トラム (パリ)

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パリ市内を運行するトラム3号線

パリトラム路面電車)は、メトロRER、バスと並び、パリとその近郊を走るイル=ド=フランス首都圏の公共交通機関である。

現行の路線はT1, T2, T3, T4のように表記され、4路線が走る。パリ市内を走るのはそのうちT3のみで、他の3つの路線は近郊を走る。 T1, T2, T3はパリ交通公団(RATP)が、T4はフランス国鉄(SNCF)が運営する。

歴史[編集]

パリにメトロが整備される以前は、多くの路面電車がパリ市内を走っていた。これらは1855年から1938年までパリ市内に、そして1957年まで近郊のヴェルサイユ市内に存在した。これらの旧路面電車は多くの会社によって設立され、その技術もから蒸気機関、圧縮空気機関、そして電力へと進化していった。

ベルヴィル地区を走っていたフニクレール(ケーブルカー)は、しばしばトラムウェイと誤認されていた。現在のメトロ2,11番線ベルヴィル駅から、丘の頂上にある11番線ジョルダン駅前のサンジャン・バティスト・ド・ベルヴィル教会まで、20世紀初頭にケーブルカーが走っていた。このケーブルは地中に埋め込まれており、それによってケーブルカーの車体と軌道は見た目が路面電車そっくりに見えた。

これらの旧路面電車は他の交通機関が発達するにつれ、次第に駆逐されていった。

参考文献[編集]

  • Jean Robert, Les tramways parisiens, ed. Jean Robert, 3e édition 1992
  • Clive Lamming, Paris Tram, ed. Parigramme 2003
Île-de-France - plan des tramways.png

現行路線[編集]

現在パリ都市圏を走るトラムは1992年から運用された。実際にいくつかの計画が今も進行中である。


T1[編集]

トラム1号線の車両(TFS-2型)

1号線(T1)はサンドニSaint-Denisとノワジー=ル=セック間を運行する。はじめ東側の始点はボビニー(メトロ5号線の北部の終点)だったが、2003年12月よりノワジー=ル=セックまで延長された。

将来、西側はアニエール・ジュヌヴィリエAsnières-Gennevilliers(2010年予定)さらにナンテールNanterreへ、東側はモントルイユMontreuilそしてヴァル・ド・フォントネーVal de Fontenayへの延伸企画がある。

T2[編集]

トラム2号線の車両、イシー=レ=ムリノー駅にて
トラム2号線の車両(アルストム社製シタディス)。連結器を覆う改修が進んでいる。

2号線(T2)別名『トラン・ヴァル・ド・セーヌTrans-Val-de-Seine』は、ラ・デファンスLa Defenseからイシー・レ・ムリノー(現在は、イッシー・バル・ド・セーヌ Issy-Val de Seineに改称)に至るパリ西部郊外の地区を結ぶ路線である。1997年に、フランス国鉄が営業不振で国策により営業停止した路線を再開した。2009年11月21日、Issy-Val de Seine-Porte de Versailles間が延伸され、メトロ12号線やトラム3号線(T3)との乗り換えが可能となった。


2009年11月20日までは、この路線はトラムと銘打ってはいたものの、全路線が通常の線路を走っていた。(現在は、Porte de Versailles付近で併用軌道区間を走っている。)

2008年現在で80000人の日平均利用客がある。列車編成は2005年に拡張されて倍の4両編成になり、各編成が440人の客席を持つ。

2012年に北西側はブゾンBezonsまで延伸され8駅が新設される予定である。これにより、RERのラ・ガレンヌ=コロンブ駅Gare de La Garenne-Colombesとの乗り換えが可能となる。

本来の延伸計画では旧パリ環状路線の廃線であるプティト・サンチュール(T3が走るマレショーとほぼ並走した区間が未使用で残されている)を使い、現在のT3に相当する区画へT2がそのまま乗り入れる案があったが、線路を使うこちらの案に比べて併用軌道案は機動的に劣るにもかかわらず、結局併用軌道案が採用され、トラムはT2のポルト・ド・ヴェルサイユまでとT3のマレショーに分かれることとなった。

T3[編集]

トラム3号線の車両

3号線(T3)は『トラムウェイ・デ・マレショーTramway des Maréchaux(TMS)』と呼ばれる。これはブルヴァール・デ・マレショーというパリ市最南端の一般環状道路の上に敷設された軌道を走るからである。南東部にあたる13区中華街のポルト・ディヴリーPorte d'Ivryから南西部にあたる15区のガリリアーノ橋Pont du Gariglianoまでの区間を結ぶ。2006年12月16日より運用開始された。

開業当初の試算では一日に約10万人の利用客がある見込みとされた。これはメトロの一つの路線の利用客を分担することになる。メトロの各14路線はおよそ一日に26万人の利用客を運んでおり、T3よりも2キロ短いメトロ11号線すら123,500人の一日利用客があり、このように考えるとさらに23.5%の利用客がT3の利用客10万人の上に追加されるであろう。

2011年にはポルト・ド・シャラントンPorte de Charenton、そして場合によってはポルト・ド・ラ・シャペルPorte de la Chapelleまでの延伸が予定されている。

2000年にフランス国鉄から発表された延伸計画では、このポルト・ド・ラ・シャペルへの延伸にはプティト・サンチュール北東部の使用が想定されている。 同南部はT3がマレショー上に敷設されたために再利用の見込みは消えたが、これにはプティト・サンチュール南部の多くが住宅のすぐ脇に位置すること、そして既存のバス系統PC1,PC2の停留所が多くの利用客に定着浸透していたことがマレショー案採択の原因と考えられる。 しかしながら北東部の線路は住宅地に隣接する区画が少ないこと、プティト・サンチュールとマレショーの位置関係がある程度離れている事から、独自の路線として採択する可能性も依然有り得る。

T4[編集]

トラム4号線車両(シーメンス社製アヴァント)、旧コクティエ駅舎前にて。現在のコクティエ駅ホームは数十メートル先にある。

4号線(T4)はフランス国鉄(Transillien)が運営する。路線はライトレールトラムトレインの形態を持つ。旧名コクティエ線Ligne des Coquetiersと呼ばれた1日1万人弱の利用客を持つ路線を2003年12月14日に一旦廃線とし、30ヶ月の工事期間を経てトラムとして路線や駅舎を新装させたものである。RER-E線のボンディ駅とRER-B線で空港に近いオルネ=スー=ボワ駅を結ぶ。2006年11月18日より運行開始された。

TVM[編集]

トラン・ヴァル・ド・マルヌ(テー・ヴェー・エム)(Trans-val-de-Marne, TVM)は、運行形態としてはトラムに準じて扱われているが、実際はバスである。しかしながらほぼ全線に専用道路(軌道)が敷かれ、専用の運行管理システムを持ち高速運転されている。

パリ首都圏の食料品を一手に抱える世界最大級のランジス国際卸売市場と、RER-A線サンモール・クレテイユ Saint Maur-Creteil駅を結ぶ。2006年秋より24時間営業で運転されている(6時から0時まではTVM、0時から6時まではノクティリアンN71(Noctilien N71))。

延伸企画として、西部は既にクロワ・ド・ベルニーCroix de Berny(RER-B線アントニーAntony駅、この駅はオルリー空港へのモノレールの始点でもある)への工事が始まっており、2007年営業開始予定である。 東部はRER-E線ブルロー・シャンピニーBoullereaux Champigny駅、そしてRER-A線ノワジー=ル=グラン・モン デスト駅Noisy-le-Grand Mont d'Estへ延伸し、2011年に営業開始予定である。

新設予定の路線[編集]

T8[編集]

8号線(T8)はメトロ13号線シャティヨン・モンルージュChâtillon - Montrougeおよび近郊線(サン・ラザール駅発着)のヴィロフネー右岸駅Viroflay - Rive Droiteを結ぶ。2007年に着工し、2010年に運用が開始される予定である。

トラミー[編集]

トラミーTram'y(トラムはそこへ、の意)は、メトロ13号線サンドニ・ポルト・ド・パリSaint-Denis (Porte de Paris) からエピネー=シュル=セーヌ(オルジュモン地区)Épinay-sur-Seine (Quartier d'Orgemont) そしてヴィルタヌーズVilletaneuse (新設予定のタンジャンティエール・ノールTangentielle Nord駅)からそれぞれRER-E線エヴァンジルÉvangile駅を目指すフォーク状の計画路線である。

これは2012年度オリンピックをパリに誘致しようとした際に提示された計画である。

関連項目[編集]