鈴木園子

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鈴木 園子
名探偵コナン』のキャラクター
初登場 単行本5巻File.1「怪人…包帯の男」
アニメ6話「バレンタイン殺人事件」
作者 青山剛昌
岩佐真悠子(単発第1作・第2作)[1][2]
秋元才加(単発第3作、連続ドラマ)
松井菜桜子
詳細情報
愛称 園子
性別 女性
職業 高校生
家族 鈴木史郎(
鈴木朋子(
鈴木綾子(
恋人 京極真
親戚 次郎吉(従伯父
国籍 日本の旗 日本
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鈴木 園子(すずき そのこ)は、『週刊少年サンデー』で連載されている青山剛昌原作の漫画作品、およびそれを原作とするテレビアニメなどのメディアミックス名探偵コナン』の作品に登場する架空の人物。

アニメでの声優松井菜桜子が担当する。ドラマでの俳優岩佐真悠子(単発第1作・第2作)[1][2]秋元才加(単発第3作、連続ドラマ)が担当。

人物[編集]

毛利蘭は幼少期の保育園時代から幼なじみ親友であり、工藤新一も同様に幼なじみの同級生。帝丹高校2年B組在籍、テニス部所属[3][注 1]茶髪のボブカットヘアにカチューシャが特徴[注 2]。作中で登場した家族・親族は、父・史郎、母・朋子、姉・綾子、史郎の従兄・次郎吉

鈴木財閥の令嬢・次女であり、自宅では優雅な生活を送っているが、普段はそれを感じさせない気さくでさっぱりした性格。その一方で毛利小五郎に負けず劣らず単純で、能天気かつマイペース。容姿はそれなりの美人でスタイルも良いが、おしゃべりかつお調子者な面も災いして、蘭のようにナンパされたり男性ウケすることはあまりない。

家が財閥というだけあって別荘を日本に数多く持つうえ、海外にもハワイニースモナコなどに持つ[6]。著名人のパーティーに招待されることが多く、園子のコネでコナンや蘭・小五郎たちが同席させてもらえることもある。豪快な面もあるため、小五郎には「大金持ちのじゃじゃ馬娘」とあだ名されている。また、蘭よりはるかに流行に敏感で、服装の趣味も派手な傾向にあり、まれに腹部の出た服装もしたり、前述のパーティーなどの際には素肌を大胆に露出したドレスを着ることもある[注 3]

園子の趣味に付き合わされたコナンや蘭が事件に遭遇するという展開が多く、園子のゴシップがコナンの情報源になることもある[7]。園子が登場する時は蘭が共に行動し、コナンが蘭についていくのが定番である[注 4]。まれに犯人に襲われてしまうこともあるが、京極真目暮警部らに助けられている[8][9]。また、誘拐犯に狙われることもある[10]

外面や普段のお調子者でサバサバした言動とは裏腹に情に厚く、親友の蘭のためなら何でもしようという友達想いな部分も多く[注 5]、蘭の試合の応援にもよく行っている様子で周りの目もそっちのけで蘭に声援を送っており、後の彼氏となる京極にもその点で見初められている[8]

原作での初登場は1994年の『週刊少年サンデー』第47号に掲載された「怪人…包帯の男」(単行本5巻にFile.1として収録)であるが、アニメではこの話をアニメ化した内容である34話 - 35話「山荘包帯男殺人事件」に先駆け、最初のアニメオリジナルとなる第6話「バレンタイン殺人事件」にて初登場を果たしている。

劇場版には全作品に登場。本編同様に自身のコネで蘭たちをパーティーなどに招待し、それをきっかけに事件が起こる場合がある。第5作『天国へのカウントダウン』では、作中に登場する「10年後の顔を予想する機械」で10年後の姿が見られる[注 6]が、その結果は現在からかなり容姿が変わっていたこともあり、不満の意を述べている。同作では灰原哀を真似て髪にウェーブをかけていたことから、ジンから灰原の本来の姿である宮野志保(シェリー)と誤認されて狙撃されるが、コナンの機転によって狙撃は間一髪で回避され、誤認もその直後の挙動から解けている。第11作『紺碧の棺』では蘭との友情、第23作『紺青の拳』では京極の活躍にスポットが当てられ、園子もメインキャラクターとして描かれている。

探偵役[編集]

原作での初登場時、腕時計型麻酔銃で蘭を眠らせるつもりだったコナンの狙いが外れ、たまたま当たってしまったために探偵役に抜擢される[12]。調子の良さで自分の手柄と勘違いしたことから、それ以降も小五郎の不在時に眠らされることが多い[注 7]が、探偵役の際は普段の言動への印象ゆえ、本来よりもかなり冷徹かつ高飛車にされてしまっている[注 8]

「眠ったまま」事件を解決するために周囲から「眠りの園子」と呼ばれる一方、自分では「推理クイーン園子」とも称している[注 9]。ただし、普段は「探偵」として活動しているわけではないため、小五郎のように推理力が高いと世間に認識されるまでには至っていない。蘭はコナンに眠らされて見せる園子の探偵能力を素直に凄いと信じ、本当の園子も他人へのツッコミ発言などに勘の鋭い面を見せるが、推理力や観察力では、コナンの力を借りつつも自力で何度か解決したことのある蘭の方が優れている(そのことに蘭も園子もお互いで気付いてはいない[15])。

小五郎と同様、物語に世良真純安室透沖矢昴といった推理力に優れた面々が登場するにつれ、コナンに眠らされて探偵役とさせられる頻度は少なくなる傾向がある。また、劇場版では一度も探偵役にされていない[注 10]

対人関係[編集]

蘭や新一とは保育園に通っていた頃からの幼馴染であり、蘭のネームプレートを奪ったいじめっ子に立ち向かったり、そのいじめっ子の顔を引っ掻いて泣かせるなど、当時から気が強く友人想い[16]。自分に憎まれ口をたたいていた新一と蘭の仲を冷やかすことは、コナンと化した彼の不在以降における日常の定番となっており、綺麗な景色などに感動している蘭を見て「ああ、この景色を新一と一緒に見られたら…」と冷やかしては、彼女に「もう、園子!」と返されている[注 11]。一方、「新一に告白された」と蘭から聞かされた際には周囲に聞こえるほどの大声で驚いて「蘭も返事した方がいい」と勧める[17]など、2人の仲の進展を真剣に考えている様子も見られる。また、新一のイケメンぶりと推理力については、前述の言動で皮肉を交えながらも認めている。新一と園子も、お互い会話に皮肉を交えつつも大切な友人同士であることには変わりない。

コナンのことは「ませた生意気なガキ」と見ており、たびたび文句をぶつけるなどぞんざいな対応をしているが、蘭たちの前でも「子どもにしては、なかなか勘が鋭いのよね」とその頭の良さを評価するなど、彼を認めている節もある。また、コナンのことを名前で呼ぶことはほとんどなく、「眼鏡のガキンチョ」もしくは単に「ガキンチョ」と呼んでいる[注 12]

黒ずくめの組織の事件には直接関わっておらず、組織の存在も知らないが、喫茶店「ポアロ」で働いている安室透(バーボン)とは無自覚なまま交流がある[18]ほか、「米花いろは寿司」で働いている脇田兼則(ラム)[19]ベルモットが変装した新出智明榎本梓に接触しており[20]、安室とベルモットからは「蘭と新一の幼馴染で鈴木財閥の令嬢」として存在を認識されている。劇場版では先述の通り、ジンに射殺されそうになったこともある(ジンは日本トップクラスの資産家である鈴木財閥の存在は認識しているが、園子の存在まで意識していない)。

京極と恋人になるまでは、手品盆栽などさまざまな同好会に入っては頻繁にイケメン探しをしていたが、きわめて男運が悪いこともあり、成功したことはない[注 13]

怪盗キッドの大ファンであり、京極と恋仲となってからも、そのミーハーぶりはとどまるところを知らない[23]。また、コナンに麻酔銃で眠らされたためにキッドに会えなかったときにはコナンや蘭を引き連れ、自暴自棄になってカラオケオンステージを開いた[24]ほか、次郎吉の宝石がキッドに狙われたときには妄想内で宝石ごと彼にさらわれ、京極と取り合いされることに嬉々としたほどである[25][注 14]。ただし、キッドへの感情はあくまでもファンとしての憧れであり、京極と勝負することになったキッドに協力を持ちかけられた際には、試合を控えていた彼のことを想い「(京極に)ケガさせないでね」と念を押していた[23]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 原作でもテニスをしに出かけることは多いが、毎回のように雨天や事故で中止になる[4]ため、プレイするシーンは無い。中学校の先輩である内田麻美の所属を知らなかった[5]ことから、中学時代は他の部活であったようにも示唆されている。
  2. ^ 小・中学生の時はリボン付きのカチューシャをつけていた。
  3. ^ テレビスペシャル『ルパン三世VS名探偵コナン』では、このドレス姿でSPたちに押し潰されるコミカルな姿も描かれている。
  4. ^ 園子が登場して蘭が登場しない回は、原作・アニメ共に一度も無い。
  5. ^ 劇場版第4作『瞳の中の暗殺者』で蘭が記憶喪失になったときは、「たとえ記憶が戻らなくても、あたしは一生友達だから」と号泣するほど。蘭も、『お金で買えない友情』事件の回想で新一に「園子と一生親友でいたいと思っている」と語っている[11]
  6. ^ 10年後の姿は、OVA10年後の異邦人』でのコナンの夢にも登場する。
  7. ^ アニメ版では初登場以降の話である「6月の花嫁殺人事件」で初めて探偵役にされた[13]
  8. ^ 灰原からも、あまり会話したことがないにもかかわらず「お尻が軽そう」と評されており[14]、園子の方も(外見は)子供ながらクールで大人びた灰原を苦手としている。そのため、劇場版第9作『水平線上の陰謀』でかくれんぼの鬼役として組むことになった際には、コナンに「異色のコンビ」と評された。
  9. ^ 小五郎のように、自身の手で解決したと思っているその背景にコナンの存在があるのではないかとの疑念を抱いたりしたことはないが、眠らされていたことにより事件を推理した記憶がないことに対して違和感を覚えている描写はある。
  10. ^ 劇場版第8作『銀翼の奇術師』ではコナンが妃英理を探偵役にする際、誤って園子の声を出してしまったことがある。
  11. ^ 劇場版第7作『迷宮の十字路』では、蘭から日ごろの仕返しとして「ああ、この景色を真さんと見られたら超ハッピーかもかも」と冷やかされていた。
  12. ^ 初期の頃は「コナン君」と呼ぶことも少なくなかったが、その後滅多に呼ばなくなっていく。ただし、探偵役の際など場合によっては「コナンくん」と呼ぶこともある。
  13. ^ 過去に誘われたイケメンは、粗暴かつ腰抜けな男・太田 勝(おおた まさる、声 - 井上倫宏[12]、「女なんて物にしてしまえばこっちのもの」と言う女たらし・若王子 士郎(わかおうじ しろう、声 - 一条和矢[21]、さらには不正の隠蔽に教え子を殺した小学校教師・下田 耕平(しもだ こうへい、声 - 水野龍司[22]、茶髪の恋人に振られた因縁から茶髪の女性を狙う連続殺人犯・道脇 正彦(みちわき まさひこ、声 - 平田広明[8]など、真以外はみな何かしら問題のある男だった。また、たとえ性格や素行に難点の無いイケメンでも劇場版第19作『業火の向日葵』に登場したニューヨーク市警察チャーリー刑事(声 - 咲野俊介)のことは、キッドのことを「殺人鬼」と評したために嫌っている。
  14. ^ 劇場版第14作『天空の難破船』では自分とキッドとのキスシーンを妄想し、蘭にツッコミを入れられていた。

出典[編集]

  1. ^ a b "名探偵コナン 工藤新一への挑戦状〜さよならまでの序章(プロローグ)〜". 名探偵コナン. 2 October 2006. 日本テレビ系列. 読売テレビ
  2. ^ a b "名探偵コナン 工藤新一の復活!〜黒の組織との対決(コンフロンティション)〜". 名探偵コナン. 17 December 2007. 日本テレビ系列. 読売テレビ
  3. ^ 『名探偵コナン10+』202頁より。
  4. ^ 単行本40巻File.4「思い出のテニスコート」 - File.6「声が出ない…!?」(アニメ331話 - 332話「疑惑の辛口カレー」)など。
  5. ^ 単行本18巻File.3「初恋の人…」 - File.5「心は開く…!?」(アニメ100話 - 101話「初恋の人想い出事件」)。
  6. ^ OVA『16人の容疑者!?
  7. ^ 単行本16巻File.6「邂逅」 - File.9「終極」(アニメ76話「コナンVS怪盗キッド」)など。
  8. ^ a b c 単行本22巻File.8「それゆけ園子」 - File.10「蹴撃の貴公子」(アニメ153話 - 154話「園子のアブない夏物語」)。
  9. ^ 単行本28巻File.11「閉ざされた秘密」 - 29巻File.2「意外な理由」(アニメ217話 - 218話「封印された目暮の秘密」)。
  10. ^ 単行本59巻File11「疑惑の瑛祐」 - 60巻File2「瑛祐の告白」(テレビアニメ507話 - 508話「カラオケボックスの死角」)、ドラマ単発第1作、連続ドラマ第7話など。
  11. ^ 単行本39巻File.8「引き裂かれた友情[3]」(アニメ330話 「お金で買えない友情(後編)」)。
  12. ^ a b 単行本5巻File.1「怪人…包帯の男」 - File.5「殺人鬼の正体!」(アニメ34話 - 35話「山荘包帯男殺人事件」)。
  13. ^ 単行本8巻File.8「花嫁の悲劇」 - File.10「殺しの理由」(アニメ18話「6月の花嫁殺人事件」)。
  14. ^ 単行本31巻File.5「暖かき海」(アニメ246話「網にかかった謎(前編)」)。
  15. ^ アニメ838話「ふんわり気球で怪事件」(アニメオリジナル)など。
  16. ^ 単行本87巻File.6「蘭GIRL(前編)」 - File.9「新一BOY」(アニメ853話 - 854話「サクラ組の思い出」)。
  17. ^ 単行本72巻File.5「ヤバイ死に様」(アニメ625話「絶叫手術室(オペルーム)(前編)」)。
  18. ^ 単行本88巻File.10「ガールズバンド」 - 89巻File.1「死角での犯行」(アニメ836話 - 837話「仲の悪いガールズバンド」)。
  19. ^ 単行103巻File.9「煙滅」 - File.11「表裏」(アニメ未放送)。
  20. ^ 単行本90巻File.6「裏切りの制裁」 - File.9「裏切りの真相」(アニメ866話 - 867話「裏切りのステージ」)。
  21. ^ 単行本11巻File.5「大事な人!?」 - File.7「二つの謎」(アニメ32話「コーヒーショップ殺人事件」)。
  22. ^ 単行本14巻File.9「奇妙な集まり」 - 15巻File.3「涙で語る真実」(アニメ84話 - 85話「スキーロッジ殺人事件」)。
  23. ^ a b 単行本82巻File.1「鉄壁」 - File.3「雌雄」(アニメ746話 - 747話「怪盗キッドvs京極真」)。
  24. ^ 単行本20巻File.6「発露」(アニメ134話「奇術愛好家殺人事件(解決編)」)。
  25. ^ 単行本44巻File.7「奇蹟」 - File.10「脱出」(アニメ356話「怪盗キッドの驚異空中歩行」)。

外部リンク[編集]