嫌われ松子の一生 (映画)
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| 嫌われ松子の一生 | |
|---|---|
| 監督 | 中島哲也 |
| 製作総指揮 | 間瀬泰宏 小玉圭太 |
| 製作 | 石田雄治 佐谷秀美 |
| 脚本 | 中島哲也 |
| 出演者 | 中谷美紀 |
| 音楽 | ガブリエル・ロベルト 渋谷毅 |
| 撮影 | 阿藤正一 |
| 編集 | 小池義幸 |
| 配給 | 東宝 |
| 公開 | |
| 上映時間 | 130分 |
| 製作国 | |
| 言語 | |
| 興行収入 | 13.1億円 |
| allcinema | |
| キネマ旬報 | |
| allmovie | |
| IMDb | |
『嫌われ松子の一生』(きらわれまつこのいっしょう、MEMORIES OF MATSUKO)は、山田宗樹の小説『嫌われ松子の一生』を原作とした映画。2006年5月27日公開。主演は中谷美紀。脚本・監督を中島哲也がつとめた。
目次 |
[編集] 概要
教え子をかばった事から教師の職をクビになり、家族とのいざこざから家を飛び出し、その後は男とのトラブルや裏切りから、やがて風俗嬢に転身。更に悪い男に騙され男を殺して刑務所へ。川尻松子の悲劇の転落人生を、下妻物語の映画監督 中島哲也によって2006年に映画化された。 映画は悲惨な物語を、星・花・小鳥が舞い踊るファンタジックなミュージカルシーンやコミカルなタッチで綴る絢爛たる演出で描かれ(賛否が割れる傾向をともないながらも)好評価を得ている。なお、映倫規定では、PG-12に指定されている。2006年11月17日に、DVDソフトとしても販売されている。
中谷美紀は「この役を演じるために女優を続けてきたかもしれない」と言っているほど、本人がほれ込んでいる役どころであり、中島監督は「松子に会いたいために作った」と語っている。 また撮影現場では、主演の中谷美紀をはじめ俳優やスタッフが監督の中島哲也に怒鳴られる、罵倒される、などが日々続き、昨今の映画制作現場としては珍しいエピソード、撮影秘話として話題にもなった。 中谷美紀は「監督の顔は2度と見たくないとまで思っていた」「技術的、感情的についていけず、とても悩んだ事からアイデンティティー・クライシスに陥った」と後日談として語っている。また「撮影中、監督のただのわがままで、みんなを振り回していたとも思っていたが、それはきちんと作品を届けるためという、映画作りの根底みたいなものを教わった気がします」とも語っている。 これら撮影中の日々を主演の中谷美紀が書き連た日記として「嫌われ松子の1年」中谷 美紀 (著) として書籍としても販売されている。
基本的には原作の流れを踏襲しているが、かなり脚色されていて、人物設定も一部異なる。特に田所校長や赤木、明日香の扱いが小さくなった(明日香は凝縮したとも言えるが)。松子の家族(恒造、久美、紀夫)との関係の描写に時間をさく一方で、ソープ嬢時代の話や、殺人を犯し刑務所に服役する場面は、ミュージカルシーンとして処理され短時間になっている。また、性描写は必要最小限とし、かつ主人公の善良さやその人生の幸福な側面などを強調している。
地上波テレビでは2008年9月1日にTBSテレビが「月曜ゴールデン」枠で放送していたが、途中から「JNN緊急特番 福田首相辞意を固める」を放送したため休止となった。代替として同じく「月曜ゴールデン」枠で2008年12月22日に放送されることが発表されていたが、故・筑紫哲也の追悼番組のため前の週に予定されていた映画「初恋」が一週間順延され、これに押し出される形で再び放送休止となった。結局2009年3月23日に午後11時59分からの深夜枠で放送された。同時ネット局はTBSテレビ、静岡放送、宮崎放送だった。なおBS-iでは2008年10月21日に放送されている。
[編集] キャスト
- 川尻松子:中谷美紀(幼少時代 奥ノ矢佳奈)
- 川尻笙(松子の甥):瑛太
- ミュージシャンになるために上京したが、挫折し、恋人にも振られる。すさんだ人生を歩んでいたが、松子の人生に触れることで、松子の人間性を知っていく。
- 龍洋一(松子の元教え子):伊勢谷友介
- 川尻紀夫(松子の弟):香川照之
- 川尻久美(松子の妹):市川実日子
- 川尻恒造(松子の父):柄本明
- 川尻多恵(松子の母):キムラ緑子
- 川尻悦子(紀夫の妻):濱田マリ
- 沢村めぐみ(松子の親友):黒沢あすか
- 渡辺明日香:柴咲コウ
- 佐伯俊二:谷原章介
- 八女川徹也:宮藤官九郎
- 綾乃(ソープ嬢):BONNIE PINK
- 小野寺:武田真治
- 島津賢治:荒川良々
- 大倉修二:ゴリ(ガレッジセール)
- 見掛け倒しのヘビーロッカー。松子が最後に住んでいたアパートの隣人。
- 刑事(松子殺害事件担当):マギー
- 刑事(小野寺殺害事件担当):渡辺哲
- 教頭:竹山隆範(カンニング)
- 杉下教頭とはまったく違う設定になっている。修学旅行先で起きた現金盗難事件の罪を松子がかぶっているところを目撃し、誰にも言わない代わりに胸を見せることを強要する。
- 岡野健夫:劇団ひとり
- 岡野芳江(岡野の妻):大久保佳代子(オアシズ)
- マネージャー赤木:谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ)
- 女囚A:唄:AI
- 女囚B:家族:山下容莉枝
- 女囚C:プライド:土屋アンナ
- 女囚D:思い出:山田花子
- 片平なぎさ:片平なぎさ
- 本人役、挿入されるサスペンスドラマのヒロイン。
- 本田博太郎:本田博太郎
- 本人役、サスペンスドラマの犯人。
- 田中要次:田中要次
- 本人役、サスペンスドラマの刑事。
- 係官:あき竹城
- 婦警:木野花
- 牧師:嶋田久作
- 校長:角野卓造
- 田所校長とはまったく違う設定になっている。
- 超人気シンガー:木村カエラ
- 宿屋の従業員:甲本雅裕
- 修学旅行の宿泊先の従業員。額に大きなほくろ毛がある。
- その他の出演者:江本純子、浅野麻衣子、星ようこ、蒼井そら、江口のりこ
[編集] スタッフ
- 原作:山田宗樹(幻冬舎文庫)
- 撮影:阿藤正一
- 録音:志満順一
- 美術:桑島十和子
- 照明:木村太朗
- 振付:香瑠鼓
- ビジュアルエフェクト:柳川瀬雅英
- CGディレクター/CGプロデューサー:増尾隆幸
- 編集:小池義幸
- 音楽プロデューサー:金橋豊彦
- 音楽:ガブリエル・ロベルト、渋谷毅
- 整音:太斉唯夫
- 助監督:吉見拓真、武正晴
- ラインプロデューサー:大里俊博、松田康史
- 製作統括:宮下昌幸、近藤邦勝、細野義朗、島谷能成、見城徹
- エグゼクティブプロデューサー:間瀬泰宏、小玉圭太
- プロデューサー:石田雄治、佐谷秀美
- アソシエイトプロデューサー:鈴木ゆたか
- アシスタントプロデューサー:盛夏子、岡田有正
[編集] 原作と映画版の違い
- 描かれない話
- 松子が田所校長にレイプされる事件が、修学旅行中に起きた教頭のセクハラ(胸を見せろと言われる)に置き換えられ、松子はこのことを洋一に語っていない。このため映画で、洋一は全く関係のない人物を殺害することになる。
- 綾乃の引退後は描かれない(殺されない)。原作では綾乃が覚せい剤中毒の男に殺害されたことを知り、覚せい剤を打とうとした小野寺から身を守るために包丁を持っているが、この話が描かれない。女に貢いでいたことへの逆上から犯行に及んだと受け取られる。実際、小野寺が松子を襲う様子は描かれていない。
- 映画版では松子が死ぬところ(第5章:うたかた)で終わり、終章の法廷シーンが登場せず(テレビドラマ版も同様)、これについては一部批判的な見方もされている(関連書籍等によると、原作者の山田宗樹はこの場面のカットに関しては気にしていないようである)。
- 設定の変更
- 松子は荒川の河川敷で名刺を握ったまま死ぬ。めぐみは警察から松子の死を聞かされ、アパートを張り込んでいたところ、笙に出会っている。原作では名刺は見つからず、まためぐみも松子が名刺を探していたことをこの著書では知っていない。
- 荒川で暮らしている頃に光GENJIの熱狂的ファンになっている。夜中に大声を出したのは、ファンレターを送ったのに、返事がこなかったため。
- 龍洋一は原作では出所後、更生して教会関係の仕事についており、事件の加害者について憤慨する笙を諭す分別のある大人になっているが、映画では出所後は奇怪な言動や刑事に暴力を振るうなど、人格的に破綻してしまっている。
- 細かい違い
- 松子の生誕日(8月2日→11月25日)
- 松子の最終学歴(原作・国立大学を卒業して教員免許を取得とある。)
- 松子の部活顧問(合唱で指揮を担当していることから、コーラス部、あるいは合唱部等の顧問だと思われる。)
- 現金盗難事件で、洋一に白状させようとした場所が学校。(原作では洋一は学校を休んでいて、松子が洋一の実家まで行っている。)
- 松子が校長から辞任を言い渡されたとき、佐伯俊二も同席している。
- 八女川が松子の目の前で自殺する。(原作では岡野に自殺現場まで連れて行かれて、八女川が自殺したことを知る。)
- 小野寺との出会い(店をやめてからになっている。原作では客として松子を指名している)
- 小野寺は女を自分のアパートに連れこんでいた。(原作では松子が働いている間、山科まで行き、関係を持っている。)
- 島津との同棲期間(2ヶ月→1ヶ月)
- 洋一との同棲中、松子が美容室をやめている。(原作では美容室を休みがちになっているだけで、やめてはいなかった。)
- 洋一に組織に追われる原因が、組の金を使い込んでいたこと。(原作では覚せい剤密売の取引を麻薬Gメンにリークしていたことが発覚したため。)
- 紀夫が大野島から松子を追い出す際に、笙もついてきている。
- 博多を離れる前に短時間生家に立ち寄った松子が、死の直前の父の日記を読む場面。「松子からの連絡なし」と繰り返されているのは原作同様だが、自分の松子への接し方を後悔する述懐や、連日雨が続いている記述もある。DVD以外では絶対視認不可能とはいえ、小野寺に「雨は嫌い」と告げる場面がこの直後にあり(原作では順序が前になっている)、同じセリフは後年に龍の前でも繰り返される。
[編集] エピソード
監督・中島哲也は怒鳴る、罵倒するなどの一連の事柄について、「プロの役者さんをほめるのは逆に失礼」と語っている。 主演の中谷美紀はその厳しさに降板も考えたほどで、「何度やっても同じじゃないか」「あんたの感情などどうだっていい」「殺してやる」などと毎日毎日怒鳴られて、怒鳴られ慣れてきた頃、更にキツイ一言を言われ、睡眠不足も続き肉体的にも疲弊してきた1ヶ月を過ぎた辺りから、そのひと言ひと言が胸に刺さるようになっていたと撮影日々の辛さを語っている。綾乃役のBONNIE PINKも「私だったら女優をやめている」と語っている。
監督・中島哲也は「撮影1日目にしてこの映画はお蔵入りになるかもしれないと思った」「主演の中谷美紀が逃走した場合、どのようにすれば映画制作を完結出来るか本気でスタッフとも話し合った」と語っている。実際、中谷美紀は撮影をすっぽかし逃走した日もあったという。
中島は「『よく俳優に冷たい』と言われるが、ものすごく俳優に期待もしている」という。中谷美紀をはじめ出演者たちを本当に素晴らしいと思うと賛美してもいる。撮影では、よいシーンは俳優が出してきたものが多くそれが見えれば、プランを捨てて撮影をするため、今度は『こんなに打ち合わせしたのに、カット割り変えるのか』と、スタッフの反感を買い、撮影現場では、「俳優からも嫌われ、スタッフからも嫌われ、孤独な撮影現場でした」と語っている。
撮影中のエピソードをは『嫌われ松子の一年』中谷美紀(著)が公開後出版された。またDVDには、映画を見ながら撮影エピソードをスタッフと共に語る、コメンタリー音声トラックが用意されている。
ロケは栃木県内・長野県内などで行い、物語の舞台である大川市・福岡市・別府などの九州内では実施していない。
[編集] 受賞・ノミネート
- 第30回日本アカデミー賞
- 最優秀主演女優賞(中谷美紀)
- 最優秀音楽賞(ガブリエル・ロベルト、渋谷毅)
- 最優秀編集賞(小池義幸)
- 優秀監督賞(中島哲也)
- 優秀脚本賞(中島哲也)
- 優秀撮影賞(阿藤正一)
- 優秀照明賞(木村太朗)
- 優秀美術賞(桑島十和子)
- 優秀録音賞(志満順一、太斉唯夫)
- 第1回アジア映画祭(Asian Film Awards)
- 最優秀女優賞(中谷美紀)
- 美術賞(桑島十和子)
- 視覚効果賞(柳川瀬雅英)
- 第61回毎日映画コンクール
- 最優秀主演女優賞(中谷美紀)
- 第80回キネマ旬報ベスト・テン
- 主演女優賞(中谷美紀) [1]
- 第31回報知映画賞
- 主演女優賞(中谷美紀) [2]
[編集] 音楽
「嫌われ松子の一生 サウンドトラック」は、歌ものを収録した『嫌われ松子の歌たち』と、インスト中心の『嫌われ松子の曲たち』と、2枚のサウンドトラックで販売されている。
[編集] サウンドトラック『嫌われ松子の歌たち』
- トゥリル トゥリル リカー (木村カエラ)
- faker (ch feat. B-BANDJ)
- LOVE IS BUBBLE (BONNIE PINK)
- 松子ソープ嬢時代に流れる。この曲にのせ、松子がNo.1のソープ嬢から人気をレイコに取られるところまでがわずか数分の間に描かれる。映画の主題歌という位置づけになっており、シングルとしても発売された。
- Dream Train (及川リン)
- What Is A Life (AI & 及川リン)
- 松子服役中に流れる。この間の原作のエピソードはまったく描かれない。
- Endless (Joe Himeji feat. J.)
- Candy Tree (及川リン)
- Happy Wednesday (中谷美紀)
- 岡野健夫との不倫中に流れる。
- まげてのばして (湯浅亜美)
- 古い日記 (和田アキ子)
- ドラマ版の第3章でも、パーラーのBGMとして使用されている。
- USO (阿井莉沙)
- 松子が八女川との生活費を得るため、大型百貨店(磐井屋)の屋上で紀夫に会うシーンにて。そこでのライブショーという設定で流れる。
- あなたの心に (中山千夏)
- Feeling Good (Michael Buble)
- 教え子・龍洋一との再会シーンにて。
- Walking On Springtime (Barbara Borra)
- Candy Tree (blossom ver. / 及川リン)
- Here, Always (Tommy Snyder & YOSHIKA)
- She’s What I Want To Be (ch)
- まげてのばして (中谷美紀)
- ラスト、松子が天に召される場面にて。
- Matsuko Medley (Matsuko Singers)
- エンドロールにて。DVDソフトでは『ハッピーエンドロール』と称している。
[編集] サウンドトラック『嫌われ松子の曲たち』
- Rising From The Sea
- Walking On Past Times
- But Not For Me
- Lonely Soul
- The School Trip
- 星の界
- 松子が合唱部で指揮をとっている場面で生徒が歌う曲。ドラマ版では第6章冒頭で松子がこの曲をピアノ演奏する。
- まげてのばして〜ピアノ
- The School Trip〜Reprise
- First Date
- Sho's Theme
- Spring On Fingertrips
- 星の界〜Reprise
- No Meaning
- Cruel Merry Merry
- いつくしみ深き
- Sin And Redemption
- Springtime In Space
- Sho's Colors
- Yuki
- Please Wait!
- まげてのばして〜おもいで
[編集] 日本以外での発売
日本以外の地域でもそれぞれの言語版メディアが発売されている。
[編集] 書籍一覧
- 嫌われ松子の一年-2006年ぴあ
- 『嫌われ松子の一生』オフィシャル・ブック-2006年キネマ旬報社
[編集] 関連項目
- 嫌われ松子の一生 (テレビドラマ) - 原作を大きくアレンジした映画に対し、ドラマでは原作に忠実に作られている。
- 光GENJI - 晩年の松子がファンになったグループ。
[編集] 註
- ^ ほかに『LOFT ロフト』『7月24日通りのクリスマス』と合わせて受賞
- ^ ほかに『LOFT ロフト』と合わせて受賞

