アーノルド・バックス

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アーノルド・エドワード・トレヴァー・バックス(Sir Arnold Edward Trevor Bax, KCVO, 1883年11月8日ロンドン - 1953年10月3日コーク)は、イギリス作曲家。その曲風は、モダニズムの中にあってロマン主義印象主義的である。

目次

[編集] 生涯

裕福な上流階級の家庭に生まれる。物心ともに何不自由ない家庭環境から、自由に音楽の道に進むことができた。王立音楽アカデミーで専門教育を受け、フレデリック・コーダーに作曲を師事。めったに人前に出ることがなかったものの、ピアノ演奏に才能を発揮し、同時代のオーケストラ作品のフルスコアを初見でピアノで演奏できることで有名だった。

若くしてロシア旅行を経験し、同地の民族音楽の影響を吸収したが、その後はむしろアイルランドへの深い愛着を育むことになり、しばらく例年のように何ヶ月かをアイルランドで過ごし、同地の雑誌にアイルランド風の偽名“Dermot O'Byrne”を名乗って詩を投稿した。また、スコットランド西部の辺地にも惹かれ、数年の間、冬になるとモーラー(Morar)で過ごした。

バックス成熟期の作品は1910年ごろの《ピアノ・ソナタ第1番》にさかのぼり、その後まもなく、『ファンドの庭』(The Garden of Fand)や『ティンタジェル』(Tintagel)などの一連の交響詩で管弦楽曲に向かった。第一次世界大戦中は、ひそかに恋愛生活を続けて、ピアニストのハリエット・コーエンとの情熱的な関係を結んだ。この余響は、この時期の音楽にもこびり付いている。たとえば『ティンタジェル』のクライマックスは、スクリャービン交響曲第4番『法悦の詩』のそれに比較することができるであろう。

戦争が終わると、バックスはピアノ曲から交響曲に進み、1922年から1939年までの17年間に7つの交響曲を物して、エルガーの後継者とする名声に浴した。たとえばヴォーン=ウィリアムズはこの時期わずかに2つの交響曲しか完成させておらず、ウォルトンはというと、当時は「バックスに目にものを見せてやろう」と最初の交響曲を書いている最中だった。バックスの交響曲は、伝統的な4楽章でなく3楽章であるという点で異例である。情熱的な交響曲第1番は、ピアノ・ソナタ第2番の後に書かれたピアノ・ソナタ(未出版、ジョン・マッケイブによるCDあり)から編曲され(試演を聞いたハリエット・コーエンから「オーケストラ向き」と指摘されたことから)、この作品と交響曲第3番が、一般にバックスの最高の作品と認められている。

バックスは1937年ナイトに叙勲され、1942年には「国王の音楽師範」に就任した。この頃には映画音楽(『オリヴァ・ツイスト』など2作)を作曲する。だがバックスの創作力はすでに下降線をたどっており、徐々に厭世的になって、サセックス州ストーリントンで静かに暮らすようになった。1953年コーク市にて死去。最後の作品は、「エリザベス2世のための戴冠行進曲」( Coronation March for Queen Elizabeth II)であった。

バックスの死後、遅くとも1960年代半ばまではバックス作品の黙殺が続き、交響曲の2点の録音が行われただけで、しかも一方は抹殺され、もう一方は正体不明のレーベルから出されたのである。だが、1966年以降はリリータ・レーベル(Lyrita)の一連の録音によってバックス作品の復活が始まり、1983年~1988年にはブライデン・トムソンにより、また2003年にはヴァーノン・ハンドリーによって交響曲全集がシャンドスからリリースされた。しかしながら今日でさえ、バックスの作品が頻繁に演奏されているとは言い難い。

モダニズムの時流にあってバックスは「恥じることなきロマン主義者」(a Brazen Romantic)を以て自認していた。とはいえ、その作品はドビュッシーデュカスストラヴィンスキーの影響も汲んでいる。バックスも豊かで巧みなオーケストレーションで著名であった。

バックスが演奏家として出演した機会は滅多になかった。メイ・ハリスンやライオネル・ターティスと汲んで、自作やディーリアスのソナタを録音しており、1930年にはピーター・ウォーロック追悼演奏会にも珍しく出演した。

なお、アーノルド・バックスは、同じイギリスの作曲家グスターヴ・ホルスト占星術の手ほどきをした劇作家クリフォード・バックスの実兄であり、彼自身ホルストとは親しい間柄であったという。

[編集] 作品

[編集] バレエ

  • ロシア人の踊り子の真実

[編集] 交響曲

[編集] 管弦楽曲

  • 管弦楽のための4つのスケッチ
  • 春の火
  • 交響詩「ファンドの園」
  • 交響詩「ティンタジェル
  • 交響詩「十一月の森」
  • 序曲「哀歌とロンド」
  • ピカレスク・コメディのための序曲
  • 北方のバラード
  • 北方のバラード第2番
  • 伝説
  • 黄金の鷲
  • エリザベス王女エディンバラ公の婚礼のためのファンファーレ
  • 戴冠式行進曲
  • 夏の音楽
  • 黄昏に

[編集] 映画音楽

[編集] 協奏曲・協奏的作品

  • ロマンティック序曲
  • 冬の伝説
  • ヴァイオリン協奏曲
  • 左手のためのピアノ協奏曲

[編集] 室内楽・器楽曲

  • 哀歌
  • 追悼
  • ハープと弦楽のための五重奏曲
  • 民話
  • ハープ五重奏曲
  • ヴァイオリンソナタヘ調
  • ヴァイオリンソナタ第2番
  • ヴァイオリンソナタ第3番
  • フルートとハープのためのソナタ
  • 九重奏曲
  • チェロとピアノのためのソナティナ
  • 弦楽五重奏曲
  • オーボエと弦楽のための五重奏曲(レオン・グーセンスの委嘱)
  • 八重奏曲
  • クラリネットソナタ
  • セレノビーとスケルツォ
  • チェロソナタ「伝説」
  • 悲歌の三重奏曲(フルート、ヴィオラ、ハープ)

[編集] ピアノ曲

  • ピアノソナタ第1番
  • ピアノソナタ第2番
  • ピアノソナタ第3番
  • ピアノソナタ第4番
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