絵画

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『絵画芸術』
ヨハネス・フェルメール
1666-1667
画布、油彩
120 × 100 cm
ウィーン美術史美術館

絵画(かいが)は、絵具などの描画材料による特定の支持体に対する描画で成立したもの。

に描かれた油彩画テンペラ画、フレスコなどで描かれた壁画を指す。に描かれた水彩画などは含めるが、木炭鉛筆で描かれたものは含めない。

ペインティング英語: Painting)とも呼ばれる。

定義の問題

油彩画の初期には板に描かれた、油彩画の以前にはテンペラ画もあった。また額に掛けて壁に飾るのは新しい様態であって、古くは壁に直接描く技法があった。そういった古いものも絵画として認識するためには、たとえば「支持体の上に、絵具、すなわち顔料バインダーを練成したもの、を筆などにより塗布して構成されたもの」という定義が考えられる。

この定義を厳密に適用すると、漆喰を直接染色するフレスコは絵画に含まれない。しかしフレスコ画も広い意味では絵画と認識されていた。絵付けされた絵皿はこの定義に含まれそうであるが、絵画とは認識されていない。浮き彫りタピストリーなど染織ステンドグラスなども絵画ではない。モザイクを絵画に含めない場合もある。版画写真も絵画には含まれていない。

東洋美術日本の美術など、ヨーロッパ以外の美術にヨーロッパ由来の絵画という概念の適用には困難が伴う。たとえば東洋美術には書画というがあるが、は絵画ではない。象嵌螺鈿などが工芸に分類され、浮世絵版画に分類されるのはともかく、絵巻物図屏風障壁画がはたして絵画に相当するのかどうかは議論のあるところである。また、西洋においても古代ギリシア壷絵は、これも絵画に近いものである。

現代において絵画の概念の設定にも困難がつきまとう。理由のひとつは新しい素材や技法の登場による。 パステル色鉛筆で描いても良さそうであるが、これは「ドローイング」(drawing)として絵画とは区別されるのが一般的だ。切り絵や貼り絵、コラージュはどうなのか。パブロ・ピカソ1912年の作品『籘張りの椅子のある静物』[1]には籘張り糢様の布が画布に直接貼り付けられている。興味深い例として、イタリアルーチョ・フォンタナの『空間概念』( 1950年代)がある。これは画布に切り目が入った作品である。[1] 1960年代後半のイタリアアルテ・ポーヴェラ、同じころの日本の「もの派」の作家たちも、さまざまな素材を作品に用いている。

組成

技法的観点、素材的観点は伝統的には組成などと通称された経緯がある。網羅的ではないが体系範疇が蓋然的にであれ存在し、大学などの教育機関にあっても一定の認識が存在する。

素材

以下は素朴なリストである。詳細は油彩画水彩画の項等参照。

技法

類型

類語

図画

図画(ずが)は、小学校の教科に図画工作[2]があり、「絵画」と同様の意味で使われることもあるが、絵画のほかに素描(デッサンドローイング)、イラスト版画などを含んでいる。法律文書では「文書図画」のように文書と組み合わせて使われる。なお、絵画に関する学問は画学と称される。

平面作品

彫刻に対比される絵画ではなく、「立体作品」に対比される「平面作品」という語が登場した。しかし、写真版画が「平面作品」に含まれるのかどうか判然とせず、曖昧である。加えて、絵画が立体であるという事実を蹂躙しているという批判もある。

ギャラリー

脚注

参考文献

  • 『見る脳・描く脳―絵画のニューロサイエンス』岩田誠 東京大学出版会 1997 ISBN 4130633147
  • 『脳は美をいかに感じるか ピカソやモネが見た世界』セミール ゼキ (Semir Zeki), 河内十郎 訳 日本経済新聞社 2002 ISBN 4532149606

関連項目

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