機動警察パトレイバー the Movie

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機動警察パトレイバー the Movie
監督 押井守
脚本 伊藤和典
原案 ゆうきまさみ
原作 ヘッドギア
出演者 古川登志夫
冨永みーな
大林隆介
榊原良子
音楽 川井憲次
撮影 吉田光伸
編集 森田編集室
配給 松竹
公開 日本の旗 1989年7月15日
上映時間 98分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
次作 機動警察パトレイバー 2 the Movie
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機動警察パトレイバー the Movie』(きどうけいさつパトレイバー ザ ムービー)は、1989年に公開されたアニメーション映画作品。同時上映作品は『SDガンダムの逆襲』。

あらすじ[編集]

すべてが朱に染まる夕暮れ、篠原重工の天才プログラマー・帆場暎一が、バビロンプロジェクトの要となるレイバー用海上プラットホーム「方舟」から口元に嘲りの笑みを浮かべながら投身自殺する。時期を同じくして、レイバーが突如暴走する事件が多発。遂には自衛隊の試作レイバーまでが無人で暴走事件を起こす。

特車二課第1小隊は、近々正式配備される新型パトレイバー(通称「零式」)に関する研修中のため不在。単独で暴走事件の処理に追われる第2小隊の篠原遊馬巡査は、多発する暴走事件の異常性にいち早く気付いて独自に調査を始め、原因が暴走した機体すべてに搭載されていた篠原重工製の最新レイバー用OS「HOS」(Hyper Operating System)ではないかと推測する。また、同様の疑念を抱いていた第2小隊長・後藤喜一警部補は、「HOS」の主任開発者だった帆場の捜査を、本庁の松井刑事に依頼していた。

遊馬の調査の結果、「HOS」が意図的に引き起こす暴走が事件の原因で、暴走の引き金が強風によって建造物から発せられる低周波音であることが明らかとなるが、知らせを受けた警視庁上層部や政府は、有力企業である篠原重工との関係やHOSを認可した国の責任問題の隠蔽を重視し、旧OSに戻すこと(公式には「HOS」のバージョンアップと称される)で政治的決着を図ろうとする。

そしてすべての謎が解明された時、大規模な暴走の引き金となる強風=台風の接近と、その台風により大音量の低周波音を発する東京湾上の浮遊建造物「方舟」を解体するため、第2小隊は「方舟」に向けて緊急出動する。

声の出演[編集]

※各登場人物の詳細は機動警察パトレイバーの登場人物を参照。

スタッフ[編集]

製作[編集]

本作の制作に当たっては、「劇場版3つの誓い」なるものが発表された。詳細は機動警察パトレイバーの項を参照。

本作の制作に当たっては、近未来の東京を強く演出するため下町的雰囲気の残る場所に対する綿密なロケハンが行われ、松井刑事達が帆場の痕跡を求めて東京を巡るシーンに結実している。

作画監督の黄瀬和哉の手により、劇中キャラクターの作画はキャラクターデザインの高田明美の絵柄から遠ざかり、目を小さく描き、口元や頬の下に影を描くなど、OVAシリーズのアニメ的な絵と大きく異なる写実的なテイストが加えられた。本作に続く劇場版2作目ではそうした作画の傾向がさらに推し進められ、高田も当初よりそれを考慮してデザインをあげたという。

音楽[編集]

イメージソング[編集]

本作にはイメージソングとして新旧OVA、TV版の主題歌を歌った笠原弘子による「約束の土地へ」という曲が添えられている。オリジナル音源は本作の前売りチケットマガジン(通称チケマガ)CD等に収録されているが、事前のプローモーションで使用されたのみであり、本編でこの曲が流れる場面は無い。ただし、後日発売されたミュージックビデオには収録されている。

劇伴[編集]

OVA版に引き続き川井憲次が担当した劇伴は、従来のシリーズの路線を引き継ぎつつも、本作がコンピューター犯罪をテーマとしたサスペンス劇であるという点から、打ち込みを多用したアレンジの楽曲と、パーカッションを多用したミステリアスな民族音楽的アレンジの楽曲が目立つ。

作曲の際には、事前に導入されたYAMAHAのリズムマシン「RX5」の機能と音色から多くのインスピレーションを得たという。また、1998年には本作のDVDソフト化に伴う音源の5.1chサラウンド化に際して、サウンドトラックのリメイクが行われている。これは単なるサラウンド化だけでなく、劇場公開当時はPCMシンセ等で製作されていたパートをよりクオリティの高い音色や生音に差し替えるといったブラッシュアップが図られている。だが、オリジナルの製作当時とリメイク時では川井の製作環境も当然変化しており、データの復旧やバックアップ媒体の捜索には苦心したと語っている。中には旧サントラから川井が耳コピーで音を拾って再現したものもあったという。

作品解説[編集]

映画公開当時の1980年代後半は、まだパソコンの普及度が低い時代だったが、その頃から早くもコンピュータウイルスに着目し、ストーリーの重要な要素として取り上げている。特定の高性能なOSが市場を独占し、社会システム全体を支配することへの警鐘も見られる。

OVAシリーズの設定に準じ、特車二課棟の所在地は大田区城南島の架空のブロックに設定されている。

考察[編集]

看板建築など近代建築史が専門の藤森照信東京大学教授から受けた影響も大きい。その他、方舟バベルエホバ666ヨハネ黙示録)など劇中の各所に旧約聖書新約聖書の要素が用いられている。

関連商品[編集]

LD[編集]

  • ノートリミング、ビスタサイズ、CLV収録。
    • 初回プレス版と通常版でジャケットが異なる。
  • 機動警察パトレイバー 2 the Movie』とセットになったLD-BOX「機動警察パトレイバー劇場版 コンプリートワークス」が販売された。CAVにて収録。

DVD[編集]

  • 1998年に最初にDVD化された。LD大のパッケージだった初回特典版にはキャストのインタービュー記事などが同封されていた。また、音声は劇場公開版とDVD化のためにリニューアルした音声の2種類を収録した。また、これ以降のDVD/BDの音声は劇場公開版とサウンドリニューアル版を同時収録するマルチオーディオ仕様になった。
    • 5.1chサラウンド化音声リニューアルは川井のサウンドトラックのみならず、効果音や台詞の再録音も実施されている。主要人物はもちろん、1989年録音時に端役を担当していた立木文彦、林原めぐみ、子安武人にいたるまで、ほぼ当時のキャストが再集結した。オリジナル版で「シュミレーション」と発音していた個所も「シミュレーション」と修正されているなど、リニューアル版の台詞は一部のパートで変更されている部分がある。
  • 初回盤の販売後は通常版として通常のトールケースで販売された。ブックレットは縮小されてはいるが、初回盤の内容が記述されている。
  • 2と共に米国でも発売。(豪華版:89ドル99セント。通常版:29ドル99セント)
  • 2004年1月23日から絵コンテがセットになったLimited Editionが1年間の限定発売。
  • 劇場版シリーズのメイキングが収録されたDVDおよび各種雑誌記事などが本として付属した「PATLABOR MOVIE ARCHIVES」が2004年2月25日に発売された。
  • Blu-ray Disc/HD DVDとDVDがセット(各ディスクそれぞれに本編が収録されている)になった商品が2007年7月27日に国内発売された。

BD[編集]

  • 上述のDVDとのセットが2007年7月27日に発売。
  • Blu-rayの単品版が2008年7月25日に発売。

プラモデル[編集]

この映画の公開に合わせて1/60スケールのイングラムのプラモデルが「イングラム 劇場版」としてバンダイから発売された。このときシリーズナンバーが1とされた。しかしテレビシリーズ開始時に「イングラム TV版」(シリーズナンバー2)として金型改修が行われたため後は一切再発されておらず、バンダイの公式サイトにも記述がない(2008年現在)。このためパトレイバーのプラモデルにはシリーズナンバーが銘打たれているが、「1」の名を持つ商品が再発売できない状況となっている。

こぼれ話[編集]

  • プロデューサーの石川光久は押井がアニメーターに対してあまりにも度を越えた高い水準を要求する姿勢に腹を立て「もうあんたとは二度とやらん」と言ったと語られるがその後仲直りしたらしく、石川は以降の押井アニメに欠かせないメンバーとなった。
  • 作画監督の黄瀬和哉もまた押井アニメに欠かせない一員となり、後に作画監督として関わった『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』、『WXIII 機動警察パトレイバー』でも本作と同様の作画スタイルが採られている。
  • 同時上映であるSDガンダムのアニメ作品『SDガンダムの逆襲』には、「SD戦国伝」の「自衛丸」として足軽+岡引風のイングラム1号機と2号機が登場している。ジェガンのSD戦国伝バージョンという扱いだが、かねてからジェガンとイングラムは同じ出渕裕デザインであり、原作者の一員であるゆうきまさみも「両者の顔つきはそっくり」とネタにするほど。これとは別に「慈絵丸」として、よりジェガンに忠実なデザインのキャラクターも存在し、自衛丸たちはその従兄弟にあたる。
  • NHKの「BSアニメ夜話」で取り上げられた時にゲスト出演した出渕裕によって、「実際の帆場暎一ははるか以前に亡くなっており、冒頭で投身自殺した帆場暎一なる人物は死んでいない」とする押井案が存在したことが語られた(押井本人が同人誌などのインタビューでも語っている)。この案は周囲の反対にあって没となったが、帆場が飛び降りるシーンは象徴的に描かれ、はっきりと死亡が確認できる場面はない(「死体は上がらなかった」という台詞がある)。
  • NEC PC-9801用の、HOSのオープニング画面を表示するフリーソフトウェア「HOSop」が存在する(Vectorでダウンロード可)。

外部リンク[編集]