イキガミ

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イキガミ
ジャンル 青年漫画
漫画
作者 間瀬元朗
出版社 小学館
掲載誌 週刊ヤングサンデー
(2005年9号 -2008年35号 )
ビッグコミックスピリッツ
(2008年41号 - 2012年10号)
発表期間 2005年 - 2012年
巻数 9巻(2011年7月現在)
テンプレート使用方法 ノート

イキガミ』は、間瀬元朗による日本漫画作品、及びこれを原作とした映画。漫画は『週刊ヤングサンデー』(小学館発行)で2004年に読み切りとして登場。その後読者からの大きな反響を受け、2005年9号より不定期で連載。その後2008年に同誌の休刊により『ビッグコミックスピリッツ』へ移籍、同年41号から再開し[1]2012年10号まで不定期連載された。


注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。


目次

[編集] ストーリー

国家繁栄維持法」。この法律は国民に「生命の価値」を再認識させることでを豊かにすることを目的とし、その手段として若者たちを対象にしたある通知を出している。その通知とは「逝紙(いきがみ)」と呼ばれる死亡予告証である。およそ1000分の1の確率で選ばれた者は、紙を貰ってから24時間後には死んでしまう。

[編集] 登場人物

藤本 賢吾(ふじもと けんご)
25歳。武蔵川区役所戸籍課勤務の男性公務員。彼は「逝紙配達人」と呼ばれ、逝紙を配る仕事をしている。本人はこの仕事に誇りを持つが、この時世に対してしばしば疑問を抱くこともある。
一応本作の主人公に当たるキャラクターだが、作品の性質上、狂言回しとしての要素の方が強い。
石井 誠一郎(いしい せいいちろう)
武蔵川区役所戸籍課課長。藤本の上司で、逝紙の配達を指示する役割を担う。自らも「逝紙配達人」を務めていた経歴を持つ。
かつては、後述の「全共同」に参加し「安負闘争」を展開していたという設定から、現実の世界でいう団塊の世代に当たる。
久保 七湖(くぼ ななこ)
国繁サービスセンターの女性臨床心理士セラピスト)。Episode 5からは、武蔵川区役所内に新規開設されたカウンセリングルーム勤務。
藤本から好意を寄せられる存在だが、退廃思想者と思しき不穏な言動を見せる。そのため、藤本にとっては、憧れの存在であると同時に、警戒の対象でもある。
実際には後述の新生革命ユニオンの中枢メンバーの一人であった。
鹿賀 咲月(かが さつき)
久保七湖の一件以降、武蔵川区役所内に設けられた思想監査室の女性主任。特に藤本を監視および尾行をさせているフシがあり、藤本からは恐れられている。

[編集] 用語

国家繁栄維持法(通称「国繁」)
この法律は平和な社会に暮らす国民に対し、「」への恐怖感を植え付けることによって「生命の価値」を再認識させる事を目的としている。
国民は、この法律によって誰にカプセルが注入されたかを知ることができない。
国民はその時期(死亡予定の18 - 24歳の)が来るまで「自分は死ぬのでは」という危機感を常に持ちながら成長することになる。
その「危機感」こそが「生命の価値」に対する国民の意識を高め、社会の生産性を向上させる。
「一部」からは「国民に命の尊さを分からせる為にロシアンルーレットを行う」ようなものとして快く思われていないが、その考えを言動に表すと退廃思想者として粛清されることになり、国繁関連に限っては言論の自由思想・良心の自由に制限がかかっている(下記参照)。
国家繁栄予防接種
国家繁栄維持法に基づきこの国の全ての国民に義務づけられる予防接種小学校入学時に実施される。予防接種に使用される全ての注射器(国繁接種用のP5型と呼ばれるもの、全国で一律に使用される)の0.1%に「ナノカプセル」が混入している。なお、誰にナノカプセルが注入されたかは関係者以外わからないシステムになっており、もしも判明してしまった場合は秘密を漏らした関係者は厳罰を受けることとなる。
ナノカプセル
0.1%の注射器に混入している特殊なナノカプセルでカプセルは接種後、体内を漂い最終的に心臓の肺動脈内でとどまる。
そして生命力がピークに達する18 - 24歳までの予め設定された日時・時刻に破裂し、カプセルの保持者は死亡する。
このカプセルは十数年間も体内を漂っているが、死亡予定時刻を1時間単位で設定可能である。
このカプセルによる死亡は「国繁死」と呼ばれる。
厚生保健省
イキガミを発行している中央省庁。通称「厚保省」。
国繁警察
国家繁栄維持法を滞りなく施行するために、反国繁法主義を唱える反乱分子を炙り出し粛清する権限を持つ厚生保健省管轄下の秘密警察。劇中では戦時中の「国務高等警察(略称:国高警察)」が前身と語られている。
制服を着た職員も存在するが、私服の捜査官が日常社会のいたる所に紛れ込み、国民を監視している。摘発された退廃思想者に対しては「再教育」プログラムを施し、場合によってはナノカプセルの注入を行う。
国民は退廃思想者を見つけ次第、この国繁警察に通報することが推奨されている。反乱分子の鎮圧に独自の機動隊を運用するほどの大権を持つ。
中には、自ら退廃思想者になり済ましながら接触し、誘導尋問を仕掛け、退廃思想者に仕立て上げ検挙する捜査官や退廃思想者グループに潜り込む潜入捜査官も存在するとされ、一般の国民にとって彼らを特定することは困難である。
逝紙(イキガミ)
正式名称「死亡予告証」。
予告証には、左上に本人の写真、右の上から順に「氏名」「生年月日」「本籍」「住所」、中段下に「死亡予定時刻」と「あなたの御冥福を心からお祈りします。」の文字、一番下に「発行日付」と「○○○知事 ○○○○」及び「印影」と「バーコード」が記載してある。
設定は戦時中の日本の赤紙がモデルとなっている。当時の近代国家では徴兵制は珍しくなく、日本でも有事に召集されることを国民の義務として受け止められていたが、太平洋戦争が始まり、特に敗戦色の濃くなる戦争末期になると、赤紙は召集令状というよりはほとんど死亡予告証に近いイメージが持たれ、これがそのまま逝紙の基本イメージとなったとされる[2]。ちなみに、赤紙の配達は当時の戸籍課に当たる兵事課が担当していた
対象者の死亡予定24時間前の前後に国繁法についての記載がされている書類とセットで届けられる(配達員が訪問時に本人が不在だった場合、代わりに「不在票」が置かれる。不在票を確認した死亡予定者はサービスセンターを通じて、予告証の配達を深夜・休日も含めて年中要求できる)。
「死亡予告証」は予定時刻の24時間内に限り、公共施設及び公共交通機関、国繁加盟店等を自由に使用できるチケットにもなる。また、後に遺族が「国家繁栄遺族年金」を受け取る際の証明書にもなる。
また、「死亡予告証」の複製偽造並びに不正使用も、重罪である。
国繁遺族年金
国繁死した者の遺族に受給される。しかし、自暴自棄になった国繁死対象者が犯罪を犯すと、その受給資格を奪われ、更に遺族が賠償責任を問われる(ただし刑事責任は問われない)。
なお、生前に犯罪を犯した国繁死亡者の遺族は「国賊」と見なされ、迫害や監視の対象となる。
退廃思想
主に「国家繁栄維持法」に反対する思想そのもの。同調意識の強いこの社会において、大抵の場合は家族ぐるみで凄まじい迫害を受ける。退廃思想者にはナノカプセルが注入されることになっている。
国繁死した若者は、国家繁栄の礎であり、「お国のために命を捧げた英雄」として報道され、遺族に対して手厚い補償が受けられる。そのため、国繁死亡者に対して誹謗中傷行為を働く者は「国賊」と看做され逮捕され、 国繁死の対象者であっても例外ではない。
また、その身内にも同様に、迫害の目が向けられ、国繁警察からも監視の対象とされる。
安全負担条約
この作品の舞台となっている時代の56年前(作品の舞台が連載された年と同じなら1951年)に戦勝国との間に交わされた軍事協定。
その条約の中に国家繁栄維持法も盛り込まれて条約締結の翌年から施行された。
8年後に条約の改正があったときに「安負闘争」と呼ばれる大規模な運動があったが、条約は強行採決された。
その8年後に、「全共同」という学生組織による大規模な反対運動があったが、その最中に最初の国繁死亡者が出たと語られている。
ちなみに、この「全共同」には過去に石井課長も参加していた。
新生革命ユニオン
反国繁法主義を掲げる地下活動組織。自らの行動をレジスタンス革命と称する。
インターネットの裏サイトや若者同士のコミュニティを通し構成員を獲得している。会合では、構成員同士の親睦を深める他、自己啓発活動を行っている模様。
東亜人民連邦 
物語の舞台となっている「この国」は、元来、東亜人民連邦(通称:連邦)の九番目の支分国であり、戦後、同盟国の統治下に置かれた後に独立を果たす。
連邦とは一時期、友好ムードを保っていたようだが、政権交代以降、しばしば国際法を無視する危険な国家となる。
「この国」に対しても、領土問題を主張するなど、外交関係は悪化の一途をたどっている。しかしながら、国家の規模に見合った軍隊を持たない「この国」には、有事の際、安負条約に頼らざるをえない。
同盟国
軍事予算では、連邦軍の14倍、GNP比でも10倍上回っており、アメリカを上回る世界最強の軍事力を持っている。軍隊の無い「この国」は同盟国と安負条約を交わし、膨大な土地と資金を提供して、同盟軍に駐留してもらい、国防のすべてを委ねている。
友好国
国繁は導入されていないが「この国」と言語が同じであり文化的にも歴史的にも共通点が多く存在している。劇中では「日本」と呼ばれている。

以上で物語・作品・登場人物に関する核心部分の記述は終わりです。


[編集] 単行本

全てヤングサンデーコミックスで発売。

[編集] 映画

イキガミ
監督 瀧本智行
脚本 八津弘幸
佐々木章光
瀧本智行
製作 佐々木章光
久保田修
黒沢淳
製作総指揮 濱名一哉
出演者 松田翔太
塚本高史
成海璃子
山田孝之
音楽 稲本響
主題歌 PhilHarmoUniQue
『みちしるべ』
編集 高橋信之
配給 東宝
公開 2008年9月27日
上映時間 133分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
allcinema
キネマ旬報
AllRovi
IMDb
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2008年9月27日に公開された。製作候補は53社が名乗りを上げた結果、TBSの製作が決まった。脚本は原作の間瀬元朗が参加し、1年以上かけて執筆。撮影は2008年3月4日から2ヶ月間行われた。興行収入は8.0億円。

[編集] キャスト

主な人物をクレジット順に表記。

藤本と同期の新人公務員。かつて国繁制度で恋人を亡くし、新人研修中、「国繁制度」は狂っていると猛烈に批判した。しかし「退廃思想家」としてすかさず拘束され、ナノカプセルを打ち込まれた。
イキガミが自身に届いた若者。同級生の下山から、「遊び」と称した陰湿ないじめを受け続けており、体中に傷痕や、火傷の痕などが見られる。イキガミ到着と同時に、下山への復讐を決行する。
鴨井の同級生。遊び半分で鴨井に暴行や、煙草の火を全身に押し付けるなどのいじめを繰り返していた。
フォークデュオ「コマツナ」メンバー。同じくメンバーの翼と共にプロでデビューを目指すが、デビューしたのは翼のみで、失意の中でバイトに明け暮れる。インディーズ時代と全く方向性の違う曲を弾き続ける翼に疑問を投げかける。
「コマツナ」メンバー。プロデビューを果たすも、達彦とコンビを組まされ、自分の演奏したい楽曲は全て封印され、達彦の引き立て役扱いにされる。「秀和と一緒に歌うのも、自分の弾きたい曲を演奏するのも、先ずは売れて有名になってからから」と割り切っていたが、そんな時にイキガミが届く。「コマツナ」としての主な持ち歌は「みちしるべ」。
翼の母。母子家庭で、翼を女で1つ育ててきた。
翼とのコンビでデビューした歌手。人気はあるが、非常に傲慢かつ軽薄な性格で、翼を自分の引き立て役としか思っていない。翼とのユニットでのデビュー曲は「meaning」。
イキガミが届いた後の翼が訪れた、高級レストランのウエイター。高級店に似つかわしくない風貌の翼の来店に当初は困惑するが、イキガミを見せられ、翼のために店1番の最高級料理を提供する。
翼と達彦が出演した音楽番組の司会者。軽妙な語り口で番組を盛り上げる。
国会議員。「国繁制度の強化・普及徹底と退廃思想の弾圧・撲滅」を強く訴え、再選を目指している。当初は国繁制度に反対しており、息子の直樹にナノカプセルを打ち込まれないように、直樹と共に失踪を試みた事がある。
和子の息子。長らく引きこもり生活を送っている。自らにイキガミが届くと、和子の殺害を試みるようになる。
和子の夫、直樹の父。和子の秘書兼主夫として、政治活動に明け暮れる和子を公私両面で支援する。息子の直樹を国繁制度で亡くしてからは、国繁制度廃止を目指して政治活動を行なうと決意する。
幼少時の事故が原因で全盲となった少女。治療には角膜移植が必要であり、ドナーを待っている。兄のさとしを非常に強く慕っている。
さくらの兄。振り込め詐欺などの違法行為で生計を立てているが、妹のさくらには心配をかけまいと、さくらの前ではエリートビジネスマンを装っている。イキガミが届くと、さくらへの角膜提供を決意する。

[編集] スタッフ

[編集] 主題歌

[編集] 騒動

2005年の連載開始時に作家星新一の初期作品「生活維持省」との内容の類似について指摘があったと日本文藝家協会側から小学館側に連絡があった。

その後、星新一公式サイトでは星マリナの見解[3]および小学館側の見解[2]が掲載された(訴訟問題には発展していない)。また同公式サイトには「生活維持省」の全文が期間限定で公開されていた(現在は掲載を終了)。小学館側は「作者・担当編集者はごく最近まで「生活維持省」に触れたことはない」とし、指摘された類似点についても「イキガミ」の設定は赤紙をモデルにした歴史的事実からの着想であり、「生活維持省」とはまったく違う創作物であるとしている。さらに「2作品に多くの相違点を感じます」と反論した。

[編集] 関連文献

  • 「赤紙 男たちはこうして戦場へ送られた」(小沢眞人・NHK取材班著 創元社・1997年) - 「イキガミ」の着想源となっている赤紙の配達員の存在とそのエピソードが記述されている。

[編集] 関連項目

[編集] 脚注

  1. ^ 小学館 ヤングサンデー連載作品の今後について
  2. ^ a b 星マリナさんの『イキガミ』に対するお尋ねについて
  3. ^ 漫画「イキガミ」について

[編集] 外部リンク

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