テポドン2号

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
テポドン2
種類 大陸間弾道ミサイル
運用史
配備先 朝鮮民主主義人民共和国
開発史
製造業者 朝鮮民主主義人民共和国の旗 北朝鮮
諸元
重量 90,000kg
全長 30m
弾体直径 最大2.4m

弾頭 核弾頭 12-50kt
炸薬量 1,000 kg

エンジン 液体燃料ロケット
推進薬 常温保存液体燃料
有効射程 13,000km
誘導方式 慣性航法装置
精度 CEP5,000m
発射
プラットフォーム
地上発射基地 地下サイロ

テポドン2朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が開発した大陸間弾道ミサイル(ICBM)。北朝鮮の山岳地帯に作られている地下ミサイルサイロに配備していると言われている。「テポドン」とは、このミサイルの原型であるテポドン1が確認された地名の大浦洞からアメリカがつけたコードネームである。

北朝鮮側の兵器名としては不明だが、テポドン2の改良型と見られる2009年4月と2012年4月に打ち上げられた“ロケット”は、北朝鮮の公式発表ではそれぞれ「銀河2号」「銀河3号」と呼称されている。

開発経緯と発展型[編集]

1998年[編集]

テポドン2号は1990年に開発を開始した。テポドン1号はテポドン2のテストベッドであると考えられているが、多段式ロケットの技術開発としてテポドン1号を試作したと言われている。1998年8月31日にこの試作品が発射されたが、三段目の個体燃料ロケットを切り離す際に爆発したと言われている。この実験により多段階ロケットの切り離し技術や姿勢制御技術を獲得している。

2006年[編集]

2006年7月5日に咸鏡北道花台郡舞水端里の発射場から日本海へ向けて発射された。日米の偵察衛星情報収集衛星の情報により発射は事前に予測されており、日本政府は日本海と太平洋イージス艦こんごう型護衛艦を派遣するなど、米韓と協力し情報収集に努めた。

テポドン2号はスカッドやノドン6発と連続して発射された。スカッドやノドンはほぼ同じ海域に着弾し実験に成功したとみられるが、テポドン2号は発射42秒後に海上に墜落し実験は失敗した。

2009年[編集]

2009年4月5日に舞水端里の発射場からテポドン2号の改良・派生型とみられる銀河2号が発射された。北朝鮮は事前に「人工衛星の『光明星2号』を衛星打ち上げロケット『銀河2号』を用いて打ち上げる」と発表していた。

銀河2号は日本海で第一段目を切り離し、さらに太平洋上で第二段目の切り離しにも成功した。北朝鮮は衛星打ち上げに成功したと発表したが、他国宇宙機関からは確認されておらず、第三段目で不具合が発生し衛星の軌道投入には失敗したと見られる。

日本が確認したのは発射地点から3100kmまでだったが、弾頭部は4000km以上離れた太平洋上に落下したと見られている[1]

2012年[編集]

4月
2012年4月13日に平安北道鉄山郡東倉里の発射場からテポドン2号の改良・派生型とみられる銀河3号が発射された。北朝鮮は事前に「人工衛星の『光明星3号』を衛星打ち上げロケット『銀河3号』を用いて打ち上げる」と発表していた。
銀河3号は打ち上げ後1分程度で空中分解して黄海の洋上に落下して実験は失敗した。同日中に朝鮮中央通信は公式に打ち上げ失敗を認める声明を発表した。
12月
2012年12月12日に、平安北道鉄山郡東倉里の発射場からテポドン2号の改良・派生型とみられる銀河3号が発射された。北朝鮮は事前に4月の発射実験のときと同名の「人工衛星の『光明星3号2号機』を衛星打ち上げロケット『銀河3号』を用いて打ち上げる」と発表していた。発射同日中に北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)は、この発射により北朝鮮が人工衛星の軌道投入に成功したと見られる事を発表した[2]

技術的特徴[編集]

テポドン2は北朝鮮が初めて開発した大陸間弾道ミサイルであり、全長30mほどあり、直径は2.4~1.4mで重量は80~90tほどと推定されている。一段目にはムスダンのロケットモータを4本束ねたクラスターロケットが用いられているとされるが、一段目、二段目とも液体燃料ロケットモータを使用している。三段目を追加した場合は三段目のみ個体燃料のロケットモータが使用される。固定発射施設サイロで運用される大陸間弾道ミサイルで液体燃料は常温保存液体式、ペイロード約1t、CEP(半数命中半径)は3,000m~5,000m、衛星運搬ロケットとして使用する場合は地上発射施設で運用される。

テポドン2も液体酸素・液体水素燃料と違い、常温保存可能なものである。2012年12月12日の実験においては予想に反して非対称ジメチルヒドラジンではなく、灯油(ケロシン)が用いられた模様だが、どちらにせよ地下サイロで燃料を注入したまま一定期間保存しておく事が可能である。複数のテポドン2をシフト運用している可能性もあるが、実態は不明である。

テポドン2は固定発射施設で発射する大陸間弾道ミサイルであり、大型のミサイルでもあるため地下サイロの場所が特定されている場合の生存性は低い。しかし、発射された場合、130秒程度ロケットモータが作動すると考えられ、その後は弾頭が目標に向かっていく。最高高度は500kmまで上昇し、再突入の際には毎秒6~7kmもの速度になると考えられている。

弾頭はペイロードに合わせて高性能爆薬・核・生物化学兵器が選択可能である。多弾頭のMIRV技術についてはムスダンの原型であるR-27の技術移転の際に獲得している可能性はあるが、核弾頭の場合なら単弾頭と比較してさらなる小型化が必須であり、強化原爆か水爆の技術が必要とされる。2013年現在ではまだ途上と考えられ、結果的にMIRVは選択できないとみられる。ただし、強化原爆については、開発成功を示唆する分析も存在する事に注意が必要である。 [3]

なお、テポドン2の射程は実験の結果からの解析で弾頭重量1t~0.5tで6,700~13,000kmとされている。

出典[編集]

[ヘルプ]

参考文献[編集]

防衛白書 平成24年度版』 防衛省自衛隊、佐伯印刷、17-19頁。ISBN 978-4905428268

関連項目[編集]

外部リンク[編集]