木魚

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木魚

木魚(もくぎょ、杢魚とも)は、仏具楽器の一種である。

概要[編集]

木魚は、読経をするときに打ち鳴らすことで、リズムを整える。また、眠気覚ましの意味もあり、木魚が魚を模しているのは、眠るときも目を閉じない魚がかつて眠らないものだと信じられていたことに由来する[1]

小さな座布団状の台の上に置かれ、先端を布で巻いたバチで叩くと、「ぽくぽく」という感じの音が鳴る。大きさは直径6cm程度から、1m以上のものまである。自らの尾を食うや、2匹のを争う姿などを図案化したのような形をしている。表面には魚のが彫刻されている。


禅宗天台宗浄土宗などで用いられる。浄土宗では木魚の使用が禁じられた時期もあったが、その後念仏を唱えるときに使用されるようになり、念仏を邪魔しないために裏打ち(いわゆるバックビート)で木魚を打つ慣わしとなっている。

魚板(萬福寺

木魚の原型は禅寺で使われていた「魚板」(魚鼓)である。これは黄檗宗の本山である萬福寺東光寺韓国の寺院などで見ることができる。魚板とはその名の通り魚の形をした板であり、現在午前11時45分にだけ鳴らされている。魚の形をしているのは、魚は日夜を問わず目を閉じないことから、寝る間を惜しんで修行に精進しなさいという意味である。そして、口にくわえた丸いものは煩悩を表し、魚の背をたたくことで煩悩を吐き出させる、という意味合いがある。そして雑学だが、眠気覚ましの為に一定のリズムを刻んでいたとも言われる。代には、現代の木魚の形が確立している。日本では室町時代の木魚は存在するが、本格的に使用し始めたのは江戸時代の始めに中国から渡来した隠元隆琦で、彼が伝えた黄檗宗では木魚をはじめ、あらゆる楽器を使用する。黄檗梵唄が有名である。

木魚はクスノキなどの木を素材とする。内部の空洞が共鳴胴となることで音が響く。開口部である「響孔」にあたる部分からを差し込み、丹念に削ることで内部の共鳴部を整える。音色の良い製品を作るには、素材の木材を3年から10年もの期間をかけて乾燥させなければならない。そのため、安い中国産のものに押されている。木魚の生産は日本では愛知県のみで、中でも寺院で使用するものは同県愛西市でしか製造されていない。

韓国の木魚[編集]

韓国では、木魚は前述のように魚の形をしたものが鐘楼に吊るされており、手に持って鳴らす木魚は「목탁」(木鐸、モクタク)と呼ばれ、読経の際には座布団の上に置かずに手に持って打ち鳴らされる。

手に持ちやすいように持ち手の部分が簡素にデザインされ、僧侶のみならず一般の在家信者が自分の木魚を打ち鳴らしながら読経する姿も韓国の寺院では一般的である。バチは布が巻いておらず、野球バットを小さくしたような形状をしている。

楽器として[編集]

木魚を楽器としてみれば、一種のスリットドラムである。すなわち、中空の木片の一部にスリットを入れたものである。

乾隆帝時代のでは民衆音楽に楽器として用いられた。日本でも歌舞伎で用いられることがある。ベトナムでは「モー」と呼ばれ、打楽器として用いられる。第二次世界大戦後には、ジャズやクラシック音楽にも取り入れられ、テンプル・ブロック、チャイニーズ・ブロックともよばれ、2個から5個を一組に使用する場合が多い。高音で堅く鋭い音色のウッド・ブロックに比べると、木魚は柔らかく響きもふくよかである。

木魚が使用される主な楽曲[編集]

テンプル・ブロックもしくはウッドブロックで演奏される場合もある。

管弦楽曲[編集]

吹奏楽曲[編集]

J-POP、その他の音楽[編集]

  • 明和電機の諸アルバムやシングル
    指パッチンの衝撃が、指に取り付けられたセンサーを通じて伝わり、アームの先端に取り付けられたノッカー(明和電機の製作した、電磁石を応用した電動マレット)が動き、同じく先端に取り付けられた木魚を演奏する「パチモク」という楽器を製作し、使用している。
  • 魚屋のオッサンの唄(あのねのね
    嘉門達夫の持ちネタでもあり、あのねのねと同様に木魚が使われる。
  • 國府田マリ子のシングル「夢はひとりみるものじゃない」のイントロで使用されている模様である。

番組[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 日本博学倶楽部 『「話のネタ」のタネ500』PHP研究所、東京〈PHP文庫〉、2005年7月1日、446-447頁。ISBN 4569664385 
  2. ^ STVラジオ2020年8月27日のツイート

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

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