パーシー・ビッシュ・シェリー
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パーシー・ビッシュ・シェリー(Percy Bysshe Shelley, 1792年8月4日 - 1822年7月8日)は、イギリスのロマン派詩人。
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[編集] 生涯
サセックス州ウォーナムのフィールドプレースに富裕な貴族の長男として生まれる。早くからギリシア・ラテンの古典にディドロ、ヴォルテール、ドルバックらの啓蒙思想、ウィリアム・ゴドウィンの『政治的正義』などを読んで思想の形成を行う。イートン校在学中は上級生の「学僕(フォギング)」となる習慣に反抗し、「気違いシェリー」とあだ名されている。オックスフォード大学在学中は読書にふけるかたわら詩作を試みたが、愛する従妹がシェリーの懐疑主義を恐れたあまり恋愛は破れ、失望しつつ因習を打破しようという気概に燃えたあまり1811年『無神論の必要(Necessity of Atheism)』というパンフレットを書き、オックスフォードの書店で売り出すといった挙に出て、放校となる。同じ年に妹の学友ハリエット・ウェストブルック(Harriet Westbrook, 1795-1816)の学校での不遇に同情し、主義であるところの「結婚の鉄鎖」への批判を抑えて彼女と結婚する。ついでアイルランドやウェールズを放浪し、カトリックの解放を訴えたパンフレットを書く。行く先々でイギリス官憲が危険思想家シェリーの動きをひそかに監視していたとも言われている。
妻やその姉との不和が深刻になった1814年、シェリーはロンドンのウィリアム・ゴドウィン邸に足しげく通っていた。そこでゴドウィン家の娘メアリと恋に落ちる。このときシェリーには身重の妻ハリエット(Harriet Shelley, 1795-1816)と二人の間にできた娘アイアンス(Ianthe Shelley, 1813-76)がいた。シェリーはメアリを事実上の妻とし、本妻ハリエットを「霊の妹」として三人仲良く暮らしたいと大まじめで提案し、ハリエットに深刻なショックを与える。シェリーとメアリは、道ならぬ恋に対して予想外に激怒するゴドウィンのもとを離れ、大陸へ駆け落ちした。1814年7月28日のことである。メアリの妹(但し、血縁関係はない)クレア・クレモントも一緒についてきた。一行はナポレオン戦争で荒廃したフランスを抜け、スイスのルツェルンへ到達したが、金に困り、ライン川下りをしてイギリスに帰国した。イングランド南部のケント州に着いたのは同年9月13日のことだった。一行はロンドンへ戻り、家を借りて3人で住んだ。
2年後の1816年、シェリーとメアリとクレアの3人は、スキャンダルまみれの詩人ジョージ・ゴードン・バイロン卿を頼って再び大陸へ出発した。メアリは前年にシェリーとの間の最初の子を生後11日で亡くしたのだったが、このときは生後3ヶ月の男児ウィリアムを抱えていた。またしても一緒についてきたクレア・クレモントはバイロン卿の子を身篭っていた。一行がスイス、レマン湖畔にバイロン卿が借りていた別荘ディオダティ荘(Villa Diodati)に到着したのは1816年5月14日のことだった。メアリはこの館で小説『フランケンシュタイン(Frankenstein)』の着想を得ている(ディオダディ荘の怪奇談義)。同年秋に帰国後はキーツやウィリアム・ハズリット(William Hazlitt, 1778-1830; 本人および一族は家名を「ヘイズリット」と発音[要出典])やチャールズ・ラムと知り合う。1816年12月10日、シェリーの本妻ハリエットの遺体がロンドンのハイド・パーク内サーペンタイン・レイクで発見される。入水自殺した模様。シェリー以外の男の子供を身篭っていた。 その20日後の12月30日、シェリーとメアリはロンドンの教会で結婚する。
1818年、シェリーはメアリを連れてイタリアに赴き、フィレンツェ、ピサ、ナポリ、ローマなど各地を転々としながらプラトンの『饗宴』を翻訳したり、大作『縛を解かれたプロメテウス(Prometheus Unbound)』を書き進めた。1821年、イギリス詩人ピーコックの説に反論して書いた『詩の擁護(A Defence of Poetry)』はシェリーの散文による代表作である。同年に歿したキーツの死を哀悼して『アドナイス(Adonais)』と『ヘラス(Hellas)』を刊行。1822年7月8日、ジェノヴァの造船業者に特注で建造させた帆船エアリアル(Ariel)に乗り、リヴォルノからレリチへの帰途についた数時間後、スペチア湾ヴィアレッジョ沖で突然の暴風雨に襲われ船が沈没した。発見されたときは息がないばかりか、身元確認も困難なほど無残な水死体となっていた(後世の絵画ではシェリーが穏やかに永眠する姿が描かれているが、フィクションである)。上着のポケットにはソフォクレス戯曲集とキーツの詩集があったという。疫病の蔓延を恐れた当局の指示で遺体はヴィアレッジョ郊外の海岸で火葬された。そこにはバイロン卿の姿もあったが、メアリは女性は参列しないという当時のイギリスの慣習を守り参列しなかった(後世の絵画にはひざまづくメアリの姿が描かれているが、フィクションである)。
シェリーの遺骨はローマのプロテスタント墓地に葬られ、心臓はメアリーとともにイングランド南部のボーンマス(Bournemouth)にあるセントピーター(聖ペテロ)教区教会(The Parish Church of St Peter)敷地内の墓に安置された。ローマの墓石の表面にはシェリー生前の愛誦句が刻まれた。
- Nothing of him that death fade/But doth suffer a Sea-change/Into something rich and strange(シェークスピア「テンペスト」より)
[編集] 代表作品
- ゴシック中編小説『ザストロッツィ(Zastrozzi)』(1810年)
- ゴシック中編小説『聖アーヴァイン、或いは薔薇十字団員(St. Irvyne; or, The Rosicrucian)』(1811年)
- 思想パンフレット『無神論の必要(The Necessity of Atheism)』(1811年)
- 長詩『女王マッブ(Queen Mab)』(1813年)
- 詩集『アラスター、或いは孤独の魂(Alastor; or, the Spirit of Solitude)』(1816年)
- 詩「理想美への讃歌(Hymn to Intellectual Beauty)」(1816年)
- 詩「モンブラン(Mont Blanc)」(1816年)
- 長詩『イスラムの反乱(The Revolt of Islam)』(1818年)
- 長詩『ロザリンドとヘレン(Rosalind and Helen)』(1818年)
- 長詩『ジュリアンとマッダロ(Julian and Maddalo)』(1818年)
- 詩「ユーゲニア山中にて詠める詩(Lines Written among the Eugenean Hills)」(1818年)
- 詩「ナポリの近くにて、失意の歌(Stanzas Written in Dejection, near Naples)」(1818年)
- 劇『無政府の仮面劇(The Masque of Anarchy)』(1819年)
- 悲劇『チェンチ(The Cenci)』(1819年)
- 長詩『西風の賦(Ode to the West Wind)』または『西風に寄せる歌(Ode to the West Wind)』』(1819年)
(末句「冬来たりなば春遠からじ(If Winter comes, can Spring be far behind?)」が日本では有名)
- 長詩『鎖を解かれたプロメテウス(Prometheus Unbound)』または『縛を解かれたプロミーシュース(Prometheus Unbound)』』(1820年)
- 詩「雲(The Cloud)」(1820年)
- 詩「ひばりに寄せて(To a Skylark)」(1820年)
- 詩「うた(Song)」(1821年)
(エルガー作曲 交響曲第2番 変ホ長調(1910-11)に霊感を与える)(交響曲第2番 (エルガー))
- 長詩『エピサイキディオン(Epipsychidion)』(1821年)
- 詩「はにかみ草(The Sensitive Plant)」(1821年)
[編集] 備考
後妻メアリー・シェリーは、かの『フランケンシュタイン』の作者であり、駆け落ちの時期にディオダディ荘の怪奇談義においてシェリーやバイロンらと人造生命の可能性について語り合った事が同作の着想のきっかけとなっている。SF作家アイザック・アシモフは短編集『ロボットの時代』において、後世にシェリーの名声が詩人愛好家や知識人階級に留まっているのに対してアマチュア作家の妻メアリーの作品が古典のひとつとなってしまった事を「作家の悪夢」と評している。
[編集] 伝記・参考
- E.Dowden 《The Life of Percy Bysshe Shelley》
- J.A.Symonds 《Shelley》
- N.I.White 《Shelley》
- アンドレ・モーロワ 『シェリィの生涯 Ariel ou La Vie de Shelley』
- E.Blunden 《Shelley》1946年
[編集] 関連項目
- クローゼット・ドラマ・・・・・・『鎖を解かれたプロメテウス』という作品がある。
[編集] 外部リンク
- Webロマン主義入門講座 ~ イギリスのロマン主義文学を、映像、研究者による解説、俳優による朗読でたどる
- Project Gutenberg e-texts of some of Percy Bysshe Shelley's works
- Selected Poems of Shelley
- A talk on Shelley's politics (MP3) by Paul Foot of the British Socialist Workers Party: part 1, part 2
- A pedigree of the Shelley family
- Frankenstein: A New Reality!
