セックスワーク

セックスワーク(英語: sex work)は、性産業においてサービスとして提供される、売春、ポルノグラフィ出演、ストリップ出演、性介助などの労働。セックスワークに従事する労働者は「セックスワーカー」と呼ばれる。
セックスワークは、自発的な性的サービスのみを指す。そのため、人身売買や児童買春などの強制的または合意のない性的サービスは含まれない。性的サービスは、意思能力を有する成人(通常18歳以上)同士が合意に基づき行う必要があり、いかなる強制手段も用いずに行われなければならない[1][2]。
歴史
[編集]「セックスワーク」という言葉は、1980年にアメリカ合衆国の作家キャロル・リーによって初めて提唱された[3]。これは、「性」と「労働」を結び付けた言葉で、「性」を用いた労働、仕事を指す[4]。リーが活動を行っていた1970年代当時、アメリカではキャサリン・マッキノンやアンドレア・ドウォーキンなどのラディカル・フェミニストによる反ポルノグラフィ運動が盛り上がっていた。このような時代において、リーはサンフランシスコで開かれた反ポルノ集会で「Sex Use Industry」(性を利用した産業)という言葉が使われているのを目にした。リーはこの言葉に衝撃を受け、当事者を「利用される存在」として描写しているこの言葉を侮辱的なものだと感じ、代わりに「Sex Work Industry」(セックスワーク産業)という言葉を考案した[5]。
セックスワークは、古代から様々な形態で行われてきた。最も原始的な社会でさえ、取引としての性行為は行われていたと報告されている。売春は古代エジプトとギリシャで様々な階層で広く行われていた。ギリシャのヘタイラや日本の芸妓は、高度な教育を受け、尊敬されていた。売春に対する考え方は歴史を通じて変化してきた。

中世において、売春は称賛されることはなかったものの、容認されていた。16世紀のルネサンスと宗教改革によって、売春に対する考え方が大きく変化し、身体に対する規制が強化されるようになった。これらの改革は、主に女性の自律を制限することに注意が向けられていた。また、売春に関する規制は、主に貧困層に大きな影響を与えた[6]。
1980年以降、セックスワーカーの権利運動が活発化していったが、背景にはHIV/AIDSの世界的流行があった。当時、性労働者は「ハイリスク集団」と名付けられ、社会的スティグマを付けられ、差別と偏見に曝されていた[3]。
2006年にビクトリア大学が行った研究では、メディアにおけるセックスワークの描写と、セックスワーカー当事者の実際の経験は大きく異なっていることが明らかになった。メディアによるセックスワークの描写は不正確で、セックスワークに対する否定的な認識に影響を与えかねない、硬直した社会的・文化的筋書きに基づいていることが判明した[7]。
タイプ
[編集]セックスワークは、25種類あるともいわれる[9]。
法律
[編集]セックスワークに対する社会の見方には、それを人権に反するものとして望ましくないとする考え方や、反対に人権に反しておらず、労働として保護されるべきとする考え方など様々なものが存在する。法律においても、非犯罪化や犯罪化など、様々なアプローチがある[15]。
関連作品
[編集]出典
[編集]- ↑ “Q&A: policy to protect the human rights of sex workers” (英語). www.amnesty.org (2016年5月31日). 2019年10月30日閲覧。
- ↑ Ditmore, Melissa (2008年5月9日). “Sex Work vs. Trafficking: Understanding the Difference”. Alternet. 2025年12月13日閲覧。
- 1 2 SWASH 2018, pp. 9–10.
- ↑ シモーヌ 2025, p. 60.
- ↑ シモーヌ 2025, pp. 104–105.
- ↑ Melissa Hope, Ditmore, ed (2006). Encyclopedia of prostitution and sex work Volumes 1 & 2. Greenwood Press. ISBN 978-0-313-32968-5
- ↑ Hallgrimsdottir, Helga Kristin; Phillips, Rachel; Benoit, Cecilia (August 2006). “Fallen Women and Rescued Girls: Social Stigma and Media Narratives of the Sex Industry in Victoria, B.C., from 1980 to 2005” (英語). Canadian Review of Sociology/Revue Canadienne de Sociologie 43 (3): 265–280. doi:10.1111/j.1755-618X.2006.tb02224.x.
- ↑ Kilbride, Erin (2023年11月28日). “Landmark UN Report Calls for Sex Work Decriminalization”. Human Rights Watch. 2025年8月11日閲覧。
- ↑ Harcourt, C; Donovan, B (1 June 2005). “The many faces of sex work”. Sexually Transmitted Infections 81 (3): 201–206. doi:10.1136/sti.2004.012468. PMC 1744977. PMID 15923285.
- ↑ Who are sex workers
- 1 2 Weitzer, Ronald John, ed (2000) (英語). Sex for Sale: Prostitution, Pornography, and the Sex Industry. Routledge. ISBN 978-0-415-92294-4
- ↑ Weiss, Benjamin R. (5 April 2017). “Patterns of Interaction in Webcam Sex Work: A Comparative Analysis of Female and Male Broadcasters”. Deviant Behavior 39 (6): 732–746. doi:10.1080/01639625.2017.1304803. hdl:11323/9131. ISSN 0163-9625.
- ↑ “Top 10 Sex-Related Jobs”. www.careeraddict.com (2017年11月22日). 2019年12月22日閲覧。
- ↑ Poelzl, Linda (October 2011). “Reflective Paper: Bisexual Issues in Sex Therapy: A Bisexual Surrogate Partner Relates Her Experiences from the Field”. Journal of Bisexuality 11 (4): 385–388. doi:10.1080/15299716.2011.620454.
- ↑ SWASH 2018, pp. 30–31.
参考文献
[編集]- SWASH 編『セックスワーク・スタディーズ 当事者視点で考える性と労働』日本評論社、2018年9月26日。ISBN 978-4-53-558724-3。
- 『シモーヌ 2025年夏号』サッフォー、2025年8月1日。ISBN 978-4-91-159200-7。