ジム・カスタム
ジム・カスタム(GM CUSTOM)は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型ロボット兵器「モビルスーツ」の一つ。初出は、1991年に発売されたOVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』。
作中の軍事勢力の一つ「地球連邦軍」の量産機で、『機動戦士ガンダム』に登場する「ジム」の改良型。「やられ役」としての描写が多いジムとしては珍しい、「エースパイロット用の高性能機」という設定が特徴。『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場する「ガンダムNT-1」とはパーツの一部を共用しており、外見も似通っている。『0083』劇中では、「サウス・バニング」率いる「アルビオン」MS部隊の主力機として登場する。
機体解説
ジム・カスタム GM CUSTOM | |
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型式番号 | RGM-79N |
頭頂高 | 18.0m |
本体重量 | 42.0t |
全備重量 | 57.6t |
装甲材質 | チタン合金セラミック複合材 |
出力 | 1,420kW |
推力 | 30,000 kg×2(背部) 1,870 kg×4(足部裏側) (総推力)67,480kg |
武装 | 頭部60mmバルカン砲×2 ビーム・サーベル ジム・ライフル ビーム・ライフル シールド |
搭乗者 | サウス・バニング アルファ・A・ベイト ベルナルド・モンシア |
RGM-79 ジムの性能向上型として、一年戦争終結後に製造された。ガンダムNT-1の系譜であるオーガスタ系に属するため、パーツの一部に同機用を流用されたという経緯を持つ。従来のジムの倍近い推力とガンダムタイプ並のジェネレーター出力を持ち、デラーズ紛争前後の連邦製量産機としては最上位機として位置付けられる。劇中でも、本機に搭乗したパイロット達が「旧式のゲルググなら楽なもの」と、一年戦争当時の高性能機を見下す発言をしている。一方で、突出した面の少ない無難な機体特性であり、本機の評価を端的に表現すればコウ・ウラキの「特長がないのが特徴」の言葉に集約される。性能に比例して製造コストも高かったため、実際の配備は少数のエース級パイロットのみにとどまった。
武装は頭部内蔵式の60mmバルカン砲2門と、従来のジムとは逆のバックパック右側に1基装備されるビーム・サーベル、「ジム・ライフル」の通称で呼ばれる90mmマシンガンを装備する。本機用のビーム・ライフルは劇中では確認できない[1]。ジム・ライフルは実体弾であるが、ゲルググ・マリーネやドム・トローペンをはじめとするほとんどのデラーズ・フリート所属MSを撃破する威力を持つ。その他、防御用にジム・コマンド系の曲面型シールドを携行する[2]。機体色は大まかに、全体がブルーグレー、ゴーグルがオレンジ。
デラーズ紛争後は生産ラインが特殊部隊ティターンズの管理下に置かれ、若干の設計変更と共に黒と濃紺(ティターンズカラー)に塗装されたジム・クゥエルの生産へ切り替えられた。
作中での活躍
- 『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』
- 第3話にて初登場。ジオン公国残党軍デラーズ・フリートに強奪されたガンダム試作2号機の奪還任務を受けたペガサス級強襲揚陸艦アルビオンに3機が配備され、同艦のMS隊隊長サウス・バニング、補充パイロットのアルファ・A・ベイトとベルナルド・モンシアが搭乗する。モンシア中尉は配属直後の本機をバニング大尉に無断で持ち出し、コウ・ウラキ少尉操縦のガンダム試作1号機と模擬戦を行った。
- 第4話では、ノイエン・ビッター少将が指揮するキンバライド基地防衛隊と交戦。ドム・トローペン4機を含むMS部隊を母艦アルビオンとの連携で全滅させるも、後期量産型ザクIIの攻撃でベイト中尉機が脚部に被弾し、行動不能となった。
- 第5話では、シーマ・ガラハウ中佐率いるシーマ艦隊とアルビオンのジム・カスタム部隊が交戦。ゲルググ・マリーネ部隊と激戦を繰り広げた。戦闘終盤、シーマ専用ゲルググ・マリーネに圧倒されたガンダム試作1号機を救うべく、バニング大尉がジム・カスタムで初出撃している。バニングはゲルググ・マリーネを1機撃墜し、シーマ機を撤退させた。
- 第8話では、シーマ艦隊と遭遇した戦艦バーミンガムを援護すべく、バニング大尉搭乗の本機がガンダム試作1号機 " フルバーニアン" 、ジム・キャノンIIを率いて出撃した。バニング機は再びシーマ機と交戦。シーマ機が発射した110mm速射砲弾が機体の右腹部に命中する。当初は問題なかったが、損傷が拡大し、母艦へ戻る途中に爆発を起こした。バニング大尉は戦死し、機体は失われた。残されたモンシア機とベイト機はその後もアルビオン所属機として活躍。デラーズ・フリートのMSを多数撃墜した。
- 『機動戦士ΖガンダムIII A New Translation -星の鼓動は愛-』
- ジム・キャノンIIと共にエゥーゴ側の戦力として配備されている様子が、背景的に数カット描かれている。正規カラーのブルーグレーの機体のほかに、ジムIIと同様のエゥーゴカラーで塗装された機体も登場する。
派生機・関連機
ジム・キャノンII
ジム・クゥエル
ジム・カスタム高機動型
型式番号はRGM-79N-Fb。GP01-Fbのバックパックの評価試験を行ったジム・カスタム。ユニバーサル・ブースター・ポッドを有する特徴的なバックパック以外にも、脚の一部をGP01-Fbと共用する。携行するビーム・ライフルは本機専用のもの[3]。ちなみにGP01の陸戦型バックパックの評価試験は、RGM-79 パワード・ジムが行っていた。
初出はムック本『GUNDAM WEAPONS マスターグレードモデル"ガンダムGP02A"編』 に掲載されたモデラー八須誠による模型作例。ゲーム『SDガンダム GGENERATION-ZERO』に登場したことを八須は喜び、同機体の模型作例を新規にリアル体形とSD体形の2体制作し、『月刊ホビージャパン』2000年7月号に掲載された。新規製作分において、バックパック基部はジム・カスタムのものとなり、携行武装もジム・ライフルとなっている。
シルバー・ヘイズ
小説『機動戦士ガンダム ブレイジングシャドウ』に登場するカスタマイズ機。宇宙海賊「シュテンドウジ」のパイロット、ウイングス・ハウザーの専用機で、全身が銀色に彩られている。
脚注
- ^ 高性能の本機に劇中でビーム兵器が配備されなかった理由は不明だが、この当時にしてもビーム兵器に対する信用は薄く、一年戦争時代から慣れ親しんだ実弾兵器を愛用するパイロットが多かったという説がある。
- ^ 劇中第4話では、ドム・トローペンのラケーテン・バズーカ弾がモンシア機のシールドに命中し、同機の盾は粉砕された。第5話では、シーマ専用ゲルググMの発射したビームがモンシア機のシールドに被弾し、上半分が吹き飛んだ。第8話では、同じくシーマ専用ゲルググMの110㎜速射砲弾でバニング機のシールドそのものが粉砕されている。
- ^ 『マスターグレード ガンダム試作1号機フルバーニアン』のビーム・ライフルと『BB戦士 サザビー』のビーム・ショット・ライフルを組み合わせたもの(『GUNDAM WEAPONS マスターグレードモデル"ガンダムGP02A"編』71頁)で、『SDガンダム GGENERATION-ZERO』にもそのままの形状で使用されている(『月刊ホビージャパン』2000年7月号27頁)。