劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者

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劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者
映画
監督 水島精二
制作 ボンズ
封切日 2005年7月23日
上映時間 105分
関連作品
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劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』(げきじょうばん はがねのれんきんじゅつし シャンバラをゆくもの、Fullmetal Alchemist the Movie: Conqueror of Shamballa)は、2005年7月23日に公開されたアニメ映画。興行収入は12.2億円。

概要[編集]

2003年から2004年にかけて放送されたテレビアニメシリーズ『鋼の錬金術師』の最終話のその後を描くシリーズ完結編。

2003年版アニメの完結編という事でテレビシリーズ同様、月刊誌かつ連載終了の目途も立っていない時期に制作されたため、原作漫画とはストーリーや世界観、登場人物の設定などが異なる、アニメ独自の完全オリジナルストーリーとなっている。原作漫画である『鋼の錬金術師』とストーリーや設定上の関連性は全くなく、よって、原作に準拠して2009年に製作されたテレビアニメシリーズ『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』および2011年公開のアニメ映画『鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星』の作品世界とも繋がっておらず、物語上の関わりは全くない。

観客動員数は110万人、興行収入は13億円を記録[1]。2006年1月25日に発売されたDVDの売り上げは1月24日付けデイリーオリコンチャート総合部門で限定生産版が1位、通常版が3位。また、同デイリーオリコンチャートアニメ部門では1位2位を独占し、累計で17万枚以上を売り上げた。

地上波の放送前にWOWOWアニマックスで一度(リピート放送除く)、地上波放送後、のちにBS-i(現・BS-TBS)でも2度放送され、更にNHK BS2キッズステーションでも放送された。

2009年1月26日発売のボックスセットには、DVDの他にもBlu-ray Disc版が同梱された。2014年10月29日に単体Blu-ray Disc版が発売される予定。

劇場版の製作はテレビシリーズ途中で急遽決まったものであり、当初はテレビシリーズのみで完結する予定だった。劇場版を作るほどのシナリオストックがなかったため、単独のオリジナルアニメ作品として作ろうと構想を温めていた物語を鋼の錬金術師と合成させて製作した。ドイツを舞台としているのは、オリジナルアニメ作品用に集めていたドイツに関するネタを流用するためだった[2]

受賞歴[編集]

ストーリー[編集]

舞台は1923年ドイツワイマール共和国)にあるミュンヘン。この頃のドイツでは、第一次世界大戦敗戦後の、インフレに伴う貧困に喘ぎながら、それでも人々は懸命に生きていた。

アニメ最終話で錬金術世界から現実世界へと飛ばされたエドワードは18歳になり、元の世界に戻る為にロケット工学を研究していたが、先の見えない現実に焦燥していた。その頃、エドの同居人で「自らの手でロケットを作りたい」と夢見るアルフォンス・ハイデリヒは、パトロンを得て念願のロケット製作に着手する。しかしその裏には謎の組織・トゥーレ協会の陰謀が隠されていた。

あるとき、街で行われたカーニバルに来ていたエドワードは一人の女性に出会った。彼女の名は「ノーア」。彼女には、自分が触った相手の心の中や記憶を観る事ができるという不思議な力があった。彼女は「ジプシー」と呼ばれる被差別民族で、自分たちのことは「ロマ」と呼んでいた。そんな彼女と出会ったエドワードは、次第にドイツで起ころうとしている壮大な計画へと巻き込まれてゆく。そしてそれは同時に、錬金術世界の破滅の危機をも意味していた。

一方、アメストリスで13歳に成長したアルフォンスは兄を探す旅に出る。アルはエドとともに旅した4年間の記憶を失くしていたのだった。そして大切な思い出とともに、希望が時に予想だにしない悲劇を引き起こすことになるということも忘れていた。「兄さんに会いたい」その純粋な想いの果てに悲劇が待っているとは知らずに…。

引き裂かれた兄弟、シャンバラを求める者。門の鍵を為す者、様々な人間の思惑と欲望を孕んで物語の幕は再び上がる。


キャラクター[編集]

テレビアニメでの登場人物の設定は、鋼の錬金術師の登場人物一覧 (アニメ)参照。

現実世界[編集]

エドワード・エルリック(エド) (Edward Elric / Ed)
- 朴璐美
本作の主人公。18歳。アニメ版の最終回で弟アルフォンスの身体を錬成するが、その代償として門の向こうの世界(現実世界)に飛ばされてしまう。元の世界に戻る方法を模索するが、進展が無いまま2年が過ぎ、現在ではその情熱に取って代わって焦りと諦めが彼の中を占めつつある。
劇場版ではミュンヘンの街の花屋の2階に下宿している。今作中で彼が身に付けている義手、義足は機械鎧ではなくホーエンハイムの製作物。一見した程度ではそれと分からない外観だが複雑な動作は出来ないらしい。劇中の言動からして現在で言う筋電義手であると思われる。
アルフォンス・ハイデリヒ (Alfons Heiderich)
声 - 小栗旬
ロケットの製作を夢見る17歳のドイツ人青年。金髪碧眼とアーリア人らしい特徴を持つがその容貌はエドの弟アルフォンス・エルリックと瓜二つ。
肺ガンに侵されており[2]、自分の命が残りわずかな事を自覚している。その為、自分の生きた証を残したいとばかりにロケット製作に全身全霊をかけて打ち込む。元の世界の事ばかりを考え、現実世界に馴染もうとしないエドを心配する。
ノーア (Noah)
声 - 沢井美優
帰るべき祖国を持たず、各地を放浪する人々「ロマ」の少女。人々から異端視されるロマであることに加え、千里眼という能力(本作では「他人の心を読める能力」をこう呼んでいる)を持っている故に更に輪を掛けて異端視されている。
仲間達に売られかけた所をエドに助けられ、エド達と一緒に生活し始めるが…。本作品後は、エドとアルとは別れて、1人ジプシーの道へと帰って行った[4]
デートリンデ・エッカルト (Dietlinde Eckart)
声 - かとうかずこ
トゥーレ協会の会長を務める女性。魔術の研究を独自に進めており、体術にも長ける。
シャンバラ(アメストリス)の技術に興味を示し、その力を戦争に利用しようと考える。それ故魔術と科学によるアメストリス侵略を目論む。その為に大いなる蛇(エンヴィー)やノーアの千里眼を欲したが、アメストリスへの扉を開いた時、彼女の本心は逆の所へと移る。
最後はエドとアルにアメストリス侵略を阻まれて現実の世界へ戻されるが、その際に門の中に居た影に纏わり付かれて異形の姿になってしまい、ヒューズに射殺される。
ミュンヘン一揆直後に死亡した実在の人物ディートリヒ・エッカートをモデルにしているが、架空の女性キャラに変更された。水島監督がインタビューでかとうが演じるという前提の「アテ書き」である旨を述べているのはこの変更をさしていると思われる。
カール・ハウスホーファー (Karl Haushofer)
声 - 津嘉山正種
トゥーレ協会のメンバーでエッカルトの片腕的存在。当時のアドルフ・ヒトラーと接触していた。
ミュンヘン大学の正教授で地政学の第一人者。元軍人で少将だったらしい。ホーエンハイムとも交流を持っていた。
アルフォンスのロケット工学に興味を持ち、ヘスと共に出資を申し出る。彼自身もシャンバラを目指している。
ルドルフ・ヘス (Rudolf Hess)
声 - 小山力也
エッカルトの部下。ノーアを買い取ろうとしたり、ハイデリヒのパトロンを申し出たりする。
シャンバラの技術を背景にナチスに於けるトゥーレ協会の影響力を強めたいと考えている。後にナチス副総統となる人物。
フリッツ・ラングマブゼ) (Fritz Lang / Mabuse)
声 - 柴田秀勝
ユダヤ人の映画監督。アメストリスの大総統「キング・ブラッドレイ(プライド)」に似ていた事から勘違いをしたエドに襲われかける。映画の撮影にリアリティを出す為、ドラゴン(エンヴィー)を捕まえようとエドを護衛に郊外の古城に向かう。ちなみにミュンヘン一揆が起きた時点でのラングは32歳であり、ブラッドレイ(60歳)とは年齢がだいぶ異なる。
戦争の色が日増しに濃くなる現実に背を向け、映画の世界に耽溺する。ハウスホーファーとは知り合いのようである。
エリック・ヤン・ハヌッセン (Erik Jan Hanussen)
声 - 古川登志夫
移動式のカーニバルを引き連れて各地を転々としている。千里眼を持つとされ、アドルフ・ヒトラーの預言者として頭角を現わした。ノーアの能力欲しさに金と引き換えに彼女を手に入れようとする。
エンヴィー (Envy)
声 - 山口眞弓
エドとアルの異母兄のホムンクルス。アニメ版の最終回で巨大なドラゴンに変貌し、門の向こうに飛ばされたホーエンハイムを追って門を越える。自分の姿を自由自在に変える能力を持っていたが、錬金術が発動しない現実世界にドラゴンの姿で到着したため、元に戻れなくなってしまった。ドラゴンに変貌したのはリヴァイアサン七つの大罪の「嫉妬」を司る悪魔)がエンヴィーに対応するからと思われる。
ミュンヘンの古城で再び相見えたエドを襲うが、その場でトゥーレ協会に捕らえられ、ホーエンハイムとともに門を開ける為の材料にされる。最後はホーエンハイムの手で門に錬成された。
ホーエンハイム (Hohenheim)
声 - 江原正士
エド、アル、エンヴィーの父親。アニメ版で現実世界に飛ばされる。彼自身はこの地に骨を埋める覚悟をしていたが、エドの為に門の向こうに帰る方法を見つけようとトゥーレ協会と関係を持っていた。後にトゥーレ協会の計画を知り、彼らへの協力を拒否したためエンヴィーを留めておく人質(というよりも生贄に近い)として利用された。エドと再会した後、彼を元の世界に戻すために自らの命を門の材料として錬成し、死亡する。
プロトタイプ脚本では実在の錬金術師パラケルススとの関連を思わせる描写がある。
ヒューズ (Hughes)
声 - 藤原啓治
ミュンヘンの街の警察官。容姿はマーズ・ヒューズと瓜二つ。密かにグレイシアに想いを寄せており、ロマであるノーアが彼女に迷惑を掛けるのではないかと警戒している。最終的に、現実世界に帰還し異形となったエッカルトを射殺する。
ナチス入党者で、銃を持って行進するシーンがある。
グレイシア (Gracia)
声 - 三石琴乃
エド、ハイデリヒの下宿先の大家で女手一つで花屋を切り盛りしている。ノーアの事を差別せず、再び戦争が起こる事を憂う。懐が広く優しい女性。容姿はグレイシア・ヒューズと瓜二つ。
フューラー (Führer) (総統
かの独裁者アドルフ・ヒトラーである。1923年11月8日、ムッソリーニローマ進軍に影響され、ミュンヘン一揆を起こした。この一揆が、物語後半の軸となっていく。政権奪取が目的だったが、結果的には一揆は失敗する。本作品は、この一揆が失敗すると共に幕を閉じる。劇中で数シーン登場した際は既に党の全権を握り、ハーケンクロイツを党章とし、指導者としての地位を確立している。特徴あるヒゲと髪型もこの1920年代前半からのもの。

錬金世界・アメストリス[編集]

アルフォンス・エルリック(アル) (Alphonse Elric / Al)
声 - 釘宮理恵
もう1人の主人公。アニメ版最終回で兄エドワードの錬成によって肉体を取り戻したが、それらは身体、精神、記憶共に母の錬成当時のままの物だった(兄との旅、戦いについても一切の記憶を失っている)。その後、故郷のリゼンブールでのびのびと成長するが、兄を探す為、再び師匠イズミの下で錬金術の勉強を始める。周りの人間がエドの生存を諦めかける中、一人希望を捨てていない。兄の面影をなぞるかの様に、赤いコートを着用するなど、兄に似せた服装で登場。
トラブルメーカーな兄のフォローをする必要が無かった為か、アニメ版よりもやんちゃで天真爛漫な性格に育った模様。
かつて肉体と魂の結合を一度解かれているためか、魂が離れ易くなっており、錬成陣を描いた手袋を装着し、自分の魂の一部を他者に移して相手を意のままに操る錬金術を得意とする。
ウィンリィ・ロックベル (Winry Rockbell)
声 - 豊口めぐみ
エドとアルの幼馴染でかつてはエドの義手、義足(機械鎧)の整備士でもあった明朗快活な女性機械鎧技師。劇中では長い後ろ髪をアップにまとめ、容姿・雰囲気と共に美しい大人の女性へ成長した。
中央で起きた異変を知り、アニメ版最終回の舞台でもあった地下都市へと同行したシェスカとともに駆けつける。
エドの無事を信じ、成長した彼の体に合う様にと新しい機械鎧を製作して待っていた。
ロイ・マスタング (Roy Mustang)
声 - 大川透
母の人体錬成に失敗し、絶望していたエドとアルに「国家錬金術師」という道を提案した軍人。
かつては自身も「焔の錬金術師」と呼ばれる国家錬金術師でアニメ版では准将の地位にまで登りつめたが、最終回以降、自らの意志で伍長に降格。自らの錬金術を封じ、今作では北方の極寒の地で軍務に就いている。
アレックス・ルイ・アームストロング (Alex Louis Armstrong)
声 - 内海賢二
元軍人(兼国家錬金術師)だったが、アニメ版最終回以降に退役。家族と共に内乱で荒廃したリオールの街の復興に取り組んでいる。
特盛の肉体美とダンディズムは今作でも健在。
リザ・ホークアイ (Riza Hawkeye)
声 - 根谷美智子
ロイが任務に就く北方へはついていくことなく、中央司令部に配属され勤務を続けている。
ロイに一途で彼の復帰を何よりも信じている。
ラース (Wrath)
声 - 水樹奈々
エド、アルの師匠イズミ(本作では故人)が犯した人体錬成の末に生まれたホムンクルス。他者と融合できる能力を持っており、エドの手足と融合することにより錬金術を使えた時期もあったが、賢者の石を勝手に使おうとしたためにダンテが門を開きエドの手足を奪い取らせたため、錬金術は使えなくなっている。本編でスロウスと同化した際にエタノール蒸発で負った火傷は治っている。
アニメ版最終回以降、ウィンリィがエドのために作っておいた機械鎧をつけてもらってから誰も言葉を交わすことも無く行方知れずだったが、イズミの墓所の外れに放心状態で座り込んでいた所を墓参りに来たウィンリィに連れ出される。アルが自らを犠牲にエドを蘇らせた場面が記憶に強く残っており、エルリック兄弟を再会させるためアルを地下都市へと案内する。グラトニーとの戦闘の後自分を門の材料としてアルに錬成させ、門のむこうのイズミのもとへ帰っていった。
グラトニー (Gluttony)
声 - 高戸靖広
紅い石の合成用に作られたホムンクルス。どんな物でも食べてしまう能力を持つ。アニメ版最終局面にてダンテによって理性を消され、食欲だけの存在となってしまった。
その後長い間地下都市に閉じ込められ、鎧のアルから取り込んだ賢者の石の力や岩等を食べ続けた為かさらに自己進化を遂げ、巨大な化け物じみた外見となって地下都市に住みついていた。そして地下都市で門を開こうとするアル、ラースの前に再び立ち塞がる。赤い液体をまき散らし、落ちたかけらはラースのエネルギーとなった。ラースとともに門の材料となる。

その他のキャラクター[編集]

ハスキソン (Huskisson)
声 - 石塚運昇
錬金術のせいで国から冷遇されていると思い込む物理学者。黒いマスクを顔につけている。新たな元素を発見しウラニウムと名付け、その高エネルギーを利用し爆弾を開発した。
国家錬金術師であるエドワードに上層部への紹介を頼むが、アルフォンスにより無下に断られたことに激昂し、二人を攻撃する。兄弟の反撃に逆上し、ウラニウム採掘の際に死亡した人々の遺体を使って人体錬成(錬金術師としてもかなりの心得があったらしい)を行おうとするが、その結果門の中へ爆弾諸共引きずり込まれてしまった。この時、向こう側に送られてしまったウラニウム爆弾が今回の物語の発端となっている。

その他の声の出演[編集]

スタッフ[編集]

主題歌[編集]

オープニングテーマ
Link
作詞 - hyde / 作曲 - tetsuya / 編曲 - L'Arc〜en〜Ciel岡野ハジメ / 歌 - L'Arc〜en〜Ciel
エンディングテーマ
LOST HEAVEN
作詞 - hyde / 作曲 - ken / 編曲 - L'Arc〜en〜Ciel、岡野ハジメ / 歌 - L'Arc〜en〜Ciel

脚注・注釈[編集]

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  1. ^ アニプレックス、「劇場版 鋼の錬金術師」をDVD/UMD化”. AV Watch (2005年11月11日). 2009年11月26日閲覧。
  2. ^ a b 劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者 シナリオブック。
  3. ^ [1]
  4. ^ 2005.アニメディア10月号より水島監督のコメント。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]