名探偵コナン 天空の難破船

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名探偵コナン 天空の難破船
Detective Conan
The Lost Ship in The Sky
監督 山本泰一郎
脚本 古内一成
原作 青山剛昌
出演者 高山みなみ
山崎和佳奈
小山力也
山口勝平
堀川りょう
宮村優子
大橋のぞみ
音楽 大野克夫
主題歌 GARNET CROWOver Drive
製作会社 トムス・エンタテインメント
配給 東宝
公開 日本の旗 2010年4月17日
上映時間 102分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 32億円[1][2][3][4][5][6][7]
前作 名探偵コナン 漆黒の追跡者
次作 名探偵コナン 沈黙の15分
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名探偵コナン 天空の難破船」(めいたんていコナン てんくうのロスト・シップ)は2010年4月17日に公開された日本アニメ映画で、劇場版『名探偵コナン』シリーズの第14作目にあたる。配給は東宝。映像・音声はカラーワイドドルビーデジタル。上映時間は102分。興行収入は32億円[1][2][3][4][5][6][7]

キャッチコピーは「捕まった……!?」「怪盗VS名探偵-華麗なる冒険の空」。

第34回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞受賞作品。

概要[編集]

沿革[編集]

怪盗キッドが登場する映画は、第3作『世紀末の魔術師』、第8作『銀翼の奇術師』、第10作『探偵たちの鎮魂歌』と合わせて4作目となり、これまでの登場映画ではキッドのクールな面が強調されていたが、本作では『まじっく快斗』のようなコミカルなシーンが見られる。また、公開間近の2010年4月3日からは3週にわたり怪盗キッドが物語にかかわるエピソードであるテレビアニメ394話 - 396話「奇抜な屋敷の大冒険」[注 1]が本放送枠で再放送された。

本作では世界最大級の飛行船「ベル・ツリーI世号」を舞台に、主人公・江戸川コナンとライバル・怪盗キッドの共闘、謎のテロリストグループとの戦いを描いている。

TVシリーズのキャラクターからは、鈴木次郎吉が初登場。なお、2014年1月27日永井一郎が死去したため、永井が演じる次郎吉は本作が唯一である[注 2][注 3]

服部平蔵遠山銀司郎は2度目の登場を果たしており、遠山刑事部長の下の名前は本作で明らかになっている。

第4作『瞳の中の暗殺者』に登場した小田切敏郎が本作と次作『沈黙の15分』で再登場している。

オープニングの作品解説が例年に比べて大幅に短縮されているため、メインキャラクターの灰原哀や怪盗キッドらの紹介シーンも省略されている。鈴木次郎吉の紹介のほか、本編に登場するテロ組織「赤いシャムネコ」とは何者なのかという解説がありメインキャラクター以外のオープニング登場は初めてのことであった。また、毎年製作されている劇場ロゴにはコナンのシルエットはなく、オープニング映像にもロゴが登場しないという珍しい回である。

服部平次遠山和葉が初めて映画シリーズに2年連続で登場している。平次と和葉は、本作と同日に発売されたOVA大阪お好み焼きオデッセイ』にも出演している。また、コナンと平次が電話中に話題にした「お好み焼き屋さん」は、前作『漆黒の追跡者』のコナンとの電話で平次が「お好み焼き屋に連れて行ってやる」と約束していたときのことである。

毛利蘭が、『銀翼の奇術師』で怪盗キッドが新一に変装していたことを語っている。また、劇場版第9作『水平線上の陰謀』の空手の関東大会で蘭が優勝した話題を、藤岡隆道が述べる[注 4]

山口勝平は怪盗キッドとの兼任だが、本作に出てくる新一はキッドの変装であり、『水平線上の陰謀』同様、小学生時代の新一の声も高山みなみが担当しているため、山口勝平が演じる工藤新一の出番は極めて少なく冒頭の解説を除けば台詞は一言のみであった。

本作から毛利小五郎役は降板した神谷明に代わり、小山力也が演じている。本作以降の舞台挨拶にも神谷に代わり小山が、コナン役の高山みなみ、蘭役の山崎和佳奈と共に登場している。

本作には、平次にヒントを与える少年・川口聡役で大橋のぞみ、赤いシャムネコのメンバー役で優木まおみがゲスト出演している。大橋は役名付きの重要なキャラクターで出演したが、優木の役は名前がなく出番も少なかった。その後、優木は『名探偵コナン vs Wooo』第2話に本人役のレポーターとして再び出演している。

シリーズ恒例となっている阿笠博士からのダジャレクイズは、いつもは本編の序盤で出題されるが、本作では事件解決後になっている。

本作は映画シリーズで初めて、回想を含めて一度も殺人事件が発生していない作品である。2016年現在、このような作品は本作と2012年公開の第16作『11人目のストライカー』の2作品のみである。

金曜ロードショーのスペシャル番組として2011年4月15日2012年8月17日の計2回放送されている。

DVDBlu-rayは、2010年11月17日に発売された。また、本作の小説版が小学館のジュニアから2013年2月8日に発売された[8]

2016年に開催された歴代映画19作品の人気投票で、今作は9位を獲得した[9]

興行成績[編集]

全国352スクリーンで公開され、2010年4月17日と翌18日の初日2日間で観客動員数初日2日間の成績は動員47万1,527人、興収5億6,198万5,100円円となり、これは最終興行収入35億円の前作『漆黒の追跡者』との初動興行収入の対比で94.7%に及び、興行通信社の調査による映画観客動員ランキングでは初登場第2位となった[10][11]

ストーリー[編集]

東京都西多摩市の国立東京微生物研究所が、7人組の武装グループに襲撃される事件が発生する。武装グループは研究所に厳重保管されていた殺人バクテリアを強奪し、研究所を爆破して逃走した。

警視庁でこの事件について記者会見が行われ、小田切警視長は無用なパニックを回避するため、報道規制を敷こうとする。しかし、会見の最中にテロ組織「赤いシャムネコ」から「殺人バクテリアを手に入れた。7日以内に次の行動を起こす。」との犯行声明がインターネット上に流されたため、報道規制は無しになる。翌日、各新聞は一面でこの事件を取り上げ、テレビも朝からこの事件の報道一色となる。

時を同じくして、鈴木次郎吉がまたもや怪盗キッドに挑戦状を叩きつけた。鈴木財閥が建造した世界最大級の飛行船「ベル・ツリーI世号」に収めたビッグジュエル「天空の貴婦人(レディー・スカイ)」を盗んでみろというのが今回の挑戦状である。制限時間は東京を出発する13時から大阪に到着する19時までの6時間で、キッドからは「夕方、飛行船が大阪市上空に入ってから頂きに参ります」との返事が届いた。

赤いシャムネコの犯行予告期限の7日目、飛行船は次郎吉の招待を受けたコナン小五郎少年探偵団、さらに中森警部ら刑事と独占取材陣たちを乗せて離陸した。ところが、各々が遊覧飛行を楽しんでいた矢先、赤いシャムネコから「殺人バクテリアを船内にばら撒いた」との脅迫電話が次郎吉にかかってくる。喫煙所を調べると、ソファーの下に赤いシャムネコのアンプルが発見された。その直後、乗客と乗務員の2人に感染症状である発疹が発生。さらに船内に侵入した赤いシャムネコによって飛行船がハイジャックされ、船内に爆弾を仕掛けられてしまう。爆弾が爆発すれば乗客・乗務員全員が犠牲になる。そして、大阪上空で飛行船が爆発して細菌が飛散した場合、1000万人の人々が感染の危機に晒されるというバイオハザードが発生する未曽有の事態になってしまう。コナンは少年探偵団と協力して、各所に仕掛けられた爆弾を解除していく。

登場人物[編集]

メインキャラクター[編集]

オリジナルキャラクター[編集]

赤いシャムネコ[編集]

かつて財閥を標的に活動していたテロ組織。10年前に幹部が全員逮捕されて壊滅したが、再び活動を開始。その目的は、組織壊滅に協力した鈴木財閥の相談役・鈴木次郎吉への復讐とされている。国立微生物研究所から細菌を盗んだ後、飛行船「ベル・ツリーI世号」をハイジャックし、船内に爆弾を仕掛けて大阪に向かうよう要求した。また、ビッグ・ジュエル「天空の貴婦人(レディー・スカイ)」も狙っている。メンバーが使用している銃は「H&K USPコンパクト」「H&K MP5A5」。

リーダー
声 - 大友龍三郎
「赤いシャムネコ」のリーダー。髭を蓄えた強面の男で、冷徹な性格。
メンバー [注 5]
声 - 天田益男阪口周平松本大三宅健太優木まおみ
リーダーの部下で「ベル・ツリーI世号」をハイジャックした6人のテロリスト。メンバーは「CAT-A、B、C、D、E、F」とコードネームで呼ばれている。
優木まおみが演じた女性メンバーは、ウェイトレスとして人質を装っていたが、コナンと密かに連絡を取る灰原を発見した途端、正体を現し頬を平手打ちした。

容疑者[編集]

藤岡 隆道(ふじおか たかみち)
声 - 野田圭一
ルポライター。鈴木次郎吉VS怪盗キッドの取材をする。世界中を周り、病原菌が多い地域にも渡航経験がある。細菌の第1の感染者になってしまった。
水川 正輝(みずかわ まさき)
声 - 真地勇志
日売テレビディレクター。鈴木次郎吉VS怪盗キッドの中継指揮を執る。細菌の第3の感染者で「赤いシャムネコ」のリーダーに喫煙室へ放り込まれる。
西谷 かすみ(にしたに かすみ)
声 - 石毛佐和
番組製作会社のレポーター。少年探偵団がいないことを「赤いシャムネコ」のリーダーに聞かれてしまい、全員が爆弾を解体中に捕えられてしまった。
石本 順平(いしもと じゅんぺい)
声 - 池田知聡
番組製作会社のカメラマン。細菌ニュースに人員を奪われ次郎吉から文句を言われる。「赤いシャムネコ」のリーダー取材用のカメラを破壊された。
浅野 光洋(あさの みつひろ)
声 - 大川透
「ベル・ツリーI世号」の客室乗務員。冷静沈着な接客のプロで、コナン一行に船内を案内した。藤岡が煙草を吸う直前に喫煙室で吸うよう注意した。

ベル・ツリーI世号[編集]

ウェイター
声 - 谷山紀章
「ベル・ツリーI世号」の男性乗務員。展望ラウンジに設置した「天空の貴婦人(レディー・スカイ)」を見学中、蘭に怪しまれる。正体は怪盗キッドの変装。
ウェイトレス
声 - 伊藤静
「ベル・ツリーI世号」の女性乗務員。細菌の第2の感染者。喫煙室に仕掛けられた細菌の存在を知り、そこで喫煙したことから感染したと思い込んで気絶する。
作業員
声 - 石井真
「ベル・ツリーI世号」の男性作業員。「赤いシャムネコ」のメンバーに乗客らと拘束される。その後、ロープでキャビンに縛られるが無事に救出された。

警察関係者[編集]

宇野 忠義(うの ただよし)
声 - 大矢兼臣
警視庁刑事部参事官。国立東京微生物研究所襲撃事件の記者会見を小田切刑事部長と執り行った。 刑事部長室で小田切刑事部長と共に事件の経過を見守る。
鹿角 剛士(しかつの つよし)
声 - 広瀬正志
奈良の大仏顔な奈良県警捜査三課警部。携帯電話ゲーム『名探偵コナン 奈良旅情ミステリー』にも登場。キャラクター原案は原作者の青山剛昌が担当した。
操縦士
声 - 上野亮
コナン達を搭乗させたヘリコプターの操縦士。工藤新一に変装したキッドの指示で、コナンとキッドは「ベル・ツリーI世号」にハングライダーで乗り移った。

細菌学関係者[編集]

太田 千秋(おおた ちあき)
声 - 本多知恵子
女性細菌学者で眼鏡を着用している。コナンと電話中の平次が見ていたニュース番組で、強奪された細菌の感染経路・症状・危険性について解説をしていた。
研究員
声 - 小田敏充
国立東京微生物研究所の研究員。「赤いシャムネコ」に脅され、細菌保管庫の扉を開けてしまった。その後、負傷するも無事だったことが伝えられた。

その他のキャラクター[編集]

川口 聡(かわぐち さとし)
声 - 大橋のぞみ
遠山和葉の親戚。最近になって横浜から奈良に引っ越してきた少年で、推理が得意なことから服部平次のサポート役を務める。とてもマセており、平次をおじさん呼ばわりした後、隣にいた和葉にプロポーズしている。しかし、結局は和葉に諭されて諦めさせられた。推理力があり、平次も気が付かないことを見抜いて2人を納得させるなど「赤いシャムネコ」のメンバー逮捕に一役買うことになる。また、和葉からコナンのことを聞かされ、今度会わせてもらう約束をしていた。
住職
声 - 井原啓介
豪福寺の住職。警官に扮した「赤いシャムネコ」のメンバーに、細菌を積んだ飛行船が迫ってきたからと無理やり護送車に乗せられるも、後に無事が確認された。
ニセ警官
声 - 大西健晴
警官に変装した「赤いシャムネコ」のメンバー。リーダーの指示通りに無人の寺から仏像を運び出していたが、待機していた平次一行と奈良県警に逮捕された。
アナウンサー
声 - 大本眞基子
太田千秋の隣で細菌感染についてのインタビューをしていた女性アナウンサー。細菌の危険性について解説がなされたことを受け、注意するよう呼びかけていた。

スタッフ[編集]

主題歌[編集]

GARNET CROWOver Drive
作詞 - AZUKI七 / 作曲 - 中村由利 / 編曲 - 古井弘人
アニメシリーズではオープニング、エンディングテーマとして当時までに9曲もの楽曲で起用されているが、映画の主題歌として起用されるのは本作が初となった。
アルバム『parallel universe』通常版にボーナストラックとして「theater version」が収録された。

大阪お好み焼きオデッセイ[編集]

名探偵コナン MAGIC FILE4 大阪お好み焼きオデッセイ』は、2010年OVA作品で『天空の難破船』の後日談。

登場人物(OVA)[編集]

エンディングテーマ[編集]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 原作では、File.475「封印」 - File.478「不滅」(単行本46巻File.7 - File.10)。
  2. ^ 鈴木次郎吉以外では、第5作『天国へのカウントダウン』で如月峰水を演じている。
  3. ^ その後、第19作『業火の向日葵』からは富田耕生が引き継いだ。
  4. ^ 本作は、蘭の空手関東大会優勝が原作でも共通した設定になる前の作品である。
  5. ^ テロリストのメンバーとして6人の声優が出演したが、男性メンバーのうち1人の声優は不明。

出典[編集]

  1. ^ a b 2010年興行収入10億円以上番組 (PDF)”. 日本映画製作者連盟. 2015年5月16日閲覧。
  2. ^ a b “名探偵コナン:劇場版新作が興収60億円突破 シリーズ最高記録を更新”. まんたんウェブ (毎日新聞社). (2016年6月6日). https://mantan-web.jp/2016/06/06/20160606dog00m200008000c.html 2017年7月6日閲覧。 
  3. ^ a b “劇場版『名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』興行収入は、ついにシリーズ最高60億到達!?”. アニメイトタイムズ (アニメイト). (2016年6月6日). http://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1465190280 2017年7月6日閲覧。 
  4. ^ a b “劇場版『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』が、シリーズ歴代最高興収を記録! まもなく500万人動員、65億円突破へ”. アニメイトタイムズ (アニメイト). (2017年5月29日). http://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1496040765 2017年7月6日閲覧。 
  5. ^ a b “「劇場 名探偵コナン」シリーズ史上初 興収50億円突破で『純黒の悪夢(ナイトメア)』メガヒットに突入”. 映画/ドラマ (アニメ!アニメ!). (2016年5月9日). http://animeanime.jp/article/2016/05/09/28432.html 2017年7月6日閲覧。 
  6. ^ a b “劇場版「名探偵コナン 純黒の悪夢」興収60億円突破 シリーズ累計は600億円に”. アニメニュース (アニメ!アニメ!). (2016年6月6日). http://animeanime.jp/article/2016/06/06/28848.html 2017年7月6日閲覧。 
  7. ^ a b “【どこまで行く!?】『名探偵コナン から紅の恋歌』63.5億でシリーズ最高興行収入突破!”. T-SITE NEWS (TSUTAYA). (2017年5月29日). http://top.tsite.jp/entertainment/cinema/i/35612870 2017年7月6日閲覧。 
  8. ^ 青山 剛昌、水稀 しま 『名探偵コナン 天空の難破船』 小学館ジュニア文庫〉、2013年2月8日全国書誌番号:22201713ISBN 978-4092306363OCLC 840104933ASIN 4092306369
  9. ^ 名探偵コナン歴代映画人気投票”. 名探偵コナン公式アプリ. 名探偵コナン公式サイト. 2016年3月16日閲覧。
  10. ^ 壬生智裕 (2010年4月20日). “最終章を迎えた『のだめ』にまたもや首位の壁!4・17の激戦区を制したのはジョニー・デップの『アリス』【映画週末興行成績】”. 映画ニュース (シネマトゥデイ). http://www.cinematoday.jp/page/N0023911 2016年4月29日閲覧。 
  11. ^ 駒井尚文 (2010年4月20日). “国内映画ランキング : 2010年4月17日〜2010年4月18日”. 映画ランキング・映画興行収入. 映画.com. 2016年5月2日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]