転び公妨
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転び公妨(ころびこうぼう)とは、警察官などの捜査官が被疑者に公務執行妨害罪(公妨)や傷害罪などを巧みに適用して現行犯逮捕する行為。別件逮捕であることが多い。
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目次 |
[編集] 概要
名称の由来は、警察官が被疑者に突き飛ばされたふりをし、自ら転倒して対象者に公務執行妨害罪を適用することからきている。特に第三者から見られないような状況を選んで、触れてもいないのに暴行を受けたと言いがかりを付けて無理に逮捕するなどの事例が存在する。
これは警察官が不審と感じたにもかかわらず「逮捕・勾留するためには証拠が不十分」である被疑者を、警察官自らの演技・虚言によって「公務執行妨害罪」などを適用できる状況を作り上げ、それを口実に(別件で)逮捕・勾留するのである。
主に公安警察が用い、不当逮捕・冤罪の温床になっていると法曹関係者からも批判されている。特に地下鉄サリン事件以降はオウム真理教(Aleph)の信徒など関係者に多用され、森達也の記録映画『A』には撮影中の森の目前で堂々と「転び公妨」での逮捕を行って見せた証拠映像が残されている。森は「公安警察がマスコミを不当逮捕を見逃す存在として認識していたから、彼ら(警察)は撮られることを意に介さなかったのだ」と推測している。その当時はオウムの関係者だというだけで退去運動や転入届の不受理が行われたように、世論もオウム関係者に対し攻撃的な状況であった。森は被疑者として逮捕された信徒の弁護士からテープを証拠として法廷に提出するように求められ、迷った挙句に応じ、その信徒は無罪となった。なお映像の中で信徒に暴行を加えたように見えた公安警察官も、後に特別公務員暴行陵虐罪で告訴されたが、映像の見方によっては暴行を加えたかのように受け取れるものの、結局、無罪判決が下された。
また、覚せい剤取締法違反で逮捕された者に対して、本来は任意であるはずの尿検査を拒否した場合にも行われたという報告が多数見受けられる。
あまりにも軽微な罪なので、逮捕容疑で送検まで至ることはほとんどない。また送検されたとしてもそれ自体では、不起訴または起訴猶予処分になることが多い。千葉県では「暴行を受けたと主張する警察官」と「目撃した同行の警察官」の、その瞬間に関する証言が違い、“暴行した事実の存在自体が疑われる”として2007年9月に無罪判決が出た例がある。
[編集] 手口
- 捜査官が被疑者の傍で自ら転倒する
- 捜査官が被疑者の体に自ら触れ、大げさに痛がったり転倒する
- 捜査官が被疑者を挑発する言動を行ない、被疑者が大声を張り上げたり、体を動かしたら自ら転倒する
- 制服警官が職務質問に際して制帽をすぐ脱げ落ちるほど緩く被りなおし、被疑者に身体同士が触れ合うほど異常に接近、つばが対象者に当たって制帽が脱げたら逮捕
- 軽微な罪または身に覚えのない罪で家宅捜索を行い、被疑者が令状に手を触れたときに、「令状を破った」と言い出す(文書等毀棄罪の現行犯で逮捕の口実になる)
- 軽微な罪または身に覚えのない罪で家宅捜索を行い、被疑者宅内を掻き回し、被疑者が怒ったときに自ら転倒したりする
[編集] 転び公妨が用いられることが多い捜査・事例
- 公安捜査
- 特に左翼団体への捜査
- 要人の旅行時の警備
- ロシア、中国、アメリカなどの外国要人来日時には過激行動に走る可能性がある人物を(ただし右翼がこのような目に遭った実例は非常に少ない)、天皇皇后の行幸時には現地の左翼団体関係者の身柄を拘束する口実。つまり、実質的な予防拘禁である
- 行き詰まった捜査
- 対象容疑で家宅捜索などができないとき、事実上の別件逮捕で家宅捜索を行ったりする
- 実力で抵抗されてさえいないのに公務執行妨害として連行することがある
[編集] 類似の事例
実行者が警察官ではないので、狭義の「転び公妨」には当たらないが、類似の事例もある。沖縄県名護市辺野古地区の基地反対派に対し、国側に雇われた作業員が同様の行動を取っていると反対派側は主張している。
[編集] 参考文献
- 鈴木邦男『公安警察の手口』(筑摩書房・ちくま新書) ISBN 4480061983