藻岩山

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藻岩山
Moiwa Mountain in Sapporo in 2009.jpg
冬の藻岩山(2009年3月)
標高 531 m
所在地 北海道札幌市南区
位置 北緯43度01分21秒
東経141度19分20秒
[1]
山系 後志山地
種類 --
Project.svg プロジェクト 山
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藻岩山(もいわやま)は、北海道札幌市の中心部から南西約5キロメートルに位置する[2]標高531メートル (530.9m[3]) の山である[1]ロープウェイ自動車道が通り[1]展望台スキー場によって、札幌市民と観光客の行楽地となっている。

山頂に登るには、登山道のほか、北側からロープウェイと「もーりすカー」(ケーブルカー)を乗り継ぐか、あるいは南側から藻岩山観光自動車道(冬季休業)で中腹まで至り、「もーりすカー」に乗り換えて行くことができる。ともに有料。山頂展望台からは石狩平野、そして石狩湾までを一望することができ、夜には札幌市街の夜景を楽しめる[4]

山頂から南東方向には札幌藻岩山スキー場がある。札幌の中心部から近いという立地もあって多くの市民でにぎわう。

地質と地形[編集]

円山の頂上から見た藻岩山と豊平川扇状地(2005年1月)
山頂展望台から望む札幌市街夜景(2009年10月)
春の藻岩山と豊平川(2004年5月)

山の基盤を構成する地質は第三紀中新世末から鮮新世に浅い海底に噴出した溶岩でできた西野層である。その後第四紀におきた三度の噴火により安山岩が噴出し、山体を作った。山体の大部分は2回目の噴火による。 山は幅広いをはさんで尾根を東と南東に伸ばす。北東面は直線状斜面を形成し、豊平川扇状地に面している。山麓に近いところが山鼻という地域で、その北方に札幌市中心部が発展している。市街にビルが立ち並ぶ以前に札幌の人々が馴染んだ藻岩山の姿は、この方面から見たものである。

東に延びる尾根は札幌市街方面から見ると、裾野で長く平らに延び、先端が急に落ちて見える。古くはこの形から尾根の先端を「軍艦岬」と呼んだ。岬とは呼ばれるが崖下を流れるのは山鼻川である。南東側の尾根も崖(割栗)で終わり、崖下を豊平川が流れる。長く通行困難で、藻岩地区を札幌から切り離していたが、現在は国道230号が通じている。2つの尾根にはさまれた浅い谷は藻岩下という地区で、山鼻川が流れ出る。北西と西は後志山地で、藻岩山は山地の東の端に位置する。

歴史[編集]

現在の藻岩山は、アイヌ民族からアイヌ語で「インカルシペ」(いつも登って見張りをするところ)と呼ばれていた[4]。この山はアイヌにとっての聖地であり[5]、尊い神の山であった[4]。山腹にはカムイシュネ(神の灯火)が灯るさまが眺められたという。山鳴りがするときは天然痘の流行の兆しとして警戒し、本当に疱瘡の流行が始まればこの山に逃げ込み、神の加護を願った。しかし明治時代、入植した和人たちは「モイワ」(小さな山[6])と呼ばれていた隣の小山とインカルシペを取り違え、インカルシペを藻岩山、モイワを円山と呼び習わし、やがて誤解されたまま地名として定着してしまった。この藻岩山は札幌に近いこと、近くの豊平川を用いた水運が利用できることから、明治時代には南側で木材が伐採され、北の沢川から豊平川、創成川を経由して札幌まで流された。

1886年(明治19年)、麓にある新善光寺によって山頂までの参道が整備される[5]。また、各所に西国三十三所観音霊場を模倣して33体の観音像が置かれ、1900年(明治33年)になってから山頂に石堂が作られた[5]。以来、6月1日には「藻岩山山開き」として、新善光寺の信者が山頂に参拝する行事が毎年行われている[5]。石堂はその後、山頂の別の場所に移設されて、今日の浄土宗観音寺藻岩観音奥之院になっている[5]。山頂までの参道は今日の登山道となった[5]

北東斜面にはシナノキミズナラダケカンバなどの広葉樹が生い茂る「藻岩原始林」があり、1915年大正4年)に北海道庁より原生天然保護林に指定された後、1921年(大正10年)3月3日、「円山原始林」とともに北海道で最初の天然記念物に指定された[3]。指定区域は284.7ヘクタール (284.68ha[7]) であり[3]、天然記念物になる以前、開拓使時代から伐採などの利用が禁止され、今日に至るが、一度も人の手が入ったことのないという厳密な意味での原始林ではなく、原生林に近い天然林にあたる[7]。南西斜面の原生林は明治時代の数度の山火事により焼失し、戦後、スキー場などに利用されている[3]

藻岩山仏舎利塔

山麓には、白い仏舎利塔(通称: 平和の塔、正式名称: 札幌平和塔)が建っている。太平洋戦争の犠牲者の冥福と世界・日本の平和を祈る目的で、日本山妙法寺藤井日達の発願により、1961年昭和36年)に建立された。インドネール首相から贈られた仏舎利が安置されている。

平和の塔の南側の平地(ロープウェイの沿線の真下の部分)には、かつて「森永牧場」と呼ばれる地区があり、北海道の形状をした浅い池が存在していた。現在は撤去され「はらっぱ」と呼ばれる広場になっている。

戦後占領期には山腹(ロープウェイ沿線の北側)を切り拓いた進駐軍専用のスキー場が建設され、長野の志賀高原スキー場と並んで日本初のスキーリフトが導入された。現在は植生がある程度回復しており、スキーリフトの台座などの遺構が残るのみである。

現在、プロテスタントのローズガーデンクライスト教会がある隣接地は、山麓の観光スポット「ちざきバラ園」であったが、2009年平成21年)に閉園した[5]

消滅集落[編集]

2015年(平成27年)国勢調査によれば、行政町名としての「藻岩山」地域は、調査時点で人口0人の消滅集落となっている[8]

もいわ山ロープウェイ[編集]

4代目藻岩山ロープウェイ(2015年9月)

最初にロープウェイが建設されたのは、1958年(昭和33年)で、3線交走式で6人乗り小型のゴンドラ30台が片道10分で登り下りしていた。1971年(昭和46年)に4線交走式で66人乗りの2台(こぶし号、はるにれ号)へと替わり、時間も片道5分に短縮された。以前は山上の駅からリフトに乗って頂上に至っていたが、老朽化のため2005年(平成17年)4月より休止し、無料シャトルバスを運行、冬季には雪上車[注 1]が運行していた。

2011年(平成23年)12月23日より施設改装、および新型ゴンドラにリニューアルされた。「もいわ山麓駅」から「もいわ中腹駅」間を運航。中腹駅より「もーりすカー」に乗換えが可能。2基あるゴンドラはそれぞれ藻岩山に生息するエゾフクロウ(灰色)、エゾリス(オレンジ色)をイメージしている。

  • 乗車定員 - 66名
  • 乗車時間 - 約5分
  • 利用料金
    • 往復 - 一般1,100円、団体(15名以上)880円
    • 片道 - 一般600円、団体(15名以上)480円
    • 年間パスポート(下記もーりすカーも利用可能) - おとな2,800円、こども1,400円、65歳以上2,500円


もーりすカー[編集]

もーりすカー(2015年9月)

従来のチェアリフトに替わり、2011年(平成23年)12月23日のもいわ山観光施設リニューアルとともに開通した、密閉型キャビンを持つミニケーブルカー。ロープウェイの乗換駅となる「もいわ中腹駅」から山頂展望台「もいわ山頂駅」間の約240メートルを運行している。「もーりす」とは藻岩山のキャラクター名。

  • 運転速度 - 12.6km/h
  • 編成 - 2両
  • 乗車定員 - 1両30名×2両(1回60名の輸送が可能)
  • 乗車時間 - 約70秒
  • 利用料金
    • 往復 - 一般600円、団体(15名以上)480円
    • 片道 - 一般300円、団体(15名以上)240円


旧藻岩ドリームランド[編集]

藻岩ドリームランド
本社所在地 日本の旗 日本
北海道札幌市南区
業種 レジャーランド施設
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かつてロープウェイ乗り場の傍らに、ゴーカート場・プールアーチェリー場などの遊具施設やエゾリス園を備えた「藻岩ドリームランド」という遊園地施設が存在したが、1977年(昭和52年)に閉園。その後撤去され、往時の面影を残していない。ジェットコースター観覧車などの遊具施設は、北海道百年記念北海道大博覧会真駒内会場「子供の世界のファミリーランド」[9]から移設された。

藻岩山の日[編集]

藻岩山山開き(6月1日)の前日である5月31日が、偶然にも標高の「531メートル」に符合することから、近年は毎年5月31日が「藻岩山の日」(「もいわ山の日」)とされ、この前後の数日には藻岩山観光運営委員会が企画したイベントが催されている。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 4箇所のタイヤ無限軌道台車に交換したマイクロバス三菱・ローザ4WDの改造車)。

出典[編集]

  1. ^ a b c 『三省堂 日本山名事典』 徳久球雄・石井光造・武内正、三省堂2011年、改訂版、1035頁。ISBN 978-4-385-15428-2
  2. ^ 朝日新聞社: “いつもそこに 藻岩山物語 (1) 自然の植物園 クマにも言い分あり”. gooブログ (2012年4月30日). 2018年9月6日閲覧。
  3. ^ a b c d 『日本の天然記念物』 講談社1995年、222頁。ISBN 4-06-180589-4
  4. ^ a b c 藻岩山・札幌もいわ山ロープウェイ”. ようこそSAPPORO. 札幌観光協会. 2018年9月6日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g (いつもそこに 藻岩山物語: 4)祈りの山 観音像、街を見守る/北海道 北海道新聞 2012年05月03日 北海道朝刊 27頁 1道 写図有(全744字)
  6. ^ 『自然紀行 日本の天然記念物』 講談社、2003年、28頁。ISBN 4-06-211899-8
  7. ^ a b 国指定 天然記念物 円山原始林/藻岩原始林 (PDF)”. 札幌市. 2018年9月6日閲覧。
  8. ^ [|総務省統計局統計調査部国勢統計課] (2017-01-27) (CSV). 平成27年国勢調査小地域集計01北海道《年齢(5歳階級),男女別人口,総年齢及び平均年齢(外国人-特掲)-町丁・字等》 (Report). 総務省. http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_csvDownload_&fileId=000007841019&releaseCount=1 2017年5月20日閲覧。. 
  9. ^ 解説HP(画像あり)

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]