007 慰めの報酬
| 007 慰めの報酬 | |
|---|---|
| Quantum of Solace | |
| 監督 | マーク・フォースター |
| 脚本 | ジョシュア・ゼトゥマー ポール・ハギス ニール・パーヴィス ロバート・ウェイド |
| 原作 | イアン・フレミング |
| 製作 | マイケル・G・ウィルソン バーバラ・ブロッコリ |
| 製作総指揮 | カラム・マクドゥーガル アンソニー・ウェイ |
| 出演者 | ダニエル・クレイグ オルガ・キュリレンコ マチュー・アマルリック ジュディ・デンチ |
| 音楽 | デヴィッド・アーノルド |
| 主題歌 | 「アナザー・ウェイ・トゥ・ダイ」 アリシア・キーズ&ジャック・ホワイト |
| 撮影 | ロベルト・シェイファー |
| 編集 | マット・チェシー リック・ピアソン |
| 製作会社 | イーオン・プロダクションズ ダンジャック ユナイテッド・アーティスツ コロンビア映画 |
| 配給 | SPE |
| 公開 | |
| 上映時間 | 106分 |
| 製作国 | |
| 言語 | 英語 |
| 製作費 | £113,400,000 (約$200,000,000[1]) |
| 興行収入 | $586,090,727[1] |
| 前作 | 007 カジノ・ロワイヤル |
| 次作 | 007 スカイフォール |
| allcinema | |
| キネマ旬報 | |
| AllRovi | |
| IMDb | |
『007 慰めの報酬』(ダブルオーセブン なぐさめのほうしゅう、Quantum of Solace)は、007シリーズの第22作目となる映画作品。2008年10月31日にイギリスで公開された。
目次 |
[編集] 概要
ダニエル・クレイグのジェームズ・ボンド2作品目。原題の「QUANTUM OF SOLACE」はイアン・フレミングの短篇集『007号の冒険』(新版は『007/薔薇と拳銃』)(創元推理文庫刊)に収録されている一篇(収録題「ナッソーの夜」)から取られているが、内容はまったくの別物である。
[編集] 小説
バハマの首都ナッソーで総督主催のパーティも終わり、ボンドは総督のバミューダ在任時の部下マスターズの話を聞かされることになった。
マスターズは小心者で、フライトアテンダントのローダと結婚できたのも、ローダの気まぐれからだった。 ローダは、すぐに結婚生活に退屈し、おおっぴらに地元のプレイボーイと浮気をするようになった。 マスターズは、仕事に支障が出るほど動揺し精神的に不安定になった。見かねた総督は、暫時の休息をとらせるためアメリカでの仕事に派遣した。
半年後、マスターズがアメリカから帰ってくると、小心者ながらも気の良かった性格は一変し、ローダに対して冷酷にそして完全に無関心になっていた。 更に一年後の離任の際、マスターズは家財すべてを売り払い、自分にひどい仕打ちをしたローダを無一文の状態で置き去りにしていった。 ローダは地元の人達にあざけられ売春婦に身をやつす寸前までいったが、当時のバミューダ総督の計らいでジャマイカへ渡っていった。
総督は、「この悲劇はローダがマスターズの心に残っていた最後の"Quantum of Solace"(
[編集] ストーリー
前作『007 カジノ・ロワイヤル』からの続編で、相変わらず組織から理解されずにいたジェームズ・ボンドは、将来を誓い合いながらもヴェネツィアで死んだ英国財務省のヴェスパーを操っていた男、「ミスター・ホワイト」を唯一の手掛かりとしてその背後にある組織を探っていた。
場所はイタリアの古都シエーナ。ボンドはアストンマーチン・DBSで謎の組織の構成員が操るアルファロメオ・159と激しいカーチェイスを繰り広げた末、何とか銃撃をかわしてミスター・ホワイトを「M」のもとに連行するも尋問中に仲間内で突然の裏切りが起こる。結局、ミスター・ホワイトは裏切り者の手引きにより逃走、ボンドは裏切り者を追跡の末、生け捕りにせず殺してしまう。
だが、裏切り者の遺した手掛かりからボンドはある一人の男の存在に辿り着く。ドミニク・グリーン、この男の表の顔はグリーン・エコロジーを謳ったNPO法人「グリーン・プラネット」の代表者。しかし裏の顔は、ヨーロッパと中南米を行き来し、利権のために元ボリビア軍事政権トップであるメドラーノ将軍のクーデターを支援する巨大組織の幹部であった。一方、かつてメドラーノ将軍に家族をなぶり殺された女、カミーユもまた、復讐心を秘めてグリーンに近づこうとしていた。
グリーンはボリビアの天然資源の採掘利権を餌に秘密裏にCIA南米支局とも連絡をとっていた。この利権を巡っては様々な駆け引きが裏で繰り広げられており、そこには英国の政府の中枢部の一部も関わっていた。そのためボンドは祖国や味方であるはずの組織からも追跡を受け、犯罪の濡れ衣まで着せられてしまうが、鋼鉄の意志を曲げず、いまや自分を始末しようとするCIAの追手からも逃れながら、カミーユとともに天然資源利権の背後にあるグリーンの陰謀を阻止すべく立ち向かって行く。果たしてボンドの行動は職務のためか、それとも復讐のためか。同じように愛する者の命を無残に奪われた男と女に慰めのときは訪れるのか。
[編集] 特色
- 本編がシリーズ初の続編となっている。
- シリーズでのボンドの決め台詞「Bond. James Bond」が登場しない。
- メインのボンドガールとのベッドシーンなし。
- 上映時間は106分(シリーズ最短)
- 恒例のタイトルバックの主題歌は、シリーズ初の男女デュエット。
- ストーリーの中で英米の情報機関、政府内の暗部も取り上げている。
- 劇中、Mのメイク落としのシーンまである。
- 映像で重要な格闘や追跡の描写で、実際の歌劇であるトスカ(オーストリア)やパーリオ(イタリアのシエーナ)や観客の喧騒などシーンをフラッシュバックするように織り込みストーリーに重厚感を持たせる工夫がなされている。
- どのボンド映画よりも多い6カ国で撮影された[2]。
- 以前のような突飛なアイディア満載の超人的なボンドグッズは殆ど見られず、代わりにソニー・エリクソン製の多機能携帯電話が情報収集や諜報活動に大活躍するなど時代の変化も顕著に描かれている。
- Mの私生活や私室が若干確認できるほか、彼女の司令室は3D映像技術が導入されるなど、大きな変化と共に非常に高度な技術発達が描かれている。Mを演じたジュディ・デンチはパンフレットのインタビューなどで、新しくなった司令室のデザインを非常に気に入っていることを話している。
- 『トゥモロー・ネバー・ダイ』以来、約11年ぶりにワルサーPPKがボンドの愛銃として再登場した。
- 本作の撮影中はトラブル続きであった。後述の車両事故の他、チリでのロケでは撮影に反対する現地の町長が車でセットに乱入し、逮捕される騒ぎが起こった[3][4]。また、ボリビアの副教育文化相は、作中にボリビア人とされる麻薬密輸業者が登場することについて、プロデューサーに抗議文を送った[5][6][7]。さらに、ダニエル・クレイグは撮影中に指に負傷し[8][9]、顔にも8針縫う傷を負って、撮影終了後に美容整形を受けた[10][11]。
- 前作『007 カジノ・ロワイヤル』に登場したアストンマーチン・DBSは、本作でもボンドカーとして登場し、オープニングで激しいカーチェイスを繰り広げた。なお、2008年4月19日午前6時(現地時間)、イタリアのガルダ湖でのロケのため、スタントマンがDBSを撮影場所まで移動させていたところ、コントロール不能になって車ごと湖に沈んでしまうというアクシデントが起きた。車の引き上げの模様は、衛星テレビのスカイ・イタリアで放送された。スタントマンは救助隊に救助され軽症ですんだが、このとき撮影に使えるDBSは、湖に沈んだ1台だけだった[12][13][14][15][16]。事故はそれだけでは終わらず、アルファロメオが大破した3度目の事故では、スタントマンの一人が重体に陥った[17][18][19][20][21][7]。
- 前作や前前作同様アストンマーチンやレンジローバーを傘下に持つ(当時)フォード・モーターの後援を受けており、車両の提供を受けているが、上記のようにアルファロメオが登場する他、デイムラーが登場するものの旧型が使用されている。
- ボンドが着用する腕時計は、オメガ「シーマスター プラネット・オーシャン 600M コーアクシャル クロノメーター」[22][23]であった。
- ボランジェとのコラボレーションで、同社のシャンパンが登場した[24]。
- ガンバレル・シークエンスは本編の最後、エンド・クレジットで登場。近年の作風と異なり、平面的な作りとなっている。
- タイトル・デザインはダニエル・クラインマンと、フォースター監督作品『主人公は僕だった』、『君のためなら千回でも』に参加したMK12の共作。新しい試み(タイポグラフィを新たに作成)と原点回帰(第1作『ドクター・ノオ』やガンバレル・シークエンスの円を多用したデザイン)の両方が盛り込まれている。MK12はMI6本部のテーブルや大型モニターに映る多数のモーショングラフィックも手掛け、タイトルデザインだけでなくVFXスタジオとしてもクレジットされた。本作での同社の役割はさらにVG版、主題歌のPVやコカ・コーラのタイアップCMにまで及んでいる。
- シエナ、ポルトープランス、ブレゲンツといった地名のレタリング制作は『ジャッカル』(1997年)のメイン・タイトルも手掛けたトマト・フィルム(ロンドン)。
- 007シリーズでは、過去の作品のシチュエーションを形を変え登場させることがよくある。今回、ジェマ・アタートン演ずるフィールズが全身オイルまみれにされ殺されるシーンは、『ゴールドフィンガー』でシャリー・イートン演ずるジル・マスターソンが全身金粉まみれにされ殺されるシーンが元になっている[25][26]。
- 前作同様、配給はソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが担当したが、Blu-ray DiscとDVDの発売元はソニー・ピクチャーズ エンタテインメントではなく、20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン株式会社が担当しており、以後のソニー配給のMGM作品でこの体制となっている。これは、ソニーがMGM作品におけるDVDなどの販売権を失ったからである[27]。Blu-rayは6月19日、DVDは6月26日とBlu-rayが1週間先行して発売された。
[編集] 公開日
2008年10月29日にロンドンで開催されたザ・タイムズ・BFI・ロンドン・フィルム・フェスティバルでプレミア公開され、2008年10月31日にはイギリスとフランス、スウェーデンで一般公開された。欧州では007にちなんで11月7日に公開した国が多い。
日本では他国から2か月ほど遅れて2009年1月24日と世界で最も遅く公開された(一部劇場では1月17日・1月18日に先行公開)。007シリーズの邦題が、英語のカタカナ表記ではなく、日本語となるのは、1989年公開の『007 消されたライセンス』以来。
[編集] 主題歌
映画タイトルとは異なった"Another Way To Die"を担当したのは、アリシア・キーズとザ・ホワイト・ストライプスなどで活躍するジャック・ホワイトとの共演、007シリーズ史上初のデュエットだった事なども含め、話題性は十分だった。イギリスのチャートでは、最高位9位と健闘したが、アメリカの『ビルボード』誌では、最高位81位だった。また、同サウンドトラック・アルバムはチャート入りしていない。
[編集] キャスト
- ジェームズ・ボンド - ダニエル・クレイグ(吹き替え:小杉十郎太)
- カミーユ - オルガ・キュリレンコ(吹き替え:佐古真弓)
- ドミニク・グリーン - マチュー・アマルリック(吹き替え:家中宏)
- M - ジュディ・デンチ(吹き替え:此島愛子)
- ストロベリー・フィールズ - ジェマ・アータートン(吹き替え:冠野智美)
- メドラーノ将軍 - ホアキン・コシオ(吹き替え:長克己)
- フェリックス・ライター - ジェフリー・ライト(吹き替え:辻親八)
- レネ・マティス - ジャンカルロ・ジャンニーニ(吹き替え:菅生隆之)
- ミスター・ホワイト - イェスパー・クリステンセン(吹き替え:仲野裕)
- ビル・タナー - ローリー・キニア
[編集] ゲーム版
詳細は「007 慰めの報酬 (ゲーム)」を参照
Activisionがプレイステーション2、プレイステーション3、Xbox 360、Wii用にゲームを発売している。日本では未発売のWindows版、ニンテンドーDS版もある。
[編集] 参照
- ^ a b “Quantum of Solace (2008)”. Box Office Mojo. 2010年1月25日閲覧。
- ^ Randee Dawn (2008年11月11日). “'Quantum' is Marc Forster's 007 art film”. The Hollywood Reporter 2008年11月13日閲覧。
- ^ Warden, Tom (2008年4月3日). “007 Daniel Craig shaken and stirred by mad mayor's protest in Chile” (英語). Mail Online 2009年6月15日閲覧。
- ^ Leonard, Tom (2008年4月3日). “James Bond gets new villain as Chilean mayor drives at Daniel Craig” (英語). Telegragh.co.uk 2009年6月24日閲覧。
- ^ “「007」シリーズ新作の脚本内容に、ボリビア閣僚が抗議” (英語). AFPBB News. (2008年4月7日) 2009年6月24日閲覧。
- ^ “Pablo Groux dispara contra James Bond” (スペイン語). La Razón. (2008年4月4日) 2009年6月24日閲覧。
- ^ a b Moore, Malcom (2008年4月25日). “James Bond 'curse' prompts Italian investigation” (英語). Telegragh.co.uk 2009年6月24日閲覧。
- ^ Fernandez, Colin (2008年6月11日). “Curse of Bond strikes again as Daniel Craig slices tip of his finger off during filming” (英語). Mail Online 2009年6月15日閲覧。
- ^ “Bandaged Daniel Craig not shaken nor stirred after slicing off top of finger during filming” (英語). Mail Online. (2008年6月18日) 2009年6月15日閲覧。
- ^ “007俳優D・クレイグ最新作の秘話語る、撮影中の事故で美容整形も”. AFPBB News. (2008年10月9日) 2009年7月16日閲覧。
- ^ “Bond star Daniel Craig reveals he had cosmetic surgery after set accident” (英語). Mail Online. (2008年10月9日) 2009年6月15日閲覧。
- ^ “007の愛車、危機一髪? アストンマーティンがロケ現場の湖に沈没” (英語). AFPBB News. (2008年4月21日) 2009年6月15日閲覧。
- ^ “Bond car plunges into Lake Garda” (英語). BBCニュース. (2008年4月19日) 2009年6月15日閲覧。
- ^ Tapper, James (2009年4月19日). “Dry Another Day: Bond's Aston Martin crashes into lake - on its way to movie set” (英語). Mail Online 2009年6月15日閲覧。
- ^ Smit, Martina (2008年4月20日). “James Bond's Aston Martin crashes into lake” (英語). Telegragh.co.uk 2009年6月24日閲覧。
- ^ Soodin, Vince (2008年4月21日). “Bond's Aston in lake fall smash” (英語). ザ・サン 2009年6月24日閲覧。
- ^ “映画「007」最新作、イタリアでの撮影中にまた事故”. ロイター. (2008年4月25日) 2009年6月24日閲覧。
- ^ “Stuntman hurt in Bond car crash” (英語). BBCニュース. (2008年4月24日) 2009年6月15日閲覧。
- ^ Pisa, Nick (2008年4月25日). “Stuntman fighting for life after third accident in a week during filming of 'jinxed' Bond movie” (英語). Mail Online 2009年6月15日閲覧。
- ^ Knapton, Sarah (2008年4月25日). “Stuntman accident halts work on new Bond film” (英語). ガーディアン 2009年6月15日閲覧。
- ^ Syson, Niel (2008年4月25日). “Bond stuntman in THIRD 'jinx' crash” (英語). ザ・サン 2009年6月15日閲覧。
- ^ “ジェームズ・ボンド”. オメガ. 2009年8月17日閲覧。
- ^ “ジェームズ・ボンド・ウォッチとはどのシーマスター・ウォッチなのでしょうか?”. オメガ. 2009年8月17日閲覧。
- ^ “007のコラボ記念「ボランジェ」発売”. YOMIURI ONLINE. (2008年10月31日) 2009年8月17日閲覧。
- ^ “The Bond Homage” (英語). Mail Online. (2008年10月4日) 2009年7月16日閲覧。
- ^ Harper, Tom (2008年10月6日). “SPOILER ALERT Oilfinger: Exclusive picture shows Gemma Arterton coming to a sticky end in new Bond film” (英語). Mail Online. 2009年6月15日閲覧。
- ^ “「ソニー、MGM買収で大きな誤算」米紙報道”. 日経ネット. (2006年10月22日) 2009年9月3日閲覧。
[編集] 外部リンク
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