辻野晃一郎

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つじの こういちろう
辻野 晃一郎
Kōichirō Tsujino.jpg
2009年、パシフィコ横浜で開催された
開発者向けイベントにて
生誕 (1957-07-10) 1957年7月10日(60歳)
日本の旗 日本 福岡県北九州市
出身校 慶應義塾大学
カリフォルニア工科大学大学院

辻野 晃一郎(つじの こういちろう、1957年7月10日 - )は日本技術者実業家Google日本法人 元代表取締役社長。学位は工学士および工学修士慶應義塾大学1984年カリフォルニア工科大学1988年)。

略歴[編集]

ソニー「VAIOデスクトップコンピューター部」[編集]

ソニーは1996年に新たにVAIOブランドによりPC事業に再参入した。辻野は1997年9月からデスクトップVAIO PCの事業責任者となり、「中身はウィンテルでもソニーのAudioとVidioの技術をふんだんに統合した新しいデジタル家電」という商品コンセプトで次々と斬新なデスクトップ型のVAIOを商品化し、ノートブック型を担当していた島田啓一郎と共にVAIOブランドの確立に大きく貢献した。また、不採算事業として引き取ったVAIOデスクトップ事業を2年で黒字転換させた。

ソニー「ネットワークターミナルソリューションズカンパニー、ホームストレージカンパニー」[編集]

VAIOデスクトップ事業の建て直しに成功した辻野は、2001年4月に新設されたネットワークターミナルソリューションズカンパニーのプレジデントに就任した。在職中にLinuxを用いた家電として画期的な次世代テレビCoCoonを開発している。その後、DVD録画機やHDD録画機の市場で大きく出遅れていたホームビデオカンパニーの梃入れを託され、ホームビデオカンパニーがネットワークターミナルソリューションズカンパニーに統合されてホームストレージカンパニーが新設されプレジデントに就任、直ちに「ジンギスカンプロジェクト」を結成して、出遅れていた上記市場に初代スゴ録ラインナップを投入し、一気にマーケットシェアを40%近くまで奪還した。

ソニー「コネクトカンパニー」[編集]

2000年代初頭まで、ソニーは携帯音楽プレーヤーウォークマンで圧倒的な市場を有していた。しかし、アップルiPodを発売すると、「ウォークマン」のシェアは短期間の間にiPodに奪われていった。そのような中、ソニーは、巻き返しに重い腰を上げ、2004年11月に「コネクトカンパニー」を新設し、辻野は米国人のフィリップ・ワイザーと共に、同カンパニーの「コ・プレジデント」に任命された。しかしながら、当時は既にソニーのガバナンスは混乱状態にあり、ソニーはウォークマンを担当する「パーソナルオーディオカンパニー」をそのまま存続させた上で、別途コネクトカンパニーを設立した上、デバイスは日本の担当、音楽配信事業は米国の担当、メディアプレーヤーは双方の共同開発というような、非常に複雑な布陣でのスタートとなった。辻野は再三にわたってコネクトカンパニーのあるべき姿を当時の経営陣に具申したが、その意見が取り入れられることはなく、コネクトカンパニーはまさに様々な確執が渦巻くソニーグループ全体の縮図のようであった。当時の記者会見において、辻野は「きたるべくデジタルメディア、ネットワーク時代の新しいパラダイム、新しいビジネスモデルの確立を目指す」として [3] コネクトカンパニーを軌道に乗せるために日米間を奔走して関連者を説得して回り、それまでのソニーの方針であった、MP3非対応やATRAC、OpenMGにこだわり続けてきた戦略を改めた。また、直ちにウォークマンAシリーズや、使い勝手の面で問題視されていたSonicStageに代わる新たなメディアプレイヤーであるコネクトプレイヤーの開発に取り掛かった。しかしながら、辻野に与えられた時間は短く、iPod nanoの投入が確実視される中、time to marketを重視した辻野は、コネクトプレイヤーを市場投入後に迅速にバージョンアップを継続して完成度を上げて行く作戦でウォークマンAシリーズとコネクトプレイヤーの商品化を断行したが、やはりコネクトプレイヤーの完成度が問題視され、市場の評判はいいものではなかった。この時点で、コネクトカンパニーの発足を決めた経営陣は既に総退陣しており、新たな経営陣は方針を撤回して、コネクトカンパニーは設立後わずか一年余りで廃止されることとなり、辻野が思い描いたような展開を継続することは出来なくなった。辻野はコネクトカンパニーの廃止と共に、2006年3月にソニーを退社した。

エピソード[編集]

2014年2月17日に掲載された『東洋経済オンライン』の記事「パソコンで終わらない、切り刻まれるソニー」[4]において、ソニーのVAIO事業売却に関して、辻野が以下のようなコメントを行った。「かつてVAIO部隊は精鋭の集まりだった。人材やVAIOというソニー最強のサブブランドの力を、縮小するパソコン事業に固定化しておく必要はなく、他の商品や新商品へ活用できたはず」 これに対して、Twitter上である匿名の人物(本稿ではA氏とする)が、辻野に対する批判ツイートを行なった。それを発見した辻野とA氏との間でしばしtwitter上での論争があった。辻野は延々と続く論争に終止符を打つためにネット上で本人が公開している情報から知り得た本人の名前で相手に語りかけたが、これに驚いた相手がそれまで続けていた一方的な批判ツイートをすべて削除した上で辻野に謝罪し、実名の削除を求めた。これに対して辻野は、「ご自分の信念に基づいた発言と行動であれば削除も謝罪もまったく必要ありません。」と一切取り合わなかった。しかし、これが後にネットメディアに取り上げられ、匿名批判の是非や辻野が相手の実名を出したことについて論争のネタとなり炎上騒動となった。辻野はこの一件に関して、その時の思いをネットメディアに寄稿している。[5]

著書[編集]

  • グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた(2010年11月 新潮社) ISBN-10: 4103288213、ISBN-13: 978-4103288213
  • グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた(2013年3月 新潮文庫) ISBN-10: 4101384614、ISBN-13: 978-4101384610
  • 成功体験はいらない(2014年6月 PHPビジネス新書) ISBN-10: 4569809138、ISBN-13: 978-4569809137
  • リーダーになる勇気(2016年1月 日本実業出版社) ISBN-10: 4534053401、ISBN-13: 978-4534053404
  • 「出る杭」は伸ばせ!なぜ日本からグーグルは生まれないのか?(2016年12月 文藝春秋) ISBN-10: 4163905758、ISBN-13: 978-4163905754

出典[編集]

  1. ^ ソニー株式会社, Sony Japan ニュースリリース 人事 機構改革 実施のお知らせ, http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200412/04-064/ 
  2. ^ http://www.alex-x.com/corporate/index.html
  3. ^ AVwatch, 「ウォークマン復権」へコネクト戦略を推進 「自社技術に固執せず」。WMA/AACもサポートへ, http://av.watch.impress.co.jp/docs/20050908/sony1.htm 
  4. ^ 風間直樹, 東洋経済オンライン「パソコンで終わらない、切り刻まれるソニー」PC撤退、テレビ分社化、事業の切り売りが続く, http://toyokeizai.net/articles/-/30854 
  5. ^ 先人が切り開いたソニー・スピリットの復活を心から祈る――ソニーの病巣の深さを改めて考えた, http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38492 

外部リンク[編集]