北朝鮮核問題
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北朝鮮核問題(きたちょうせん かくもんだい)とは、北朝鮮の核に関するアメリカ・日本・韓国を中心とした国々並びに国連安全保障理事会(UNSC)、国際原子力機関 (IAEA) 、朝鮮半島エネルギー開発機構 (KEDO) と北朝鮮との間の問題である。
以前は北朝鮮が大量破壊兵器の一つである核兵器を秘密裏に製造しているのではないかとの懸念があり、北朝鮮核開発疑惑(きたちょうせん かくかいはつ ぎわく)とも呼ばれており、各国は北朝鮮に核の平和利用を含めた全ての核開発を放棄させるべく交渉を続けてきた。しかし現在では北朝鮮が公式に核兵器保有宣言をし、2006年と2009年に核実験を実施してしまったため、もはや疑惑という呼び方は使われない。これらの核実験により、東北アジアの情勢は軍事的にもドラスティックに流動化しうる局面へと突入したと見られている。
目次 |
[編集] 背景
2010年現在、アメリカのバラク・オバマ政権が掲げる核削減路線が進めば、実際に核保有している北朝鮮は相対的に有利な立場になっていく。理由としては、核廃絶を求めるには北朝鮮にとっても放棄に見合う相応の見返りを各国が用意しなければならず、また国交がほとんどないために本当に完全に廃絶したかを確認するのが困難であるためである。さらに、北朝鮮には核開発技術の実績が残っている。
国際政治において、核兵器出現後は通常の軍事力はあまり交渉力にならないため核保有カードは通常戦力整備よりは効果的との指摘がある。また冷戦終結後、北朝鮮は国際社会で孤立化傾向にあるため核保有に向かっていったとの指摘もある。
北朝鮮が核開発を仮に放棄しても生物兵器、化学兵器の問題が残る。生物・化学兵器は起爆に精密な制御が必要な核兵器と違い、目標上空でミサイルの弾頭を破裂させると目的が達せられる場合が多いため、弾道ミサイルが開発済みの北朝鮮は短期間で発射可能と見られる。
ニュート・ギングリッチ元米下院議長は2009年7月20日、ワシントン市内の講演後の記者会見で、「米国にとって北朝鮮の核放棄の方が日本の核武装よりも好ましい」としつつ「日本国民は自身を守る権利がある」と述べた[1]。
[編集] 概略
北朝鮮の核兵器開発に関しては現在のところ、北朝鮮自身による確実な情報が公開されているわけではないので、全て推測によってしか判断出来ない。本節では北朝鮮以外の国々で行われている推測の概略を示す。
北朝鮮は2006年10月9日と2009年5月25日に地下核実験を実施し、2006年には公式に核兵器の保有を宣言をしていることから、一般的には北朝鮮は原子爆弾を保有したと認識されている[要出典]。
2006年の核実験実施もあり、原子爆弾を小型化する技術についても見解は分かれるが、一般的には北朝鮮は140回程度の高爆実験により、原子爆弾の小型化の基準である1000kgの壁を突破しているとみられ、ミサイルに搭載できる初歩的な原爆弾頭を作れる、といわれている[要出典]。一説にはミサイル弾頭用のウラン爆縮原子爆弾の設計図がパキスタンから北朝鮮に入っているとするものもある。リトルボーイ(広島に投下)やファットマン(長崎に投下)の大きさから北朝鮮の原子爆弾はミサイルに載らないとする説もある。しかし、第二次世界大戦当時の原子爆弾は技術的不安が多く、計算よりもかなり大量の爆薬を使って構造も頑丈にしているため重量がある。また、現在では核兵器に関して既知となっている研究も多く、当時とは技術的背景も異なる。そのため、現在の北朝鮮の「核」と単純に比較することは適切でない。
北朝鮮が、米朝枠組み合意以前に黒鉛減速炉から核爆弾1~2個分のプルトニウムを取り出したことは、ほぼ間違いないとされている[要出典]。また2003年から行ったと見られる8000本の使用済み核燃料棒から核爆弾4個から最大13個分のプルトニウムを取り出したと見られる[要出典]。2005年の春にも黒鉛減速炉から使用済み核燃料棒を取り出し、さらに1個分取り出した可能性もある[要出典]。また、パキスタンからウラン濃縮技術の購入を試み、核爆弾1個分程度のウランを入手した可能性もある[要出典]。
北朝鮮の核兵器に関しては、朝鮮半島の情勢から極めて大きな不安材料になっており、周辺諸国はその動向を注目している。
[編集] 北朝鮮の弾道ミサイル保有数と戦略シフト
アメリカ陸軍総軍司令官サーマン陸軍大将は2011年6月28日、上院軍事委員会公聴会で、北朝鮮が800発以上の弾道ミサイルを保有していると証言した。
サーマン大将は、北朝鮮の通常戦力の脅威は低下し続けているが、弾道ミサイルや特殊部隊で補っているとの見解を明らかにした。
[編集] 核開発問題と軽水炉供与
[編集] 六カ国枠組み合意
北朝鮮が保有する原子力発電所の黒鉛減速炉は、核弾頭の原料となる純度の高いプルトニウムが生成されるため、長距離弾道弾への核搭載を危惧した諸国は、アメリカ政府を中心に北朝鮮政府に対し核開発の放棄を促した。しかし交渉は難航し、1994年にアメリカは北朝鮮の爆撃を検討、ソウルでは市民の大規模な避難が行われるなど朝鮮半島で朝鮮戦争以来の戦争の危機が高まった。核開発に関する交渉は緊迫したが、ジミー・カーター元大統領が1994年6月に訪朝し金日成国家主席との交渉にあたった。北朝鮮政府は「黒鉛減速炉はあくまで発電用原子炉」と説明したため、当事者各国(米国、日本、韓国、ロシア、中国)により純度の高いプルトニウムが生成されにくい発電用原子炉を提供するということで、北朝鮮政府の間で「枠組み合意」が成立。これにより北朝鮮が黒鉛減速炉の発電をストップし、その代わり建設費の30%を日本、70%を韓国の負担とし、代替軽水炉の発電所を北朝鮮に無償で建設し、完成までの間の火力発電用の重油を朝鮮半島エネルギー開発機構 (KEDO) を通じ米国が提供する事となった。北朝鮮にとっては、外交での核カードによって、発電所と重油を外国の負担で入手することができ、大きな成果をあげたことになるが、このようなアメリカ・クリントン政権の外交姿勢は、北朝鮮に甘すぎる対応だったとして、後にアメリカ内でも批判を受けることになる。この後、1994年7月に突然、金日成が死去し、金正日体制のもと、北朝鮮は食糧危機が深刻になるなど混乱を深めたとも言われる。
[編集] 代替軽水炉工事開始の遅れ
代替軽水炉の建設は最初の1基を2003年までに稼動するとの合意であった。しかし、KEDOが建設する軽水炉の型を「韓国型」と呼ぶ事に対し、北朝鮮が猛反発を行った。また北朝鮮政府は労働者に対する賃金の上乗せを要求した。この要求により、日本や韓国は予算編成の見直しを迫られ、また、原子炉の形式の調整に手間取り、工期のズレ、つまり1基目の完成時期のズレが4年にも及ぶ事となった。これに対し、アメリカ政府は4年間の重油供給の延長を行う事となっていた。
[編集] IAEAの査察拒否とKEDO
[編集] 代替軽水炉への査察保留
代替炉の軽水炉に対し、IAEAでは軽水炉組み立て前からの部品の査察を行うことが義務つけられている。これに要する期間は稼動前の4年間であり、実質は軽水炉本体の建設開始からの査察になる。枠組み合意ですでにこの査察が調印されていたにもかかわらず、北朝鮮政府はこの査察の開始に対し保留を続けた。すなわちIAEAの査察が行えない状態に陥り、原子炉の設置そのものの続行が不可能となった。 アメリカ政府はこの北朝鮮の態度に反発し、長期化するようであれば原油の供給停止もやむなしと決定した。
[編集] 破られた枠組み合意
施設の建設途中、2002年10月4日、北朝鮮を訪問したケリーアメリカ大統領特使に対し、北朝鮮は「核爆弾(ウラン型核爆弾の事)の保有を行うためのウラン濃縮計画(ウラン高濃縮計画)を持っている」との発言を行ったため、アメリカならびにKEDOはこれに反発、高濃縮ウラン計画の撤廃が具体的に示されるまでの間、という期間を設定した上で、代替炉の建設並びに重油の提供を停止、現在に至っている。先の枠組み合意では核兵器の開発放棄を合意しており、この発言は枠組み合意を北朝鮮自ら破った形となった。
[編集] 保障措置協定違反と再燃する核所有疑惑
北朝鮮はこの処置に対し、IAEA査察チームを国外退去させた上、IAEAの監視カメラも全て目隠しした上で黒鉛減速炉での発電を再開させ、IAEAを脱退した。 これにより、IAEA理事会が北朝鮮の保障措置協定違反を認定し、国連安全保障理事会に報告。国連安全保障理事会、IAEAなどは核兵器の開発計画を放棄するよう求めたが聞き入れられず、2003年には北朝鮮政府は8000本あまりの使用済み核燃料の再処理を完了したと発表した。再処理を行う際には使用済み核燃料から廃棄物として、必ずプルトニウムを分離する必要があるため、プルトニウムの抽出疑惑を北朝鮮は事実上、公にした。
[編集] 核兵器保有宣言と六カ国協議の継続
2003年11月に、KEDO理事会は軽水炉の建設を2004年10月まで停止することを決めた。しかし、当事者である北朝鮮と核開発を懸念した五カ国(中国、米国、日本、ロシア、韓国)の間で、現在「北朝鮮の核開発に関しての査察」について協議している(六カ国協議)。
しかし2005年2月10日に北朝鮮政府は六カ国協議の中止と、核拡散防止条約 (NPT) からの脱退、さらに核兵器保有宣言を行った。北朝鮮流の瀬戸際外交との見方も強いが、これによって北朝鮮核問題が新たな局面を迎えたとも言える。その後北朝鮮への五カ国による協議復活への説得が続けられ協議は再開したが、今のところ核開発計画を断念する気配は見せていない。日本は核開発放棄以外、北朝鮮との重要問題である日本人拉致問題も六カ国協議に加えているが、中国・韓国・北朝鮮・ロシアは拉致問題を持ちこむことに対して後ろ向きの姿勢を見せている。しかし、日本・アメリカは核問題と人権問題(日本人拉致問題を含む)で連携することを確認した。またアメリカ政府・デトラニ六カ国協議担当特使は、拉致問題の解決が北朝鮮の国際テロ支援国家指定を解除する条件と述べた。第4回協議で採択した共同声明履行のため、日米は人権問題の作業部会の設置を検討している。
KEDOは2005年11月22日、ニューヨークで理事会を開き、軽水炉建設事業を廃止することで合意した。これを受け、北朝鮮は朝鮮中央通信を通じ同年12月20日、「ブッシュ政権はわが国に対する軽水炉提供を放棄した」と米国を非難、「わが国は5万キロワットと20万キロワットの黒鉛減速炉と関連施設により、独自の原子力工業を積極的に発展させる」とし、また、軽水炉についても「いずれ独自の開発で建設する」と発表して、年間に核兵器50発分のプルトニウムを生産できる大型黒鉛炉の建設再開と、軽水炉建設によって、自衛力強化を図る意向を表明した。米国務省スポークスマン・ジャスティン・ヒギンズ (Justin Higgins) は、核開発事業の廃止と核兵器開発の断念を要求している。
[編集] 2006年核実験とブッシュ政権の妥協
[編集] 北朝鮮核実験とその波紋
2006年10月に北朝鮮は予告していた核実験を強行した。事前の中国への通告では「4kt(広島は20kt)の放射能漏れのない核実験を行う」と言う通告であったが、各国の計測による核爆発の規模は0.8ktであった。通常の示威的な核実験に比べるとあまりにも小さい爆発力だったため「核実験ではなく爆薬だったのでは」「過早爆発で失敗?」「4ktという事前通知があったため一足飛びにミサイル用ミニニューク[2]の実験に挑んだのではないか。過早爆発は事実だろうが設計4ktで実出力0.8ktなら部分的な成功だ」など様々な憶測を呼んだ。
アメリカ国連大使ジョン・ボルトン等は安全保障理事会で北朝鮮武力制裁決議を提出したが、中国・ロシアが反対し可決されなかった。アメリカは核兵器の移転を防ぐため日本と共同で北朝鮮に入出航する船舶の臨検をしようとしたが、日本の法律では海上自衛隊は「公海臨検で停船命令は出来ず、停船依頼を無視されても危害射撃はできない」という法整備の遅れが露見して臨検の話は急速に萎んでいった。当時の日本の首相安倍晋三は就任早々訪中・訪韓して善後策を協議したが、当時の韓国大統領盧武鉉は親朝的な太陽政策の推進者であったため、危急の折であったにもかかわらず日韓歴史認識問題に話題を限定して北朝鮮核実験善後策協議を拒否した。 アメリカ国防総省(ペンタゴン)は核実験直後に、トマホーク巡航ミサイルで寧辺再処理施設を破壊する案をブッシュ大統領に提案したが、実行には移されなかった。なお、北朝鮮は2005年に50MW黒鉛炉(寧辺)200MW黒鉛炉(秦川)の建設再開を各国に通知したが、核実験後、アメリカで核施設攻撃破壊論が浮上したため建設を再度中断している。一方で2006年秋、日本では麻生太郎外相と中川昭一政調会長は「核武装を含めた日本の安保政策見直し議論」を提唱、コンドリーザ・ライス国務長官は来日して「アメリカは日本を核の傘で守る」と強調し日本の核武装論沈静化に躍起となる一幕もあった。
[編集] 2006年米中間選挙共和党敗北とブッシュ政権の変節
北朝鮮が行った核実験の以前から、ドナルド・ラムズフェルド国防長官らネオコンが多かったアメリカ・ブッシュ政権の対北朝鮮要求は、下記の「5施設」に対する「検証可能な後戻りできない解体」であった(これは1994年の枠組み合意が破られたあと、北朝鮮が核施設を再稼動したことによる)。
- 1)稼動中の老朽化した5MW黒鉛炉(年間核兵器1個分のプルトニウム生産)
- 2)核燃料製造設備
- 3)再処理施設x2ライン
- 4)建設中断中の寧辺50MW黒鉛炉(年間核兵器10個分のプルトニウム生産)
- 5)建設中断中の秦川200MW黒鉛炉(年間核兵器40個分のプルトニウム生産)
しかし、イラク戦争での死傷者が続出したことや開戦理由だったイラクの大量破壊兵器開発が誤りだったことが判明したため、国民の反発を受けてアメリカ共和党は上下両院でアメリカ民主党に多数を奪還された。そのためブッシュ政権ではイラク戦争を推進してきたネオコンが次々に辞職に追い込まれ、北朝鮮に対して大幅に妥協し、実質はなくても形式的に「対話による核廃棄」を妥結させて政権浮揚材料にしようとするコンドリーザ・ライス国務長官の勢力が主導権を握った。
2006年12月から2007年2月が葛藤の時期であった。2007年1月にクリントン政権で国防長官であったウィリアム・ペリーは米下院外交委員会で下記の発言を行った
- 「北朝鮮は寧辺に50MW黒鉛炉を建設中で此れが完成すると極めて危険である。まず中韓からの北朝鮮支援を絶つべきだが、それでも効果がない場合、(ソウル報復砲撃等)不測の事態覚悟で、大型原子炉を空爆破壊することも検討すべき」
2007年2月、アメリカ国防総省は在韓アメリカ空軍基地にF-117を、嘉手納基地にF-22などステルスを進出させた。 ブッシュ政権は方針転換を発表、同年3月クリストファー・ヒル国務次官補と金桂冠外務次官が合意したが、その内容はブッシュ政権の当初の主張内容から著しく後退したものであった。すなわち下記の通りである。
- A)「検証可能な後戻りできない解体」は北朝鮮に拒否され「(1年程度で再稼動可能な)無力化」に変更された
- B)上記4)5)建設中の50MW/200MW黒鉛炉は無力化対象からも外された
- C)北朝鮮は2007年6月までに1)の5MW黒鉛炉を停止する代わりに、韓国が重油5万tの提供を同時に行う(米国は金融制裁は解除の方向と発言)。
- D) 北朝鮮は1)2)3)を無力化し、ウラン原子爆弾計画を含む核開発計画の全貌を申告する代わり、5カ国は重油95万tを援助する
全般的にブッシュ政権は「対話による北朝鮮核廃棄を実現した」と国内に宣伝して政権浮揚を図れる「名」を取る事ができ、北朝鮮側は米軍による核施設空爆破壊も、詰め腹を切らされる形での核施設自主解体も免れて核施設を温存でき、重油100万tを援助として手に入れた「実」を取った形となった。北朝鮮核問題に於いて日韓の安全保障に非常に重要であった「北朝鮮核施設の解体」と「ミサイルの解体」は全く蔑(ないがし)ろにされた形での決着となった。
韓国はアメリカ軍による北朝鮮核施設空爆が38度線に陣取っている北朝鮮砲兵によるソウルへの報復砲撃を招く恐れがあるため、北朝鮮核施設空爆のためにはソウル市民の避難等の大決断が必要であったが、2007年夏まで反日・反アメリカ・親北朝鮮政策の盧武鉉が大統領の地位にあったため、ソウル市民を避難させての空爆などは全く考えも及ばないという状態であった。
日本では2006年核実験から2007年夏までは安倍晋三首相、麻生太郎外相体制であったが、支持率の低下にともない、主婦層集票の意図から拉致問題に傾斜するようになった。アメリカが北朝鮮の大型黒鉛炉解体やミサイル解体など日本の安全保障上重要な問題について実質的に何の解決もしないまま、北朝鮮と手打ちをしたことには何も抗議せず、核問題を話し合う場である六カ国協議において「拉致問題解決までは北朝鮮のテロ支援国家指定解除は行わないで欲しい」と自民党の集票の都合を繰り返すばかりであった。
また、アメリカのこのような方針に反発したのか、2007年5-6月麻生太郎外相と久間章生防衛相は、当時イラク戦争処理問題で苦境にあったブッシュ政権に対して、イラク戦争批判を行った。しかし、報復にブッシュ大統領、ディック・チェイニー副大統領から会談を拒否され、(外相/防相)2プラス2会談の日程も決まらなくなるに及んで両人は陳謝した。2プラス2会談で両人は「米国の核の傘は有効(つまり日本核武装もアメリカによる北朝鮮核施設空爆も不要)と認めます」と宣言させられて帰国し、日本の「核議論」は旗を揚げた当人によって幕引きされた形となった。
2008年、北朝鮮の核廃棄を象徴する政治ショーとして寧辺の老朽化した5MW黒鉛炉の蒸気冷却塔が爆破されたが、50MW炉、200MW炉も200基のノドン弾道弾も今のところ何も爆破/解体される予定はない。日本が核問題に優先して「拉致解決まで北朝鮮のテロ支援国家指定解除は待って欲しい」とブッシュ政権に頼んだ拉致問題も「拉致問題は忘れない」というライス長官の外交辞令と言える発言とともに、北朝鮮のテロ支援国家指定は解除されつつあるようにみえたが、大統領令によって国際緊急事態経済権限法が発動されたため、これらの制裁は大統領令が有効な間は継続される。また、アメリカ財務省報道官は、「マネーロンダリング・違法金融・核拡散を防止するための金融制裁」を継続することを発表し、報道官は「まだ北朝鮮が国際金融システムへアクセスすることは認められない」と指摘しているため、今回はアメリカによる対北制裁の主導権が国務省から財務省へ移っただけの形になっただけと言える。
尚、テロ支援国家指定解除になると北朝鮮はアジア開発銀行の融資対象となるため、朝銀信用組合問題類似の融資資金の核開発への不正転用問題の発生が懸念されているが、前述のとおりアメリカ財務省によって国際金融システムへのアクセスが遮断が続いているために一切のドル決済ができないので(北朝鮮の資金の送金に関わった銀行はアメリカ財務省の制裁対象になる)、これは杞憂と言える。
[編集] 周辺国への核の脅威
現在、北朝鮮が保有しているとされる中距離弾道ミサイルは数種類あり、射程距離は1000km~4000kmほどあるといわれ日本全土が射程内に入る。また、射程距離6700km以上とも言われるミサイル(テポドン2)も開発中であるとされ、もしこれらのミサイルに核弾頭を搭載すれば周辺諸国はもとより北アメリカ大陸のアメリカの州、アラスカまでミサイルでの核攻撃が可能となる。また、北朝鮮は外貨獲得の為、ミサイル関連技術を他国へ輸出しており、大量破壊兵器の拡散に繋がらないかと各国から懸念されている。
- 1.ミサイル装着可能な小型核弾頭
- 北朝鮮の核兵器小型化技術水準については下記のように非常に見解が分かれている。しかしいずれにせよ、日本に届くノドン弾道弾100-200基に化学兵器弾頭をつけて発射する能力は既に持っていると看做されている。
- 1)核実験自体失敗しており、航空用核爆弾すらもっていないと言う見解
- 根拠としては2006年の核実験が0.8キロトンだったので過早爆発(原子爆弾参照)だったとの見方
- 2)航空用核爆弾を10個前後持っているだろうと言う見解
- 根拠としては1994年にCIAが「CIAは北朝鮮が大型で原始的な核爆弾を持っていると51%信じている」と言う報告を行ったことと、1998年のパキスタンとの共同核実験疑惑。2006年の北朝鮮による核実験。
- 3)日本に届くノドン弾道弾に搭載可能な小型核弾頭を最大20個前後保有しており、現在東京を核攻撃できる能力がある他、航空用核爆弾数個持っていると言う観測
- 北朝鮮が1994年時点でCIAの言う様に大型核爆弾を持っていたなら12年後2006年には小型核弾頭を開発完了していて当然である。1994年に作動試験の済んでいない核爆弾1-2個持っていて、パキスタンの核実験の一部が大型核兵器の作動信頼性を確かめる北朝鮮の委託実験で、2006年にミサイルにつめる核を実験した可能性もある。
- また、過去はプルトニウム5-7kgないと核爆弾は作れないと言われていたが、最近1.5-3kgでも爆発力の小さな核爆弾(ミニニューク)を作れるという事が一般に知られるようになった(核兵器専門家トーマス・コクラン博士らが、最新の技術を検討、核爆弾製造可能量を計算し直した結果、プルトニウム1キロで核爆弾製造が可能。多くの国が持つ中程度の技術でも、1.5キロで核爆弾が製造できることが明らかになったとのこと)。実際広島で使用されたリトルボーイは確実な作動を目指して核物質を多く積んでいるため爆発力は16キロトン前後だったが、北朝鮮が中国に事前通知した2006年核実験の設計計画爆発力は僅か4キロトンであった。さらに核物質を限界まで節約して一足飛びに高度なミニニュークに挑んだ可能性がある。少なくとも0.8キロトンとの実験結果だけを聞いてあなどる早計であり、構造設計が4キロトンで実験結果が0.8キロトンであれば過早爆発が起きて核分裂が不完全だった可能性が高い。とはいえ、初回の実験結果としては部分的な成功といえるのであって、北朝鮮がこの実験結果でデータを収集した以上、次回は既に相当な作動信頼性のある小型核兵器を設計できる可能性が高い。
- 2004年2月27日、ニューヨーク・タイムズ誌は「パキスタンの核実験の際、アメリカの偵察航空機が大気中のサンプルを採取し、当時のパキスタンの核開発にはまだ存在しないと考えられたプルトニウムを検出。これは北朝鮮由来のプルトニウム型原子爆弾を、パキスタン国内で爆破実験をした疑いがある」と報じた。2006年の核実験において、北朝鮮は高度なミニニュークに挑戦した疑いがあるが、通常このような高度な実験を行うには基本となる核実験が求められる事から、事件の疑惑を深めるものとなっている[3]。
- 2008年6月 ワシントン・ポスト誌は「核の闇市場関係者のスイス人が逮捕され、携帯していたPCにミサイル用核弾頭の設計図が入っており、北朝鮮にその設計図が流れた可能性がある」と報じた。[4]、朝日新聞は「北は核実験に使われたプルトニウムは2kgと申告した(ミニニュークと申告した)」と報じた。[5]
- 米国の調査機関ISISは「北朝鮮は3発のノドン・ミサイル用核弾頭と数個の核爆弾を持っている可能性が高い」(=東京への核攻撃も可能かもしれない)と発表している。
- 北朝鮮は(東京に届くノドンミサイルに搭載できる)小型核弾頭3発持っている可能性があるとのISISが報告した[6]
- 2009年3月10日、アメリカ国防情報局が上院軍事委員会に提出した書面で、弾道ミサイルに搭載可能な核弾頭の小型化技術獲得に成功した可能性があるとの見方を示した。[7]
- 2009年3月31日、核爆弾の小型化に成功し、ノドン・ミサイルに搭載できるまでになり、北朝鮮北部の地下施設で保存しているという情報をアメリカ・韓国の情報当局が得ていることが明らかになった。[8]
- 1)核実験自体失敗しており、航空用核爆弾すらもっていないと言う見解
- 2.核物質の現有量と建設中のプルトニウム量産用大型原子炉
- 現在までに実験用5メガワット黒鉛炉で作った核物質はプルトニウム50kg(10-20個分)で衆目が一致している。この古い5メガワット黒鉛炉は無力化対象だが、建設が途中まで進んでいる50メガワット炉と200メガワット炉は2007年合意では何故か『無力化対象外』にされてしまった上、此れが完成すれば、年間55個、4-5年で220個のペースで核兵器を量産できるとの事である。
- 建設中の5万キロワット・20万キロワット大型炉の核兵器量産能力、核爆弾年産55個についての原水禁の解説記事[9]
- 肝心の大型原子炉が結局解体どころか、無力化もされなかったことで2007年合意は「話し合い解決したことにして問題先送りしたいブッシュ政権」と「大型原子炉空爆破壊も自主的解体も免れたい金正日」の仕組んだ茶番劇との見方もある。
[編集] 北朝鮮核問題への各国の反応
北朝鮮核問題についての日米韓の利害は微妙にズレがあり、三国の足並みの乱れの主因となっている。アメリカにとって日本、韓国を狙う弾道ミサイルは射程上、遠いアジアの事であり、北朝鮮製の核弾頭がテロリストの手に渡るのが脅威である。日本にとって朝鮮半島での戦争は自国にとって関係のない「対岸の火事」で、あくまで弾道ミサイルが脅威である。韓国は首都ソウルが長距離砲の射程内であり、弾道ミサイルよりも通常戦力の脅威が主である。また韓国への核攻撃は近すぎて、北朝鮮自身が放射能汚染する恐れがある。
アメリカと韓国は、1970年代から北朝鮮の核実験を警戒していたが日本は警戒が遅れた[10]。
- 米国・・主たる懸念は核テロリストによるアメリカ本土大都市攻撃
- そのため、日本人が考える以上に、「9.11」を経験した米国人は核がテロリストの手に渡るのを何より恐れている
- 一方北朝鮮のミサイルは日本には届くがアメリカにはまだ届かないので、日本にとって死活問題のノドンミサイル200基の解体や核量産大型黒鉛炉の解体はアメリカは「対岸の火事」視しているところがあり、拉致問題にいたってはアメリカ民主党支持者から見れば「大したことではないし、核問題の席で話し合うべき問題ではない。日本人数千万人の生死のかかった国家間の核問題の席で十数人の拉致問題を持ち出すのは不真面目ではないのか」という意見がある。
- 対話が決裂した場合に次のステップとなる核施設限定空爆については、ソウル砲撃や戦争など不慮の事態を招く懸念から、日本・韓国から頼まれなければやる方向にない。地上軍の派遣はさらに論外との論調が多い。
- 日本・・主たる懸念はノドン弾道弾による核、生物、化学攻撃
- 韓国・・主たる懸念は戦争(核戦争の可能性を含む)
- 北朝鮮にあまりにも近いため、航空核爆弾がミサイルに悪化するかどうかよりも核爆弾の激増の阻止、現有核爆弾の解体に関心がある。ただし北朝鮮の核量産施設への攻撃は戦争やソウルへの報復砲撃を招きかねないために、日本より慎重姿勢。目先の通常戦争やソウル砲撃を恐れるあまり、北朝鮮の核武装を許し、将来の核戦争を招き寄せている傾向がある。
- 下記記事の出典は
[編集] 韓国
- 政治潮流
- 韓国の政治潮流は過去の軍事政権の流れを汲む右派ハンナラ党と左派民主運動勢力の流れを汲む「開かれたウリ」党系にわかれ、左派は北朝鮮との対話路線を主張し、右派はアメリカとの同盟強化を志向している。
- 1994年第一次危機で露呈したソウル砲撃に対する韓国の脆弱性
- 1994年の第一次危機に於いて、アメリカ・ビル・クリントン政権・ペリー国防長官は核施設の空爆破壊を主張したが、北朝鮮は「アメリカの核施設空爆には、38度線からの砲撃でソウルを火の海とすることで報復する」と示唆して韓国の金泳三政権を恫喝した。驚いた金泳三大統領は訪米して空爆中止を要請した。結局、アメリカ・クリントン政権はカーター元大統領を派遣して対話路線に転換。枠組み合意にいたった。
- 民族主義左派政権による韓国外交の迷走
- 金大中政権の後継の盧武鉉政権は、北朝鮮問題の平和的な解決を優先した。北朝鮮の核実験により韓国では北朝鮮による赤化統一の脅威が現実のものとなった。北朝鮮に対して宥和的な太陽政策の誤りを同大統領は認めず、北朝鮮の軍事的脅威も認めず、民族主義的、西側同盟離脱的姿勢も大きくは変えていない。そのため実質的に対北朝鮮で日米韓が共同歩調で強硬姿勢を取るのは2007年秋の大統領選でハンナラ党の大統領候補が当選しない限り無理な状況にあった(但し日本が、例えば第二次世界大戦の戦後処理により連合国統治などによって分裂国家になっていた場合、はたして南日本と北日本が同じ日本国民同士で殺し合いができるのか、という事を考えないと、韓国が抱く北朝鮮への同胞感情と警戒不足を理解できない)。
- 韓国の同意がなければアメリカは核施設の空爆破壊ができない
- 北朝鮮の核問題の武力による強制解決、つまり核施設の空爆破壊は「韓国がソウルへの報復砲撃の受忍を覚悟して、ソウル市民を避難させ、韓国のほうから北朝鮮核施設空爆をアメリカに陳情しない限り、アメリカの勝手では実行できないこと」および「韓国左派政権はソウルへの報復攻撃への恐怖から核施設空爆に反対してきた一方、北朝鮮核武装完了後の韓国軍への核攻撃と南侵の可能性からは目をそむけ続けてきたこと」が、歴代アメリカ政権が北朝鮮に宥和的姿勢をとらざるを得なかった最も大きな原因のひとつである。
[編集] アメリカ合衆国
- 政治潮流
- 全般的傾向としては反共的な共和党と容共的・孤立主義的な民主党の二大政党制を採っている。安全保障政策的には共和党は西側同盟国をアメリカの外郭防衛線として軍事的に支援する立場なのに対して、民主党は基本的に東側諸国との対話路線であって、軍事的には「同盟国は自分の国は自分で守れ」という孤立主義的傾向の強い政党である。しかし、ビル・クリントン政権(民主党)で北朝鮮核施設空爆を主張したペリー国防長官(当時)のような右よりの民主党関係者や、北朝鮮に宥和的で日本・韓国への支援を絞るコンドリーザ・ライス国務長官のような左よりの共和党関係者もいるので、一概に孤立主義的であるとは言えない。
- 政府内では、当然のことながら国防総省は北朝鮮の核兵器生産設備の空爆破壊などの強制解体を、国務省は話し合いと合意による北朝鮮自身の手による核兵器生産設備と核兵器の自主解体を主張する傾向にある
- 2006年北朝鮮核実験直後の共和党と民主党の非難合戦
- 共和党の見解:1994年にビル・クリントン大統領が北朝鮮の核施設を空爆破壊していれば、北朝鮮の経済力では再建は困難であったはずだった。しかしビル・クリントン大統領は北朝鮮に翻弄されて1994年の枠組み合意で核施設を空爆破壊する機会を失い、さらに、北朝鮮は枠組み合意を無視して、稼動を凍結した原子炉を2002年に再稼動し、2006年の核実験実施につなげている。再度、北朝鮮と約束をしても反故にされるだけならば、北朝鮮との二国間協議は行うべきではなく、北朝鮮の身元保証人として中国・ロシアも臨席させ、北朝鮮が合意を破った場合は中国・ロシアに安全保障理事会での武力制裁決議に同意させる布石にしなければならない。その意味ではこの問題は六カ国協議で解決すべき問題である。
- 民主党の見解:北朝鮮は2002年まで枠組み合意を守る意志を見せていたが、アメリカ共和党のブッシュ大統領がウラン濃縮機材輸入で北朝鮮を牽制しすぎたのと、北朝鮮・イラクなどを「悪の枢軸」などと呼んだ上、イラクを占領したために北朝鮮は対アメリカ自衛の必要性を感じて核武装をするために一度合意された「枠組み」を破った。すなわち、共和党ブッシュ政権に全ての責任がある。しかしその後もブッシュ政権は北朝鮮との二国間交渉を拒否したため、政権をとった間は全く対話ができなかった。もしこの間にアメリカが北朝鮮との二国間交渉に応じて対話していれば、北朝鮮は核武装放棄に応じていたかもしれず、ビル・クリントン政権の対話路線に誤りはなかったといえる。
- 共和党ジョージ・W・ブッシュ政権の方向転換
- 下記の要因により2007年2月に共和党ブッシュ政権はコンドリーザ・ライス国務長官主導で対北朝鮮宥和政策に大きく舵を切った。
- 2006年秋のアメリカ中間選挙でイラク戦争への厭戦感情から民主党がアメリカ議会上下両院で多数派を占めた。
- 右派であり対北朝鮮強硬派でもあるラムズフェルド国防長官・ボルトン国連大使などが民主党の圧力で政権から追われ、宥和的なコンドリーザ・ライス国務長官が発言力を増した。
- 2007年1月時点でペリー元国防長官が「核施設空爆の必要性」について議会で証言し、アメリカ国防総省は韓国にF-117,沖縄嘉手納基地にF-22ステルス攻撃機/戦闘機を配置して核施設空爆破壊も可能なように武力行使準備を整えた。それを目の当たりにした北朝鮮は2月に空爆阻止のため態度を軟化させ「一部核施設の無力化についてアメリカと合意する用意がある」旨を示唆した。そのため(1994年のような偽りの合意であるかどうかは別として)話し合いによる核計画廃棄の合意を結ぶこと自体は可能となった。
- イラク戦に疲れた米国民の声を背景に、議会多数派の民主党は北朝鮮核問題の「話し合いによる解決」を望んでいた。
- ジョージ・W・ブッシュ政権内の強硬派と国防総省は空爆を主張したが、下記の点で話し合い合意を主張する国務省側に対抗できなかった。
- 1)北朝鮮の黒鉛炉と再処理施設を空爆すれば北朝鮮のプルトニウム型原爆製造計画は頓挫する。しかし、ウラン濃縮施設は地下に作りやすく原子炉のように大量の赤外線を放射するわけでもないため、アメリカの偵察衛星をもってしても原子炉の発見は困難で、現状はアメリカは北朝鮮のウラン型原子爆弾計画や製造施設所在地も把握していない。したがって、プルトニウム生産施設を空爆破壊したとして、反発した北朝鮮が今度はウラン型原子爆弾の生産を始めても、アメリカは北朝鮮のウラン濃縮施設を発見できないため空爆破壊できない。だから今は北朝鮮のウラン濃縮施設の所在地をIAEAに自己申告させることが先決である。
- 2)イラクへの兵力一時増派などを議会多数派の民主党に飲ませるためには、(2007年合意が1994年合意のようにいずれ裏切られる偽りの合意という結果に終わっても)民主党とアメリカ世論の希望を飲み、北朝鮮核問題を話し合い解決した形にする必要がある。
- 3)北朝鮮の核兵器生産施設を攻撃破壊するに際して、最も懸念すべき事態は、空爆に来たアメリカ軍機を北朝鮮のレーダーが捉え、北朝鮮側の同盟国である中国空軍の戦闘機を呼んで、北朝鮮上空でアメリカと中国の空中戦になってしまうことである。ただしこの偶発的なアメリカ・中国の空中戦の危険はアメリカ空軍がレーダーに映りにくいステルス機で北朝鮮の核施設を空爆するか、巡航ミサイルで核施設を破壊すれば回避できると国防総省は主張している。しかしながらその方法で北朝鮮の核兵器生産施設を破壊したとしても、北朝鮮がソウルへの報復砲撃や東京へのミサイル攻撃という報復にでた場合、アメリカは責任を取れない。ブッシュ政権が仮に「将来北朝鮮が韓国を核恫喝によって併合して、韓国が滅亡する危険」を回避するために韓国への善意から北朝鮮の核生産施設を空爆したとしても、北朝鮮がその報復にソウルを砲撃すれば盧武鉉政権はブッシュ政権を逆恨みするであろうし、米民主党はブッシュ政権を非難するであろうから、北朝鮮の核生産施設を空爆破壊する事は軍事的にはいずれ必要なことであっても、日本・韓国の側から要請されていないのにジョージ・W・ブッシュ政権がそれを実行してしまうことは、ブッシュ政権にとっては致命的な貧乏くじになってしまう。
- 4)ジョージ・W・ブッシュ政権からすれば、ソウルへの報復砲撃を招いて国内外で叩かれる火中の栗を拾ってまで、北朝鮮の核施設を空爆破壊するより、(たとえ北朝鮮の意図が空爆回避のための口先の無力化合意であって核施設廃棄するつもりなど全くなく、ブッシュが次期アメリカ大統領になって2002年がそうであったように核施設を再稼動するであろうと予測しているとしても)ブッシュ大統領の代では一旦解決したことにして、次期大統領に問題を先送りしたほうがブッシュ自身の保身には有利である。ましてや、共和党からみれば北朝鮮に騙されて核問題の原因をつくったクリントン大統領の妻であるヒラリー・クリントンが次期大統領の最有力候補という2007年当時の現状ならば共和党支持者から見れば尚更「ビルが北朝鮮に騙された後始末はヒラリーにやらせろ。」と言うことになる。
- 5)北朝鮮の核開発・ミサイル開発の資金の出もとの大部分が後述するように日本と韓国なので、アメリカから見れば日本・韓国双方が金を出して北朝鮮が作った核兵器で日本・韓国が北朝鮮から核攻撃されても、それは日本・韓国の自業自得である。
- 下記の要因により2007年2月に共和党ブッシュ政権はコンドリーザ・ライス国務長官主導で対北朝鮮宥和政策に大きく舵を切った。
[編集] 日本
- 政治潮流
- 安全保障不感症
- また、日本の政界では軍事・安全保障は「票にならない」と認識されており、政治家一般に安全保障問題への関心は高いとはいえない。知識を有しているのは石破茂・前原誠司など一部に限られ、軍歴・軍事知識のある議員の数がアメリカより圧倒的に少ない。そのため、北朝鮮の核問題も日本に100-200基もの核ミサイルが向けられ数百万人から数千万人の国民の生命が脅かされているという認識が欠落しており、第二次世界大戦後から約65年間も続いている「平和」に馴れてしまっているために戦争を現実の脅威として認識できず、数百万-数千万の国民生命にかかわる核問題より数十人の拉致問題が優先されてしまう政治風土があり、それが日本の安全保障政策を迷走させているという指摘がある。
[編集] 中国・ロシア
- 北朝鮮へ対する核武装阻止の意欲は高いとはいえない。ただしロシアの場合、北朝鮮が現実に核戦力を行使すると言う事態になった場合、巡航ミサイルで基地を攻撃する計画がある。防衛省防衛研究所統括研究官の武貞秀士らによれば、中国・ロシアにとってもNPTが崩壊し、日本・韓国・台湾・ベトナム・バングラデシュ・中東諸国がインド・パキスタン・北朝鮮に続いて核武装するような事態になれば、不安定な小国が保有する核に取り囲まれることになるため、中国・ロシアも北朝鮮の核武装を歓迎してはいない。
- しかし、中国にとっての第一優先はアメリカ・韓国の軍が北上してくる不安と、それにより北朝鮮を占拠し金正日から続く世襲政権がイラクのフセイン政権同様に転覆され、外郭同盟国である北朝鮮がアメリカの支配下に入ることを阻止することであり、第二優先は北朝鮮が中国から離反してアメリカ陣営にとりこまれるのを阻止すること、第三優先は国連安全保障理事会で北朝鮮の武力制裁決議に反対して、米国の北朝鮮の武力制裁を阻止しつつアメリカと中国との関係は良好に保ち、アメリカから円滑に東アジアの警察国家の地位を継承すること、第四優先はアメリカが北朝鮮へ制裁しようとする態度に協力することで、日本がNPTを脱退して核武装に向かった場合、中国主導の対日本制裁にアメリカも協力させる布石とすること、であって「北朝鮮の核武装阻止・非核化」自体は中国にとっては上記4つの目的より遥かに優先度が低いといわれる。つまり、アメリカ軍の北朝鮮への侵攻を阻止し、アメリカへ中国の好感を維持するため見かけ上協力はするが、実際に協力してしまうと北朝鮮の現政権が中国から離反しても困るし北朝鮮をまとめきれる勢力が現政権以外にはないため、中国は同盟国である北朝鮮を本気で締め上げるつもりはないとの観測が日本では多い。
- またロシアにおいても、北朝鮮の核武装(2010年12月時点では核濃縮施設の存在)に対しては「深刻な懸念を表明」している[11]。
[編集] 北朝鮮の核武装の意図に対する諸観測
- 1)譲歩を引き出すための瀬戸際外交との観測
- 「北朝鮮は経済困難のため崩壊寸前であり、核武装計画の意図は韓国武力併合などの軍事的なものではなく、核武装をちらつかせることによって経済援助を引き出すための道具である」と見る観測がある。北朝鮮が国連武力制裁決議に基づいたアメリカ地上軍の派兵による、金正日から続く世襲体制の転覆の危険を冒してまで、2006年核実験を強行したために「援助を引き出すためにそこまでの危険を冒すだろうか?」と言う疑問が浮上している。
- 2)北朝鮮の現世襲体制維持のための核武装との観測
- 「北朝鮮にとっての核武装は、イラクのフセイン体制のようにアメリカ地上軍のように、北朝鮮の現体制を打倒されない為の自衛的な意味合いと、韓国軍を核攻撃して南侵するためではなくアメリカ軍が北進・上陸してきた時に備える意味合いのもの」と見る観測がある。北朝鮮が国境前線の戦車を旧式のまま維持しているのは構わずに、日本を狙うノドン弾道弾を200基も買い揃えるほうを優先していることや、核兵器を年産数十発も生産可能な大型50MW/200MW黒鉛炉の建設を営々と継続し各国の圧力にも関わらず解体に応じないことから、「主要在日アメリカ軍基地の数が7箇所なのに、日本を狙うミサイルを200基も配備したり、アメリカ本土に届くミサイルを開発中のうえ、それらを全部核付きにできる核弾頭量産大型黒鉛炉の建設を進めるなど、実態は一般に思われているより遥かに大規模で自衛/抑止目的の小規模核戦力志向とは到底みなせないのでは?」と言う疑問が浮上している。
- 3)核恫喝による朝鮮半島赤化統一のための核武装との観測
- 防衛省防衛研究所の武貞統括研究官らは20年間に渡る北朝鮮の核武装・ミサイル開発の努力は半島赤化統一の意思を土台にしていると分析している。「民族統一は分断国家にとっての悲願。中国軍は政治家が台湾武力併合の決断を下した場合、それが実行可能な軍事力の整備を目標にしているが、北朝鮮軍も金正日が韓国武力併合の決断を下した場合、それが実行可能な軍事力の整備を目指している。ただし、経済力・軍事予算では韓国に遥かに劣っているために、核兵器に軍事予算6000億円のうち4000億円強を集中投入し、核恫喝による韓国の併合を志向している。また赤化統一のためには米軍の韓国支援・軍事介入を跳ね除ける必要があるので、アメリカ本土に届くミサイル(および日本に届くミサイル200基)を整備し、日本を含むアメリカ陣営にに核ミサイルを突きつけることによってアメリカによる朝鮮半島への軍事介入を阻止しようとしている。つまり北朝鮮中枢部は朝鮮半島の武力統一の野望を継承している可能性がある。万が一、朝鮮半島の赤化による統一が成功した場合、日本は韓国と言う緩衝地域を失い、核武装した統一朝鮮軍140万人と中国軍160万人が対馬海峡の対岸まで迫ってくることになる。陸上自衛隊は16万人、米陸軍総兵力すら45万人。朝鮮半島の赤化統一は日本にとって悪夢と言うほかない」
[編集] 核開発への対抗策
日本側は北朝鮮に対し、2機の情報収集衛星(偵察衛星)を相次いで打ち上げ上空からの監視活動を開始すると共に、北朝鮮に対し、日本国内からの送金を停止することを可能にした経済制裁法案を可決した。これらを梃子に、北朝鮮に対し核開発を断念させる為の圧力を加えている。
これとは別に、弾道弾による核から国土を防御するため、日本やアメリカなどはミサイル防衛構想を推し進めている。
核兵器(原子爆弾)の直接的被害を受けた広島市の秋葉忠利市長は、北朝鮮の核兵器保有発言に対し抗議文を出している。
2005年6月14日、国会で「防衛庁設置法等の一部を改正する法律案」が可決され、自衛隊法82条2「弾道ミサイル等に対する破壊措置」が追加された。これは、北朝鮮のミサイル攻撃への対処について法整備を行ったものである。
- 「我が国に飛来するおそれがある場合、防衛庁長官は首相の承認を得て部隊に対し、我が国領域または公海上空で当該ミサイルの破壊を命ずることができる(1項)
- 事態が急変し、首相の承認を得るいとまがない場合、事前に作成した「緊急対処要領」に従い、長官は自衛隊の部隊に対し破壊措置を命令することができる(3項)
[編集] 水素爆弾開発疑惑
2010年5月12日、北朝鮮は「独自の核融合技術を開発した」と発表した。そして、同年6月14日には、韓国の核安全技術院が大気中の放射性キセノンの濃度が平時の8倍になったことを明らかにし、北朝鮮が水素爆弾開発のための小規模な核実験を行った可能性を示唆した[12]。また、同年11月29日の労働新聞の論説で、「世界の関心事となっている核融合技術、生物工学技術、ナノ技術が積極的に開発され、われわれの経済は一大開花期を迎えた」と主張した[13]。
また、産経新聞の笠原健長野支局長は、自身のコラム「信州読解」で、主要国がプルトニウム型原爆を開発してからウラン型原爆を開発、そして、原爆を起爆装置とした水素爆弾開発へと繋げたと言う事実に基づき、北朝鮮もそれに倣っており、ウラン型原爆を起爆装置とした水素爆弾開発を狙っているという旨の主張をしている[14]。
[編集] 脚注
- ^ http://www.47news.jp/CN/200907/CN2009072101000193.html
- ^ ウラン核爆弾とプルトニウム核爆弾 原子力物語 核問題入門 第6回
- ^ [1]
- ^ WP転載毎日新聞小型核記事
- ^ 朝日ミニニューク記事
- ^ 北朝鮮は小型核弾頭3発持っている可能性があるとのISISの報告書
- ^ [2]
- ^ [3]
- ^ 建設中の5万キロワット・20万キロワット大型炉の核兵器量産能力、核爆弾年産55個
- ^ 2011年2月22日の朝日新聞朝刊7面
- ^ ウラン濃縮施設に懸念表明=ロシア外相、北朝鮮をけん制時事通信社 Jiji,com 2010.12.14-06:01
- ^ “北朝鮮が水爆の基礎実験を実施か―韓国で放射線キセノン観測”. サーチナ. (2010年6月21日) 2010年6月21日閲覧。
- ^ “核融合技術「開花期」=抑止力アピールか-北朝鮮”. 時事通信. (2010年11月29日) 2010年10月29日閲覧。
- ^ “【笠原健の信州読解】北朝鮮の狙いは水爆の保有だ!”. 産経新聞. (2010年11月27日) 2010年11月29日閲覧。
[編集] 参考文献
- ケネス・キノネス『北朝鮮 米国務省担当官の交渉秘録』(伊豆見元監修)、中央公論新社、2000年9月、ISBN 4120030229
- 原著: C. Kenneth Quinones, North Korea's Nuclear Threat: "Off the Record" Memories, 1992-94
- ケネス・キノネス『北朝鮮 2 核の秘密都市寧辺を往く』(伊豆見元監修)、中央公論新社、2003年5月、ISBN 4120033937
- 原著: C. Kenneth Quinones, Beyond Negotiation: Implementation of the Agreed Framework
- James Clay Moltz (Editor), Alexandre Y. Mansourov (Editor), The North Korean Nuclear Program: Security, Strategy, and New Perspectives from Russia (Library Binding), Routledge, Oct 1999, ISBN 0415923697
- 春原剛『米朝対立 核危機の十年』日本経済新聞社、2004年9月、ISBN 4532164826
- Victor D. Cha, David C. Kang, Nuclear North Korea: A Debate on Engagement Strategies, Columbia University Press, Sep 2003, ISBN 0231131283
[編集] 関連項目
- 朝鮮半島エネルギー開発機構 (KEDO)
- 北朝鮮の核実験 (2006年)
- 北朝鮮の核実験 (2009年)
- 北朝鮮によるミサイル発射実験
- 北朝鮮関係記事の一覧
- 国際連合安全保障理事会
- 冷戦
- 核戦争
- 核抑止
[編集] 外部リンク
- 北朝鮮の核開発(原水爆禁止日本国民会議)
- 朝鮮半島エネルギー開発機構(日本国外務省)