札幌軟石
札幌軟石(さっぽろなんせき)とは、北海道札幌市南区で産出する凝灰岩の石材。単に軟石と呼ぶこともある。明治時代から昭和初期にかけて札幌市、小樽市周辺の建物の建設資材として用いられた。
概要[編集]
約4万年前に支笏カルデラ(支笏湖を形成した火山活動)で発生した大規模な火砕流が冷え固まってできた溶結凝灰岩である[1]。この噴火による噴出物は周辺を広く覆いつくし、北は現在の札幌市南区にまで達した。札幌軟石は、この火砕流の噴出物が固結したものである。1871年(明治4年)、札幌を訪れたお雇い外国人のA・G・ワーフィールド、トーマス・アンチセルが札幌南部の穴の沢(現在の札幌市南区石山地区)で発見した。大谷石よりキメが細かく適当な硬度を有していること、柔らかいため切り出しが容易であること、軽く保温性が良いことから、開拓使が利用を奨励[1]。開拓時代の主要建造物の資材として広く使われるようになった。札幌建築観賞会、札幌軟石文化を語る会による調査(2005~2010年)では札幌軟石を使った建物が札幌市内で約300棟確認されている[1]。
昭和30年代以降、コンクリートブロックなどの普及により利用は激減、2019年時点では切り出している業者は常盤地区に採石場を持つ1社のみである[1]。建材としての利用は減ったものの、石切場跡が石山緑地や藻南公園の一部として整備されており、北海道地質百選にも選定されている[2]。また、札幌軟石を使った雑貨(後述)やパン焼き窯が製作されたりするなど、新たな活用法が見出されている[1]。
2015年(平成27年)から軟石の端材を活用した雑貨をつくる店ができ、千歳空港などで土産品として販売されている。
札幌軟石を用いた主な建築物[編集]
- 小樽運河倉庫群
- 小樽新聞社(北海道開拓の村に移築)
- 札幌市資料館[1]
- 日本キリスト教団札幌教会[1]
- 北海道大学農学部(旧札幌農学校第2農場)のサイロ)
- 札幌電話交換局(博物館明治村に移築)
- ぽすとかん(旧石山郵便局、札幌市指定歴史建物。雑貨店・カフェ「軟石や」など)[1]
- KT三条ビル(一部外壁)
- 小林酒造の酒蔵
- 駅裏8号倉庫(旧札幌拓殖倉庫株式会社)
出典[編集]
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 札幌軟石 - 札幌市南区
- 札幌軟石情報発信サイト 札幌軟石ネットワーク
- 軟石や(軟石雑貨工房)