15区 (パリ)

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パリ・15区の位置
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パリ・15区の位置

パリ15区 (15く、: 15e arrondissement de Paris) は、フランス首都・パリ市を構成する20の行政区のひとつである[1]。第15区、パリ15区ともいう。市の南西部に位置しており、セーヌ川の南岸に面している。

概要[編集]

パリの15区は、市の南西部にある行政区。「ヴォージラール区 (Arrondissement de Vaugirard)」と呼ばれることもある [2]セーヌ川の南岸に面しており、菱形に近い形をしている。南西には、ペリフェリック (パリ環状道路)に沿う形で市の境界線が敷かれており、オー=ド=セーヌ県に接している。人口は225,362人 (1999年)で、20区の中では最も多く、市の人口の10.6パーセントを占めている(人口の推移等詳細については後述)。

区の名称は、市の中央部から時計回り螺旋を描くようにして各区に付けられた番号を基にしており、当区はその15番目にあたることから、「15区」と名づけられた。15区の主要な施設としては、トゥール・モンパルナスモンパルナス駅パスツール研究所ネッケル小児病院などがある。また、セーヌ川に浮かぶ白鳥の島 (イル・デ・シーニュ)には、自由の女神像がある。

地理[編集]

パリ・15区の概略図
Front de Seine 「フロン・ド・セーヌ」(15区内の超高層ビル群、対岸16区からの眺め、2012-11-08).
自由の女神像.

15区は、パリの南西部に位置している。セーヌ川の南岸に面しており[3]、菱形に近い形をしている。面積は8.50 平方キロメートルで、20区のうちでは12区16区に次いで3番目に大きい。森林部(ヴァンセンヌの森ブローニュの森)を除けば、20区最大の面積となる。

北東は、同じパリの行政区である7区に接し、東寄りの一部は6区に接している。北西は、セーヌ川を挟んで16区に接している。南東は14区に接している。南西は、ペリフェリック (パリ環状道路)に沿う形でパリ市の境界線が敷かれ、オー=ド=セーヌ県の各自治体、南東はマラコフ、南はヴァンヴ、南西はイシー=レ=ムリノーに接している。

地形[編集]


隣接する自治体(行政区)[編集]

地区(カルチェ)[編集]

パリ・15区のカルチエ詳細図

パリの行政区は、それぞれ4つの地区(カルチェ)に区分されている。15区を構成する4地区のコードと名称は、次のとおりである。

住民[編集]

人口[編集]

15区の人口は、1962年には250,551人となり、ピークに達した。その後は減少を続けたが、1990年の223,940人を底に再び増加に転じ、1999年にはピーク時の9割程度の225,362人となった。20区のうちで最も人口が多く、1975年以降は、パリの人口の10パーセント以上を占めている。2005年の推計では232,400人と見積もられており、人口の増加が見込まれている。

また、人口の減少とともに人口密度も減少しており、1999年の人口密度は、ピーク時の9割程度の26,507人となっている。人口の推移の詳細は、次のとおりである。

区人口 市人口 区人口/市人口 区人口密度 市人口密度 備考
1872年 75,449 1,851,792 4.07% 8,874 21,303
1954年 250,124 2,850,189 8.78% 29,419 32,788
1962年 250,551 2,790,091 8.98% 29,470 32,097 人口がピークに達する。
1968年 244,080 2,590,771 9.42% 28,709 29,804
1975年 231,301 2,299,830 10.06% 27,205 26,457
1982年 225,596 2,176,243 10.37% 26,534 25,035
1990年 223,940 2,152,423 10.40% 26,340 24,761
1999年 225,362 2,125,246 10.60% 26,507 24,449
2005年 232,400 2,166,200 10.73% 27,335 24,920 人口は推計。

歴史[編集]

政治・行政・司法[編集]

主な官公庁・公共機関[編集]

15区役所 (La mairie du 15e arrondissement.)
同区役所
  • 国土監視局Direction de la Surveillance du Territoire; DST) - 内務省フランス国家警察管轄の対内治安に関する情報機関(ないし諜報機関)。2007年まで15区グルネル地区ネラトン通り(Rue Nélaton)7番地にあった。2008年7月1日に国土監視局は統合され、現在の国内治安総局に改組。ルヴァロワ=ペレに所在する。一方、対外治安総局は、パリ外郭環状の20区モルティエ大通り(Boulevard Mortier)141番地界隈にある。
  • 第15区役所Mairie du 15e arrondissement)- 区のほぼ中央、ルクールブ通り(Rue Lecourbe)沿いに位置するユベール=モンマルシェ広場(Place Hubert-Monmarché)にある。同通り西側周辺界隈にはサン=ランベール公園が位置する

軍事[編集]

国際機関[編集]

経済[編集]

主な企業[編集]

  • サフラン・グループ本社(Safran S.A.) - 軍需企業。ジェネラル・マルシャル・ヴァラン大通り (Boulevard du Général Martial Valin) 2番地に所在する。
  • ナバル・グループ本社(Naval Group) - 2017年6月28日にDCNS (Direction des Constructions Navales Services) から現在名に改称した軍需企業。ドクトゥ・フィンレ通り (Rue du Docteur Finlay) 40番地に所在する。現在の本社建物は、オーギュスト・ペレとギュスターヴ・ペレ (fr) 兄弟の作品。
  • グループ・レ・ゼコ=ル・パリジャン(Groupe Les Échos-Le Parisien) - LVMHグループに属するメディア関連の持株会社。グルネル大通り (Boulevard de Grenelle) 10番地に所在する。傘下に以下。
    • ル・パリジャン本社(Le Parisien) - 新聞社。同グルネル大通り10番地にある。
    • レ・ゼコ本社(Les Échos) - 経済新聞社。同グルネル大通り10番地にある。
  • フランス・テレビジョン本社(France Télévisions) - 公共放送会社。エスプラナド・アンリ・フランス (アンリ・フランス大通り, Esplanade Henri France) 7番地に所在する。
  • Orange本社(オランジュ、Orange S.A.) - 通信会社。オリヴィエ・ド・セール通り (Rue Olivier de Serres) 78番地に所在する。

主な店舗・商業施設[編集]

パティスリー

その他[編集]

健康・福祉[編集]

保健・医療[編集]

生活[編集]

墓地等[編集]

学術・研究[編集]

研究施設[編集]

Musée, Institut Pasteur(パスツール研究所)

教育[編集]

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大学等[編集]

  • ESCP EUROPEESCP EUROPE
    • 名門グランゼコールの一つで、元パリ高等商業学校。1819年の設立時からの校舎はマレ地区のシュリー館 (hôtel de sully) にあった。11区レピュブリック大通り79番地に本部校舎があり、15区アルマン・モワザン通り (Rue Armand Moisant) 3番地にモンパルナス校舎がある。

高等学校[編集]

その他[編集]

文化施設[編集]

美術館・博物館[編集]

La musique, Musée Bourdelle, Paris

映画館・劇場[編集]

その他[編集]

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宗教施設[編集]

教会・寺院[編集]

観光・憩い[編集]

建築[編集]

Front-de-Seine
右の赤い建物がオテル・ノヴォテル・パリ・トゥール・エッフェル(2001年までは日本航空の子会社により開業運営されていた)

公園・緑地等[編集]

Le jardin Atlantique et la tour Montparnasse (Quartier Necker).
Square Saint-Lambert
Square clos feuquieres

旧跡・記念碑等[編集]

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  • 自由の女神像Statue de la Liberté
    • 原型たるパリの"自由の女神像"は、白鳥の島 (イル・デ・シーニュ)の南端にある。

交通[編集]

空港[編集]

鉄道[編集]

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高速道路・有料道路[編集]

道路[編集]

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橋梁[編集]

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セーヌ川に架かる区内の橋は、次のとおりである(上流順、つまり東西順に列挙)。

広場・交差点[編集]

パリの「広場 (プラス, Place)」は、しばしば2以上の道路が交差する場所に位置し、中心の「島」を道路が周回するロータリー状の交差点となっている場合が多い。中心の「島」部分は、オベリスク緑地等に利用されている場合もあり、凱旋門があるシャルル・ド・ゴール広場は世界的に有名である。15区の広場や交差点には、次のようなものがある。

著名な出身者[編集]

政治[編集]

芸能[編集]

著名な居住者[編集]

政治[編集]

学者[編集]

文化[編集]

モンパルナス大通り (Boulevard du Montparnasse) 居住者
メーヌ大通り (Avenue du Maine) 居住者

芸能[編集]

その他[編集]

ゆかりの人物[編集]

文化[編集]

芸能[編集]

脚注[編集]

  1. ^ フランス語の 「15e 」 = 「quinzième 」 は、英語の「fifteenth 」 に相当する序数。「第15の」 「15番目の」を意味する。したがって、原語の「15e arrondissement 」を直訳すると「第15区」となる。
  2. ^ レジフランスLégifrance). “地方自治一般法典 (Code Général des Collectivités Territoriales (CGCT))” R2512-1条. 2008年6月26日閲覧.
  3. ^ セーヌ川の左岸にあたる。
  4. ^ 岩田誠 『パリ医学散歩』、岩波書店、1991年、p.139.
  5. ^ Emporis.com - The World's Website about Buildings. “Front de Seine” (英語) 2008年8月13日閲覧.
  6. ^ Paris-Skyscrapers.fr. “Cheminée du Front-de-Seine” (仏語) 2008年8月13日閲覧.
  7. ^ http://www.critikat.com/Edouard-Luntz.html
  8. ^ "Foucault et le XVe arrondissement". www.paris15histoire.com. {{cite web}}: Cite webテンプレートでは|access-date=引数が必須です。 (説明).
  9. ^ Brigitte Hermann, Sophie-Marguerite, Paris 15e. Balades et bonnes adresses, Paris, Christine Bonneton,‎ , 224 p. (ISBN 9782862534923), p. 17-26.

参考文献[編集]

  • MICHELIN, ed (2007) (フランス語). Plan Atlas 56 – Paris du Nord au Sud –. MICHELIN. ISBN 978-2-06-710591-1 (パリ市内の詳細地図。)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]