沙門編」や「禊」を描けないという理由から、最初に主人公3人が上手く行きそうな気配を見せてからその関係性を崩すことで視聴者の応援を呼び起こし、元へ戻すという構成が取られた。そのため、テレビアニメ版では原作の第1話で描かれたいじめの話が、視聴者の1話切りを防ぐ意味からも第8話で扱われている。この改変についてタムラは、「原作をないがしろにするつもりは全くありません」と答えている。アニメオリジナルキャラクターの蠃蚌も、制作時点で原作が連載中であることを踏まえた「原作の未来を奪わない形で決着をつけられないか」との構想から、登場となった。また、主人公3人の動機や行動原理はあだちとの話し合いを経て大切に模索されており、3人の担当声優もキャラクター性・バランス・本作のテーマを考慮して長時間のオーディションで選ばれた。それゆえ、『おおかみこどもの雨と雪』と違って俳優ではなく声優が起用されている[3]

沿革[編集]

2013年6月16日にテレビアニメ化が発表された[6]後、同年9月6日には公式サイトが開設され、メインビジュアルやスタッフが公開されると共に電話企画『夜ト電話』で夜トの声が先行公開された[4]。なお、キャストについては同年10月4日に一挙発表された[7]

2014年2月13日には、レコチョクが実施した「人気冬アニメランキング」で第1位の『鬼灯の冷徹』に次いで第2位となったことが報じられた[3]

2014年5月9日には、同年4月時点で着信数が100万件を突破した『夜ト電話』が24:00をもって終了することを記念し、21:00 - 23:00を総復習タイムとしてボイスパターンを切り替えていくスペシャル企画が実施された[8]

主題歌[編集]

オープニングテーマ「午夜の待ち合わせ」
作詞・作曲 - シュンタロウ / 編曲・歌 - Hello Sleepwalkers
エンディングテーマ「ハートリアライズ
作詞・作曲・編曲 - ryo(supercell) / 歌 - Tia

各話リスト[編集]

話数 サブタイトル 脚本 絵コンテ 演出 作画監督 総作画監督 放送日 原作
第1話 家猫と野良神と尻尾 赤尾でこ タムラコータロー 末田宜史 山崎秀樹 川元利浩
山崎秀樹
2014年1月5日 第1-2話(第1巻)
第2話 雪のような ヤマトナオミチ 堀川耕一 2014年1月12日 第3話(第1巻)
第3話 招かれた厄災 望月智充 宮原秀二 水畑健二 2014年1月19日 第4話(第2巻)
第4話 しあわせの在処(ありか) 福田裕子 寺東克己 中村里美 諏訪真弘 山崎秀樹 2014年1月26日 第6話(第2巻)
第8話(第3巻)
落ちる男の事(拾遺集第壱巻)
第5話 境界線 和場明子 小林寛 塚田拓郎 小森秀人 川元利浩 2014年2月2日 第5-6話(第2巻)
第6話 コワイヒト 赤尾でこ 野村和也 飛田剛 可児里未 山崎秀樹 2014年2月9日 第6-7話(第2巻)
第16話(第5巻)
第7話 迷い事、定め事 望月智充 ヤマトナオミチ 松田剛吏 川元利浩 2014年2月16日 第8-9話(第3巻)
オリジナル
第8話 一線を越えて 福田裕子 迫井政行 宮原秀二 堀川耕一
伊部由起子
山崎秀樹 2014年2月23日 第9-10話(第3巻)
第13話(第4巻)
第9話 名前 末田宜史
寺東克己
中村里美 水畑健二
青野厚司
川元利浩 2014年3月2日 第11話(第3巻)
オリジナル
第10話 忌むべき者 大橋誉志光 塚田拓郎 小森秀人
阿部尚人
2014年3月9日 第9話(第3巻)
第12-13話(第4巻)
オリジナル
第11話 棄てられた神 赤尾でこ 平川哲生 堀川耕一
可児里未
山崎秀樹 2014年3月16日 オリジナル
第12話 一片(ひとひら)の記憶 高田耕一 飛田剛 水畑健二
青野厚司
2014年3月23日

放送局[編集]

放送地域 放送局 放送期間 放送日時 放送系列 備考
東京都 TOKYO MX 2014年1月5日 - 3月23日 日曜 23:30 - 月曜 0:00 独立局
近畿広域圏 毎日放送 2014年1月7日 - 3月25日 火曜 2:25 - 2:55(月曜深夜) TBS系列
日本全域 BS11 2014年1月8日 - 3月26日 水曜 3:00 - 3:30(火曜深夜) BS放送 ANIME+』枠
韓国全域 ANIPLUS 水曜 23:30 - 木曜 0:00 CS放送IP放送
ケーブルテレビ
ネット配信
韓国語字幕あり
愛知県 テレビ愛知 2014年1月9日 - 3月27日 木曜 3:05 - 3:35(水曜深夜) テレビ東京系列
日本全域 バンダイチャンネル 2014年1月17日 - 4月4日 金曜 0:00 更新(木曜深夜) ネット配信
AT-X 2014年4月19日 - 7月5日 土曜 18:00 - 18:30 CS放送 リピート放送あり

BD / DVD[編集]

発売日 収録話 規格品番
BD DVD
1 2014年3月26日 第1話 - 第2話 AVXA-74246/B AVBA-74237/B
2 2014年4月9日 第3話 - 第4話 AVXA-74247/B AVBA-74238/B
3 2014年5月9日 第5話 - 第6話 AVXA-74248/B AVBA-74239/B
4 2014年6月11日 第7話 - 第8話 AVXA-74249/B AVBA-74240/B
5 2014年7月9日 第9話 - 第10話 AVXA-74250/B AVBA-74241/B
6 2014年8月13日 第11話 - 第12話 AVXA-74251/B AVBA-74242/B

OAD[編集]

原作第10、11巻付属DVD収録エピソード。スタッフ等はテレビアニメ同様。第1話は原作第25話・神憑りの話、第2話は原作第24話・お花見の話を映像化。

  • 製作 - OAD/ノラガミ製作委員会

各話リスト(OAD)[編集]

話数 サブタイトル 脚本 絵コンテ 演出 作画監督 総作画監督 収録巻 原作
OAD #1 神憑り、神祟り 福田裕子 高田耕一 菊池聡延 山崎秀樹 第10巻(2014年2月17日発売) 第25話(第7巻)
OAD #2 春の日の約束 寺東克己 宮原秀二 松田剛吏
伊部由紀子
川元利浩 第11巻(2014年7月17日発売) 第24話(第7巻)

脚注[編集]

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注釈[編集]

出典[編集]

外部リンク[編集]