酉澤安施

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酉澤 安施とりさわ やすし[1]1962年昭和37年〉[1]10月14日[2] ‐ )は、日本のキャラクターデザイナーイラストレーターである。青森県出身[2][1]

来歴[編集]

東北工業大学(工業意匠学科:専攻ビジュアルデザイン)卒業後上京。印刷会社勤務を経て、日本テレネット (ゲーム会社)に入社。パソコンゲームのキャラクターデザインやパッケージのイラストを手がける。

その後サミー工業(後のセガサミーホールディングス)AM事業部マーケティング課長を務め、当時酉澤が企画したスーパーファミコン用怪獣シミュレーションゲームでガメラ版権を得るべく自ら大映に赴き、これにより平成ガメラシリーズ第一弾の『ガメラ 大怪獣空中決戦』が映画化されるきっかけにもなった。

大映撮影所で行なわれた映画製作発表会場では、映画の発表の後に同会場で引き続きゲームの制作発表が行なわれ、酉澤が壇上でゲームの記者発表を行なった[3]

1996年に前社を退社しフリーとなり、ゲームの企画、デザインやイラスト、CM監督や映像の演出と様々な分野で活動していた。

酉澤が演出を行っていた玩具のCMでミニチュアを手掛けていた大澤哲三の縁で、『モスラ3 キングギドラ来襲』のデザインに参加[4]。以後、実写特撮作品に本格的に携わるようになった[5]

その後、平成以降のゴジラシリーズやウルトラシリーズスーパー戦隊シリーズ牙狼-GARO-シリーズ、仮面ライダーシリーズなどで怪獣・怪人を始めとするキャラクターデザインやコスチュームデザイン絵コンテを手がけ、絵コンテでは数多くの映画に参加している[1]。キャラクターデザイナーとしては、2020年に『仮面ライダーセイバー』へ参加し、日本特撮の怪獣怪人デザインを制覇したと称される[6]

本人の画集は ホビージャパンより『酉澤安施画集 東宝怪獣大進撃!』[7]が2014年に発売されている。

人物・作風[編集]

  • 地球に存在する怪獣は古代に存在した生物が進化、宇宙に存在する怪獣は地球に存在する怪獣とは異なる進化をしたという独自の怪獣理論の持ち主であり、デザインはそれらを念頭において行うという[8]
  • 怪獣・怪人のデザインでは、ウルトラシリーズでの経験から脚が人間味が一番出ると感じ、『炎神戦隊ゴーオンジャー』の蛮機獣では獣脚を多く用いている[5]
  • 『炎神戦隊ゴーオンジャー』での怪人デザインは酉澤や周囲のスタッフも楽しんでおり、ストレス解消になっていたと述べている[5]

活動[編集]

テレビ[編集]

映画[編集]

配信[編集]

  • 2021年 東映特撮ファンクラブ 萬画 仮面ライダーバスター(クリーチャーデザイン)
  • 2022年 Netflix 桜のような僕の恋人(絵コンテ)
  • 2022年 東映特撮ファンクラブ 仮面ライダーサーベラ&仮面ライダーデュランダル(クリーチャーデザイン)
  • 2023年 プライムビデオ SEE HEAR LOVE ~見えなくても聞こえなくても愛してる~(絵コンテ)
  • 2023年 プライムビデオ 次元大介(絵コンテ)

オリジナルビデオ[編集]

コンピュータゲーム[編集]

玩具関連[編集]

その他[編集]

  • 1997年 ウェブキッズ(infoweb)(会報表紙および中面イラスト/Net 漫画/カード等)
  • 2001年 進研ゼミ小学講座 チャレンジ1年生(教材誌イラスト/4コマ漫画)
  • 2008年 宇宙船 (雑誌)東宝怪獣大進撃(挿絵/文)
  • 2008年 小説版 ULTRASEVEN X(挿絵) 
  • 2009年 ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント(小説全怪獣デザイン挿し絵)
  • 2012年 小学館 てれびくん とびだせ!!ウルトラエッグ(連載漫画)
  • 2013年〜 CR牙狼-GARO- シリーズ(パチンコ新規キャラクターデザイン/絵コンテ)
  • 2014年 酉澤安施画集 東宝怪獣大進撃!(画集)
  • 2015年 漫画「銀河帝国興亡史1 ファウンデーション」(SFデザイン)
  • 2015年 書籍「モンスターを描く」(キャラクターイラスト/メイキングイラスト)
  • 2020年 香取慎吾 20200101 FUTURE WORLD (feat.BiSH)(ミュージックビデオ絵コンテ)
  • 2023年【ジョージア】冬の2分ドラマ 「毎日って、けっこうドラマだ。」(絵コンテ)

テレビCM 企画・演出[編集]

  • 「ジターリング」「まんてん先生のベストスクール」「KENWOOD CAR AV SYSTEM VZ907」(企画/演出)
  • 「たまごっち オスっち メスっち」(企画/演出補)
  • 「オウバードフォースAfter」(ゲームオープニングCM演出)
  • 「DXアクション ウルトラマンダイナ」(AP)
  • 「ガメラ ギャオス撃滅作戦」「ガンデック」「実戦パチスロ必勝法2」(企画)

ゲーム企画プロデュース[編集]

  • ガメラ ギャオス撃滅作戦」
  • 「銀玉親方の実戦パチンコ必勝法」
  • 「雀鬼流 麻雀必勝法」
  • 「アイドルパズル エンジェル・パラダイス シリーズ」
  • 「ケロケロけろっぴの一緒に遊ぼう」
  • 「ハローキティの一緒に遊ぼう」

フルCGアニメ番組(アニマティック演出コンテ)[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 原始モスラ/白亜紀型キングギドラ/ガルガルIIIデザイン・イメージボード[4]
  2. ^ 実写作品の衣裳デザインを初担当[9]
  3. ^ 機龍隊メカニック役でカメオ出演[11]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i 3式機龍コンプリーション 2016, p. 52, 「STAFF MESSAGE 酉澤安施」
  2. ^ a b 宇宙船編集部 編『ウルトラマンメビウス アーカイブ・ドキュメント』円谷プロダクション 監修、朝日ソノラマファンタスティックコレクションNo.∞〉、2007年6月30日、64頁。ISBN 978-4-257-03745-3 
  3. ^ 1994年当時発売のファミ通ファミリーコンピュータMagazineに記事掲載[要文献特定詳細情報]
  4. ^ a b 東宝SF特撮映画シリーズ13 1998, p. 85, 「デザインワークス 酉澤安施」
  5. ^ a b c 「DESIGNER'S INTERVIEW12 酉澤安施」『東映スーパー戦隊シリーズ35作品記念公式図録 百化繚乱 [下之巻] 戦隊怪人デザイン大鑑 1995-2012』グライドメディア、2012年10月16日、362-363頁。ISBN 978-4-8130-2180-3 
  6. ^ 仮面ライダーセイバー公式完全読本』ホビージャパン、2022年2月26日、110-111頁。ISBN 978-4-7986-2738-0 
  7. ^ 『酉澤安施画集 東宝怪獣大進撃!』ホビージャパン、2014年7月26日。ISBN 978-4-7986-0849-5 
  8. ^ 『酉澤安施 東宝怪獣大進撃』ホビージャパン、92-96頁。 
  9. ^ a b 東宝SF特撮映画シリーズSPECIAL EDITION 2000, p. 59, 「STAFF INTERVIEW 酉澤安施(Gグラスパー衣裳デザイン)」
  10. ^ 東宝SF特撮映画シリーズSPECIAL EDITION 2003, p. 31, 「[インタビュー] 酉澤安施」
  11. ^ 「ゴジラ×メカゴジラ用語辞典」『ゴジラ×メカゴジラ』朝日ソノラマファンタスティックコレクション〉、2002年12月30日、73頁。ISBN 4-257-03668-0 

参考文献[編集]

  • 東宝SF特撮映画シリーズ(東宝
    • 『モスラ3 キングギドラ来襲』東宝〈東宝SF特撮映画シリーズVOL.13〉、1998年12月12日。ISBN 4-924609-74-9 
    • 『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』東宝 出版・商品事業室〈東宝SF特撮映画シリーズ SPECIAL EDITION〉、2000年12月16日。 
    • 『ゴジラ×メカゴジラ 2003』東宝〈東宝SF特撮映画シリーズ SPECIAL EDITION〉、2003年1月25日。ISBN 4-924609-83-8 
  • 『ゴジラ×3式機龍〈メカゴジラ〉コンプリーション』ホビージャパン、2016年12月21日。ISBN 978-4-7986-1353-6