フェンダー (自動車)
フェンダー(Fender)とは、自動車車体の部品、部位の一つ。回転するタイヤ自体から、あるいはタイヤによる石、泥、水などのはねから乗員や歩行者を保護するもの。米国英語の自動車用語でタイヤ・ハウス(ホイール・ウェル(wheel well))を構成している枠部分のこと。英国英語でウイング(wing)とよばれる部分に相当する。
解説
フェンダーは当初は独立した機能部品であったが、1940年代末にフラッシュサイドと呼ばれる、キャビンをフルワイズ化するスタイリング手法が確立されると、フェンダーはボディーに取り込まれていった。
現代の自動車では前(フロント)側車輪(ホイール)上にあるパネルを指し示し、後(リア)側のフェンダーは、独立した部品ではなくモノコック構造を形成するボディ主要構造体として一体化されている場合がほとんどである。リア側が独立したフェンダーの場合、リア・クォーター・パネルとも呼ばれる。乗用車では各ホイール上に4つのフェンダー部がある。
小規模の自動車事故のことを、米国では、「フェンダー・ベンダー(fender bender)」と呼ぶことが多い。(このため、英語版には「小さな衝撃吸収のために設けられた自動車パーツはバンパーを参照」とのリンクが、当項目上部につけ加えられている。) )
クラシックカーの一時代、ホースレス・キャリッジ(horseless carriage)時代にはホイールを覆い隠すように取り付けられていたフェンダーもあった。
ホワイト・ウォール・タイヤには、汚れ防止の目的でフェンダーにカーブ・フェンダー(curb finders)が装着される。タイヤが何かに擦られる前にカーブ・フェンダーが擦られて音を発することにより運転者に注意を促すもので、1950年代から1960年代に多く用いられた。
スポーツカーなど走行性能向上のためトレッド幅を拡大するため、オーバーフェンダー、ブリスターフェンダーといった手法がとられる。
- オーバーフェンダー
- 元のフェンダーの上に取り付けられる三日月状、あるいは台形状の部品で、取り付けはビス止めかリベット止めが多い。S30型フェアレディZやC10型スカイラインGT-Rなど、1970年代ころまでの車(旧車)によくみられる。
- ブリスターフェンダー
- フェンダー全体が外に膨らんだ形状で、広範囲でタイヤを覆うため空力特性に優れる。フロントはフェンダーを丸々交換、リアはもとのボディに貼り付けられることも多い。R32~34型スカイラインGT-RやインプレッサWRX22Bなどの現代のスポーツカーによくみられる。