ノドン
| 蘆洞 | |
|---|---|
| 各種表記 | |
| チョソングル: | 노동 (韓) 로동 (朝) |
| 漢字: | 蘆洞 |
| 片仮名: (現地語読み仮名) |
ノドン (韓) ロドン (朝) |
| ローマ字転写: | Nodong (韓) Rodong (朝) |
ノドンは
- 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)咸鏡北道の日本海沿いの町。(「ノドン」は韓国においての発音(ソウル方言)であり、北朝鮮では「ロドン」と発音(ピョンヤン方言)される)
- 北朝鮮が開発した準中距離弾道ミサイルの名前。本項で詳述する。
ノドンは北朝鮮が開発した弾道ミサイル。射程約1,000~1,300km といわれ、ほぼ日本全土を射程に収め、配備数は150-320基といわれている。(中国のDF21中距離弾道弾のうち日本を射程に収める東北地方(満州)に配備されているのは24基でノドンの配備数は突出して多い)投射能力的には核・化学弾頭の装着が可能な弾道ミサイルである。
「ノドン」とはこのミサイルが確認された地名からアメリカがつけたコードネームであり、北朝鮮では「木星」または「火星7号」(北朝鮮ではスカッド・ミサイルを「火星」と呼称しており、「ノドン」をスカッド改とした場合)と呼称される。日本の一部マスコミは当初「労働」という字を当てていたが、これは(北)朝鮮語において「蘆洞」と「勞動(労働)」が同音(ロドン)であることからの誤解である。
目次 |
[編集] 概要
弾道ミサイルの性能は開発国の技術レベルが如実に反映されるが、ノドンの CEP は米・ソの地上配備型弾道ミサイルに比べて、数倍から数十倍となり、通常弾頭では軍事目標に対して有効弾が期待できるだけの数量を発射することは困難となり、戦術的には脅威となりにくい。第二次世界大戦時のドイツのV2ロケットも、爆撃機ほどの効果はなかったことが知られている。湾岸戦争時にイラクがイスラエルに撃ったスカッド・ミサイル40発は、死者4人を出したのみと言われる。ただし、多数の同時発射や市街地が拡がる地域への攻撃では当然大きな被害が見込まれる。1t弾頭は障害物が無い場合、最大で半径三百メートル程度まで金属断片による殺傷効果が及ぶ。
弾道ミサイルの持つ戦略的・政治的な効果は大きいが、その限界も存在する。
- 冷戦期はABM制限条約のため、米ソとも有効な弾道弾迎撃手段を構築できなかったため、弾道ミサイルを直接的に迎撃する手段が非常に限られていた。現在進行するミサイル防衛は全面核戦争のような多数の弾道ミサイル同時投射を対象としていない。これは世界に拡散した(経済的軍事的規模の小さな国でも保有しようとする)大量破壊兵器としての弾道弾への対処を目的としたものであり、北朝鮮もこれに含まれる。
- 迎撃手段が限られることから政治・経済の中枢都市を直接狙うことができる。ただし核弾頭搭載弾道ミサイルを数百発配備し、数千万人規模での被害を与えうる「核戦力」を保有できているのは国連安全保障理事会常任理事国の五カ国くらいで、北朝鮮は弾道弾の試射、弾頭となる核実験等の戦力の実証による抑止力構築ができていない。
- たとえ通常弾弾頭で直接的な被害は少なくとも、国民に動揺が広がり、パニックや厭戦気分を生じさせる効果があるとされる。前述の湾岸戦争でも一時はイスラエルなどの国民に動揺が広がったことが知られている。しかし国民世論そのものを目標とする攻撃は、発射に至る経緯・政治状況、時期、目標、攻撃規模、搭載弾頭の種類等で変化する攻撃後のリアクションの予測が困難であり、必ずパニックが発生したり厭戦気分が醸成されるわけではないことに留意する必要がある。
[編集] 開発・配備経緯と発展型
- ノドンは1980年代後半からスカッド・ミサイルを元に開発を開始。1990年代前半には開発完了、1993年5月29日に試射が行われた。弾頭は日本海の能登半島北方350km 付近に着弾したと考えられていたが、後に日本の陸地上空を飛び越えて太平洋へ落下した可能性が示唆された。
- 当時、アメリカ合衆国と北朝鮮の間は核開発問題で緊張状態であり、米国のペリー国防長官(当時)はイラク原子炉爆撃事件に倣って核施設空爆を検討した。
- 結局1994年に米朝外交交渉による「米朝枠組み合意」(発電用重油と軽水炉を北朝鮮に与える代わり北朝鮮は核開発を「凍結」する内容)で北朝鮮が核開発凍結を約束してアメリカ軍の空爆を免れたものの、2002年北朝鮮は「援助の遅延」を理由に核開発を再開した。
- (詳細 北朝鮮核問題)
- 北朝鮮軍はこのころからノドンの実戦配備を開始したと見られる。
- 2006年北朝鮮は核実験を実行、ノドン配備数も200基に達した。(2009年現在320基)
- さらに、北朝鮮は外貨獲得を目的としてノドンをイランやパキスタンなどに輸出していると見られ、パキスタンのガウリ、イランのシャハブ3はノドンと同様か、若干の改良を加えたものと見られる。また北朝鮮は2006年7月5日に7発のミサイルをロシア沖の日本海に向けて発射したが、分析の結果、このうち2発目はノドンと見られている(朝日新聞2006年7月13日)。
- 北朝鮮では1500kmまで飛ぶロケットは坑道で系列的に生産しているとしている[1]。
[編集] 技術的特徴
- ノドンは1段式の単弾頭移動式弾道ミサイルで燃料は常温保存液体式、ペイロード約0.8t~1.2t、CEP(半数命中半径)は190m~3000m(諸説あり)、発射母体は車両や固定発射施設サイロ。
- 韓国を攻撃するにはスカッドで十分な為、攻撃目標は朝鮮半島で南北の軍事衝突が発生した場合に韓国を救援するであろう在日米軍基地、ならびにそれを支援する自衛隊基地、そして一般市民を目標とした全国市街地だと考えられている。通常弾頭の場合、ノドンの前身であるスカッドと同じ用法…すなわち大量投射とその継続による制圧となるため、相当な配備数を必要とする。兵器の稼働率の常識から見ても全弾が即時発射可能な即応体制にあるとは考えられず、300基以上のノドンが生産されているとしても日本国内の日米あわせて数十箇所の軍事施設あたりで見ると(開戦後に米軍が当然行うであろう弾道弾狩りによる損耗を勘案すれば)戦術目的としては十分な数量と言い難い。一方、都市や一般市民を目標とした攻撃であれば、数キロの範囲の「どこか」に着弾する程度のCEPであっても作戦目標を達成できるため、日本にとっての重大な脅威とみなされる。
ノドンに搭載可能な(そして軍事作戦に投入できるだけの信頼性を持つ)核弾頭が実用化されれば、配備すべき所要量は少数でも効果を挙げることができるが、核弾頭の実用化、小型化、信頼性確保、量産化と越えるべきハードルは多い。
- 弾体は移動可能であり、旧ソ連の MAZ 543P を国産化したミサイル発射車両 (TEL) に搭載されて、山岳地域に建設されたと言われる地下施設で発射待機をしていると推測されている。発射された場合、6~11分程度で日本各地へ着弾する。
- 誘導方式は、スカッド-B が積載している3基のジャイロスコープが1組になった慣性誘導装置を使用しているとされている。FASによれば最近Hwasong6でCEP50m、NodongでCEP190mと判明したとされており、"Previously thought to be several thousand meters"と記載されている。しかし一方で依然CEP3000mとするソースもあり情報が錯綜している。
- 液体酸素・液体水素燃料と違い常温保存可能である。、酸化剤は抑制赤煙硝酸、燃料は非対称ジメチルヒドラジンと見られている。但し特に赤煙硝酸は腐食性が強く、腐食性を抑制するためフッ化水素等を0.6%混合した抑制赤煙硝酸を使っている。耐食性の弱い軽いタンクで1週間前後、耐食性の強い重いタンクで数ヶ月は充填したままでいられ、射程と充填持続日数はトレードオフの関係にある。旧ソ連の潜水艦発射弾道ミサイルやサイロ式大陸間弾道ミサイルでは燃料・酸化剤充填したまま数ヶ月の即応状態に就くこともあったが、射程の延伸のためにスカッドの改設計を行ったノドンが、ペイロードを削る(核弾頭のさらなる小型化を要求する)タンクの構造強化をどの程度行っているのかは不明である。
- ICBMのように巨大なミサイルの場合、燃料を搭載したまま横から直立させると薄いタンクが壊れてしまうので、普通空タンク状態で直立させてから燃料・酸化剤を注入する為、一般的に即応発射は不可能である。
- しかしサイロ式や潜水艦発射弾道ミサイルのように最初から直立させて燃料・酸化剤注入してあれば即応発射は可能である。
- 短射程で小さいミサイルの場合は燃料搭載したまま直立させることが可能な場合もある。また射程なりの燃料しか搭載しないので、ICBMに比較すれば注入すべき燃料の量そのものは少ない。しかし注入時間は設備や錬度に左右されるため、注入開始から発射までの所要時間は判然としない。
- 移動式弾道弾は固定サイロのように位置が特定されていないため先制攻撃への抗甚性を持つとされる。したがって先制攻撃で破壊する古典的対策は(後述の湾岸戦争での米軍のスカッド狩り失敗のように)ノドンに対しては必ずしも有効ではないとする見解もある。
- その一方でノドンは戦術兵器・短距離弾道弾であるスカッドを強引に改設計して射程を延伸していることから、ノドンの発射重量は原型のスカッドBの5.9トンに対して16トンと大幅に増加している。6トンのスカッドを砂漠地帯に展開できたイラクに対して、16トンのノドンを同じ形式のTELで山岳を含む広範囲に展開させるには道路網の整備が必要となる。逆に言えば、ノドンに見合った専用のTELの開発・配備ができなかった北朝鮮においては、ノドンを移動式にしたところで、スカッドに比して倍以上の重量のためにTELの機動力が落ちる、地形の制限を受けやすい、あるいは重量物の移動に耐える道路整備の必要性、絶対量が多いが故にスカッド以上に燃料注入に時間がかかるなどの問題点もある。
- なお、より大型のテポドン1号の1段目にもノドンを使用していると見られている。
[編集] ノドンへの大量破壊兵器実装
ノドンや、北朝鮮の核開発の現状については不明な点も多い。ここでは異なった複数の専門家の意見があるので、両論を併記する形で提示する。もし小型核弾頭を北朝鮮が保有しているとすればノドンの射程から見て東京・旭川・那覇等殆どの日本の都市を攻撃できる能力があることを意味する。
[編集] 核弾頭
[編集] 楽観論
- 核ミサイルをブラフと見なし、北朝鮮にはミサイルに実装できる小型核弾頭はないとする意見。日本右派は脅しに乗ることが援助を毟られる原因になると主張しており、韓国左派は同胞に核ミサイルをむける筈はなく援助が欲しいからやっているので援助を与えればやめさせる事ができると主張しており、米国左派や日本左派はブッシュ政権の強硬路線の結果態度を硬化させ不完全な核爆弾を持っただけであると主張している。一部に核武装論もある。
- 根拠
- 1. 北朝鮮が開発途上国であること
- 2. 北朝鮮のGDPが1.2-2兆円にすぎず、大規模な核開発には資金が足りないこと
- 3. 米国ですら小型核弾頭の開発は初の核実験から数年を要している事
- 4. 1994年時点でCIAが「北朝鮮は1-2発の原始的核爆弾を保有しているとCIAは51%信じる。但しミサイルに搭載できるほど小型化されてはいないだろう」という 報告書を出していること
- 5. 通常核実験は20kt以上で確実に作動させて示威する場合が多いのに1996年の核実験が0.8ktで、過早爆発の可能性が濃厚なため、20ktを狙って0.8ktで完全な失敗と見なせること
- 6. 北朝鮮が国家崩壊寸前であるとする意見も有る
[編集] 慎重論
- 以下の根拠により慎重論が主張されていたが2009年3月31日、北朝鮮がノドンに搭載可能なまでに核爆弾の小型化に成功したとの報道が出た。[2]
- 軍事は危機管理であり、最悪に備えるのが常道である。200発の核ミサイルは2000万人を殺傷しうるし、赤化統一がなされれば日本の安保上重大脅威なので、発生確率が低いからと言って危険性を軽視すべきではないとする意見。援助を払わないことより、警戒して早めに核武装を挫折させることを重視する。イラク原子炉爆撃事件を見習って北朝鮮の核施設を空爆破壊してこれ以上の大量核武装を阻止せよとの意見も有る(ペリー元国防長官)
- 1)中国がかつて発展途上国で原始的核兵器開発すら不可能と言われていたのに、実際にはミサイル搭載可能な小型核弾頭開発まで成功し、発展途上国に高度な兵器の開発は不可能という予測は一度外れている事。
- 2)北朝鮮のGDPは1.2-2兆円にすぎないが、朝銀事件[1]・日本のパチンコ業者からの送金・朝韓合弁事業収益・ミサイル輸出収益・麻薬偽札収益で国家税収を上回る収益を主として日韓から合法・不法に吸い上げており、その大部分を核ミサイル開発につぎ込んでいると推定される事北朝鮮の収益構造の判り易い解説
- 3)1994年CIA報告時点で原始的核兵器を持っていたのにそれから14年何も進歩がないとは思われない事
- 4)北朝鮮は1994年に原始的核兵器を持っていた可能性が高く1998年にパキスタンに委託して作動保証実験を行った可能性があり、2000年は小型化の中間段階で、核の闇市場を通じて小型核弾頭設計図を入手可能で2006年までに小型化の目処をつけたという観測も有る。
- 1998年のパキスタン核実験の一部が北朝鮮の代理実験だった疑いがあること(江畑謙介)。
- 脱北核技術者(爆薬)が2001年時点で高さ1m直径1mの核爆弾を目撃したと証言しており、この時点でファットマンより小型化が進行していた事産経新聞当該記事
- 2006年迄に北朝鮮は爆縮原爆開発の最終段階の1つである高爆実験を140回程度行っていたとされる事
- 2006年10月9日のNHKにて軍事評論家の江畑謙介は、「(北朝鮮は)核弾頭を持ったと看なさざるをえない」との発言をした。海外でも、GlobalSecurity の専門家などは、北朝鮮が実用的な核弾頭を持ったとする分析をしている。
- 2008年に「核の闇市場」関係者のスイス人が逮捕されたがそのPCからミサイル用小型核弾頭設計図が発見されて小型核弾頭の設計図が闇市場で流通していた疑いが濃厚な事。産経新聞の当該記事
- 米国の調査機関ISISが2007年に北朝鮮は3個の小型核弾頭を持っている可能性があると報告している事。ISIS報告書8P参照
- 5)北朝鮮が中国に事前通告した2006年核実験の設計出力は4kt(長崎型ファットマンは22kt)で、最初から難度の高いミニニュークに挑んだ可能性がある事は科学者等に指摘されていたが[2]、実際北朝鮮が申告した核実験のプルトニウム使用量は核分裂下限といわれる2kgで懸念が裏書された。読売新聞当該記事
- 6)北朝鮮の核保有の意図は赤化統一戦争(第二次朝鮮戦争)に於いて米国の介入を阻止するための対米ICBMの前段階であるとする意見も有る
- ミニニューク:従来は長崎原爆のプルトニウム6kg使用22ktが爆縮原爆の最小量と見なされていたがトーマスコクラン博士等の再検討結果では先進国でプルトニウム1kg、途上国で1.5kgが最小という報告がなされている。日本の核物理学者は2kgと判定した。これらプルトニウム1-2kg使用、爆発威力3-6ktの核兵器をミニニュークという。
- 詳細は北朝鮮核問題
[編集] 化学兵器・生物兵器弾頭
[編集] 楽観論
- 大気圏突入時に弾頭が高温となるため細菌・化学物質が変質する可能性があり、また空中散布についても高度な技術が必要である(散布高度が高いと薄まりすぎる、低いと散布範囲が狭くなる)ことから、北朝鮮の技術力では困難、ないしは有効な攻撃手段とならない可能性が高いと言う意見。
[編集] 慎重論
- 技術上の問題はロシアや中国からの技術移転、パキスタンでの代理実験によって解決されている可能性を否定できない。
[編集] 日本のミサイル防衛
MDの項も参照されたい。
現在、日本は実質ノドン対策としてパトリオットミサイル (PAC-3) とスタンダードミサイル (SM-3) の配備を決定している。SM-3 は従来現実に想定されるより安易な状況での迎撃を中心的に行っていたものの、近年ではブロック I、ブロック IA と改良が続けられ、ノドンクラスの弾頭の迎撃に試験では成功している。現在はブロック IB および、日米共同でブロック II の開発が行われている。
アメリカ、欧州、日本の軍事衛星や陸域観測衛星が常に巡回をしているため、ミサイルの固定発射施設の存在はある程度判明しているが、ノドンミサイルは移動可能なため、発射の兆候はつかみにくいとされる。
2002年5月16日に、内閣法制局は「ある国が日本を攻撃する為に、予備役の招集、軍人の無許可移動の禁止、非常呼集を行う等の兆候が見られ、日本を攻撃する為と推定される軍事施設の新たな構築を行う、等が認められた場合、『武力攻撃が予測される事態』とみなし、これをもって先制攻撃を行うことは許容される」との憲法判断を行った。また2006年3月27日には自衛隊法の一部改正が施行され、自衛隊法に第82条の2「弾道ミサイル等に対する破壊措置」が追加された。これは、北朝鮮のミサイル攻撃への対処について法整備を行ったものである。
- 我が国に飛来するおそれがある場合、防衛大臣[3]は総理大臣の承認を得て部隊に対し、我が国領域または公海上空で当該ミサイルの破壊を命ずることができる(1項)
- 事態が急変し、首相の承認を得るいとまがない場合、事前に作成した「緊急対処要領」に従い、防衛大臣は自衛隊の部隊に対し破壊措置を命令することができる(3項)
[編集] 湾岸戦争でのスカッドとノドン
湾岸戦争前後の中東では極めて示唆に富む経験がいくつか見られた。
[編集] 1. 紛争当事国以外の近隣国がとばっちりで弾道弾被弾する事は想定せねばならない。
- イラクとクウェート・サウジアラビア・米国の戦争であった湾岸戦争で、イラクは戦争をアラブ対イスラエルの戦争の形に持ち込むために、紛争当事国でなかったイスラエルに弾道弾を撃ち込んだ。朝鮮半島有事で万一北朝鮮が韓国軍へ核使用し、米国が北への核攻撃で応えた場合、北朝鮮が米国ではなく第三国である日本に再報復を行う等、半島有事に巻き込まれる形での日本の弾道ミサイル被弾は起こりうる事が判明した。
[編集] 2. ミサイル発射地点への敵地攻撃は移動式弾道ミサイルには効果が薄かった。
- 日本は憲法9条により専守防衛で、先制攻撃は禁じられている。だが、核ミサイル時代に入り、ソ連の核弾道ミサイル第一撃で、反撃する暇もなく国が抵抗戦闘不能になる程の打撃を受ける可能性が出てきて、戦争の実情と憲法9条解釈に乖離が生じ始めた。
- しかし、かつて固定発射台からのミサイル発射が一般的だった時代は、衛星で固定発射台を監視し、燃料注入が始まったら先制攻撃して弾道ミサイルを破壊すれば、まだ発射を防止できる可能性があった。石破茂防衛庁長官(当時)は燃料注入と日本攻撃示唆など明白な対日弾道ミサイル攻撃準備の証拠があれば、弾道ミサイル狩り(敵地攻撃)で国民を被弾から保護する事は違憲ではないと国会答弁している。
- だが、湾岸戦争でイスラエルの要請を受けた米軍は大規模な移動式弾道ミサイル狩り(通称スカッド狩り)をやったが軍事的には効果が薄かった。
- イラク側は衛星通過中はスカッドを擬装隠匿し、衛星が通過したあと発射したので視野の限定された衛星では動く移動式弾道ミサイルを追跡発見できず、米軍は地上監視レーダー機E8 JーSTARを投入して「スカッドらしき地上を動く光点」へF-15Eを誘導したが、夜間に低空を時速千キロで飛ぶF-15Eからは目標がスカッドか、ダミーか、民間車両か識別困難であった。F-15Eパイロットの戦果報告は派手であったが、スカッドはエルサレムに降り続け、戦後の調査ではダミーやタンクローリーへの誤爆が多かった事が判明し、高速戦闘機の夜間視認能力の限界を示す結果となり、「移動式ミサイルには弾道ミサイル狩りが有効ではない」事が立証されてしまった。
[編集] 3. ミサイル防衛は軍事的実効が薄かったが、政治・外交的には有効だった。
- マッハ7で落下してくるスカッドを迎撃撃墜するために、米国は地対空ミサイルパトリオットPAC2を配備した。当初米軍は100%の撃墜率と宣伝したが、米議会での証言でイスラエルで40%、サウジアラビアで70%と報告されそれが公式見解になっているが、2001年にウィリアム・コーエン国防長官は「パトリオットは機能しなかったと言明しており、実際の撃墜率は公式見解より更にずっと低かったと見られている。[3]
- 但し、パトリオットPAC2はもともと弾道ミサイル迎撃を前提に設計されたミサイルではなかったので、射程が70kmから20kmに縮小したとはいえ当初から弾道ミサイル迎撃を前提に設計されたPAC3では大幅に能力が向上しているとされている。現状でSM3で7回中6回、パトリオットPAC3で12回中10回、試験での迎撃に成功している。無論、実戦の環境は数十発の同時被弾等、単発試験より遥かに苛酷であり、新兵器は実戦に投入すると思わぬ問題が発生するのが普通であるが「(単発)試験でこれだけの成績なら実戦でも10-30%の撃墜率が期待できるかも知れない」という期待も有る。
- ただミサイル防衛は攻撃側の弾道ミサイルより技術的に困難で、高価であり、技術としては発展途上の状況であることは衆目が一致している。総体的に少数の弾道ミサイルなら迎撃に成功するかもしれない程度であり、多数の弾道ミサイルの同時攻撃を完全に防げるというものではない。
- 一方でパトリオットはイスラエル国民の不安と怒り・政府の無策を非難し対イラク開戦を求める声を沈静化させ、「イスラエルを参戦させて戦争をアラブ対イスラエルに変えよう」というフセイン政権の政略を挫折させた。また、同盟国が弾道ミサイルを被弾した場合、パトリオット従来ドクトリンでは米国が報復攻撃をする義務があったが、報復義務を履行しない代わりにパトリオット派遣しても同盟国は納得することが実証された。そういった意味でミサイル防衛は米国にとり大きな政治・外交的効用があることが実証された
[編集] 4. 核生産施設空爆は核被弾回避に於いて唯一実効性があった
- ミサイル防衛も戦闘機による弾道ミサイル狩りも実効が薄いならどうやって北核被弾を回避できるのか?
- 泓水の戦いではないが、軍事的には隣国が核ミサイルを大量保有するまで指をくわえて傍観するのは渡河傍観のように下策であり、外交による核物質生産施設(黒鉛炉)解体交渉に失敗した場合、先制攻撃・空爆破壊して大量核取得を挫折させ核戦争を回避するのが基本である。
- 1981年のイラク原子炉爆撃事件ではイスラエルはイラクの70MW黒鉛炉を破壊した。そのためフセイン政権は核兵器を保有する事ができなかった。
- 1990年に始まった湾岸戦争でイラクはスカッドでイスラエルを攻撃したが、イスラエルはイラクの核生産を妨害していたので、被弾した39発の弾頭は通常弾頭で、損害は軽微ですみ、核被弾防止・国民保護上「核生産施設空爆」がミサイル防衛やスカッド狩りより有効であるのが実証された。
[編集] 脚注
- ^ 「日本の原発51基をミサイル攻撃すれば」06年核実験に対する朝鮮労働党内部講演録音(日本関連部分) 統一日報 2009/06/12
- ^ http://sankei.jp.msn.com/world/korea/090331/kor0903311035003-n1.htm
- ^ 防衛庁の防衛省昇格以前は防衛庁長官
[編集] 関連項目
- テポドン (ミサイル)
- ムスダン
- 北朝鮮によるミサイル発射実験 (1993年)
- 北朝鮮によるミサイル発射実験 (1998年)
- 北朝鮮によるミサイル発射実験 (2006年)
- 北朝鮮によるミサイル発射実験 (2009年)
- ミサイル防衛
- イージス艦・イージスシステム・スタンダードミサイル(SM-3)
- パトリオットミサイル(PAC-3)
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