GUITARHYTHM

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GUITARHYTHM
布袋寅泰スタジオ・アルバム
リリース
録音 ABBEY ROAD STUDIO studio 2
ジャンル ロック
デジタル・ロック
ポップ・ロック
インダストリアル
時間
レーベル 東芝EMI/イーストワールド
プロデュース 布袋寅泰
ホッピー神山&布袋寅泰(6曲目のみ)
チャート最高順位
布袋寅泰 年表
GUITARHYTHM
1988年
GUITARHYTHM II
1991年
布袋寅泰関連のアルバム 年表
“LAST GIGS”
(1988年)
GUITARHYTHM
(1988年)
“SINGLES”
(1988年)
『GUITARHYTHM』収録のシングル
  1. DANCING WITH THE MOONLIGHT
    リリース: 1989年4月3日
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GUITARHYTHM』(ギタリズム)は、日本のミュージシャンである布袋寅泰のファースト・アルバムである。

背景[編集]

BOØWY解散後、程なくして発売された布袋寅泰のファースト・ソロ・アルバム。

バンド時代の音楽性とは大きく異なり、コンピュータを大胆に取り入れたデジタル・ロックといった趣を見せている。本作に収録されなかった楽曲の中にはBOØWY風のものもあったとされるが、バンド時代とは違う新たなスタイルを志したこと、土屋昌巳や当時の妻である山下久美子やマネージャーから「自分をコピーするようになったらお終い」とアドバイスされたことなどから「そういった楽曲は容赦なく切り捨てた」という。[1]

先行シングルがなく全曲が新曲。また全曲英語であり、これは海外進出を意識して制作された為である。なおインタビューでは「決まったように、サビになると英語になるっていうのはとにかく嫌だった。初めは日本語で全部やろうかとも思った。全部英語か全部日本語かどっちかしかないと。サビだけ英語なんて日本の作品としても美しくないし、英語圏じゃ何だかわからないしね」と語っている。同時に「日本語で歌って、日本人のオーディエンスに対して、僕の歌がメインになるのがすごい違うなっていうか、もっと音楽として聞いてほしかった」というコメントも残している。[2]

架空のサウンドトラック」もコンセプトとなっており、それを意識した楽曲作りとアルバム構成が成されている。[1]

各プレスからの評価は軒並み好評であったが、一部では「BOØWYで得た印税を使いたい放題に使って作った贅沢なアルバム」とも評され、「お金云々ではなく、新たな音楽を作ることにただただ情熱を傾けただけなのに、当時これにはそれなりにショックを受けた」と布袋は語っている。[3]

「GUITARHYTHM」とは、GUITAR(ギター)とRHYTHM(リズム)を組み合わせた布袋による造語。また、アルバムのタイトルに冠したシリーズプロジェクトの総称を指す。ちなみにこの言葉には「イズム=主義」という意味も含まれている[4]

本作をリリースするに当たり、布袋は以下の一文を記している。

《GUITAR+RHYTHM=GUITARHYTHM》

そろそろ90年代ロックンロールの幕開けというべきロックンロールを提示しなくてはいけない時期が来た。
そもそもロックンロールに国境はなく、イギリスアメリカ問わず、ビル・ヘイリー(元祖ロックンロール!)、リトル・リチャードチャック・ベリージーン・ビンセントエディ・コクランボ・ディドリーエルヴィス・プレスリービートルズストーンズ~時代は流れてT.REXルー・リードデヴィッド・ボウイイギー・ポップセックス・ピストルズetc……
ジグジグ・スパトニクによる90年代へのアプローチは奇しくも失敗に終わったが、常に刺激を求めるビート・フリークたちの関心は、なまやさしいメロウなロックンロールでは満足できなくなっている。パンク・ムーヴメントの果たした役割ははかりしれないほど偉大なものだったが、大きく分けてビート派とメロディ派に極端に分かれすぎて、今やシークェンスの反復を利用した、ドナ・サマー(!?)が切り開いたディスコ・ミュージックとほとんど変わらないありさまだ。
ロックという言葉の持つ意味が個人の解釈に委ねられた今、逆にインパクトを持ち、国内のみならず海外にもアピールしうるロックンロールがこれから作っていく《GUITARHYTHM》の基本になっていく。
テーマは【スピード】【リフレイン】【メロディ】【コンピュータ】【パンク】の5つに集約されている。 わかりやすく言うとセックス・ピストルズのギタリストとジグ・ジグ・スパトニックのリズム隊をバックに、エディ・コクランがビートルズの歌を赤いスーツを着て歌うということだ。

6年間連れ添った仲間と別れ、新たなスタートをするにあたって、僕は"完璧"という2文字を頭に描きました。
まず、自分に足りない何かを探す・・・ということから始めたのですが、いつのまにかそれは本当の自分を見つめ直すー僕という存在の内面への旅に姿を変えていたのです。
GUITARHYTHMという作品は、ロックミュージックと出逢った10数年間の分身、もしくは僕そのものといっても過言ではありません。

布袋寅泰

(原文ママ)

録音[編集]

一部の楽曲でゲストミュージシャンを迎えてはいるが、基本的に布袋、プログラマー藤井丈司キーボーディストホッピー神山の3人で制作されたアルバムである。

デジタル要素の強い作品であるものの、当時はまだコンピュータ媒体が発展途上だったこともあり、ギターとコンピュータの一発録りに近い形でレコーディングは進められた。またレコーディングではプロデューサーとアーティストの両方を目一杯やったとのことで、「レコードを1枚作る重みを味わいたいと思った。BOØWYの時はグループだから、僕には僕の役割があり、それをやるだけで良かった。今回は1枚のレコードを作ることに、それこそジャケットひとつのことまでも、ドップリ浸かってドップリ終わるというのが最初の目標だった」と語っている。[1]

ビートルズが使用したことでも有名なロンドンアビー・ロード・スタジオにてレコーディングされた。レコーディングを終え帰国後、東京で改めて聴き直すとイギリスと日本の電圧の違いによる差異に違和感を覚え1からやり直したくなったが、数日したら違和感は無くなったという。

ギターテイクはアンプを一切使用せず、当時ではまだ珍しかったライン録りの手法でレコーディングされた(ローランド製のGP-8にCHANDLERのTUBE DRIVERを繋いで録音された)。さらにそのままの音ではなく、全ての音にノイズリダクションをはじめとした加工が成されている。

リリース[編集]

1988年10月5日東芝EMIのイーストワールドレーベルよりLPレコードカセットテープコンパクトディスクの3形態でリリースされた。

本作はイギリスでのリリース予定もあったが、先行シングルである12インチ「DANCING WITH THE MOONLIGHT」はリリース直後に廃盤となってしまった事から、アルバムリリースされる事はなかった[5]

翌年の1989年1月には、永石勝監督による全曲を映像化したビデオがリリースされている。

アートワーク[編集]

ジャケットワークを宇野亜喜良が務めた。

音楽雑誌「PATi-PATi ROCK'n'ROLL」1988年11月号(CBSソニー出版)に、布袋自ら1曲ごとにコピーとコンセプトを考案したビジュアルフォトが掲載された。

なおブックレットにて布袋が着用しているジャケットはヴィヴィアン・ウエストウッドが製作発表した当時の最新作である。

ライブ[編集]

本作リリース後にツアーは行われていないが、単独公演として1988年10月26日国立代々木競技場 第一体育館11月15日大阪城ホールにて初のソロライブ『GUITARHYTHM LIVE』が行われている。サポートメンバーには元BOØWYのベーシストである松井恒松、レコーディングにも参加したホッピー神山の他、土屋昌巳池畑潤二スティーヴ衛藤ら、布袋がBOØWY時代から交流のあったミュージシャン勢が参加した。

またライブでは、ゲストとして参加した劇団「白虎社」による前衛舞踏とのコラボレーションが披露された他、当時の妻である山下久美子もゲストとして登場した。

現在まで単独のライブビデオとしての商品化はされていない。当時テレビ朝日系の音楽番組「HITS」で数曲がオンエアされた他、後にアルバム『GUITARHYTHM II』のアナログ版に数曲が収録された。ライブ映像が『HOTEI LIVE JUKEBOX』、『GUITARHYTHM BOX』それぞれに数曲ずつ収録されており、2012年に限定リリースされた『MEMORIAL SUPER BOX』にもライブの模様が一部収録されている。

また上述の全曲を映像化したビデオにもライブ映像が一部収録されている(音源はCDのものを使用)。

  • 音楽番組「HITS」放送曲
    • 「POWER」
    • 「C'MON EVERYBODY」
    • 「MATERIALS」
    • 「GUITARHYTHM」
    • 「A DAY IN AUTUMN」(後半5:20秒ほどのみ放送)
  • 『HOTEI LIVE JUKEBOX』
    • 「POWER」
    • 「C'MON EVERYBODY」
  • 『GUITARHYTHM BOX』Disc7:GUITARHYTHM PREMIUM LIVE DVD
    • 「POWER」
    • 「MATERIALS」
    • 「A DAY IN AUTUMN」
  • 『8 BEATのシルエット』初回限定特典DVD
    • 「POWER」
    • 「C’MON EVERYBODY」
    • 「MATERIALS」
    • 「A DAY IN AUTUMN」


収録曲[編集]

A面
# タイトル 作詞 作曲 編曲 時間
1. LEGEND OF FUTURE   Geoffrey Westley Geoffrey Westley
2. C'MON EVERYBODY Eddie CochranJerry Capehart Eddie Cochran、Jerry Capehart 布袋寅泰
3. GLORIOUS DAYS ハービー山口Lenny Zakatek 布袋寅泰 布袋寅泰
4. MATERIALS ハービー山口、Lenny Zakatek 布袋寅泰 布袋寅泰
5. DANCING WITH THE MOONLIGHT ハービー山口、Lenny Zakatek 布袋寅泰 布袋寅泰
6. WIND BLOWS INSIDE OF EYES 布袋寅泰 布袋寅泰、ホッピー神山藤井丈司 布袋寅泰、ホッピー神山、藤井丈司
B面
# タイトル 作詞 作曲 編曲 時間
7. WAITING FOR YOU ハービー山口、Lenny Zakatek 布袋寅泰 布袋寅泰
8. STRANGE VOICE ハービー山口、Lenny Zakatek 布袋寅泰 布袋寅泰
9. CLIMB ハービー山口、Lenny Zakatek 布袋寅泰 布袋寅泰
10. GUITARHYTHM ハービー山口、Lenny Zakatek 布袋寅泰 布袋寅泰
11. A DAY IN AUTUMN ハービー山口 布袋寅泰、Geoffrey Westley Geoffrey Westley
合計時間:

曲解説[編集]

A面[編集]

  1. LEGEND OF FUTURE
    当楽曲とトラック11の「A DAY IN AUTUMN」は「映画のサントラのように、夢の入口と出口って感じにしたかった」とのこと。[6]
    布袋から作曲者のGeoffrey Westleyには「最初はバイオリンから入って」という依頼があった。
    他の楽曲をすべて録り終えた後、「A DAY IN AUTUMN」と共に最後にレコーディングされた。
  2. C'MON EVERYBODY
    エディ・コクランの同曲のカバーデモテープはこの楽曲から作成された。
    ライブの定番曲であり、現在までほとんどのツアーやライブにて演奏されている。
    テレビ番組『夢で逢えたら』内のコーナー「バッハスタジオII〜ホコ天キングへの道〜」のテーマ曲として使用された。
  3. GLORIOUS DAYS
    歌詞は作詞者ハービー山口の実体験が基になっている[7][8]
    前曲から途切れることなく当曲が始まるが、デジタルリマスタリング盤(BOX版含む)はオリジナル盤の曲の開始位置から6秒ほど遅い位置が曲の開始位置となっている。
  4. MATERIALS
    オンワード樫山CFソングとして使用され、アルバムリリース以前よりテレビ上にて流されていた。
    「曲調としては昔のレインボーの「銀嶺の覇者」っていう感じ」とのこと。[6]
    レコーディングではヘヴィメタル用のギターを使用したと語っている[9]。またホッピー神山のアイデアでベースラインを変更し、ドイツ風の仕上がりにしたとの事。
    イギリスのミュージシャンに無断でサンプリングされたことがある。パーティーの席で、相手が作曲者本人とも知らず布袋にそのことを話す当人に「それ、俺の曲なんだけど…」と返すと、その場は一瞬にして大爆笑となったというエピソードがある。[10]
  5. DANCING WITH THE MOONLIGHT
    EMI-UKより、7インチ・12インチのアナログ盤でイギリスでシングルとしてリリースされた。本作と7インチ版、12インチ版ではそれぞれバージョンが異なる。
  6. WIND BLOWS INSIDE OF EYES
    悪夢を歌った楽曲。
    サビを除き、歌詞ドイツ語でポエトリー・リーディングの構成になっている。ドイツ語部分の朗読は、布袋の友人でもあるPLANETS(ドイツのバンド)のサージが担当。
    楽曲の歌詞は、布袋の書いた日本語詞を本作のエンジニアであるマイケル・ツィマリングの妻がドイツ語に訳したもの。

B面[編集]

  1. WAITING FOR YOU
    本人曰く、「この曲と『CLIMB』は、自分の気持ちをロックを聴き始めた頃に戻して作った」との事。[6]
    テレビ番組『夢で逢えたら』内のコーナー「バッハスタジオII〜ホコ天キングへの道〜」のゲスト登場曲として、この曲のアウトロが使用された。
  2. STRANGE VOICE
    レコーディングではメインギターであるTE-HTではなく、アーム付きのストラトキャスターを使用している。
  3. CLIMB
  4. GUITARHYTHM
    タイトルチューン。後のアルバムでもアレンジされ、様々なバージョンで使用されている。
    Bメロの歌詞は、ランディー・ローズがステージでチョーキングサウンドを轟かせているという光景を、作詞者ハービー山口が目の当たりにした時のことが題材となっている。[8]
    前述の「PATi-PATi ROCK'nROLL」1988年11月号のビジュアルフォトでは「ギターが好きです」というコピーがつけられている。
  5. A DAY IN AUTUMN
    デモアビー・ロード・スタジオの第2スタジオにある、かつてジョン・レノンポール・マッカートニーも使用したというピアノで作られた。
    当初は8分ほどの楽曲であったが、ラストに8分は長いということでこのバージョンになっている。
    曲から先に組み立てていく方法しか取らなかった布袋が、歌詞に曲をつけた数少ない曲の一つ。

スタッフ・クレジット[編集]

参加ミュージシャン[編集]

スタッフ[編集]

  • 布袋寅泰 - プロデューサー(6曲目のみホッピー神山との共同プロデュース)
  • ホッピー神山 - プロデューサー(6曲目のみ)
  • マイケル・ツィマリング - レコーディング・エンジニア(1,11曲目以外)、ミキシング・エンジニア(1曲目以外)、マスタリング・エンジニア
  • JOHN KURLANDER - レコーディング・エンジニア (1,11曲目のみ)
  • GEOFFREY WESTLEY - (1,11曲目のみ)
  • DARREN GODWIN - アシスタント・エンジニア
  • STEVE ROLKE (ABBEY ROAD) - ダイレクトメタルマスターカッティング
  • 子安次郎 - A&Rディレクター
  • 広瀬哲(東芝EMI) - A&Rディレクター
  • 関口みつのぶ (TOY BOX・YUI MUSIC) - アシスタント・ディレクター
  • 糟谷銑司 (IRc2) - マネージメント、エグゼクティブ・プロデューサー
  • 原田クマ - マネージメント
  • KAZUMI TAKAHASHI (IRc2) - マネージメント
  • YVONNE BRODCHARD (IRc2) - マネージメント
  • 永石勝 - アート・ディレクション、フラワー・コーディネーション
  • 園木和彦 - 写真撮影
  • 宇野亜喜良 - カバー・ペインティング
  • ZEMPAKU SUZUKI (B.B.I. STUDIO) - デザイン
  • AKIHIKO ASAI (EAT) - ヘアー・メイク
  • 菊地正典(ガイナックス - レーベル・イラストレーション
  • 黒野しのぶ - スタイリスト
  • 石坂敬一(東芝EMI) - エグゼクティブ・プロデューサー

リリース履歴[編集]

No. 日付 レーベル 規格 規格品番 最高順位 備考
1 1988年10月5日 東芝EMI/イーストワールド LP
CT
CD
RT28-5305
ZT28-5305
CT32-5305
2位
2 2000年12月13日 東芝EMI/アストロノーツスター CD AJCH-30001 - デジタルリマスタリング
3 2008年12月24日 EMIミュージック・ジャパン/ヴァージン SHM-CD TOCT-95001 52位 2000年デジタルリマスタリング盤、紙ジャケット仕様、『GUITARHYTHM BOX』でのリリース。
歌詞の和訳が未掲載。
4 2014年12月10日 ユニバーサル・ミュージック/ヴァージン SHM-CD UPCY-6954 - 2000年デジタルリマスタリング盤

参考文献・出典[編集]

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  1. ^ a b c 「PATi PATi」 1988年11月号
  2. ^ ROCKIN'ON JAPAN」 Vol.16、p.13、ロッキング・オン、1988年。
  3. ^ 月刊カドカワ 1994年8月号 インタビューより
  4. ^ 『秘密』 (2006年 幻冬舎ISBN 4344011082
  5. ^ TOMOYASU HOTEI DANCING WITH THE MOONLIGHT”. 2013年9月16日閲覧。
  6. ^ a b c バンドスコア『GUITARHYTHM』の本人コメントより
  7. ^ ハービー山口 『女王陛下のロンドン』 講談社2002年ISBN 4-06-273435-4
  8. ^ a b 2014年1月31日渋谷のポスターハリスギャラリーにて行われたハービー山口のトークショーでのコメント。
  9. ^ 当時のギターマガジンのインタビューより
  10. ^ 布袋寅泰、ハービー山口、森永博志 『よい夢を、おやすみ』 八曜社、1993年。ISBN 4827001391