M (架空の人物)

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M
ジェームズ・ボンドのキャラクター
初登場 007 カジノ・ロワイヤル』(1953年)
最後の登場 007 スカイフォール』(2012年)
作者 イアン・フレミング
バーナード・リー (1962-1979)
ジョン・ヒューストン (1967)
ロバート・ブラウン英語版 (1983-1989)
エドワード・フォックス (1983)
ジュディ・デンチ (1995-2012)
レイフ・ファインズ (2012-)
詳細情報
別名 M
職業 イギリス情報局秘密情報部(MI6)長官
国籍 イギリスの旗 イギリス

Mは、イアン・フレミングジェームズ・ボンドシリーズに登場する架空の人物であり、イギリス情報局秘密情報部(MI6)の局長である。フレミングだけでなく後継の作者たちの小説でも使われ、また、映画シリーズでは24回登場している。イーオン・プロダクションズ製作の映画ではバーナード・リーロバート・ブラウンジュディ・デンチレイフ・ファインズ、非イーオン作品ではジョン・ヒューストンエドワード・フォックスがMを演じた。

背景[編集]

Mは、第二次世界大戦下に海軍情報課で活躍したジョン・ヘンリー・ゴドフリー英語版を基に創造された。フレミングの死後、ゴドフリーは「彼は私を不快なキャラクター、Mに変えてしまった」と不満を述べた[1]

小説[編集]

マイルズ・メッサヴィー(Miles Messervy)

イアン・フレミングの小説では、12長編と2短編集のすべて(1953年から1966年)に登場している。

  • ムーンレイカー』(1955年)では、「M****・M*******」とイニシャルのみ明らかにされている。但し、ブレイズ・クラブの会長が「マイルズ」と呼んでいる
    • 結末ではボンドが事件でベレッタとコルトの二丁の拳銃を紛失したので、あらためて新品を与えた。
  • ロシアから愛をこめて』(1957年)では、調査委員会にバージェス(Burgess)マクリーン問題の研究をさせ、本部で勤務中のボンドに委員を命じた。
    • ソ連情報部の資料に「海軍将官で仮称はM、存在が公表されておらずめったに英国を離れることもない」と言及されており、情報機関の合同会議で、ロンドンで暗殺しても政治的効果は少ないと判断された。
  • ドクター・ノオ』(1958年)では、前作結末で動作不良をおこしたベレッタM1919をかえるようボンドに命じた。
  • ゴールドフィンガー』(1959年)では、本部で勤務中のボンドに夜間当直の責任者を命じた。
  • 読後焼却すべし』(『007号の冒険』(1960年)に収録)には、海軍軍令部最高委員になれるはずだったのが秘密情報部の長官になったとある。
  • サンダーボール作戦』(1961年)では、休暇をシェラブランズ自然療養所で過ごした。
    • 後にボンドも入所してスペクター(SPECTRE)の手先と知らぬ内に対決する。
  • 女王陛下の007号』(1963年)では、最近、聖マイケル・聖ジョージ勲章を授与された。秘密情報部の長官として年俸5,000ポンドと運転手付きのロールス・ロイスを支給、他に軍人恩給が年1,500ポンド給付されている。手取りは約4,000ポンド。住居はウィンザー公園近くの摂政屋敷(王室領、すなわち国有地らしい。)、最後に艦上勤務したのは巡洋艦レパルス、従兵だったハモンド兵曹長を夫婦共々使用人としている。
  • 007は二度死ぬ』(1964年)では、プレンダーガースト事件の解決後に引責辞任を考えていた。シニアー・クラブの会員資格がある。結末では日本で行方不明となったボンドの死亡公告をタイムズ紙にM名義で寄稿している。
    • ブレイズ・クラブの給仕頭ポーターフィールドは、Mがレパルスで艦上勤務していたときの先任兵曹長だった。
  • 黄金の銃を持つ男』(1965年)で、「海軍中将サー・マイルズ・メッサヴィー(Vice Admiral Sir Miles Messervy)」とフルネームが明らかになった。ブレイズ・クラブには、自分専用にアルジェリア産の赤ワインを取り寄せさせている。
    • 「前任者は狂った情報部員に執務室で暗殺された」と言っている。

キングズリー・エイミスは、『ジェームズ・ボンド白書』(The James Bond Dossier)でMを「ジェームズ・ボンドの敵」のトップに挙げている。 ボンドはプレイボーイでいたいのに、Mの命令で次々と悪人と対決せねばならないからというのが理由。(もちろんMは悪人ではない。)

表向きはユニヴァーサル貿易の専務。秘書はミス・マネーペニー、幕僚主任はビル・タナー(Bill Tanner) 。 家族についての描写は無く、使用人のハモンド夫妻を除けば一人暮しである。

公私の別にきびしく、執務室では私的なことでなければボンドを「007」と呼び「ジェームズ」とは呼ばない。 ヴィクトリア朝の教育を受けたのでボンドの女遍歴を苦々しく思っている。 但し、上官としてはボンドが一人の女にとらわれるのも良しとしていない。

フレミング以後では、

  • ロバート・マーカム(キングズリー・エイミス)の『孫大佐』(Colonel Sun)(1968年)では、中国情報部員に拉致されギリシャの小島に幽閉されたところをボンドに救出される。
    • ハモンド夫妻が拉致の際に殺害されている。
  • ジョン・ガードナー(John Gardner)の14長篇(1981年から1996年)にも登場する。
    • 第一作『メルトダウン作戦』(Licence Renewed)(1981年)で、緊縮財政で廃止された00課を「人を殺してでも英国の危機を救う男」を必要とする時がくると信じて特別課と改称しボンドを置いた。
    • 最終作『COLD』(1996年)で秘密情報部から勇退する。
  • レイモンド・ベンソンのシリーズでは、『ファクト・オブ・デス』(The Facts of Death)(1998年)に引退後の姿を現している。
  • セバスチャン・フォークス(Sebastian Faulks)の『デヴィル・メイ・ケア』(Devil May Care)(2008年)では、時代背景が『黄金の銃を持つ男』の後の1967年と設定され、ボンドを00課から退きデスクワークにつくか決断させるために長期有給休暇に出した。

バーバラ・モーズレー(Barbara Mawdsley)

レイモンド・ベンソンの第一長編『ゼロ・マイナス・テン』(Zero Minus Ten)(1997年)では女性としかわからなかったが、『ファクト・オブ・デス』で「バーバラ・モーズレー」とフルネームが明らかになった。

映画[編集]

イーオン・プロダクションズ作品[編集]

バーナード・リー: 1962-79年[編集]

バーナード・リーが演じるMは、ボンド映画第1作『ドクター・ノオ』から『ムーンレイカー』(1979年)まで登場した[2]

リーは『ユア・アイズ・オンリー』撮影前の1981年1月にガンで亡くなった[3]。リーを尊重して新たな俳優は雇われず、Mは休暇中という設定に脚本が書き直され、作中での役割はビル・タナー英語版フレデリック・グレイ英語版に置き換えられた[4]。1999年の『ワールド・イズ・ノット・イナフ』では、MI6スコットランド支部でリーのMらしき肖像画が登場した[5]

登場作品

ロバート・ブラウン: 1983-89年[編集]

1981年にリーがなくなった後、新たにロバート・ブラウンが雇われ、『オクトパシー』よりブラウン演じるMが登場した。ブラウンは1977年の映画『私を愛したスパイ』でアドミラル・ハーグリーブズ役で出演していた[7][8]

登場作品

ジュディ・デンチ: 1995-2012年[編集]

『消されたライセンス』からしばらく空いて『ゴールデンアイ』ではジュディ・デンチが新たなM役に雇われた。キャラクターは1992年から1996年まで実際にMI5の長官だったステラ・リミントン英語版に基づいている[9][10]。なお、シリーズがリブートされた関係上、『ダイ・アナザー・デイ』までのMと、『カジノ・ロワイヤル』以降のMは同じキャストでもまったく別のMという設定になっている。『007 スカイフォール』ではMが物語の重要人物となり、終始ストーリーに登場。結末で殉職し、新任のMに引き継ぎとなるシーンまで描かれているが、これらのことは全てMのキャラクターを使用する中で初のことである。

登場作品

デンチのMは多数のコンピュータゲーム作品にも登場している。

レイフ・ファインズ: 2012年-[編集]

007 スカイフォール』の結末でジュディ・デンチ演じるMは殉職し、レイフ・ファインズ演じるギャレス・マロリーが引き継いだ。マロリーはIntelligence and Security Committeeの委員長で、元イギリス陸軍中佐である[17]

登場作品

非イーオン作品[編集]

ジョン・ヒューストン: 1967年[編集]

1967年のコメディ映画『007 カジノロワイヤル』では2人のMが登場する。1人目は共同監督を務めたジョン・ヒューストンが演じ[18]、本名はマクタリーである。マクタりーは敵の攻撃を受けて死亡し、デヴィッド・ニーヴン演じるボンドが新たなMとなる[19]

エドワード・フォックス: 1983年[編集]

1983年の『ネバーセイ・ネバーアゲイン』ではエドワード・フォックスがMを演じた。

出典[編集]

  1. ^ Macintyre, Ben (2008年4月5日). “Bond– the real Bond”. The Times: p. 36 
  2. ^ Rubin 2003, p. 256.
  3. ^ “Obituary: Mr Bernard Lee”. The Times: p. 12. (1981年1月19日) 
  4. ^ Pfeiffer & Worrall 1998, p. 98.
  5. ^ Cork & Stutz 2007, p. 154.
  6. ^ From Russia With Love Tech Info”. CBS Interactive Inc. 2012年1月30日閲覧。
  7. ^ Cork & Stutz 2007, p. 154-155.
  8. ^ Rubin 2003, p. 178.
  9. ^ West 2010, p. 45.
  10. ^ Rimington 2008, p. 244.
  11. ^ Lindner 2009, p. 323.
  12. ^ James Bond 007: Everything or Nothing Review”. James Bond 007: Everything or Nothing Xbox. IGN Entertainment (2004年2月18日). 2012年1月30日閲覧。
  13. ^ GoldenEye: Rogue Agent”. GoldenEye: Rogue Agent PlayStation 2. IGN Entertainment (2004年11月22日). 2012年1月30日閲覧。
  14. ^ East, Tom (2008年11月4日). “Making Of Quantum Of Solace”. Nintendo magazine. Future plc. 2012年1月30日閲覧。
  15. ^ E3 2010: GoldenEye Reimagined for Wii”. GoldenEye 007 Wii. IGN Entertainment (2010年6月15日). 2012年1月30日閲覧。
  16. ^ James Bond 007: Blood Stone Review”. James Bond 007: Blood Stone Xbox 360. IGN Entertainment (2010年11月2日). 2012年1月30日閲覧。
  17. ^ French, Philip (2012年10月28日). “Skyfall – review”. The Observer (London): p. 32. http://www.guardian.co.uk/film/2012/oct/28/skyfall-james-bond-review 
  18. ^ Casino Royale (1967)”. Allrovi. Rovi Corporation. 2012年1月30日閲覧。
  19. ^ Rubin 2003, p. 44.

参考文献[編集]

外部リンク[編集]