『ひこうき雲 』(ひこうきぐも)は、荒井由実(現:松任谷由実 )のファースト・アルバム。オリジナルは1973年 (昭和 48年)11月20日 に、当時の東芝EMI株式会社 (現:ユニバーサルミュージック合同会社 / EMIレコーズ・ジャパンレーベル)からリリースされた(LP :ETP-9083・ETP-72051、CT :ZA-1578・ZT25-326)。
一時期、音源の原盤権 の都合でアルファレコード から発売されたこともある(CD:35XA-1・32XA-121・34A2-28・ALCA-463・ALCA-9029・ALCA-5241、LP:ALR-4006、CT:ALC-506)。
2000年 (平成 12年)4月26日 にLP のブックレットを復刻し、バーニー・グランドマン によるデジタルリマスタリング で音質を大幅に向上したリマスタリングCD (TOCT-10711)をリリース。2005年 (平成17年)3月10日 より音楽配信 された。
ジャケットデザインは、教会音楽を多く扱う名門古楽レーベル『アルヒーフ 』のジャケットを模したものと言われている(松任谷正隆 などによる)。ブックレットのイラストは荒井自身が手がけ、少女から大人への変化を綴った「誕生日」という詩が収められている。
2010年(平成22年)1月16日、NHK-BS2 にて、録音されたアルバムのマスターテープを聴きながらレコーディング当時について振り返る『MASTER TAPE〜荒井由実「ひこうき雲」の秘密を探る〜』という特番が放送された。出演:松任谷由実、細野晴臣 (ベース)、松任谷正隆 (キーボード)、林立夫 (ドラム)、有賀恒夫 (「ひこうき雲」レコーディング・ディレクター)、吉沢典夫 (「ひこうき雲」レコーディング・エンジニア)、駒沢裕城 (スチール・ギター) VTR出演:村井邦彦 (「ひこうき雲」プロデューサー、元アルファレコード社長)、雪村いづみ (荒井のデビュー前に「ひこうき雲」をレコーディング)、シー・ユー・チェン (荒井がおっかけをしていた「ザ・フィンガーズ 」の元ベース) ナレーション:小島聖 制作・著作 NHK、エイベックス&イースト 制作統括:林信男、波多野健 構成:中川真由美 演出:片岡K
2013年(平成25年)の日本放送協会 「SONGS 」にて、ともに愛好する音楽であるクラシックとポップスのギャップについて解決できなかった部分を、プロコル・ハルム の楽曲に影響を受け彼女自身で解釈し表現できるようになったと語り、「ひこうき雲」の中にプロコルを髣髴とさせるメロディーラインがある事を自ら示した。
収録曲 [ 編集 ]
全作詞・作曲: 荒井由実、全編曲: 荒井由実、キャラメル・ママ。 # タイトル 作詞 作曲・編曲 時間 1. 「ひこうき雲 -Vapor Trail- [1] 」 荒井由実 荒井由実 3:26 2. 「曇り空 -Cloudy Weather- 」 荒井由実 荒井由実 3:02 3. 「恋のスーパー・パラシューター -Super Parachuter of Love- 」 荒井由実 荒井由実 2:55 4. 「空と海の輝きに向けて -Toward The Sky and Gleaming Sea- (album version)」 荒井由実 荒井由実 4:14 5. 「きっと言える -I Know I Can Tell You- 」 荒井由実 荒井由実 2:55 6. 「ベルベット・イースター -Velvet Easter- 」 荒井由実 荒井由実 3:45 7. 「紙ヒコーキ -Paper Plane- 」 荒井由実 荒井由実 2:46 8. 「雨の街を -In The Rainy Town- 」 荒井由実 荒井由実 4:20 9. 「返事はいらない -No Need To Reply- (album version)」 荒井由実 荒井由実 2:54 10. 「そのまま -Don't Change- 」 荒井由実 荒井由実 3:15 11. 「ひこうき雲 -Vapor Trail- (short version)」 荒井由実 荒井由実 0:54
楽曲解説 [ 編集 ]
ひこうき雲
2枚目のシングル「きっと言える 」のB面曲であるが、1989年に発売の8cmシングルのみオリジナルと別Mixで収録され、現在では入手困難である。
元々は、三人娘 の一人としても知られている雪村いづみ のために書き下ろされた曲であり、いづみによってレコーディングもされたが、諸般の事情で発売されず、ユーミン自身の歌唱によって世に出た。しかし、その後もいづみはこの曲を好んで渋谷ジァン・ジァン などのステージで歌っていた。このいづみの未発表音源は1990年 (平成2年)発売のいづみのアルバム『COME ON BACK』で初めて陽の目を見た。
夫である松任谷正隆 は、この曲のサビ部分(空を〜かけてゆく〜♪)のコード使いの意外性に驚き結婚を決めた、と冗談交じりに語っている(普通なら Gm7→B♭7→A♭M7 がセオリーであるが、中央部のB♭7 をやめ、B♭m7 を選択している)。
團伊玖磨 はこの曲に複数回登場する「ひこうき雲」のイントネーションが全て違う事を絶賛したとされる。
2013年 にはスタジオジブリ 製作・宮崎駿 監督のアニメ映画 『風立ちぬ 』の主題歌に採用された。「au loves ジブリ」キャンペーンCMソング。
1987年 には斉藤信幸 監督の『母娘監禁 牝』の主題歌としても使用されたが、そっくりさん(非公表)によるカバーである。
カバー:下記参照 。
2016年 3月24日 に、NHK BSプレミアム にて『“青の時代”名曲ドラマシリーズ 荒井由実「ひこうき雲」 』のタイトルで、本作をモチーフにしたテレビドラマが放送[2] 。
曇り空
バックコーラス の男声は、松任谷正隆が担当した。アルペジオで使われているギターはホセフェリシアーノにフラメンコギターを教えた川添象郎の持ち物で当時で500万円する高価な代物だった。
カバー:キリンジ (2002年)、辻香織 (2004年)、yanokami (2011年)
恋のスーパー・パラシューター
空と海の輝きに向けて (album version)
デビューシングルのB面。本作のものはシングル とは別テイク。
きっと言える
ベルベット・イースター
後に荒井由実としてのラストシングル『翳りゆく部屋』のB面にシングル・カット された。
カバー:川越美和 (1991年)、本木雅弘 (1992年)、NOKKO (1998年)、中森明菜 (2009年)、七尾旅人 (2011年)
紙ヒコーキ
眼下の町へ飛ばした紙ヒコーキと夢中になる自分にふと気付いた心を描写した曲。「きっと言える」と時を同じくしてアサヒ飲料「旨茶」CMソングに使用された。
雨の街を
昔も今も「私の一番好きな曲です」と前置きしてユーミンは歌い出す。TBS 系ドラマ『ルージュの伝言 』でドラマ化された(第16話、主演・水島かおり )。
カバー:桂木文 (1982年)、畠山美由紀 (2002年)、松本孝弘 (2003年)
返事はいらない (album version)
300枚しか売れなかったデビュー曲。アレンジ を変えて収録されている。
カバー:一十三十一 (2009年)
そのまま
ユーミンが中学生の頃、友人が書いた英語の歌詞に曲を付けて欲しいと頼まれ作曲したのだが、「イメージが合わない」と友人から却下されてしまった。実は歌詞の中の「bitch」をスラング(あばずれの意)だと思わずに普通に「犬(雌犬)」だと思い込んで作曲してしまったのが原因だった。その後ユーミン自身で歌詞を付け直したのがこの曲。
ひこうき雲 (short version)
エンディングにはデモテープの音源が短く収録されている。
参加ミュージシャン [ 編集 ]
ピアノ:荒井由実
ベース:細野晴臣
キーボード:松任谷正隆
ギター:鈴木茂
ドラム:林立夫
ナイロン・ストリングス・ギター:細野晴臣(A-1,A-5)
パーカッション:松任谷正隆(A-3)、鈴木茂(A-3)、林立夫(A-3,A-5,B-4)、小原礼 (B-4)
バンジョー:松任谷正隆(B-5)
フルート:宮沢昭 (A-2)
コーラス:松任谷正隆(A-2)、Singers Three(A-3)、荒井由実(B-4)
テナー・サックス:西条孝之介 (A-5)
スチール・ギター:駒沢裕城 (B-2,B-5)
ハンドクラッピング:レコーディング・スタッフ(B-1)
40周年記念盤 [ 編集 ]
表題曲「ひこうき雲」が主題歌として採用されているスタジオジブリ 映画『風立ちぬ 』の公開と、オリジナル盤発売から40周年を記念した企画盤で、「荒井由実」の名義で発売。また、EMIミュージック・ジャパン 消滅に伴う移籍後初の作品となった。
2形態での発売となり、CD+DVDの2枚組のものと、そこにLPがついた3枚組のものが発売される。いずれも宮崎駿 の18枚の絵で構成されたLPサイズの絵本仕様、完全生産限定となる。
発売に先駆け、2013年 7月3日 に「ひこうき雲」が配信限定シングルとしてリリースされた。ジャケットは「風立ちぬ」バージョンとなっている。
収録内容 [ 編集 ]
CD / LP [ 編集 ]
オリジナル盤の2013年デジタル・リマスタリング版
アナログ盤:180g重量盤
DVD [ 編集 ]
ひこうき雲 ミュージッククリップ
発売から40年を経て製作された。監督は2011年 に映画『エンディングノート 』で数々の賞を受賞し注目を集めた砂田麻美 。
ひこうき雲 (RE-MIX) / 荒井由実×松任谷由実 (ミュージック+静止画)
ストリングスアレンジと、松任谷由実のアディショナルヴォーカルが追加されたリミックス・ヴァージョンを収録。
カバー [ 編集 ]
テレビドラマ化 [ 編集 ]
『"青の時代"名曲ドラマシリーズ 荒井由実「ひこうき雲」 』は、2016年 (平成28年)3月24日 の21:00 - 22:00に、NHK BSプレミアム で放送された日本のテレビドラマ [3] 。荒井由実の「ひこうき雲」をモチーフに、1980年代 後半の日本を舞台とする[3] 。
キャスト [ 編集 ]
佐藤誓 、北浦愛 、新名基浩 ほか
関連項目 [ 編集 ]
外部リンク [ 編集 ]
ユニバーサルミュージック/EMIレコーズ・ジャパンによる紹介ページ
荒井由実 シングル アルバム
松任谷由実 のアルバムオリジナル
ベスト
ライブ セルフカバー CD-BOX
映像作品 楽曲 番組
関連項目