北斗 (列車)

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北斗・スーパー北斗
キハ281系「スーパー北斗」 (2008年3月3日 新札幌駅)
キハ281系「スーパー北斗
(2008年3月3日 新札幌駅
運行者 北海道旅客鉄道(JR北海道)
列車種別 特急列車
運行区間 函館駅 - 札幌駅
経由線区 函館本線室蘭本線千歳線
使用車両 183系気動車函館運輸所
281系気動車(函館運輸所)
283系気動車札幌運転所
運行開始 1965年11月1日
備考 2012年3月17日現在
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運行経路図

北斗(ほくと)とは、北海道旅客鉄道(JR北海道)が、函館駅 - 札幌駅間を函館本線室蘭本線千歳線経由で運行する特急列車である。

本項では、同一経路で運転されている特急「スーパー北斗」(スーパーほくと)とともに、道央道南を結んでいる優等列車の沿革についても記述する。

概要

特急「北斗」は、1965年11月に函館駅 - 旭川駅間を函館本線・室蘭本線・千歳線経由で運転を開始。急行「すずらん」と統合や「北海」などの代替により、1986年11月から最大8往復が運転されていた。

1988年3月の津軽海峡線開業により、函館駅 - 札幌駅間に運転区間を短縮し、道央と道南を結ぶ役割に専念するようになった。1994年3月に新型車両を投入して、この列車名を「スーパー北斗」として運転されている。

列車名の由来

「北斗」の名称は北斗七星に由来する。北斗七星が北極星を指し示す星座とされることから、「北都 = 札幌行きの列車」とのイメージが重なり、青函連絡船からの旅客を受けて北へ向かう特急列車の愛称として採用されたといわれる。ただし、当初の運行区間は函館駅 - 札幌駅 - 旭川駅間であり、純粋な函館駅 - 札幌駅間の特急列車には、当初「エルム」と別名称を与えた。

なお、「北斗」の名称は元々1950年から1965年まで上野駅 - 青森駅間を常磐線東北本線経由で運行する夜行急行列車に使用されていた。これは当時の列車愛称命名方法の基準であった「夜行列車名は天体名にちなむ」が元になっている。

北海道内の特急列車では、「スーパーおおぞら」、「おおとり」に次いで3番目に古い列車名となっている。なお、「おおとり」は1988年3月の津軽海峡線開業に伴い、札幌駅を境に「北斗」と「オホーツク」に系統分離され、廃止された。

運行概況

2012年3月17日現在、「スーパー北斗」は1日7往復、「北斗」は4往復運転されている。列車番号や号数は両列車を合わせて通しで振られており、列車番号は5000D+号数となっている。函館駅 - 札幌駅間の所要時間は「スーパー北斗」が約3時間 - 3時間20分、「北斗」が約3時間30分 - 45分である。

運行区間のほとんどが線形改良区間であり、大半の区間で最高速度を出すことができるため、「スーパー北斗」の表定速度は最高で106.2 km/hに達する。これは日本の在来線特急の中では最速である。

停車駅

函館駅 - (五稜郭駅) - (大沼公園駅) - (森駅) - (八雲駅) - (長万部駅) - (洞爺駅) - (伊達紋別駅) - 東室蘭駅 - (登別駅) - 苫小牧駅 - 南千歳駅 - 新札幌駅 - 札幌駅

  • ( )は一部列車のみ停車。
    • 五稜郭駅・八雲駅・長万部駅:15号のみ通過。
    • 洞爺駅・伊達紋別駅・登別駅:2・15号のみ通過。
    • 森駅:5・10・15号のみ通過。
    • 大沼公園駅:日中時間帯の列車のみ停車(15号を除く)。

使用車両・編成

2012年3月17日現在の編成図
北斗・スーパー北斗
← 函館
札幌 →
北斗
1 2 3 4 5
G
スーパー北斗
1 2 3 4 5 6 7
G
  • 全車禁煙
凡例
G=グリーン車座席指定席
指=普通車座席指定席
自=普通車自由席
座敷車連結時の指定券

「スーパー北斗」はキハ281系気動車またはキハ283系気動車が、「北斗」はキハ183系気動車が用いられている。使用車両は列車ごとに定まっており、次のように運行される。

  • スーパー北斗
    • キハ281系 - 1・3・6・9・10・12・13・15・18・22号
    • キハ283系 - 2・7・16・21号
  • 北斗
    • 最高速度130km/h対応編成(通称「NN183系」) - 5・8・11・14・19・20号
    • 最高速度120km/h対応編成(通称「N183系」) - 4・17号

キハ281系・キハ283系は共に7両編成が基本で、多客期には9両に増結される。キハ281系で運行する列車は、増結時にキハ283系を組み込む場合がる。

キハ183系はハイデッカーグリーン車組み込みの5両編成が基本で、多客期・団体利用時には最大10両に増結される。時期によりお座敷車両を組み込むことがあり、その場合は指定券発売の際の列車名が「北斗座敷(2)」「北斗座敷(4)」となる。

臨時列車

基本的には定期列車に増結しているため、臨時列車団体列車も含めてほとんど運転されていない。

道南さくらエクスプレス

ゴールデンウィーク期間中に函館駅 - 札幌駅間を中心に運転される臨時特急で、2011年から運転を開始した。車両は130km/h運転可能なノースレインボーエクスプレスを使用する。なお、函館行きは大沼駅 - 森駅間で砂原支線を経由する。

2011年は札幌発のみ木古内駅まで延長運転された[1]。2012年は停車駅を若干変更するほか、一部運転日のみ札幌駅 - 旭川駅間で延長運転を行う予定[2]。函館駅 - 旭川駅間を直通する優等列車は、1981年の特急「北海」(小樽駅経由)以来となる。

停車駅は定期の特急列車とほぼ同等であるが、運転停車をして定期列車(「スーパー北斗」6・13号、「スーパーカムイ」4・39号)を待避するダイヤを組んでいる。

停車駅
函館駅 - 五稜郭駅 - (大沼公園駅) - (森駅) - 長万部駅 - 東室蘭駅 - 苫小牧駅 - 南千歳駅 - 新札幌駅 - 札幌駅 - 岩見沢駅 - 美唄駅 - 砂川駅 - 滝川駅 - 深川駅 - 旭川駅
  • ( )は札幌行きのみ停車。

道央対道南優等列車沿革

連合軍専用列車「Yankee Limited」の運行開始

  • 1946年昭和21年)
  • 1952年(昭和27年)3月31日:連合軍専用列車の扱いを特殊列車に変更。列車番号1201・1202列車となる。
  • 1954年(昭和29年)10月1日:特殊列車であった1201・1202列車を通常の急行列車に変更。函館駅以北については、函館駅 - 札幌駅を函館本線・千歳線・室蘭本線経由で結ぶ客車急行列車とし「洞爺」(とうや)の名称が与えられる。なお、青函連絡船を介して青森駅で「十和田」と接続するが、車両航送は洞爺丸事故により中止することとなった。
  • 1956年(昭和31年)11月19日:「洞爺」の名称を「すずらん」に変更する。
  • 1958年(昭和33年)10月1日:函館駅 - 札幌駅間を函館本線・千歳線・室蘭本線経由で結ぶ不定期急行列車として「石狩」(いしかり)が運行を開始する。

気動車優等列車群の登場

特急「北斗」の登場

  • 1965年(昭和40年)11月1日:函館駅 - 旭川駅間を函館本線・室蘭本線・千歳線経由で運行する特急列車として「北斗」(ほくと)が1往復運転開始。また、急行「すずらん」も1往復増発し、2往復体制とする。
  • 1967年(昭和42年)3月1日:特急「おおぞら」の函館駅 - 旭川駅間の系統を廃止し、函館駅 - 釧路駅間の単独列車となる。また、函館駅 - 旭川駅間を函館本線小樽駅経由で運行する特急「北海」(ほっかい)が運転開始。なお、この列車の詳細は「ニセコライナー」を参照されたい。
  • 1968年(昭和43年)10月1日:ヨンサントオのダイヤ改正により、次のように変更される。
    1. 急行「すずらん」の1往復を特急「北斗」に格上げし、函館駅 - 札幌駅間を運行。旭川駅発着列車と合わせて2往復となる。
    2. 「たるまえ」「アカシヤ」「石狩」を「すずらん」に統合。
  • 1969年(昭和44年)10月1日:ダイヤ改正により、次のように変更する。
    1. 特急「北斗」の札幌駅発着列車の名称を「エルム」に変更。
    2. 急行「すずらん」の1往復を特急に格上げし、函館駅 - 旭川駅間の特急「北斗」を増発(「北斗」自体は2往復のまま)。
      なお、「北斗」増発列車には奥羽本線特急「つばさ」をキハ181系特急用気動車に置き換えて、捻出したキハ82系気動車を使用する計画であったが、「つばさ」用キハ181系の落成が1970年2月にずれ込んでしまい本改正に間に合わず、増発した「北斗」には急行用気動車であるキハ56系気動車によって運行された。このため、特急料金の100円引きがなされた。この措置はキハ82系気動車が導入されたことで解消される。
  • 1970年(昭和45年)10月1日:特急「おおとり」の釧路駅発着編成を分離。「おおとり」は函館駅 - 網走駅間を運行する編成のみとなる。
  • 1971年(昭和46年)7月1日:特急「エルム」が「北斗」に吸収され廃止。「北斗」3往復となる。また「北斗」の1往復を函館駅 - 札幌駅間の運行に短縮。
  • 1972年(昭和47年)3月15日:函館駅 - 旭川駅間(函館本線・室蘭本線・千歳線経由)の特急列車を「おおぞら」に移行。「北斗」は函館駅 - 札幌駅間のみ2往復となる。
  • 1973年(昭和48年)10月1日:急行「すずらん」の1往復を特急「北斗」に格上げし、「北斗」が3往復に増発。
  • 1980年(昭和55年)10月1日このときのダイヤ改正により、次のように変更。
    1. 特急「おおぞら」の旭川駅発着系統を再度廃止。これ以降「おおぞら」は滝川駅以北への乗り入れはなくなる。
    2. 急行「すずらん」の定期列車の運転を終了。臨時列車のみとなる。
  • 1981年(昭和56年)10月1日:特急「おおぞら」の1往復を札幌駅で系統分割し、札幌駅以南を「北斗」としたことにより、「北斗」が4往復となる。
    キハ80系「北斗」
    (1986年8月)
  • 1983年(昭和58年)6月1日:「北斗」1往復にキハ183を投入。食堂車の連結なし。
  • 1985年(昭和60年)3月14日:臨時急行「すずらん」を特急「北斗」に統合し、「北斗」が5往復に増発。
    • ただし、この1往復は1986年10月31日まではキハ82系を使用し、列車番号が6000番台の季節列車の扱いであった。
    なお、夜行臨時列車の名称として「ミッドナイト」の運行開始まで「すずらん」の名称が使用される。
  • 1986年(昭和61年)11月1日:特急「北海」の廃止および「おおぞら」1往復の系統分割により、「北斗」が3往復増発され8往復となる。なお、このとき「北海」の代替の「北斗」1・16号は、青函連絡船深夜便との連絡の兼ね合いから他列車より停車駅を少なくして速達性を高め、全車座席指定席制とした。

道南直通特急としての「北斗」とその速達化

  • 1988年(昭和63年)3月13日津軽海峡線開業により、次のように変更。
    1. 青函連絡船との連絡の兼ね合いで運行されていた函館駅を早朝・深夜に発着する列車を寝台特急北斗星」に振り替える。
      「北斗星」の函館駅以北に関しては、B寝台の一部を普通車扱いとするいわゆる“ヒルネ”と称される用法であったが、函館駅を早朝に乗車する乗客が多く、それを寝台特急である「北斗星」ではさばくことが難しいことから、「北斗星」の直後に臨時「北斗」の続行運転を行ったり、「北斗星」に函館駅から座席車を増結した事もあった。
    2. 「おおとり」札幌駅を境に系統分割。札幌駅 - 網走駅間を「オホーツク」、函館駅 - 札幌駅間を「北斗」とする。これにより、函館駅始発列車で札幌駅より先へ行く定期列車は運転されなくなる。一部の列車にはキハ183系500番台を投入し速達性を高め、函館-札幌間を3時間29分で結ぶようになった。
  • 1994年平成6年)3月1日振子型気動車キハ281系による「スーパー北斗」5往復が運行開始。同時に「北斗」は2往復減となり6往復になる。このうち1往復は2時間59分で運転され、表定速度が在来線で日本一になる[3]。また、JRグループの旅客営業規則第69条・第158条の規定により長万部駅 - 札幌駅(苗穂駅白石駅)間の運賃特別急行料金は函館本線(ニセコ駅)経由で計算される経路特定区間の特例が適用されていたが、同日より当該区間の特例は廃止され、実際の運行経路で運賃・特急料金を計算するようになった[4]
  • 1998年(平成10年)
    • 4月11日:「スーパー北斗」の2往復にキハ283系を導入し、「北斗」1往復を「スーパー北斗」に置き換え。
    • 12月8日:「北斗」1往復を「スーパー北斗」に置き換え。
  • 2000年(平成12年)
    • 3月30日有珠山の火山活動に伴い、室蘭本線の一部が運転見合わせ区間となったため、「北斗」「スーパー北斗」が全列車運休。その後、函館駅 - 札幌駅間(函館本線小樽駅経由)6往復、東室蘭駅 - 札幌駅間7往復の臨時特急が運行される。
    • 3月31日:有珠山で噴火が始まる。八雲町付近を走行中だった札幌行き臨時特急を長万部駅で運転打ち切り(乗客は代行バス輸送)、虻田町町民の避難列車として使用。
    • 6月1日:一部の特急について室蘭本線経由の運行を再開。8日より平常ダイヤに復帰。
  • 2002年(平成14年):「北斗」の一部車両がコンサドーレ札幌のラッピング塗装となる。2003年に元のHET色に戻る。
  • 2004年(平成16年):NHK大河ドラマ新選組!』とのタイアップでキハ281系気動車の「スーパー北斗」の先頭車一部車両がラッピング塗装となる。番組終了とともに元に戻る。
  • 2009年(平成21年)9月30日:3号車に設置されていた車内電話が廃止される。
  • 2010年(平成22年)12月4日:五稜郭駅に「スーパー北斗15号」を除く全列車が停車するようになる[5]

脚注

  1. ^ 春の臨時列車のお知らせ (PDF) - 北海道旅客鉄道プレスリリース 2011年1月21日
  2. ^ 春の臨時列車のお知らせ (PDF) - 北海道旅客鉄道プレスリリース 2012年1月20日
  3. ^ のちに「はくたか」が最速となる時期があった。
  4. ^ 『JR時刻表』『JTB時刻表』1994年3月号
  5. ^ 平成22年12月ダイヤ改正について (PDF) - 北海道旅客鉄道プレスリリース 2010年9月24日

関連項目

外部リンク