GUITARHYTHM III

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GUITARHYTHM III
布袋寅泰スタジオ・アルバム
リリース
録音 IRc2スタジオ(東京
メトロポリス・スタジオ(ロンドン
ジャンル ロック
ロックンロール
デジタル・ロック
時間
レーベル 東芝EMI/イーストワールド
プロデュース 布袋寅泰
チャート最高順位
布袋寅泰 年表
GUITARHYTHM active tour '91-'92
1992年
GUITARHYTHM III
(1992年)
GUITARHYTHM WILD
1993年
『GUITARHYTHM III』収録のシングル
  1. LONELY★WILD
    リリース: 1992年7月22日
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GUITARHYTHM III』(ギタリズム・スリー)は、日本のミュージシャンである布袋寅泰の3枚目のアルバムである。

背景[編集]

LOOKING FOR WILD」をテーマに「スピード」「スリル」「ワイルド」をコンセプトとした作品であり、『GUITARHYTHM』や『GUITARHYTHM II』よりもストレートなロックンロール色が強くなっている。

ポップアート」もコンセプトとして挙げている。この時期の布袋はアンディ・ウォーホルジャン・コクトーアルチュール・ランボーに傾倒しており、彼らの作品から受けた影響が多分に反映されている。この時期の日記である書籍『よい夢を、おやすみ。』(1993年)にもこの三者の名前が頻繁に登場する。

本作について布袋は「自分の中には"ワイルド"な部分と"マイルド"な部分がある。前作はマイルドではないけどあれだけ大きな世界を創って、そういうツアーも演ったから、逆にヤンチャに戻れたのもあるかもしれない。もう欲求として湧き上がってきたテーマですね、ワイルドは[1]」「BOØWY解散直後の『GUITARHYTHM』(1988年)にしろ、COMPLEX解散後のソロ復帰作『GUITARHYTHM II』(1991年)にしろ、「出したい作品」というよりは「出すべき作品」だった。だからそれぞれ周りの評価というものがどこかで気になっていた部分があったかもしれない。今回はそれを乗り越えて自然に解放された感じになれたと思う。そういったところではこの二枚がなければ出来なかった作品[2]」と語っている。

ボーカリストとしての意識の芽生えも語っている。本人曰く「(本作は)ああいう風に歌わないと曲に負けちゃうから。それに歌詞が死んじゃうから、それならば歌わない方がいいわけで」「言葉というものが大切だと思い始めてきている。(前作で)ツアーやっても強くなってるから、パワーという部分ではまったく違う」。

また前作でソロキャリア初の全国ツアーを行なったことで自信が付いた部分、満足のいく反応を得られなかった部分が具体的に見えたこともあり[3][4][1]、ライブで映えることを強く意識した楽曲作りが成されている。

録音[編集]

布袋の所属事務所が所有するIRc2スタジオ、そして前作でも使用したロンドンのメトロポリス・スタジオにてレコーディングされた。

本作より、これまでメインギターだったTE-HTに加えて新たにゼマティスのPEARL FRONT CUSTOM DELUXE WILD(通称:Zematis WILD)を使用し始めており、以後レコーディング、ライブ共にメインギターのひとつとして定着する。使用したギターはZematis WILD、Gretsch White Falcon、Gretsch Anniversary、Burny SH-1(H-CUSTOM)、TE-HOTEI(MAIN&Sustainer)の6本。

また本作ではギター・テイクのサンプリングを新たな試みとして用いており、この手法もまた今後の作品で欠かせないものとして駆使されていくことになる。

ギター・アンプはピーヴィーの「ヴァン・ヘイレンモデル 5150」を使用、スピーカー・キャビネットは5150専用のものは使わず前作から使用しているマーシャルエフェクト関係はすべて卓上の作業で布袋自身はノータッチである。

マスタリングニューヨークのマスターディスクにて行っている。

憧れのギタリストであったクリス・スペディング、前年行われたロンドン公演の打ち上げの席で意気投合したジーザス・ジョーンズのマイク・エドワーズとの競演を果たしている。

リリース[編集]

1992年9月23日東芝EMIのイーストワールドレーベルよりコンパクトディスクでリリースされた。

LPレコード盤が同年11月18日にリリースされており、曲順が異なる他、ルベッツの曲「SUGAR BABY LOVE」(1974年)のカバーが追加されている。

アートワーク[編集]

アート・ディレクションは『GUITARHYTHM』『GUITARHYTHM II』から引き続き永石勝が担当。

ジャケットワークはケネス・アンガーの映画『スコーピオ・ライジング英語版』(1964年)にインスパイヤされたものである[5]。このジャケットについて布袋は「皮ジャンはロックンローラーの皮膚なんだ」と述べている。撮影は久保木浚介。

ブックレット内の写真は久保木とのフォト・セッションで撮影された。写真で抱えているギターは実際にアンプに繋がれており、スタジオ内でギターを即興で弾きながらの撮影となった[6]

ツアー[編集]

本作を受けてのツアーは、『GUITARHYTHM WILD TOUR』と題し、1992年10月12日渋谷公会堂を皮切りに、21都市39公演を行っている。本ツアー中に布袋本人が右手を骨折したため、11月27日札幌市民会館を最後に、1992年の予定は全て1993年に持ち越された。本ツアーの模様は1993年2月27日2月28日に行われた横浜アリーナ公演を収録したライブ・アルバム『GUITARHYTHM WILD』(1993年)とライブ・ビデオ『GUITARHYTHM WILD』(1993年)がリリースされている。

ツアーメンバーは前ツアーに引き続き、成田忍浅田孟椎野恭一小森茂生の4名。

レコーディングで使用したゼマティスのPEARL FRONT CUSTOM DELUXE WILDをツアーのメインギターとして使用する為、ボディの裏側にベルトのバックルでわざと傷をつけたというエピソードがある。それまでは芸術的な装飾と新車1台が買えてしまうほどの値段から慎重に扱っていたが、ツアーで思い切り弾き倒せるように傷をつけたとのこと[6]

なおかつてのバンドメイトであった氷室京介が、本ツアーの京都公演を観覧している[6][7]

収録曲[編集]

CD版[編集]

全編曲: 布袋寅泰。
#タイトル作詞作曲時間
1.MILK BAR P.M.11:00 布袋寅泰
2.UPSIDE-DOWN森雪之丞布袋寅泰
3.DIRTY STAR森雪之丞布袋寅泰
4.さよならアンディ・ウォーホル森永博志ハービー山口布袋寅泰
5.DIVING WITH MY CAR [RED ZONE VERSION]布袋寅泰布袋寅泰
6.PRECIOUS DEAL布袋寅泰布袋寅泰
7.EMERGENCY森雪之丞布袋寅泰
8.ELECTRIC WARRIORS布袋寅泰Mike Edwards、布袋寅泰
9.GUILTY森雪之丞布袋寅泰
10.I'M FREE布袋寅泰布袋寅泰
11.LONELY★WILD [UPPER VERSION]布袋寅泰布袋寅泰
12.WILD LOVE布袋寅泰布袋寅泰
13.MILK BAR A.M.3:00 布袋寅泰
14.GUITARHYTHM [MUSIC BOX] 布袋寅泰
合計時間:

LP版[編集]

A面
全編曲: 布袋寅泰。
#タイトル作詞作曲時間
1.UPSIDE-DOWN森雪之丞布袋寅泰
2.DIRTY STAR森雪之丞布袋寅泰
3.さよならアンディ・ウォーホル森永博志、ハービー山口布袋寅泰
4.DIVING WITH MY CAR [RED ZONE VERSION]布袋寅泰布袋寅泰
5.PRECIOUS DEAL布袋寅泰布袋寅泰
6.GUILTY森雪之丞布袋寅泰
7.MILK BAR P.M.11:00 布袋寅泰
B面
#タイトル作詞作曲時間
8.MILK BAR A.M.3:00 布袋寅泰
9.EMERGENCY森雪之丞布袋寅泰
10.ELECTRIC WARRIORS布袋寅泰Mike Edwards、布袋寅泰
11.I'M FREE布袋寅泰布袋寅泰
12.WILD LOVE布袋寅泰布袋寅泰
13.LONELY★WILD [UPPER VERSION]布袋寅泰布袋寅泰
14.SUGAR BABY LOVEWayne Bickerton、Tony WaddingtonWayne Bickerton、Tony Waddington
15.GUITARHYTHM [MUSIC BOX] 布袋寅泰
合計時間:

曲解説[編集]

  1. MILK BAR P.M.11:00
    酔っ払った状態で制作した為、レコーディング時に曲の内容を思い出せなかったという珍エピソードがある。
    当初メロディはサックスにしようと考えていたが、ひとまずガイドでギターを入れたら「OKテイクだよ」となってしまったという。
    ちなみに「MILK BAR」とは布袋が好きな『時計仕掛けのオレンジ』より引用。
  2. UPSIDE-DOWN
    布袋がグレッチを使用したくて書いた楽曲。大半はWhite Falconで、途中で絡むワウがCountry Gentlemanとのこと。
  3. DIRTY STAR
    耳に残るギターソロを意識して制作したが、コードの脈絡がなくほとんどジャズのような動きをしてる分、レコーディングではかなり手こずったという。
  4. さよならアンディ・ウォーホル
    Aメロのギターはサンプリング。
    間奏はクリス・スペディングとのギターバトル。
    作詞者は森永博志ハービー山口となっているが、冒頭の一節"さよならアンディ 背徳のブルージーン"は布袋が考案したもので、その一節を元に両者がイメージを広げていった末に完成した[6]
  5. DIVING WITH MY CAR [RED ZONE VERSION]
    5枚目のシングル「LONELY★WILD」のカップリング曲の別バージョン。ライブではこのバージョンで演奏される。
    シングルでは疾走感を出すべくミュートなし、カッティングなしでノリを出そうとしたが、なかなかノリが出なかった為、アルバムでは本来の自己スタイルに徹して8ビートで挑んでいる。
    タイトルの通り、車に乗っている最中に出来た楽曲である[6]
    4曲目に作詞で参加した森永博志がこのテープを持って内モンゴル自治区を訪れた際、曲を聴いた現地人ドライバーがジープを思い切り飛ばしたというエピソードがある[6]
  6. PRECIOUS DEAL
    リフサンプリングを駆使して作られた。
    生音で弾いてもほとんど出来は変わらなかったが、サンプリングと生の音を近づけるということにこだわった結果だという。
  7. EMERGENCY
    布袋のボーカル部分はすべてラップ
    ジグ・ジグ・スパトニックニールX英語版がギターで参加。ギターテイクはニールとの一発録り。
  8. ELECTRIC WARRIORS
    ジーザス・ジョーンズのマイク・エドワーズとの競作。
  9. GUILTY
  10. I'M FREE
    ラストでクリス・スペディングとのギターバトルが展開される。
  11. LONELY★WILD [UPPER VERSION]
    5枚目のシングル。シングル版とはアウトロが若干異なる。
  12. WILD LOVE
    当時の妻だった山下久美子との関係を歌った楽曲[8]
    なおこの曲のデモの段階は、「ずっとフィード・バックが鳴っててクレイジーな曲だった。」と語っている。
  13. MILK BAR A.M.3:00
    アンディ・マッケイサックスによるインストゥルメンタル
    前作『GUITARHYTHM II』にも参加したアンディ・マッケイにもう一度会いたくて作った楽曲。
  14. GUITARHYTHM [MUSIC BOX]
    GUITARHYTHM』のタイトル・チューンの別バージョン。

スタッフ・クレジット[編集]

参加ミュージシャン[編集]

スタッフ[編集]

  • 布袋寅泰 - プロデューサー
  • マイケル・ツィマリング - レコーディング・エンジニア、ミキシング・エンジニア
  • HIRONORI SATO - アシスタント・エンジニア
  • 伊藤康宏 - アシスタント・エンジニア
  • ケビン・ジェイコブズ - アシスタント・エンジニア
  • グレゴリー・フルギニティ - マスタリング・エンジニア
  • 関口“ワンワン”みつのぶ (TOY BOX) - A&Rディレクター
  • 広瀬哲(東芝EMI) - A&Rディレクター
  • 佐竹秀仁 (LEO MUSIC) - レコーディング・スタッフ
  • 渡部伸隆 (IRc2) - レコーディング・スタッフ
  • レニー・ザカテク英語版 (IRc2 LONDON) - レコーディング・スタッフ
  • ダニエル・メイソン (IRc2 LONDON) - レコーディング・スタッフ
  • 久保木俊介 - 写真撮影
  • 永石勝 - アート・ディレクション
  • TOSHIAKI UESUGI - デザイン
  • AKIKO KUMAGAI - デザイン
  • 西條謙一 (MOD'S HAIR) - ヘアー、メイク・アップ
  • YOSHIHIRO SUZUKI (GORI INTERNATIONAL) - 衣装
  • 糟谷銑司 (TOY BOX) - エグゼクティブ・プロデューサー
  • KEN SUGAYA (TOY BOX) - エグゼクティブ・プロデューサー
  • 石坂敬一(東芝EMI) - エグゼクティブ・プロデューサー
  • 中曽根純也(東芝EMI) - エグゼクティブ・プロデューサー
  • 下河辺晴三(東芝EMI) - エグゼクティブ・プロデューサー


リリース履歴[編集]

No. 日付 レーベル 規格 規格品番 最高順位 備考
1 1992年9月23日 東芝EMI/イーストワールド CD TOCT-6658 2位
2 1992年11月18日 東芝EMI/イーストワールド LP TOJT-6658 - 曲順がCD版と異なる、ボーナストラック1曲収録
3 2000年12月13日 東芝EMI/アストロノーツスター CD AJCH-30005 - デジタルリマスタリング
4 2008年12月24日 EMIミュージック・ジャパン/ヴァージン SHM-CD TOCT-95004 52位 2000年デジタルリマスタリング盤、紙ジャケット仕様、『GUITARHYTHM BOX』でのリリース

脚注[編集]

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  1. ^ a b 「PATi PATi」 1992年10月号
  2. ^ ROCKIN′ON JAPAN 1992年9月号
  3. ^ ライブビデオ『GUITARHYTHM active tour '91-'92』(1992年)内のインタビューより
  4. ^ 「PATi PATi」 1992年3月号
  5. ^ ちなみに布袋は8th『SCORPIO RISING』でも同作をタイトルとして引用している。
  6. ^ a b c d e f 布袋寅泰、ハービー山口、森永博志 『よい夢を、おやすみ。』より
  7. ^ BOØWY解散後、布袋のライブを氷室が観覧したのはこの時が初であり、これ以外の記録は残されていない。
  8. ^ 布袋寅泰『秘密』幻冬舎 (2006年)