弦楽四重奏曲
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弦楽四重奏曲(げんがくしじゅうそうきょく)は、弦楽四重奏による楽曲を言う。一般には、複数の楽章から成り、多くは交響曲やソナタと同様、急−緩−舞−急の4楽章から構成されており、第1楽章がソナタ形式となっている。
目次 |
[編集] 歴史
弦楽四重奏の父として知られるハイドンが切り開いたジャンルである。ハイドンの初期の作品では、管楽器が含まれている曲がある、低音がBassoとだけ記されている、5楽章ある等の、現在の弦楽四重奏曲のスタンダードな形とは幾分異なった形式で書かれている(作品1および2)。その後4楽章構成となり(作品9)、最低音がチェロと明記され(作品20)、作品33の頃に現在のような形が定まってきたようである。
その後、ベートーヴェンが壮年期に「ラズモフスキー弦楽四重奏曲」でプロの演奏家が演奏会のために演奏する曲として確立し、さらに晩年にはプロの演奏家が何年もかけて研鑽するべき崇高な作品を残したこともあって、交響曲やピアノソナタと同程度に重要なジャンルとみなされるようになった。
しかし、ベートーヴェン以降のロマン派の時代には、シューベルトとドヴォルザークを除いてあまり数多くは作曲されていない。ベートーヴェンの後継者と評されるブラームスでさえ、ベートーヴェンの傑作群の重圧を感じたのか、数多くある室内楽の分野の一分野という程度に、わずかに3曲作曲しただけにとどまっている。
このようなベートーヴェンの重圧による寡作の時代があったが、その間に決して弦楽四重奏曲が重要なジャンルと見なされていなかったわけではない。たとえば、交響曲やピアノソナタのような「古典的な」音楽には否定的な意見を持っていたドビュッシーですら、弦楽四重奏という「古典的な」ジャンルで、1曲だけだがト短調の四重奏曲を発表している。もっとも、のちにラヴェルが恩師フォーレに捧げた四重奏曲同様、ドイツ・クラシックの権化のような調性音楽上のこのジャンルは、形式上はその体裁を保っていたとはいえ、印象主義の時代には既に古典的な形式の好例と見なされていたことがうかがわれる。
近代では、弦楽四重奏曲で2人目の巨匠と言われる作曲家バルトークが現れ、ベートーヴェンの後期作品以来の快挙とも評される6曲の弦楽四重奏曲を作曲した。これらの作品群は現代音楽の古典ともいわれる。
その後も、ミヨー、ショスタコーヴィチ、安部幸明らはこのジャンルのために生涯をかけて多くの作品を残している。新ウィーン楽派もこのジャンルに全精力を費やした痕跡が残り、第二次世界大戦後の前衛の時代に於いてもベリオ、ブーレーズ、ノーノなどによって無視できないジャンルと見なされた。シュトックハウゼンは「このような古典的なジャンルとは一切かかわりたくない」という創作態度であったものの、結局はアルディッティ弦楽四重奏団の委嘱に「ヘリコプター付き」との条件付で作曲した(ヘリコプター弦楽四重奏曲)。21世紀を迎えた現在も、このジャンルへ挑戦する作曲家は後を絶たない。
[編集] 主な作曲家と作品
(生年順)
- 1706年 ガルッピ - 6曲以上
- 1709年 F.X.リヒター - 6曲
- 1729年 ガスマン - 18曲以上
- 1731年 デュシェック - 6曲以上
- 1732年 ハイドン 68曲の弦楽四重奏曲。(「ロシア四重奏曲」第37-38番、74「騎士」、「エルデーディ四重奏曲」75-80番;うちニックネーム付きは76「五度」・77「皇帝」・78「日の出」・79「ラルゴ」) 全曲の一覧はフランツ・ヨーゼフ・ハイドン#弦楽四重奏曲、各記事はCategory:ハイドンの弦楽四重奏曲を参照
- 1732年 J.C.F.バッハ - 6曲
- 1734年 ゴセック - 12曲
- 1735年 ロンバルディーニ=ジルメン - 6曲
- 1737年 M.ハイドン - 6曲以上
- 1737年 ミスリヴェチェク - 26曲
- 1739年 ヴァンハル - 7曲以上
- 1739年 ディッタースドルフ - 6曲
- 1743年 ボッケリーニ 102曲(英語版には91曲とある)
- 1754年 ホフマイスター - 5曲
- 1755年 ヴィオッティ - 17曲
- 1756年 クラウス - 現存しているものは10曲
- 1756年 モーツァルト - 23曲(「ハイドン・セット」第14-19番が有名) 各記事はCategory:モーツァルトの弦楽四重奏曲を参照
- 1759年 クロンマー - 3曲以上
- 1760年 ケルビーニ - 6曲
- 1765年 リバ - 2曲
- 1770年 ベートーヴェン - 16曲+大フーガ 各記事はCategory:ベートーヴェンの弦楽四重奏曲を参照
- 1770年 レイハ - 1曲以上
- 1778年 フンメル - 3曲
- 1797年 シューベルト - 未完含め15曲(13「ロザムンデ」、14「死と乙女」、15が有名)
- 1801年 カリヴォダ - 3曲
- 1806年 アリアーガ - 3曲
- 1809年 メンデルスゾーン - 6曲(1、2、3、4、5、6)+変ホ長調
- 1810年 シューマン - 3曲(1、2、3)
- 1813年 ヴェルディ - 1曲
- 1822年 フランク - 1曲
- 1824年 ブルックナー - 1曲
- 1824年 スメタナ - 2曲(1「わが生涯より」、2)
- 1833年 ボロディン - 2曲(1、2:第3楽章「ノクターン」が有名)
- 1833年 ブラームス 3曲の弦楽四重奏曲。(1、2、3)
- 1835年 サン=サーンス - 2曲
- 1840年 チャイコフスキー - 3曲(1:第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」が有名、2、3)
- 1841年 ドヴォルザーク - 14曲(通常演奏されるのは8、9、10、11、12「アメリカ」、13、14)+歌曲集「糸杉」の抜粋編曲
- 1843年 グリーグ - 1曲(「第1番」)+未完1曲(「第2番」)
- 1845年 フォーレ - 1曲
- 1850年 フィビフ - 2曲
- 1851年 ダンディ - 3曲
- 1854年 フンパーディンク - 1曲
- 1854年 ヤナーチェク - 2曲(1「クロイツェル・ソナタ」、2「ないしょの手紙」)
- 1855年 ショーソン - 未完1曲
- 1857年 エルガー - 1曲
- 1858年 プッチーニ - 3曲(「菊」など)
- 1860年 ヴォルフ - 1曲+イタリア風セレナーデ
- 1862年 ドビュッシー - 1曲
- 1864年 リヒャルト・シュトラウス - 1曲
- 1865年 グラズノフ - 7曲ほか
- 1865年 ニールセン - 4曲(うち4番が代表的)
- 1865年 シベリウス - 4曲の弦楽四重奏曲(うち作品番号付きは2曲:op.56『親愛の声』が有名)
- 1865年 マニャール - 1曲
- 1866年 ブゾーニ - 2曲
- 1869年 プフィッツナー - 4曲
- 1870年 フローラン・シュミット - 1曲
- 1871年 ツェムリンスキー - 4曲
- 1872年 ヴォーン・ウィリアムズ - 2曲
- 1873年 レーガー - 作品番号付き6曲+1曲(ニ短調…終楽章にコントラバスのオプションが付く)。
- 1874年 スーク - 2曲
- 1874年 フランツ・シュミット - 2曲
- 1874年 アイヴズ - 2曲(1、2)
- 1874年 シェーンベルク - 作品番号付き4曲(1、2、3、4):第2番は第3・4楽章にソプラノ独唱を伴う。他にニ長調(作品番号のない1897年の作品)1曲
- 1875年 フリッツ・クライスラー - 1曲
- 1875年 ラヴェル - 1曲
- 1879年 ブリッジ - 5曲、他
- 1879年 レスピーギ - 7曲、他
- 1880年 ブロッホ - 5曲
- 1881年 バルトーク - 6曲(1、2、3、4、5、6)
- 1881年 ミャスコフスキー - 13曲
- 1882年 コダーイ - 2曲
- 1882年 シマノフスキ - 2曲(1、2)
- 1882年 ストラヴィンスキー - 3つの小品、二重カノン
- 1882年 マリピエロ - 8曲
- 1882年 マルクス - 3曲
- 1883年 バックス - 3曲
- 1883年 ヴェーベルン - 5つの断章op.5(12音技法による)、6つのパガテルop.9、弦楽四重奏曲op.28、作品番号のない1905年の作品
- 1885年 ベルク - Op.3、抒情組曲
- 1886年 山田耕筰 - 3曲
- 1887年 ヴィラ=ロボス - 17曲
- 1887年 アッテルベリ - 3曲
- 1890年 マルチヌー - 7曲
- 1891年 ブリス - 3曲
- 1891年 セルゲイ・プロコフィエフ - 2曲(1、2)
- 1892年 オネゲル - 3曲
- 1892年 ルーセンベリ - 14曲
- 1892年 ミヨー - 18曲:第3番はソプラノ独唱を伴う。第14番と第15番は同時に演奏すると弦楽八重奏曲になる。
- 1893年 ハーバ - 16曲、他
- 1894年 ピストン - 5曲
- 1895年 ヒンデミット - 7曲(1、2、3、4、5、6、7)+「ミニマックス(軍楽隊のためのレパートリー)」+「朝7時に村の井戸端で二流オーケストラにより初見で演奏された「さまよえるオランダ人」序曲」
- 1896年 セッションズ - 2曲+「ストラヴィンスキーの思い出にささげるカノン」
- 1897年 コルンゴルト - 3曲
- 1897年 ポーター - 9曲
- 1898年 アイスラー - 2曲
- 1898年 ガーシュウィン - 1曲(弦楽四重奏のためのララバイ)
- 1899年 チャベス - 3曲
- 1899年 レブエルタス - 4曲
- 1900年 クルシェネク - 8曲
- 1900年 ワイル - 2曲
- 1900年 清瀬保二 - 1曲
- 1901年 クロフォード=シーガー - 1曲
- 1902年 ウォルトン - 2曲
- 1903年 アドルノ - 3曲
- 1905年 ロースソーン - 4曲
- 1905年 シェルシ - 5曲
- 1905年 ティペット - 番号付き5曲+習作2曲
- 1906年 ショスタコーヴィチ - 15曲+2つの小品 各記事はCategory:ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲を参照
- 1907年 マコンキー - 13曲
- 1908年 カーター - 5曲
- 1909年 ホルンボー - 20曲
- 1910年 バーバー - 1曲(第2楽章前半のアダージョ部を弦楽合奏に編曲したのが「弦楽のためのアダージョ」)
- 1910年 W.シューマン - 5曲
- 1911年 安部幸明 - 15曲
- 1911年 ホヴァネス - 5曲
- 1911年 尾高尚忠 - 2曲
- 1912年 ケージ - 1曲ほか。
- 1912年 ナンカロウ - 3曲(第2番は未完)
- 1913年 ブリテン - 番号付き3曲+習作2曲+ディヴェルティメントほか
- 1913年 ルトスワフスキ - 1曲
- 1914年 早坂文雄 - 1曲
- 1915年 ダイアモンド - 10曲
- 1916年 石桁真礼生 - 1曲
- 1917年 ユン・イサン - 5曲
- 1920年 マデルナ - 2曲
- 1922年 クセナキス - 4曲(「st/4 - 1,080262」、「Tetras」、「Tetora」、「Ergma」)
- 1923年 リゲティ - 2曲(1「メタモフォーゼン・ノクターン」、2)
- 1924年 ノーノ - 1曲
- 1925年 ブーレーズ - 1曲(弦楽四重奏のための書)
- 1925年 ベリオ - 5曲(「スタディ」、「弦楽四重奏曲」、「シンクロニー」、「ノットゥルノ」、「グロッセ」)
- 1926年 ヘンツェ - 現時点で5曲
- 1928年 シュトックハウゼン - ヘリコプター弦楽四重奏曲(オペラ「光」より)。
- 1929年 シェッフェル - 現時点で17曲、「弦楽四重奏曲」と銘打っていないがこの編成のために書かれた作品が他に3曲
- 1929年 スカルソープ - 現時点で16曲
- 1929年 間宮芳生 - 現時点で3曲
- 1929年 黛敏郎 - 1曲(弦楽四重奏のための前奏曲)
- 1929年 湯浅譲二 - 2曲(弦楽四重奏のためのプロジェクション第1番、第2番)
- 1930年 武満徹 - 2曲(「ランドスケープ」「ア・ウェイ・ア・ローン」)
- 1933年 グレツキ - 現時点で3曲
- 1933年 ペンデレツキ - 現時点で2曲。
- 1933年 三善晃 - 現時点で3曲
- 1934年 シュニトケ - 4曲ほか
- 1935年 ラッヘンマン - 現時点で3曲
- 1936年 ライヒ - 弦楽四重奏とテープのための「Different Trains」、「Triple Quartet」
- 1937年 グラス - 現時点で5曲
- 1937年 カプースチン - 現時点で2曲
- 1942年 キルヒナー - 現時点で12曲
- 1947年 シャリーノ - 現時点で7曲
- 1949年 レヴィナス - 現時点で2曲。
- 1949年 嶋津武仁 - 現時点で1曲
- 1952年 チャン - 現時点で3曲
- 1953年 リーム - 現時点で11曲
- 1953年 西村朗 - 現時点で4曲
- 1953年 野平一郎 - 現時点で2曲
- 1955年 ツェン - 現時点で4曲
- 1959年 トゥール - 現時点で1曲
- 1960年 猿谷紀郎 - 現時点で1曲
- 1960年 福井とも子 - 現時点で4曲
- 1961年 田中カレン - 現時点で2曲
- 1962年 高橋東悟 - 現時点で2曲
- 1963年 ラルヒャー - 現時点で2曲
- 1969年 望月京 - 現時点で1曲
- 1973年 アウエルバッハ - 現時点で3曲
- 1974年 フリードマン - 現時点で2曲
