なぞの転校生

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なぞの転校生』(なぞのてんこうせい) は、眉村卓ジュブナイル小説1967年刊)と、それを原作とする映画・ドラマなどの作品。眉村卓のジュブナイル小説の代表作の一つ。

概要[編集]

学研の『中二コース』に1965年から連載開始された。当時、旺文社の『中一時代』(後に『中二時代』へ持ち上がり)で連載されていた光瀬龍の『夕映え作戦』が好評だったことを受けて、学研でもSFを連載しようという運びになり、福島正実の紹介で眉村に依頼が来たらしい。当時の日本はSFの草創期であり、眉村のような若手の書き手には仕事がなく、SFを知らない中学生を対象に自由にSFが書けるとあり、すぐに引き受けたという。中学2年生が読者であることを考慮し、「学園を舞台に」という編集部の要請を受け、当時眉村が住んでいた団地と母校を舞台にすることになった。タイトルは当初「白い旋風(つむじかぜ)」とするつもりだったが、編集部から「文芸的すぎる」「(子供向けに)具体的で分かり易く」と即座に却下され、編集部がほとんど一方的に「なぞの転校生」と改題した。当時はセンスのないタイトルに肩を落としたが、連載誌との兼ね合いを考えれば「なぞの転校生」が正しかったと後年になって述べている。連載は好評で、最終回直前に編集部から連載の延長と次学年への持ち上がりを要請され、抗議も通らず、「話をもう一度飛躍させてやれ」と思い直し、3回延長され、そこでまた人気が上がったという。[1]

少年少女向きの物語だが、核戦争や科学の進歩の功罪など深いテーマを扱っている。

ストーリー[編集]

大阪の阿南中学校2年生の岩田広一は、団地の隣部屋に突然引っ越してきたギリシャ彫刻を思わせるような美少年と、エレベーターに乗りあわせた。一時の停電に過剰な行動を取り、見たことも無い道具を使う。彼は、広一のクラスへの転校生だった。名前は山沢典夫。勉強もスポーツも万能なのだが、雨の中に放射能が含まれると言い、文明への批判を口にする。彼によく似た人々が居ることが分かり、やがて驚きの事実を知ることになる。

登場人物[編集]

岩田広一
この物語の主人公で大阪の阿南中学校に通う運動好きの2年生の少年。やがて転校生典夫の正体に疑問を抱くようになる。
香川みどり
広一のクラスメートで、卓球の達人。やがて転校生典夫に好意を抱くようになる。
山沢典夫
広一やみどりのクラスに転校してきた謎めいた少年。美形の上に成績優秀でスポーツなど何事にもずば抜けているが科学の文明を嫌悪している。
大谷先生
広一やみどりのクラスの担任で、生徒達のことを温かく見守っている。担当科目は、理科。

テレビドラマ版[編集]

NHK『少年ドラマシリーズ』版[編集]

1975年11月17日 - 12月3日に当時人気のあったNHK少年ドラマシリーズの1作として放送された。全9話。内容は、原作とほぼ同じ。翌1976年12月27日 - 31日に再放送されている。

NHKが所持していたマスターテープは他の撮影に使い回されたため、本作の映像は保存されていなかったが、家庭用VTRで録画された映像が全話現存し、NHKに寄贈されたため、再び視聴することが可能となった。VHS、のちにDVDで商品化(ソースが家庭用VTRである旨断りが入る)されたほか、2006年9月よりミステリチャンネルにて再放送された。

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

原作との相違点[編集]

  • 原作では大阪が舞台だったのに対して、ドラマ版は東京の武蔵野が舞台となっている。
  • 原作では典夫は東京の千代田区から大阪に転校して来たという設定である。しかし、ドラマ版では東京都の港区から武蔵野に転校して来たという設定に変わっている。
  • ドラマ版では広一の父親が、会社の課長。そして、香川みどりの家は、花屋を経営しているという設定が加わっている。
  • 原作では、典夫は一人っ子で両親がいるという設定。しかし、ドラマ版は典夫には父親しかいなく母親はすでに死んでおり、さらに兄と妹が一人ずついたが母親と同様にすでに死んでいるという設定が加わっている。
  • ドラマ版では典夫は超能力の持ち主であり、典夫自身が不良の上級生にリンチされている所を逆に超能力で気絶させ撃退するシーンや、マンションの屋上で追ってきた広一を同じく気絶させるシーンが追加されている。
  • ドラマ版では典夫の耳には仲間同士のサインである星型のマークがあるが、原作にはそのような設定はない。
  • 原作でマンションの屋上での典夫との別れのシーンでその場にいたのは広一と広一の母と大谷先生の3人だったが、ドラマ版では、広一の母ではなくみどりに替わっている。
  • 原作では別れる際に典夫は、広一にレーザーガンを渡すが、ドラマ版ではそのようなシーンはない。

その他[編集]

  • 撮影は、ロケは行わずに全てスタジオ内で撮影された。
  • 当初は岩田広一役の高野浩幸が転校生山沢典夫の役を、山沢典夫役の星野利晴が岩田広一の役をやる予定だった。しかし、演出の黛叶が星野の方が転校生役にふさわしいと考え、役が入れ替わった。

テレビ東京『ドラマ24』版[編集]

なぞの転校生
ジャンル テレビドラマ
放送時間 土曜日0:12 - 0:52(金曜日深夜)(40分)
放送期間 2014年1月11日 - 3月29日(12回)
放送国 日本の旗 日本
制作局 テレビ東京
企画 岩井俊二
製作総指揮 (チーフプロデューサー)
中川順平
監督 長澤雅彦
原作 眉村卓『なぞの転校生』
脚本 岩井俊二
プロデューサー 川村庄子
水野昌
出演者 中村蒼
本郷奏多
桜井美南
音声 ステレオ放送
字幕 文字多重放送
データ放送 連動データ放送
オープニング 桜井美南「今かわるとき」
エンディング 清水翔太「DREAM」
外部リンク 公式サイト
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2014年1月11日から3月29日まで毎週土曜日0:12 - 0:52(JST、金曜日深夜)にテレビ東京系の「ドラマ24」枠[2][3]で放送されていた日本テレビドラマ。中村蒼、本郷奏多、桜井美南のトリプル主演[4]

本項目では日時表記を日本標準時で記載し、提出された出典内容や公式HPで表示されている内容とは異なる。

コラムニストの亀和田武は、比類なき映像美と岩井俊二によって創出された、原作にはない「アイデンティカ」という設定を称賛し、また、元の世界にいた時の気品を崩さない「プリンセス」然とした杉咲花の好演を評価し、不朽のSF学園ドラマであると評した[5]

キャスト(ドラマ24)[編集]

詳細な人物説明は原作部分を参照。曖昧な役名の記載は週間番組表公式HPから引用。

東西山高校[編集]
2年3組
SF研究会部員
不良グループ
教員
生徒たちの家族
  • 岩田 亨(広一の父・サイエンスライター) - 高野浩幸
  • 岩田 君子(広一の母) - 濱田マリ
  • 岩田 あすか(広一の妹・享年7) - 立川杏湖
  • みどりの姉 - 市川沙谷香 
  • 鎌仲 龍三郎(才蔵の父・鎌仲商事会長) - 河原さぶ
D-8世界[編集]
王族
秘密組織
洗脳者
敵対組織
  • ハーデス - 翁華栄
D-15世界[編集]
  • 岩田 広一(次元調査団隊長) - 高野浩幸(二役)
  • みゆき(広一の娘) - 桜井美南(二役)
  • その他 - 葉山奨之、宮里駿、宇野愛海(二役)
ゲスト[編集]

複数話・単話登場の場合は演者名の横の括弧()内に表記。

第1話
  • 高校の警備員 - 清水洋介
第2話
第6話
  • 麻酔医 - 早川知子(第7話 - 第9話)
  • 看護師 - 山崎智恵(第7話 - 第9話)
  • 笹井(鎌仲商事常務) - 野口雅弘
  • 受付嬢 - 皆川舞

スタッフ(ドラマ24)[編集]

放送日程[編集]

放送回 放送日
第1話 1月11日
第2話 1月18日
第3話 1月25日
第4話 2月01日
第5話 2月08日
第6話 2月15日
第7話 2月22日
第8話 3月01日
第9話 3月08日
第10話 3月15日
第11話 3月22日
第12話 3月29日

ネット局[編集]

放送対象地域 放送局 系列 放送期間・曜日・時間
関東広域圏 テレビ東京
【制作局】
テレビ東京系列 2014年1月11日 - 3月29日 土曜日 0:12 - 0:52
北海道 テレビ北海道
愛知県 テレビ愛知
岡山県・香川県 テレビせとうち
福岡県 TVQ九州放送
大阪府 テレビ大阪 2014年1月13日 - 4月1日 月曜日 23:58 - 火曜日 0:40
奈良県 奈良テレビ JAITS 2014年1月18日 - 4月5日 土曜日 0:30 - 1:05
長野県 信越放送 TBS系列 2014年2月1日 - 土曜日 0:50 - 1:30
新潟県 テレビ新潟 日本テレビ系列 2014年2月9日 - 日曜日 1:25 - 2:05
山形県 テレビユー山形 TBS系列 2014年2月21日 - 土曜日 0:50 - 1:30
青森県 青森テレビ 2014年3月9日 - 土曜日 0:20 - 1:00[13]
福島県 福島中央テレビ 日本テレビ系列 2014年4月4日 - 金曜日 1:29 - 2:09
日本全域 BSジャパン テレビ東京系列
BSデジタル放送
2014年4月7日 - 6月 月曜日 0:00 - 0:35
宮城県 仙台放送 フジテレビ系列 2014年4月11日 - 金曜日 0:45 - 1:25
滋賀県 びわ湖放送 JAITS 2014年4月14日 - 月曜日 2:00 - 2:40
岩手県 IBC岩手放送 TBS系列 2014年4月19日 - 土曜日 0:55 - 1:35
熊本県 くまもと県民テレビ 日本テレビ系列 2014年4月27日 - 日曜日 1:00 - 1:40
NHK総合 少年ドラマシリーズ
前番組 番組名 次番組
すばらしき友人
(1975.10.20 - 1975.11.12)
なぞの転校生
(1975.11.17 - 1975.12.3)
ぼくのテムズ川
(1975.12.8 - 1975.12.17)
テレビ東京 ドラマ24
殺しの女王蜂
(2013.10.4 - 2013.12.20)
なぞの転校生
(2014.1.11 - 2014.3.29)
リバースエッジ
大川端探偵社

(2014.4.18 - 〈予定〉)
BSジャパン 日曜日24:00 - 24:35枠
殺しの女王蜂
(2014.1.5 - 2014.3.23)
なぞの転校生
(2014.4.6 - 2014.6)
-

映画版[編集]

バンダイビジュアルによって製作され1998年12月26日に公開された。タイトルと登場人物の名前は、原作と同じだが人物設定が異なっているなど内容は全く別の作品である。

ストーリー[編集]

女子高生・香川翠(みどり)のクラスに謎めいた少女・岩瀬真祐未が転校して来た。翠は転校生・真祐未と親友になり、ある日、真祐未は、自分は別の世界から来た人間であり、自分のいた世界は核燃料を搭載した人工衛星の落下で崩壊し、母と次元ジャンプによって逃げてきたのだと翠に言った。その時、真祐未は次元ジャンプできる力を身につけてしまう。翠も次元ジャンプできる能力を得た。そして、頻繁に世界崩壊後の異次元世界に行き来し、そこで真祐未たちレジスタンスと共に、「敵」と戦うことになる。

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

原作との相違点[編集]

  • 原作では岩田広一が主人公だったが、映画版では香川翠(みどり)が主人公になっている。
  • 原作では登場人物が中学生という設定だったが映画版では高校生という設定になっている。
  • キーパーソンの転校生が典夫ではなく、岩瀬真祐未という原作には存在しない人物になっていて、典夫は翠の中学生時代の転校生という設定になっている。
  • 映画版では転校生は、成績優秀でスポーツなど何事にもずば抜けているという設定がない。
  • 典夫が広一のマンションに引っ越してきたのではなく真祐未が翠のマンションに引っ越してきたという設定に変わっている。
  • 原作では「次元ジプシー」だったが、映画版では「次元放浪者」となっている(詳しくは下の「その他」の項目を参照)
  • 原作では翠は卓球の達人という設定だったが、花が好きな少女という設定になっている。
  • 原作では岩田広一と山沢典夫の二人の少年が物語の軸になっていたが、映画版は香川翠と岩瀬真祐未の二人の少女が物語の軸になっている。
  • 原作は核戦争が重要なテーマだったのに対し、映画版は異次元世界についてが重要なテーマになっている。
  • 映画版では異次元の世界が頻繁に登場し香川翠たちは頻繁に行き来する。
  • 異次元世界の設定は単行本および文庫で同時収録の『侵された都市』のクロスオーバーになっている。

その他[編集]

映画版では「次元ジプシー」ではなく「次元放浪者」となっている。さらに青い鳥文庫の復刻版では「次元放浪民」となっている。そもそもジプシーとは、北インド発祥の移動型民族(単に「放浪者」という意味もあり)のことで彼らに対する差別用語だからである。現在は彼らの自称であるロマが用いられる。

参考文献[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 以上の段落の出典:眉村卓 「私とジュブナイルSF」, 大橋博之 『少年少女昭和SF美術館』 平凡社 p.56 - 57 ISBN 978-4-582-83591-5
  2. ^ 毎日新聞デジタル (2013年11月22日). “なぞの転校生:39年ぶりドラマ化 岩井俊二プロデュースで 来年1月スタート”. 2014年1月12日閲覧。
  3. ^ テレビドカッチ (2013年11月22日). “岩井俊二、初連続ドラマ!SFジュブナイルの傑作『なぞの転校生』が、テレ東ドラマ24に甦る!!”. 2014年1月12日閲覧。
  4. ^ 毎日新聞デジタル (2014年1月9日). “注目ドラマ紹介:「なぞの転校生」 岩井俊二が描くSFドラマ 中村蒼らトリプル主演”. 2014年1月12日閲覧。
  5. ^ 亀和田武「テレビ健康診断」、『週刊文春』2014年4月3日号、文藝春秋2014年3月、 137頁。
  6. ^ クランクイン!! (2014年1月8日). “中村蒼、高校生役で「初心に返れた」 ドラマ『なぞの転校生』で初のSF作品に挑戦”. 2014年1月12日閲覧。
  7. ^ シネマトゥデイ (2013年11月29日). “中村蒼&本郷奏多、20代で高校生役!岩井俊二初の連続ドラマに手応え!”. 2014年1月12日閲覧。
  8. ^ スポーツ報知 (2014年1月9日). “桜井美南「大役を頂けて光栄」女優デビュー作で主演”. 2014年1月12日閲覧。
  9. ^ テレビドカッチ (2014年1月10日). “眉村卓のSFジュブナイルが現代に!岩井俊二の初連ドラ『なぞの転校生』今宵スタート”. 2014年1月12日閲覧。
  10. ^ 毎日新聞デジタル (2014年1月8日). “岩井俊二:「なぞの転校生」で連ドラ脚本初挑戦 「実はSFファン」”. 2014年1月12日閲覧。
  11. ^ ナタリー (2014年1月4日). “桜井美南、TAKUYAプロデュース曲で今春CDデビュー”. 2014年1月12日閲覧。
  12. ^ 映画.com (2014年1月8日). “キットカットイメージガールの桜井美南、元ジュディマリ・TAKUYAプロデュースでCDデビュー”. 2014年1月12日閲覧。
  13. ^ 2014年3月30日(第4話)までは日曜日 0:58 - 1:40に放送。

注釈[編集]

  1. ^ 「ヘクとパスカル」(メンバー:岩井俊二、桑原まこ、椎名琴音 )「風が吹いてる」(詩・曲 / 岩井俊二)。

外部リンク[編集]