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日本は6,852の島で構成される島国である[1]。日本の領土は全て島から成っている[2]。写真は日本列島で、中央の最大の島が本州 [3] (世界の島の中では面積第7位 [4] )。
極東・沿海部の島々】 衛星写真 左から(北から)順に主なもの
コマンドルスキー諸島千島列島樺太島日本列島南西諸島台湾フィリピン諸島ボルネオ島スラウェシ島[5] Photo by NASA's Blue Marble project (*) 左端はカムチャツカ半島

(しま)は、オーストラリア大陸の面積より小さく、四方を水域に囲まれた陸地をいう。オーストラリア大陸以上の面積を持つ陸地は大陸と呼ばれる。

概説

青色の部分が (参考:世界の島の面積順位 [3]
世界の島の中で面積第1位のグリーンランドと、オーストラリア大陸の比較

地理学上、オーストラリア大陸以上の面積を持つ陸地が大陸に分類され、それ未満の面積のものは島に分類される。

世界最大の島はグリーンランドである。また、日本最大の島である本州[3]、世界の島の中では、インドネシアスマトラ島に次ぐ第7位の面積を持つ [4]

複数の島がまとまって存在するものを諸島、列島群島などと呼ぶ場合もある。列島は島が列状に並んだもの、群島は塊状に集まったものを指し、諸島はより適用範囲が広いが、はっきりした定義はない。

定義

海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)第121条では、

  • 自然に形成された陸地であること
  • 水に囲まれていること
  • 満潮時に水没しないこと

の3つの条件を満たすものを「島」と定義している。

この条件から外れると領海を形成するために有効な領土ではなくなる。日本が沖ノ鳥島消波ブロックなどを設置し、波浪による侵食によって満潮時に水没しないようにしているのはこのためである。

日本においては、海上保安庁が「満潮時に海岸線の延長距離が100m以上の陸地」を島と定義している一方、国土地理院は「航空写真に写る陸地」を島と定義している。また、国土地理院の定義では島未満の地形として、暗礁洗岩干出岩水上岩からなる岩礁がある。

地理学上、日本領土はすべて島から成っている[2]。日本は6,852の島で構成される島国である[1]国土交通省は、日本列島を構成する6,852の島に対し、北海道本州四国九州沖縄本島の5島を「本土」、これら5島と橋などで繋がっていない6,847島を「離島」とし、2つの区分けを設けている[1]

島弧

プレート境界(沈み込み帯)に位置する列島を島弧、あるいは弧状列島とも言う。島弧はマントル対流の沈み込みによって地殻が盛り上がって生成する。このような島は弓状に分布することが多く、島弧と呼ぶ。島弧は太平洋プレートの周辺(環太平洋火山帯)に目立つ。以下に北極側から反時計回りに記す。

内陸の島

の中に存在する、周囲が水で囲まれた陸地も島と呼ばれる。

島の成因

「小大陸」と呼ばれるグリーンランド

海洋に位置する島を成因によって分類すると、大きく3つに分かれる。プレートテクトニクスにより大陸から分離した「小大陸」と見なせる島、陸島、洋島である。

大陸から分離した島

大陸からの分裂で誕生した島の代表例はグリーンランドマダガスカル島である。

大陸プリュームによるマントル対流によって、数cm/年程度の速度で移動している。約6億年前の古生代石炭紀に、先行する超大陸が南北に分離した。それぞれ、ゴンドワナ大陸ローラシア大陸と呼ばれる。ゴンドワナ大陸は現在のアフリカ大陸南アメリカ大陸インド亜大陸南極大陸オーストラリア大陸アラビア半島、マダガスカル島を含んでいた。1億6000万年前からゴンドワナ大陸自体も数次にわたって分裂を続けた。7000万年 - 9000万年前の中生代白亜紀後期の最後の分裂の際、インド亜大陸と分離したのがマダガスカル島である。そのため動植物の分布がアフリカ大陸とは異なっている。

ローラシア大陸は、現在のユーラシア大陸北アメリカ大陸、グリーンランドを含んでいた。約5000万年前(新生代第三紀)に、グリーンランドは北アメリカ大陸と分離した。

陸島

「陸島」の代表例の一つ、グレートブリテン島

大陸棚に存在する島を陸島という。海退時や隆起によって大陸と陸続きになりがちで、海進、沈下などの原因により大陸と切り離されることで孤立した陸地である島となる。地質構造や陸上の地形に大陸との類似が見られる。代表例はカリマンタン島グレートブリテン島台湾島である。カナダ北部の島々も陸島である。海洋プレート大陸プレートの下に沈み込んでいる場所では、大陸プレートの周辺部に、海洋プレートの沈み込みによって生じる海溝があり、この海溝に沿うように、大陸側に島が並んで形成される例が多い。その配置が弧状になることが多いため、弧状列島、あるいは島弧と言われる。

陸島のうち大陸や他の大きな島に近いものは砂州によって大陸などと陸続きになることがある。これを陸繋島と呼ぶ。

後述するサンゴ礁のみからなる陸島もある。例えばオーストラリア大陸東岸北部に約2000kmにわたって伸びるグレート・バリア・リーフ大陸棚に位置する700個前後の島で発達した堡礁である。

洋島

火山噴火によって形成された「洋島」、ハワイ島

大陸棚ではなく、海洋底から直接海面に達している島を洋島という。基本的には火山活動によるが、単純な火山性の島と、火山島などの沈下によって形成されたサンゴ礁に分かれる。

火山島

洋島のうち、火山島はホットスポット上に多く位置する。ホットスポットとは下部マントル付近から上部マントルに向かって定常的に熱い物質が上昇している場所のことである。例えばハワイ諸島の場合、約7000万年にわたって、同一のホットスポットが多数の島を生成してきた。古い島は侵食を受け、海面下に海山として残っている。アイスランド島もホットスポット上にある。

この他にカリブ海東端の小アンティル諸島に属する島、例えばマルチニーク島などは、カリブプレートと北アメリカプレートの沈み込み帯上に位置する火山島である。

サンゴ礁

サンゴ礁により形成された「洋島」、マーシャル諸島・オメレク島Omelek Island
「サンゴ環礁」、アタフ島南太平洋ニュージーランドトケラウ諸島

サンゴ礁は、刺胞動物花虫綱などに属する造礁サンゴの骨格などが積み上がって形成される地形である。サンゴ礁の主成分は石灰岩炭酸カルシウム)からできている。石灰岩はサンゴ類の骨格(骨片)のほか、共生藻の分泌物の沈着によって生成する。石サンゴは細胞内に共生する褐虫藻光合成に依存している。このため、太陽光が十分透過する水深40m - 60mよりも浅い海中でなければサンゴ礁は成長しない。水温も最低でも18度前後でなければならない。

サンゴ礁は島の周辺の海岸を取り囲む裾礁(きょしょう)として発生する。代表例は小笠原諸島奄美群島沖縄諸島先島諸島である。裾礁が形成された後に、中央の島が沈降すると、島の海岸線から数km離れた位置にドーナツ型のサンゴ礁からなる陸地が形成される。これを堡礁(ほしょう、バリアリーフ)と呼ぶ。沈降がさらに進むと中央の島は消え、ラグーンと呼ばれる礁湖を取り囲む幅数100m - 1km程度のドーナツ型の陸地だけが残る。これを環礁(かんしょう、アトール)と呼ぶ。サンゴ礁自体が成長することから、波による侵食に強く、孤島であっても波浪による侵食に耐える。

サンゴ礁に基づく島にはさまざまなバリエーションがある。サイパン島グアム島を含むマリアナ諸島や小笠原諸島はプレート境界に位置する火山島とサンゴ礁が複合した裾礁の段階にある。南太平洋に位置するメラネシアポリネシアでは、堡礁や環礁の段階に達している。東部ミクロネシアに位置するマーシャル諸島共和国の国土は30個弱の環礁だけから成る。

宮古島石垣島などの先島諸島は裾礁形成後に隆起したため、サンゴ礁段丘隆起サンゴ礁と呼ばれる特異な地形がよく発達している。

島の生物

島には、特殊な生物相が見られることがよくある。固有種が多く、また、飛べない鳥の出現なども広く見られることである。島の生物の生態についての研究は、島嶼生物学が扱う。

洋島では、漂着する生物が定着する事によって生物相ができることから、両生類哺乳類を欠くといったような、大陸に比べて偏った生物相になりやすい。ガラパゴス諸島ハワイ諸島小笠原諸島などが有名である。

陸島でも、大陸では絶滅したが生き残っているなど、特殊な生物が見られる例が非常に多い。

「島」という言葉・文字

「島」という漢字は、渡り鳥が羽を休めるために利用する海にある山を表すために作られた文字だという。

地形以外で「島」と呼ばれるもの

浮島

水底に接していない島を浮島と呼び、天然でも湖沼の一部に浮島が見られる。ミャンマーインレー湖の浮島は表土を持ち、植物の栽培が可能である。ペルーボリビア間に広がるチチカカ湖にも浮島が存在する。日本国内では、例えば秋田県鹿角市作沢沼にはミズゴケ類からできた直径数mの浮島が見られる。

独立したものの象徴としての「島」

  • 人里離れた場所としての島
地理学上の用語以外に、島にはさまざまな意味がある。人里から隔絶した土地という意味でも古くから島という言葉が用いられてきた。例えば、源頼朝が流刑となった蛭ヶ小島は、伊豆山中(静岡県伊豆の国市)に位置する。
「区画」という意味から、勢力の及ぶ範囲。「シマ」と片仮名表記されることが多い。
  • 臓器の「島」
膵臓中でインシュリンなどのホルモンを分泌するランゲルハンス島は、顕微鏡下の観察で他の膵細胞から独立して見えたことに由来する。

形からの連想で「島」と名付けられたもの

  • 島式プラットホーム
線路に挟まれたプラットホームのことを「島式ホーム」と呼ぶ。
遊技台が設置されている取り付け台を、通路に挟まれている様から「島」と呼ぶ。
  • デスクや陳列棚の「島」
オフィスや店舗の陳列棚などが数個まとめて配置され、その四方が通路で囲まれているものを島と呼ぶことがある。スーパーマーケットの陳列棚の場合、それぞれの島の両端には店側の最も売りたい商品が並べられていることが多く、大抵は買い得な価格が設定されている。

行政機関としての「島」

  • 律令制時代の日本
日本では、律令制時代の8世紀から9世紀にかけて、(令制国)と同格の行政機関として「島(嶋)」が置かれていた。長を「島司」、役所を「島府」と言い、国分寺に相当する「島分寺」が建立された。島司は国司に相当する官職であり、中央から派遣された官吏である。701年制定の大宝律令では、壹伎島対馬島多褹島の3島が置かれていた(いずれも西海道)。このうち多褹島は824年に廃止されて大隅国に併合された。また、876年には肥前国から五島列島平戸島が分割され値嘉島(ちかのしま)が新設されたが、10世紀初頭までには廃止された。壱岐・対馬は「国」に改められたが、この2国を他の令制国(中国風に「州」とも呼んだ)と区別し「島」と呼ぶ慣習は残った。西海道が九州二島と称されたり、日本全土が六十六州二島と称されたりしたのは、このためである。
  • 近代の日本
近代の日本では、伊豆諸島小笠原諸島隠岐諸島奄美諸島などの島嶼部において町村制が施行されず、島嶼町村制と呼ばれる特殊な行政制度が採られた。これらの地域では、「郡役所」に相当する「島庁」が置かれた。島庁の長は「島司」である。島庁は、1920年代には府県の支庁に改められた。島嶼町村制参照。
  • 日本統治時代の朝鮮
日本統治時代の朝鮮では、郡と同格の行政機関「島」が置かれていた。長を「島司」、役所を「島庁」と言う。行政機関としての「島」は済州島鬱陵島の2つであった。日本統治時代の朝鮮の行政区画参照。

沖縄における「シマ」

沖縄では、自分たちの生活の場や故郷のことを指して「シマ」という例が多い。たとえば沖縄人を意味する「うちなんちゅ」は往々に「シマンチュ」と言い換えられる。また泡盛のことを「しまざけ」、沖縄民謡(奄美も同様)を島唄など同様な意味で使う例が多い。それらはさらに「シマ」と略される例もある。

そのほか「島」と呼ばれるもの

庭園を指す「島」
平安時代末期から鎌倉時代初期に記されたと考えられている日本最古の造園書である『作庭紀』(さくていき)は、庭の主たる構成要素として築山、池、島、南庭白砂、鑓水を挙げている。これが転じて、池や築山のある日本庭園のことを島と呼ぶこともある。
水路に囲まれた地域を指す「島」
周囲が河川・水路・海などの水面で囲まれている場合、俗に「島」と呼ばれることがある。房総半島にある千葉県は、都県境がほぼすべて河川になっているため「千葉島」と揶揄されることもある。また、宮城県七ヶ浜半島にある七ヶ浜町も、半島の基部を貞山運河が横断し、周囲を全て水面で囲まれるため島と揶揄されることがある。一方、新潟市中央区には、河川・水路・海によって周囲が囲まれる「新潟島」と呼ばれる地区があり、市民のみならず行政もこの名称を用いている。

脚注

  1. ^ a b c 国土交通省による区分け ⇒ 6,852島(本土 5島 ・ 離島 6,847島)。国土交通省サイト 離島振興課 離島とは(島の基礎知識)[1] 2009年11月27日閲覧。
  2. ^ a b 【参考】 世界の島国(領土がのみで構成されている国)一覧
  3. ^ a b 「島面積」より (国土地理院
  4. ^ a b <参考> 世界の島の面積順位 ⇒ List of islands by area より抜粋
    第1位 グリーンランド

    第6位 スマトラ島インドネシア共和国
    第7位 本州
    第8位 ビクトリア島カナダ
    第9位 グレートブリテン島イギリスイングランドスコットランドウェールズ))

    第20位 アイルランド島アイルランド共和国およびイギリス北アイルランド))
    第21位 北海道

    第36位 スピッツベルゲン島ノルウェー
    第37位 九州

    第49位 バナナル島ブラジル
    第50位 四国
  5. ^ 参考:これらの中で「世界の島の面積順位」第30位までの島 ⇒ 第3位・ボルネオ島(インドネシアマレーシアブルネイ 3ヶ国の領土)、第7位・本州(日本最大の島)、第11位・スラウェシ島(インドネシアで面積第4位の島)、第15位・ルソン島フィリピン最大の島)、第19位・ミンダナオ島(フィリピンで面積第2位の島)、第21位・北海道(日本で面積第2位の島)、第23位・樺太島ロシア最大の島)。 [2] より

関連項目

外部リンク