原子力安全・保安院

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日本の旗 日本行政機関
原子力安全・保安院
げんしりょくあんぜんほあんいん
原子力安全・保安院が設置される 経済産業省総合庁舎別館
原子力安全・保安院が設置される
経済産業省総合庁舎別館
役職
院長 深野弘行
次長 平岡英治
組織
上部組織 資源エネルギー庁
内部部局 審議官4
地方機関 産業保安監督部、原子力保安検査官事務所
概要
所在地 東京都千代田区霞が関1丁目3番1号
定員 803名
(本院443名、監督部等360名)
2007年10月
年間予算 376億4000万円[1]
(2008年度)
設置 2001年1月6日
前身 科学技術庁原子力安全局の原子力安全部門、通商産業省環境立地局の産業保安部門など
ウェブサイト
原子力安全・保安院
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原子力安全・保安院(げんしりょくあんぜん・ほあんいん、英語Nuclear and Industrial Safety Agency、NISA)は、日本官公庁のひとつで、原子力その他のエネルギーに係る安全及び産業保安の確保を図るための機関[2]資源エネルギー庁特別の機関である。

概要

経済産業省の一機関であり、法令上の位置付けは「資源エネルギー庁特別の機関」とされる。2001年(平成13年)1月6日、中央省庁再編の際に新設され、初代院長には佐々木宜彦が就任した。この再編で経済産業省に原子力安全・保安院が新設された代わりに、経済産業省工業技術院が中央省庁組織から外れている。

原子力安全・保安院は、原子力関連事故等、有事が発生した場合の処理専門機関として構想設立および訓練された機関ではない事に注意を要する。平時の保安検査を主たる任務とする行政機関である。東京都千代田区霞が関の本院の下、地方機関として、全国の所要の地に産業保安監督部、原子力保安検査官事務所などが置かれている。

任務

原子力安全・保安院は、次の各号に掲げる事務をつかさどっている[3]

  1. 原子力に係る製錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄の事業並びに発電用原子力施設に関する規制その他これらの事業及び施設に関する安全の確保に関すること。
  2. エネルギーとしての利用に関する原子力の安全の確保に関すること。
  3. 火薬類の取締り、高圧ガスの保安、鉱山における保安その他の所掌に係る保安(以下「産業保安」という。)の確保に関すること。
  4. 所掌事務に係る国際協力に関すること。
  5. 前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき経済産業省に属させられた事務

このように、本院は「原子力安全」と「産業保安」とが主な所掌事務で、決して原子力関係のみを専門としている組織ではない。原子力、電力都市ガス、高圧ガス、液化石油ガス、火薬、鉱山関係の施設や産業活動の安全規制、保安を所管し、これらの施設に対しては必要に応じて、立入検査、報告徴収、改善命令等を行うことができる。

エネルギー行政の変遷

中央省庁再編前の所掌

中央省庁再編前は、関係する行政事務は次のように分散して所掌されていた。

  • 原子力安全
    • 科学技術庁原子力安全局の所掌事務
    • 資源エネルギー庁の所掌する原子力発電施設の安全に関する事務
  • 産業保安
    • 通商産業省環境立地局の所掌する、高圧ガス、液化石油ガス、火薬類、鉱山の保安に関する事務
    • 資源エネルギー庁の所掌する、電気工作物、都市ガス、熱供給の保安に関する事務

中央省庁再編後の所掌

上記の中央省庁再編前の所掌のうち、科学技術庁原子力安全局が所掌していた事務の中で試験研究用原子炉についての安全規制など一部の事務は文部科学省が承継したが、その他については新たに設置された原子力安全・保安院が一元的に所管することとしたものである。

地方機関

地方機関については当初は一元化せず、旧通商産業省の地方支分部局だった鉱山保安監督部を原子力安全・保安院の地方機関として移行させ、産業保安事務のうち鉱山保安のみを引き続き所管し、その他の産業保安事務については各経済産業局が引き続き所管していた。2005年4月1日に鉱山保安監督部を改組して経済産業局から鉱山保安以外の産業保安事務を移管承継し、これら産業保安事務を一元的に所管する産業保安監督部を設置した。

検査事務

原子力施設に対する検査事務のうち、専門的実務的検査については自ら行わず公益法人に第三者委託されていたが、公益法人制度改革の流れの中で行政委託型公益法人のあり方が見直され、これら一部の検査事務を原子力安全・保安院から切り離し独立行政法人に行わせることとなり、2003年10月1日に新たに独立行政法人原子力安全基盤機構が設立され業務が移管された。

組織

原子力安全・保安院が設置される経済産業省総合庁舎別館の銘板
  • 院長
  • 次長
  • 審議官(核燃料サイクル担当、実用炉担当、原子力安全基盤担当、産業保安担当各1名)
  • 首席統括安全審査官
  • 企画調整課
  • 国際室
  • 原子力安全広報
  • 原子力安全技術基盤課
  • 原子力安全特別調査課
  • 原子力発電安全審査課
  • 原子力発電検査
  • 核燃料サイクル規制
  • 核燃料管理規制課
  • 放射性廃棄物規制課
  • 原子力防災課
  • 保安
  • 電力安全課
  • ガス安全課
  • 液化石油ガス保安課
  • 鉱山保安課
  • 産業保安監督部
    • 北海道産業保安監督部
    • 関東東北産業保安監督部
    • 中部近畿産業保安監督部
    • 中国四国産業保安監督部
    • 九州産業保安監督部
    • 那覇産業保安監督事務所

歴代院長

脚注

  1. ^ 原子力安全・保安院『平成20年度原子力安全・保安院関係予算案の概要2007年12月
  2. ^ 経済産業省設置法(平成11年法律第99号)20条2項。
  3. ^ 経済産業省設置法20条3項、4条1項57号から59号まで、62号及び64号。

関連項目

外部リンク