〈物語〉シリーズ
〈物語〉シリーズ | |
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ジャンル | 青春怪異小説 |
小説 | |
著者 | 西尾維新 |
イラスト | VOFAN |
出版社 | 講談社 |
掲載誌 | メフィスト、パンドラ |
レーベル | 講談社BOX |
掲載号 | パンドラ:Vol.1 SIDE-A |
連載期間 | メフィスト:2005年9月号 - 2006年5月号 |
刊行期間 | 2006年11月 - |
巻数 | 既刊12巻(2011年12月現在) 化物語 - 傷物語 - 偽物語 猫物語 - 傾物語 - 花物語 囮物語 - 鬼物語 - 恋物語 |
テンプレート - ノート |
「〈物語〉シリーズ」(ものがたりシリーズ)は、『化物語』(バケモノガタリ)を始めとする西尾維新によるライトノベルシリーズ。「化物語シリーズ」とも[1]。イラストはVOFAN。講談社BOXより刊行。シリーズ第1作である『化物語』は、2006年11月に同レーベルの最初の刊行作の1つとして出版された。2009年のテレビアニメを皮切りにドラマCD、ゲーム、劇場用アニメなど他媒体へも進出している。
概要
21世紀初頭の日本の田舎町を舞台とした、阿良々木暦(あららぎこよみ)と彼に出会った少女たちの、「怪異」に関わる不思議な物語。
サブタイトルはメインキャラクターの名前+怪異の名前で構成されている(例えば第1話なら戦場ヶ原ひたぎの「ひたぎ」と、彼女が出会った怪異の「蟹」を合わせて「ひたぎクラブ」)。同作者による作品「戯言シリーズ」が多くのキャラクターを登場させているのに対し、本作品は1話ごとに1人の登場人物にスポットを当てるという「アンチ戯言シリーズ」の一面を持っている。当初は空き時間を利用して書かれた短編3部作として『メフィスト』投稿用にイラストが無いことを前提に作成されたが、イラスト付きでシリーズ化され現在に至っている[2]。ライトノベルとは言っても挿絵は少なく、パッケージに使用されているカラーイラストの他には、1話につき1枚のモノクロイラストが収録されているのみである。『化物語』のみ1冊に中篇を2 - 3話収録しているため2 - 3枚のイラストが収録されているが、その他の巻は基本的に1冊につき長編を1話収録する構成のためモノクロイラストは各巻1枚ずつである。
本作に登場する「怪異」のモチーフは民間伝承であるが、基本的には西尾の創作。怪異と戦って倒すような展開はほとんど無く、怪異の出現した原因を探ったり、謎を解いて事件を解決する。また、少女のボケに対して暦がツッコミを入れる夫婦漫才のようなギャグが続く会話シーンが多く、怪異の謎解き以上にページが割かれている。これには数々のパロディや文章ならではのメタフィクショナルな表現も多く、作者の西尾は「メディアミックス不可能な小説」というコンセプトで書いたと語っている[3]。メディアミックス作品の発表以降はそれらをネタにした描写も多い。更にはラブコメ要素やアクション要素も含まれており、西尾は書きたいことを書き連ね、楽しんで書いた作品であると語り、自ら「自信作」と評している[4]。
ファーストシーズン
『化物語(上・下)』『傷物語』『偽物語(上・下)』『猫物語(黒)』の6巻。全9話で構成されている。各巻のタイトルは当初は「人偏(ィ)の字のつく漢字+物語」[5]だったが、最後のエピソードのみ獣偏となっている。セカンドシーズン発表後に便宜上「ファーストシーズン」と呼ばれるようになった。物語は全て暦の一人称視点で語られる。
セカンドシーズン
『猫物語(黒)』で当初の予定であった暦とその周辺の人物の物語は一通り終了したがその後を描くセカンドシーズンの刊行予定が2010年6月に発表された。『猫物語(白)』『傾物語』『花物語』『囮物語』『鬼物語』『恋物語』の6巻がセカンドシーズンとされている。
セカンドシーズンは、ファーストシーズンに登場したヒロイン6人(翼、真宵、駿河、撫子、忍、ひたぎ)をテーマに、さらに深く掘り下げるという内容。暦だけでなく、サブタイトルに冠せられているヒロインの視点で物語が進行するエピソードも多い。3ヶ月に1作と、ファーストシーズンに比べハイペースで刊行され、2011年12月に最終巻が発売された。但し、作中で残ったいくつかの謎は「ファイナルシーズン」に持ち越される。また、セカンドシリーズは全作品のアニメ化が2012年春に決定した。
ファイナルシーズン
2011年末に『恋物語』の巻末にて発表された『憑物語』、『終物語』、『続終物語』の3部作。2012年に刊行予定。
メディアミックス
本来、メディアミックス不可能というコンセプトで書かれた小説だが2009年には『化物語』が、2012年には『偽物語』がアニメ化された。『傷物語』の劇場映画化、さらには「セカンドシーズン」を含む全物語のアニメ化も予定されている[6]。
この他にもアニメ版の次回予告の脚本やキャラクターコメンタリー、ドラマCD『佰物語』、アニメのガイドブックに収録された短々編、公式サイトの企画で登場キャラクターが七夕に願った短冊の文章も西尾本人が書いている。これらのメディアミックス作品については、本編のパラレルワールド的な扱いだが、クロスオーバーとしてアニメ版やドラマCDのネタの一部は本編に登場する。
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
あらすじ
とある田舎町の「私立直江津高校」に通う男子生徒の阿良々木暦は、この街にやってきた瀕死の女吸血鬼を助けたことがきっかけで、吸血鬼もどきの人間となってしまう。女吸血鬼はその力を封じられたものの、怪異の王たる吸血鬼の出現はこの街の霊的エネルギーを乱し、様々な怪異の類が出没するようになる。暦はそうした怪異に憑かれた少女と出会い、助けるうちに人間的に成長して行く。
登場キャラクター
「声」は特記のない限り各メディアミックス作品共通。
主要人物
- 阿良々木 暦(あららぎ こよみ)
- 声 - 神谷浩史
- 本シリーズの主人公。「こよみヴァンプ」の当事者である。地方都市にある私立直江津高校3年生。瀕死の吸血鬼・キスショットを救うべく己の血液を献上した結果、自身も吸血鬼になってしまう。その後、曲折を経てメメの提案により、吸血眷属に於ける能力の連動性を利用し、キスショットの血を限界まで吸うことで吸血鬼もどきの人間となる。
- 忍の吸血跡を隠す為、髪を伸ばしている[7]。アニメ版では片目が髪で隠れており、感情に合わせて生き物のように動く大きなアホ毛がある。身長:165cm(ひたぎより数ミリ低い)、体重:55kg。名付け親は祖父。右利きだが、年代物の腕時計を右腕に巻いている。通学用のシティサイクルとツーリング用のマウンテンバイクの2台の自転車を保有していたが、どちらも怪異と対峙した際に損壊した[8]。高校卒業後は自動車免許を取り、両親から「高校の卒業祝い」としてもらったニュービートルに乗っている。
- シリアスパートでは、怪異の災難を被った少女達を救済する為に日々腐心し、ギャグパート(各ヒロインとの談話)においてはツッコミ役である。中学生までは成績優秀だったが、高校に進学後は数学以外は落第点をとることが恒例の落ちこぼれとなった。春休みの事件で翼と出会い、3年で同級になった彼女により更生のためにクラスの副委員長に任命された。
- お人好しで困っている人を見捨てられない。当初はクールでニヒルな皮肉屋な性格だったが、話が進むごとに軟派な役柄になっていき、ニヒルで皮肉屋だった頃を「貯金」と称するようになるなど性格上の凋落が見られる。また特殊な性的嗜好を見せる事も。中学2年から身長が伸びず、あまり上背が無い事を気にしている。度々知識の無さを周りから指摘され自覚もしているが、語彙に関しては豊富で、常用でない四字熟語や単語を多用する。友達が少なく[9]、よくネタにされる。
- 怪異絡みの事件解決に協力した女子達からは総じて好意を寄せられているが、殆ど気付いておらず、それが更なる怪異絡みの事件の原因になった事も。メメに対する対応は皮肉っぽいが信頼の裏返しとされ、ひたぎや翼にはツンデレの扱いを受ける。関わった事件の影響で猫が苦手。
- 「まよいマイマイ」でひたぎに告白され交際を始める。その後、「つばさキャット」作中でファーストキスを経験している。
- 火憐と月火という中学生の妹がおり、毎朝起こされている。子供の頃からの癖が抜けず妹を「ちゃん」付けで呼んでいる為、人前では妹2人を名前で呼ばないように気をつけている。妹達に対して過保護に接する事が多く、彼女達からも慕われている。ひたぎ達からは「異常なまでに仲が良い」と評されている。
- 上述のように暦の持つ吸血鬼の力は眷属の階層的に上位である忍の力と連動しているため、吸血鬼となった当初は身体能力・治癒力が超凡であったが、キスショットが忍の姿でいる間は、人並み外れた回復力がある程度に留まっている。しかし、忍が暦を吸血することで力を取り戻し、暦の身体能力も上昇する。一方がもう片方を殺せばすぐにでも元の姿に戻れるのだが、本人達にそのつもりはない。力でなく内面や精神的な部分も共有しており、暦のクールキャラが崩れたのは忍(当初のキスショット)の影響であるらしい。現在はその逆で、暦が忍に好きな人や漫画等の影響を与えている。
- 戦場ヶ原 ひたぎ(せんじょうがはら ひたぎ)
- 声 - 斎藤千和
- 本作のメインヒロイン。「ひたぎクラブ」「ひたぎエンド」のメインキャラクター。蟹に行き遭った少女。ツンデレを自認しているが、暦曰く「デレないので、ツンデレというよりツンドラ」。メインヒロインではあるが、出番の全くない話も少なからずあり[10]、素行の悪さも併せて「名ばかりヒロイン」「ヒドイン」などと自虐することも多い。身長:165cm(暦より若干高い)。誕生日:7月7日(蟹座)。
- 成績優秀で教科書類は全部暗記している。髪は腰まで伸ばしており、儚げな美貌と難病という身の上からクラスの中では「深窓の令嬢」という位置づけ。同級生や教師とほとんど話さず、暦とは高校の3年間同じクラスだが「ひたぎクラブ」まで交流がなかった。中学生の頃は陸上部のスターで性格も明るく、バスケットボール部のスターだった後輩の駿河と合わせてヴァルハラコンビ[11]と呼ばれていた。「かれんビー」以降は暦に「ヶ原(ガハラ)さん」という愛称で呼ばれる。
- 本性は相当な毒舌家。ホッチキスやカッターナイフを初めとした文房具を大量に常備し、怪異の影響下にあった頃は体重を人並みに見せかけるための重しや武器として使っていたが、「するがモンキー」の頃には持ち歩かなくなった。「まよいマイマイ」で暦に告白して正式に交際を始める。恋仲になっても相変わらず毒舌だが、実際は暦に深い信頼と愛情を抱いており、台詞の端々にもその事が感じられる。異常に攻撃的で嫉妬深く、独占欲も強いが、駿河には寛容に振舞う。後述の理由による貞操観念の高さとは裏腹に、性表現では駿河の師であり彼女以上に際どい発言をする事もある。但し本人曰く「エロに引き込んだが変態に引き込んだ覚えはない」。
- 時期不詳だが翼による人格更生用プログラムを受けさせられていたらしく、その兆候が「かれんビー」では顕著に見られ、翼のことを恐れている節がある。とはいえ、基本的には良好な友人関係を築いていることが「つばさタイガー」にて描かれている。「かれんビー」では過去の自分にけじめをつけ、髪を短くし、暦に対して過剰なまでにデレる(暦曰く「ツンドロ」)ようになり、暦を携帯電話の恋人割引に加入させるなどバカップルぶりを披露し、暦や翼に対して毒舌を披露しなくなった。しかし毒舌家である事は変わらず、高校卒業後はより過激になり、再び暦にも使うようになった[12]。
- かつては周囲に壁を作る目的もあり、漫画や小説に限らず様々な本を読んでおり、それらに関する話題も豊富。また、絵も上手く、教科書の余白に『鋼の錬金術師』のイラストを描いている。お洒落にも気を使っているらしく、学校では女子の間での流行にのり、家には高価そうなドライヤーが置いてある。
- 母親が悪徳宗教団体に入信した事から、中学卒業間際に教団幹部に強姦されそうになり、その事をきっかけに「おもし蟹」に行き遭った。その後、泥舟等5人の詐欺師に立て続けに騙された事から現在の人格が形成された。
- 八九寺 真宵(はちくじ まよい)
- 声 - 加藤英美里
- 「まよいマイマイ」「まよいキョンシー[13]」「しのぶタイム」のメインキャラクター。蝸牛に迷った少女。ツインテールの小学生で、5年3組在籍。背中に巨大なリュックを担いでいる。旧姓は綱手(つなで)。
- 母の日に浪白公園で暦と出会う。人見知りで言葉遣いは丁寧だが慇懃無礼。慣用句の単語をよく言い間違える。暦の名前を呼ぶ時は毎回のように噛み、回を追うごとに原形を留めていない(阿良々々木、ありゃりゃ木、阿々良木など)。そして、しばしば暦を物理的にも噛む。暦との掛け合いでは毎回センスある切返しを見せ、暦にとって会話の上で一番面白みのある相手である。毎度のように暦からの出会い頭のセクハラを受け、喧嘩になる。初めこそじゃれ合いの様なものだったが、回を追う毎に内容がエスカレートし、終いには阿良々木家へ連行されたこともある。だが、彼女自身、これを楽しんでいる節があり、何もしないと特に話もせずに離れていってしまう[14]。最終的には「自分から襲いかかるのが最も安全」という判断に達した。
- 実は「迷い牛」という怪異であり幽霊(地縛霊)。両親が離婚したため離れて暮らす事になった母親に会いに行く途中、車側の信号無視による交通事故で死亡し怪異となった。自分の力では目的地にたどり着けないという怪異の特性上、事故以来ずっとさまよい続けていたが、暦やメメの協力によって目的地に辿り着いたことで地縛霊から浮遊霊になる(本人曰く「二階級特進」)。しかし、本来その時点で成仏するはずだった真宵はその後も残り続けたことで「くらやみ」の標的になってしまい、再び「迷い牛」に戻って人を迷わせ続けるか成仏するかという選択を迫られる。そして「迷い牛」に戻ることを拒んだ真宵は、暦に別れを告げて成仏した[15]。そして暦の考えにより、「くらやみ」の事件に関わった人間、怪異と扇(女性)以外はこの事実を知らない。
- 交通事故で死亡したのが11年前なので、生年で比較すると暦より3歳年上の21歳[16]となる。「まよいキョンシー」では、真宵が交通事故で死亡しなかった世界において暦と忍の危機的状況に、成人後の姿で登場した。
- 神原 駿河(かんばる するが)
- 声 - 沢城みゆき
- 「するがモンキー」「するがデビル」のメインキャラクター。猿に願った少女。暦達より1学年下の後輩で、直江津高校の弱小バスケットボール部を全国区クラスにまで押し上げたスター。女子バスケット界では「神速天使」と呼ばれていた。運動神経は抜群で、自分より背の高い暦を飛び越せる程の超人的な脚力を持つ。ひたぎとは中学以来の先輩・後輩関係であり、先述の通りヴァルハラコンビと称されるが、名付け親は駿河自身。ひたぎ卒業後は「がんばる駿河ちゃん」と名乗ったが定着しなかった。旧姓・臥煙(がえん)[17]。
- 暦に「甘言褒舌」と称される程のプラス思考でやたらと暦やひたぎを賞賛し、勤勉で人当たりも良く爽やかな性格。非公式ファンクラブ「神原スール」がある程[18]後輩の女子にも好かれ面倒見が良いが、実はBL好きな腐女子。更に、同性愛者、マゾ、露出狂、欲求不満で、それらを肯定している。スポーティーというより猥褻な印象が強く、メメからは「エロっ子ちゃん」と呼ばれたこともあった。
- ひたぎを熱愛し、自分がそういう意味で特殊であることにある種の誇りを持っており、それを否定されることを嫌う。ひたぎと交際するようになった暦を嫉妬心から一時期ストーキングしていたため、暦とひたぎの関係に関する話題が豊富。自分にはルーズで自室では常に下着姿、自分の部屋は当人が畳の色を忘れていたというほど汚い状態のまま放置しており、暦は初訪問から自身が高校を卒業するまで、月に2回掃除に来ていた。しかし他人には変な所で厳しく、自罰的である為、周囲からは真面目と評されている。「かれんビー」以降髪を伸ばしていたが、「するがデビル」以降は再びショートカットに戻している(ちなみに切ったのは暦)。じゃんけんなどの単純に運を競う勝負事には滅法弱い。
- 両親は駿河が小学生の時に交通事故で死亡。現在は父方の祖父母の家に引き取られている。
- 高校入学時、ひたぎが抱えている問題に気づきそれを解決しようとしたが拒絶される。しばらく離れている内に暦がその問題を解決しひたぎと付き合いだしたことで暦を憎むようになる。母・遠江が残した「悪魔の手」に「先輩と昔のような関係に戻りたい」と願ったが、悪魔はその裏にあった「阿良々木暦を排除したい」という願いを叶えようとした。しかし暦とひたぎの活躍により願いは叶わず、左腕は悪魔の腕のままとなった。それ以来ひたぎとは以前のような関係に戻り、暦とも良好な関係を築いている。ちなみにメメは20歳になる頃には悪魔の手の妖力が切れて、元通りの腕に戻ると見ていたが、ある事件から高校3年の春に元に戻った。
- 千石 撫子(せんごく なでこ)
- 声 - 花澤香菜
- 「なでこスネイク」「なでこメドゥーサ」のメインキャラクター。「ひたぎエンド」にも準メインで登場。蛇に巻かれ、噛みつかれた女子中学生。月火の小学生時代の友達。暦が卒業した中学に在籍。暦を「暦お兄ちゃん」と呼ぶ。身長:153cm。誕生日:6月3日(双子座)。
- 暦が小学生時代に月火に連れられて阿良々木家に遊びに来ていたが、暦が中学生になってからは疎遠になっていった。だが、ある日、言い寄って来た男子生徒を拒否したことで「蛇切縄(じゃぎりなわ)」という呪詛に見舞われるも、暦と再会する事で事無きを得る。
- 人の視線に敏感で、人を見る事・見られる事、人に触れられる・人の体温を感じる事にも強い抵抗を感じる反面、スカートをつままれても動じないなど変わった感性を持っている。無口だが笑い上戸。漫画やアニメ・ゲームが好きで暦がツッコミに説明をつけなければならない程のマニアックなネタをふってくることもある。運動神経は本人曰く「普通に鈍い」らしいが、見知らぬ人に関わりそうになったりした場合には駿河にも匹敵する速度で逃走する。「しんどい」ことや「頑張る」を嫌い、事ある毎に「自分が怒られれば良いだけだから」と言って済ませる。
- 内気で臆病な性格だが、それは他人に対して完全な無関心であるが故の行動であり、誰も疑わないが信用もしない。(泥舟曰く「心の闇どころか闇の心」)また、メメもそのことを見抜いており、翼同様気にかける一方で警戒していた。基本的に幼くて頭が足らず、我侭。可愛らしさを押し付けられる事をストレスに感じており、感情が爆発すると口調や態度が攻撃的になる。「かれんビー」では暦との距離を縮めようとあの手この手で誘惑したことから、駿河から「ラスボス」と呼ばれる。暦の恋人であるひたぎとは、お互い面識は無かったが、2人が付き合っていると言う事は町で偶然見かけて知っていた。その後、暦とひたぎの関係を知ったことで精神に異常をきたし、北白蛇神社の神にひたぎを亡き者にするよう願った。その後、扇からの情報を元に北白蛇神社の神の神体の札を捜索し[19]、それを飲み込んで蛇神へと変貌した。そして自分を止めようとする暦と忍を殺しかけるが、ひたぎとの交渉でそれは卒業式の日まで先延ばしにされることになった。
- 神になった後は、神社に住み、説得及び退治の為に神社にやってきた暦を返り討ちにしながら過ごしていたが、ひたぎの依頼を受けた泥舟に説得され、元の人間に戻った。体内のご神体は泥舟によって取り出され、暦に返された。
- 羽川 翼(はねかわ つばさ)
- 声 - 堀江由衣
- 「つばさキャット」「こよみヴァンプ」「つばさファミリー」「つばさタイガー」のメインキャラクター。猫に魅せられ、虎に睨まれた女子高生。暦に次いで登場機会の多い人物。暦やひたぎと同じクラス。当初は眼鏡に三つ編み姿だったが、「かれんビー」以降に髪を切って[20]コンタクトレンズにしたが、最近は再び髪を伸ばし始めている。「つばさタイガー」終盤で髪が白黒の虎柄になったため、毎朝黒く染めている。校外でも常に制服姿である為に、豊満な肉体の持ち主であるが気づかれにくい。ひたぎや駿河と同じ中学の卒業生。小学生の頃から委員長で、当時のあだ名は「バサ」。誰も呼ばないが、忍が「バサ姉」と読んだのが唯一[21]。
- 「こよみヴァンプ」にて春休みに暦と出会い、唯一の友達となる。この事件の出来事で暦からは「命の恩人」として感謝されている。彼女自身も暦に惹かれていたが、間もなく彼がひたぎと恋人同士になったために人知れず大きなストレスを抱える事になり、「つばさキャット」や「つばさタイガー」の事件を引き起こす。
- 性格は真面目で、品行方正な良識人。ルールや規則に厳しいが決して杓子定規でなく、苦境にある人の立場を慮ることができ、自己犠牲(本人的には「自己満足」)も厭わない。かなりの博識で、暦に「お前は何でも知ってるな」と感心されることもしばしばだが、「何でもは知らないわよ。知ってることだけ」と返答することが通例となっている[22]。成績は常に学年首席で実技科目も満点、落としたのは穴埋め問題1問のみという偉業を持つ優等生。ゴールデンウィークにおける怪異による暴走の際は、その博識さでメメの打ち出す怪異対策をことごとく跳ね返した。子供好きで、真宵や火憐、月火を気に入っていて、彼女たちからも信頼されている。
- 実父は不詳。未婚だった実母は翼の出産直後にお金目当てに結婚するもその目的ゆえ1年後に自殺。実母の夫は程なく現在の義母と再婚するも過労死。「羽川」の姓は義母の現在の夫のもの。事実上の天涯孤独で、現在の両親との関係は冷え切っており[23]、高校卒業後は外国に旅立ち、紛争地帯のNGOで活動している(卒業前にも下見として1ヶ月間ほど休学し、世界一周をしていた[24])。
- 忍野 忍(おしの しのぶ) / キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード
- 声 - 坂本真綾(偽物語) / 平野綾(佰物語)
- 「こよみヴァンプ」「まよいキョンシー」「しのぶタイム」のメインキャラクター。元人間の吸血鬼。暦を生涯で2人目の「吸血鬼の眷属」へと変えた張本人。白い肌と金髪金眼で、時代がかった口調で話す。完全体では身長180cm以上の長身で巨乳(外見年齢は27歳)だったが、吸血鬼としての力を暦に吸い尽くされたことで力の大部分と真名を失い「人間もどきの吸血鬼」となり、外見も8歳程度の幼女となる。力を失った以降は廃墟ビルでメメと同居する。後にゴールデンウィークでの活躍からメメから名前(吸血鬼だった頃の名の「ハートアンダーブレード」=「刃の下に心あり」=「忍」という発想から)とゴーグル付きのヘルメットを貰う(これは不満だったため、「かれんビー」以降は外している)。元は人間(名のある貴族の令嬢らしい)で実年齢を500歳と自称していたが正確には8月20日時点で598年と11ヶ月。申告してからは約600歳とされるようになった。
- 再生能力に特化した吸血鬼であり、吸血鬼の弱点の大半を無効化できる貴重種。霊的なエネルギーのバランスを乱し、他の怪異を引き寄せてしまう程に強大な力を持っていたが、力を失った後は吸血鬼の残りカスともいうべき存在となり、暦から定期的に吸血しないと消滅してしまう。吸血鬼だった頃の能力(エナジードレインとブレード)は健在であり、暦の血を吸うことで力を取り戻すこともでき、外見も吸血鬼であった頃に近づく。メメが去った後は暦の影に封じられており、影に自在に出入りできる。このことから暦の覚えた感情や感覚を一方的に共有させられているが、常時エナジードレイン状態のため、吸血の回数は影に潜む前より減っている。影の中にいる限りは吸血鬼としてのスキルをある程度使用可能。吸血鬼なので鏡に映らず、生活のリズムは夜型で、夜間はやや力が増す。
- 高慢横柄で饒舌だが、「人間もどきの吸血鬼」になってから「かれんビー」で暦と和解するまでは無口になっており、周囲をいつも恨めしく睨んでいた。『偽物語』以降は頭の悪い発言や「危ない」言動が増えている。メメから怪異の知識や現代の文化を教えられるが、後者には偏りが見られる[25]。ミスタードーナツのドーナツが好きで、目当てのドーナツを取られると拗ねることもある。
- 吸血鬼ハンターたちの襲撃から逃れ、死にかけていたところに暦が通りかかり、彼に助けを求めた。吸血は死を意味すると知っていながら命を差し出した暦を殺すことなく自身の眷属へと変え、人間に戻ることを望む暦を元に戻そうとし、その方法が自分の死であることを隠し暦のために死ぬことを決める。しかし、暦が彼女に死んでほしくないと願った為、メメの発案によって現在の状態になった。そのことから暦に対して複雑な感情を抱いているが、一方で異性としても意識しているようで、彼の発言に一喜一憂する描写が見られる。
- 彼女の「怪異殺し」という異名は、彼女の1人目の眷属だった「初代怪異殺し」が自らの血肉で作り上げ、彼女が受け継いだ怪異のみを斬る大太刀「心渡(こころわたり)」の字(あざな)であり、暦が使うこともある。
- 『佰物語』では片言でタイトルコールを行っている。
- 阿良々木 火憐(あららぎ かれん)
- 声 - 喜多村英梨
- 「かれんビー」のメインキャラクター。蜂に刺された少女。中学3年生(「するがデビル」では私立栂の木高校へ進学している)で空手[26]二段の持ち主。暦の2人の妹の内の上の妹で、妹の月火と合わせて「栂の木二中のファイヤーシスターズ」という通り名を持つ。実戦担当で、自称:正義の味方。身長:170cm(後に175cm以上に伸びている)。自分より背の低い「瑞鳥(みずどり)くん」という年下の恋人がいる(詳細不明だが暦に似ているらしい)。暦曰く「可愛いと言うよりも恰好良い」容姿。
- 月火とは四六時中、側にいるほど仲が良い[27]。朝はいつも月火とともに暦を叩き起こしている。活発にして単純な性格でがさつな言動が見られるが、長身である事にコンプレックスを抱く、スカートやワンピースが似合わないと言われて落ち込む等、繊細な一面も持つ。また正義の味方である事に拘り、それを否定される事を嫌う。
- 身体能力がずば抜けており、軽くフルマラソンを走りこむ、暦を肩車して平然としている、など平均的な同年代女子のそれを遥かに逸脱している。暦曰く「吸血鬼よりも化物」
- ジャージを日常的に着用している。髪型はポニーテールで通していたが、「つきひフェニックス」で暦の発言を機にあっさりと自分の手で散切りにし、現在は前髪直線のボブカット。
- アニメ版『化物語』では各編最後に月火と一緒に暦を起こすシーンが映像化されているほか、彼女と共に次回予告のナビゲーター役を務めているが、名目的に過ぎず内容は「予告編クイズ」をはじめるなど、実質的に雑談。
- 阿良々木 月火(あららぎ つきひ)
- 声 - 井口裕香
- 「つきひフェニックス」のメインキャラクター。ホトトギスの少女。中学2年生。暦の2人の妹の内の下の妹で、姉の火憐と合わせて「栂の木二中のファイヤーシスターズ」という通り名[28]を持つ。参謀担当で、自称:「正義そのもの」。身長:156cm。血液型はB型。自分より長身の「蝋燭沢(ろうそくざわ)くん」という年上の恋人がいる(詳細不明だが「瑞鳥くん」同様、暦に似ているらしい)。
- 大人しそうな外見をしているが、実際は暦や火憐以上に激情的で、その凶暴さは街中でも有名[29]だが、瞬時に感情を抑えられる冷静さもある。また交友関係が広く[30]、撫子とも交流があった。
- 家では和服を日常的に着ており中学では「着物が着られるから」という理由で茶道部に入っているが、火憐と違って普通にスカートやワンピースなどのいわゆる「女の子らしい」服も着る。また、髪が伸びるのが早いためにころころと髪形を変えている。
- 口癖は「プラチナむかつく」[31]。
- 実は人間ではなく、しでの鳥(後述)という怪異が人間に擬態したものである(本人は全くの無自覚)。
怪異の専門家
- 忍野 メメ(おしの メメ)
- 声 - 櫻井孝宏
- 怪異の専門家。『化物語』『傷物語』および「つばさファミリー」に登場。
- 怪異を調べて日本全国を放浪する謎の30代男性。自称:妖怪変化のオーソリティー。塾の廃墟ビルに無断居住し、暦達に怪異への対処法をアドバイスする。サイケデリックなアロハシャツ一枚にぼさぼさの金髪という格好をしており、一見うさん臭いが、自称通りの実力者であり、その守備範囲は作中に登場する専門家の中でも最も手広い。文明と言うものを嫌い、機械音痴で携帯電話の使い方を知らない程。
- 信条は「自分は助けない、相手が自分で勝手に助かるだけ」であり、「助ける」という表現を嫌い「力を『貸す』」という言い方をする。同様に別れの言葉も嫌う。軽薄かつ皮肉屋で、軽口が絶えない上にどこか見透かした風である。口癖は、話し相手が攻撃的な意見を出した時に言う「元気がいいなぁ、何かいいことでもあったのかい?」。泥舟曰く、子供相手に格好付けたがる所があり、暦からもロリコン疑惑を抱かれている。
- 「つばさキャット」で暦達の街を去り、「かれんビー」以降は登場しないが、町に滞在していた時期は忍に対して怪異についてのあれこれを一方的に語り聞かせていたらしく、『偽物語』以降忍はこの時メメから聞かされた話を暦に伝え聞かせている。
- 神道系の大学の出身。伊豆湖の後輩で、泥舟や余弦とは同級生にして同じサークル(オカルト研究会)に属していた[32]。アロハシャツはその当時から着ていたらしい。余弦曰く、サークル始まって以来の天才と言われ、「周りに女子とかはべらして、誰よりちゃらちゃらしとった」との事。泥舟や伊豆湖からは「適当な奴」と評されているが、実力は認められている。「まよいキョンシー」以降に登場する扇は彼の親族を名乗っているが、泥舟によると天涯孤独らしい。
- 貝木 泥舟(かいき でいしゅう)
- 声 - 三木眞一郎
- 「偽物の怪異」を専門とする詐欺師。「ひたぎエンド」のメインキャラクター。「かれんビー」「つきひフェニックス」「するがデビル」に登場。
- 漆黒のスーツとネクタイに身を包んだ、抑揚のない口調で話す壮年の男。会う人間にことごとく「不吉」と評される。メメほどではないものの怪異の専門家としての高い能力を持っているが、怪異の存在を信じていない。事実は半分しか告げないことをポリシーとしている。口癖は話し相手や自分への反省として言う「今回の件から○○(教訓を得るべき者を指す)が得るべき教訓は」。まとまった金が手に入ると金遣いが荒くなるタイプ。ただしかさばる物は持たない。
- 撫子達中学生の間で「おまじない」を流行らせた張本人。火憐に悪と罵倒された際それを否定もせず誇りもせず、当然のこととして受け入れていた。自分の正義や目的を掲げる一般的な悪役とは異なり、金を稼ぐための手段の中で楽なものが詐欺だっただけの「ただの悪党」でしかなく、必要とあらば年下であるひたぎ達にあっさりと折れる等、前述のようにプライドや理念ではなく徹底して実利を取るタイプだが、非常に負けず嫌いで、逆境に燃える一面もある。
- 戦場ヶ原一家を詐欺にかけた最初の一人であり、夫妻の離婚を促した張本人。故にひたぎにとっては恨み骨髄の相手[33]。
- メメ、余弦とは大学の同級生で同じサークル(オカルト研究会)に属していた。性格的な問題からか、メメや伊豆湖の事は苦手としていたらしい。しかしメメについては「ひたぎエンド」の冒頭で大親友である(嘘の可能性もある)と語っている。また中高では陸上部だったらしく、全力疾走の駿河に余裕で追いつける走力をもち、その走法を「貝木ストライド」とよんでいる。
- 遠江や伊豆湖とは旧知で、「するがデビル」で大学時代、遠江に憧れの感情を抱いていた事を語っており、駿河の事も好意的に見ている。
- 「ひたぎエンド」では、ひたぎの依頼で暦とひたぎ、忍を撫子から救うために伊豆湖の忠告を無視し、単身、撫子に挑んだ。その後、蛇神に呪われた中学生に襲われた。
- 影縫 余弦(かげぬい よづる)
- 声 - 白石涼子
- 京都弁を喋る女性の陰陽師。「つきひフェニックス」に登場。
- 外見年齢は20代後半位。髪型はショートカット。「やり過ぎるという事がないから」という理由で、不死身の怪異を専門とし、「怪異転がし」の異名を持つ。地面の上を歩こうとせず、暦と初対面の時はポストの上にいた。面倒な術式よりも格闘術の方を好む自称「日本初の武闘派陰陽師」であり、人間の状態で限界まで力を高めた暦が何もできないまま削り殺されかける程の実力者。暦達から「暴力陰陽師」と称されている。
- メメや泥舟と大学の同級生で同じサークル(オカルト研究会)に属していた。伊豆湖とはそりが合わなかったようで、「つばさタイガー」「しのぶタイム」にて彼女から酷評されていた。
- 斧乃木 余接(おののき よつぎ)
- 声 - 早見沙織
- 余弦につき従う憑藻神の童女。「つきひフェニックス」「まよいキョンシー」「しのぶタイム」「ひたぎエンド」に登場。「つばさタイガー」にも名前だけ登場。
- オレンジ色のドロストブラウスとティアードスカートという出で立ち。一人称は「僕」で、登場初期は「僕はキメ顔でそう言った」という台詞を語尾に付ける特徴的な話し方(語尾とは裏腹に基本的には無表情)をしていたが、「まよいキョンシー」以降は言うのを止めている[34]。「ひたぎエンド」では、喋るたびに横ピースをするようになる。
- 人間ではなく忍曰く「余弦の式神的存在」で、余弦のことを「お姉ちゃん」と呼ぶ。外見こそ子供だが、自分の倍もある余弦を肩に乗せて軽々と運べる埒外の存在。名字の「斧乃木」の「木」の部分は、「貝木」の「木」から取られている。人差し指をハンマーの如く巨大化させたり、驚異的な跳躍を行うなどの自身の体を変化させる「例外のほうが多い規則(アンリミテッド・ルールブック)」という技を使う。
- 臥煙 伊豆湖(がえん いずこ)
- 怪異の専門家。メメ、泥舟、余弦の大学時代の先輩で、駿河の母方の叔母。「つばさタイガー」「しのぶタイム」に登場。
- 年齢は30歳を超えているはずだが、10代にも見える女性。小さな身体にXLサイズという服装は着崩しているものの、芸術品のように様になっている。自分の行動を逐一説明するような違和感のあるしゃべり方をする。基本的に自分の都合優先で後輩達からは苦手にされていた[35]。翼を優に超える知識や洞察力を持ち、「私は何でも知っている」と言う。姪・駿河とは家庭の事情から疎遠であり、「しのぶタイム」で暦と取りつけた約束により、彼の仲介で後に、本名こそ名乗らなかったものの駿河と対面したらしい。機械音痴であったメメとは違い、計5台の携帯電話やスマートフォンを所持している。
- ドラマツルギー
- キスショットの右脚を奪った吸血鬼ハンター。「こよみヴァンプ」に登場。
- 53人の同胞を持つ同属殺しの吸血鬼。筋骨隆々の規格外の巨体をしており、伸びきった髪をカチューシャでまとめている。キスショット曰くエピソード、ギロチンカッターと比べて「物分かりのよい」人物。吸血鬼の変身能力で自身の両腕を2本のフランベルジェに変えて武器として扱う。吸血鬼の中では回復力が弱い部類らしい。暦を自分より強力な吸血鬼ハンターになれると評価して勧誘しようとしたり、自分と同じ元人間の吸血鬼として、どこか暦を案ずるような雰囲気もある。
- エピソード
- キスショットの左脚を奪った吸血鬼ハンター。「こよみヴァンプ」「つばさタイガー」に登場。「しのぶタイム」にも名前だけ登場。
- 人間と吸血鬼のハーフ。ハーフゆえに吸血鬼の弱点はないが能力も半分である。線の細い体と三白眼と白ランの姿で、吸血鬼を毛嫌いしてハンターをしているが、吸血鬼を嫌う人間も嫌っている。口癖は「超ウケる」。外見に大きく反して年齢は本人曰く6歳で、これは彼の吸血鬼側の親の特性に由来するとのこと。体を霧に変えるタイプの変身能力に特化し、吸血鬼としての弱点を持たないという利点から巨大な銀の十字架を武器として扱う。
- その後も仕事を続けており、「しのぶタイム」の後日談では伊豆湖からの仕事で、暦と共闘したことが語られた。
- ギロチンカッター
- キスショットの両腕を奪った吸血鬼ハンター。「こよみヴァンプ」に登場。
- 怪異の存在を否定している宗教の大司教。神父の様な身なりをしており、常に丁寧語で話すが、自身を神と同一視しているため慇懃無礼。使命感が強く、人質をとる等、卑劣な手段を厭わない。口癖は「神、つまり僕はこう仰っています」。特定の武器を持たないが、吸血鬼ハンターの3人の中で最強とされる。
- ドラマツルギーとエピソードを雇ってキスショットを襲撃した。暦に敗北した後はメメとの契約に応じて手を引いたが、それが果たされなかった為[36]に業を煮やし、単身でキスショットに挑み戦死する。
- 初代怪異殺し
- 吸血鬼・キスショットの1人目の眷属。本名はあるのだが忍が覚えていなかったため、暦が便宜上そう呼んだ。「こよみヴァンプ」や「しのぶタイム」にて忍の回想で登場。
- 代々妖怪退治を生業とする一族の末裔で、多くの家臣(いずれも怪異の専門家)を引き連れ、神を演じていたキスショットの前に現れた。人物像について、忍からは「専門家としての能力は高いが想定外のことに弱い」と評されている。
- 怪異を殺す妖刀「心渡」のオリジナルと、心渡で斬った怪異を再生する小太刀「夢渡(ゆめわたり)」という、神刀の域に達する2本の刀を所有していた。「くらやみ」に家臣を皆殺しにされた挙句に自身も殺されるも、孤独感に苛まれたキスショットにより蘇り吸血鬼となった。しかし「くらやみ」の出現をキスショットの仕業として、彼女を憎悪して数年後に太陽の下に飛び出て自殺した。この事によりキスショットは死に場所を求めるようになる。
- あくまで忍(キスショット)の語りで断片的に語られているのみの人物なので、実際どのような性格だったのか、また互いにどのように想っていたのかは不明な点も多い。
主要人物の肉親
- 阿良々木の両親
- 暦、火憐、月火の父母。共に警察官。「つばさタイガー」にて登場。
- 火憐、月火が言うに熱血な正義感の持ち主。容姿に対する描写はないが翼曰く「暦に似ている」とのこと。
- 母親の方はどこか達観したような性格をしている。
- 戦場ヶ原の父
- 声 - 立木文彦
- ひたぎの父親。外資系企業に勤務している。本名不明。「つばさキャット」「つばさタイガー」にて登場。
- 寡黙で口下手だが、ナイスミドルという言葉がふさわしい、やけにかっこいい外見と俳優のように良い声を持つ。ひたぎが問題を抱えていた際に自分が何もしてやれなかったことを自覚し、悔やんでいるが、それでも彼なりにひたぎの事を見守っている。
- 「ひたぎエンド」の時点で阿良々木家とは家族ぐるみの付き合いをしており、両家で新年会をした。
- 神原 遠江(かんばる とおえ)
- 駿河の母親で伊豆湖の姉。旧姓・臥煙[17]。故人であり、「するがデビル」にて、やけにリアルな形で駿河の夢に繰り返し現れた。
- 立場や肩書きにこだわらず相手を一個人とみなす接し方をする。世間一般の母親というイメージとかけ離れていて、駿河曰く「異様」な存在。親が子に言うようなことではない格言めいた言葉を語っており、駿河さえも自然と畏敬の念をもって接さざるを得ないような人物であった。しかし親としての愛情はあった模様。また泥舟の家庭教師であったらしく、彼の要領の良さを矯正しようとした。駿河に「悪魔の手」を残したり、泥舟に「悪魔の頭」を託したりと怪異に深い関わりがあった模様。
- 夫(駿河の父)とは、周囲の反対を押し切り、駆け落ち同然で結婚した。駿河が小学生の時に夫共々事故死した。
- 神原の祖母
- 駿河の祖母。「かれんビー」「するがデビル」にて登場。
- 息子夫婦との確執から、夫(駿河の祖父)と共に駿河の問題には深入りせず見守っている。料理はかなりの腕前。孫娘とは対照的に携帯電話の扱いが上手く、「つきひフェニックス」で暦とメル友になった。
- 八九寺の父
- 真宵の父。「まよいキョンシー」にて登場。
- 離婚した妻(真宵の母)を嫌っており、真宵と会わせないようにしていた。しかし、娘に対する愛情は深いようで、家出をした真宵を目撃していないか暦と忍に尋ねた。
- 千石の両親
- 撫子の父母。「ひたぎエンド」にて登場。
- 泥舟が撫子個人について調べる過程で、同級生の父親を名乗り近づいた。曰く、2人とも一般的で善良な市民。周囲の人間同様、撫子を「お人形」のように可愛がっていた。
- 行方不明となっていた娘の身を案じてはいたが、その実、娘の事をほとんど表面的にしか理解していなかった。
その他の人物
- 忍野 扇(おしの おうぎ)
-
- 女性
- メメの姪を名乗る人物。初冬に直江津高校の1年に転校してきた女子生徒。「まよいキョンシー」「なでこメドゥーサ」の冒頭および「しのぶタイム」の終盤にて登場。
- 駿河曰く「逸脱して可愛らしい」容姿。暦の事を「先輩」と呼びながらも、その態度は慇懃無礼。屁理屈をあわせた雑学を披露する。初対面であるはずの撫子の名を口走り、「まだ知り合ってなかった」と自戒するなど、違う時系列とつながっていることが暗示されている。また、撫子に神体を取り込むよう促したり、中学生に泥舟を襲うよう唆したりするなど、物語中幾度となく暗躍している節がある。暦と忍からは人間ではない「何か」である、と見られている。
- 男性
- メメの甥。前年の暮れ頃に転校してきた男子生徒。「するがデビル」にて登場。
- メメを思わせる会話術を持つ。本人や暦の発言から、女性の扇と何らかの関係があることが示唆されている。
- 日傘(ひがさ)
- 駿河のバスケットボール部の同期で、副キャプテン。駿河引退後はキャプテン(本人曰く代理)をしていた。「するがデビル」にて登場。
- 駿河のことを「るがー」と呼ぶ。本人曰く、席替え・クラス替えでブルーになるほどの人見知りらしいのだが、駿河には否定されている。中学時代の通り名は「サンシャイン・アンブレラ」。
- 沼地 蠟花(ぬまち ろうか)
- 駿河の中学時代のライバルだったバスケットボール選手。「するがデビル」にて登場し、「しのぶタイム」や「ひたぎエンド」にも名前だけ登場している。
- ジャージ姿に松葉杖、田舎町には珍しいぼさぼさの茶髪という目立つ格好で喋るペースが妙に遅い。「悪魔様」を名乗り、相談屋を営んでいる。泥舟とは仕事柄何度か顔を合わせたことがある。
- 中学時代、相手にとって嫌がらせにも等しい泥沼ディフェンスを操り、「毒の沼地」「跳ばずの沼地」という通り名を持つプレイヤーで駿河と同じ地区で鎬を削りあっていたが、試合の最中に左足を壊し、選手生命を失った。現在は高校にも行かず、フリーターをしているものの足の怪我のためにアルバイトとして雇ってもらうことも出来ず、実質は無職。実は選手生命が絶たれ、転校した後自殺しており、幽霊となっている。
怪異
一般に言う生物とは違うカテゴリーに属する存在であり、都市伝説・街談巷説・道徳塗説、即ち人間の信仰・畏怖・噂によって生まれ、そこにい続ける存在。故に人間がいない所では存在が希薄になる。また、いるからと言って誰でも視えるわけではなく、視える者は何らかの理由をもっている。そして怪異は世界と繋がっている、いわば世界そのものであるため、近くにいる人間の影響を受けてその存在に変化が生じる(忍、余接などのキャラや好みの変化など)。姿かたちも様々で実体として存在するタイプや人を媒介に顕現したり、毒など特性だけ存在する、など多様。また名前から連想される姿をとるとも限らない。怪異が起こした出来事や結果は怪異現象とよばれ、その大抵は病気や体調異常、体質や催眠効果等として現実的に処理されている。
- 吸血鬼(きゅうけつき)
- 作中では主に鬼と呼ばれる。キスショット(忍)、ドラマツルギー、春休みの暦がこれにあたる。
- 怪異の王(キングオブアウトサイダー)と称される上級の怪異。高い再生力・不死性と身体能力を持ち、変身能力によって全身もしくは体の一部を武器や翼、霧などに変化させられる[37]。また体液(血液や唾液)を患部に垂らす事で他者の回復を促す事もできる。弱点は日光、ニンニク、銀の十字架、聖水。また呼吸器系・内臓器官を攻められること、そして毒にも弱い。文字通り吸血を行う怪異だが、それにはエナジードレイン(=食事)としてのものと眷族を作る目的のものがある。吸血をした人間をそのままにすると眷族となる為、通常は吸血後、肉体を残すことなく喰らう。ランクが高い吸血鬼は体の一部(手首から先のみでも)だろうと吸血する事で眷属を作る事ができる。
- おもし蟹(おもしかに)
- 作中では主に蟹と呼ばれる。メメ曰く九州山間部の民間伝承で、重いし蟹、おもいし神、重石蟹とも呼ばれる。蟹であったりウサギであったり、美女の姿をとることもある(アニメ版では無数の「蟹」の漢字で構成されたタカアシガニのような姿で表現されている)。行き遭った人の願いを聞き入れ「思い」とともに「重さ(=体重)」を引き受ける支える神。体重を奪われると精神的な苦痛を感じなくなるが、代わりに無感情になる。メメは「存在」を奪うとも称していた。
- 迷い牛(まよいうし)
- 作中では主に蝸牛と呼ばれる。目的地にたどり着くことができず永遠に迷い続ける怪異。「家に帰りたくない」と思う者の前に現れ、ついてくる者を永遠に迷わせ、帰路を阻害する。しかし、迷い牛から離れれば迷うことはなくなる。
- レイニー・デヴィル
- 作中では主に猿と呼ばれる。雨降りの悪魔。泣き虫の悪魔。
- メメ曰く、階級にさえ入らない低級の悪魔。古くからヨーロッパに伝わる雨合羽を着たサルの悪魔であり、親と喧嘩した子供が雨の日に家を飛び出し、サルの群れに食い殺されたことが起源とされる。契約を行使する際願った人間と同化するのが特徴で、人間のネガティブな感情や暗黒面を好んでエネルギー源とし、願った者の裏の願いを読んで暴力的な叶え方をする。願いは魂と引き換えで、叶える毎に成長し、3つ全て叶えると願った者は生命と肉体を奪われ、悪魔そのものとなる。
- 蛇切縄(じゃぎりなわ)
- 作中では主に蛇と呼ばれる。へびきり縄、蛇切(へびきり)、蛇縄(じゃなわ)、へびなわ、蛇(くちなわ)とも呼ばれる。死に至らしめる怪異でなく人を殺す怪異。
- 悪意によって遣わされる怪異であり、呪われたものは見えない蛇に足から徐々に巻きつかれ、顔に到達した時点で殺される。触ることができれば巻きついた蛇切縄を引き剥がすことはできるが、そのとき引き剥がした当人に蛇切縄が襲い掛かり、それをやり過ごしても今度は呪いをかけた本人を襲う(呪い返し)。
- 障り猫(さわりねこ)
- 作中では主に猫と呼ばれる。尾なし猫、白銀猫(しろがねこ)とも呼ばれる。
- 馬車(現代では車)に轢かれた尾のない白い猫を埋葬した善良な者に取りつき、性格を豹変させるという。人に化ける猫ではなく、人を猫にする怪異。恩を仇で返す怪異であり、招き猫の対極の存在である。特性は常時発動型エナジードレインであり、触れた者は精も根も吸い尽くされ、その度合いによっては死に至る。
- ブラック羽川(ブラックはねかわ)
- 障り猫が翼のストレスと結びついて誕生した新種の怪異(命名はメメ)。翼のストレスの権化。現代でいうところの翼の裏人格(多重人格障害)であり、もう一人の翼。
- 通常の障り猫と異なり、主人とする翼のことを第一に考え、翼の願望成就を最優先に行動する。本来は低級怪異であるが、翼の知識により専門家をも寄せ付けない強力な怪異となった。しかし聡明な翼に対し頭は良い方ではなく(自他共に認めている)、1より多い数や3行以上の文を理解できない。またつまらない言葉遊びや駄洒落を言ったりする。語尾に「にゃ」とつき、また「な」の発音が全て「にゃ」になる。
- 囲い火蜂(かこいひばち)
- 作中では主に蜂と呼ばれる。『東方乱図鑑』に記載され、曰く「触れないハチに刺され全身が火で包まれたよう」。室町時代に流行った原因不明の感染病が起源とされるが、泥舟が言うには感染病は作り話であり、囲い火蜂は存在しない怪異。実際は瞬間催眠によるプラシーボ効果であり、身動き困難になるほどの高熱を伴うが2・3日程度で治る風邪、とのこと。
- しでの鳥(しでのとり)
- 作中では主にホトトギスと呼ばれる。不死鳥とも。
- 怪異としての特性は「不死」であり、その不死性は吸血鬼をも凌駕する。ホトトギスの生態と同じく人間の母体に「托卵(憑依)」し、その子供として転生する。生まれたしでの鳥は人間に擬態し、親の子供として自然に、そして完璧に振舞う。怪異であることがバレないように、命に関わるほどでない傷はゆっくりと直すが、致命傷は一瞬で再生する。また新陳代謝が良く、爪や髪が常人よりも速いスピードで伸びる。不老ではなく寿命は人間と同じで、寿命を迎えたらまた托卵をして転生を繰り返す。この擬態は無意識かつ無自覚なため、本人も自らが怪異であることに気がつかない。なお、怪異としての害は無い。
- 苛虎(かこ)
- 作中では主に虎と呼ばれる。巨大な体躯をした虎で、専門家を寄せ付けなかったブラック羽川を圧倒する強力な怪異。
- 嫉妬を燃料に「火」そのものと化して、嫉妬された者の家・住処を完全に燃やし尽くす。また、燃やそうとする物の前に一瞬で移動する能力も持つ。翼が己の中の嫉妬の感情を切り離した結果生まれた怪異。翼は苛虎を『礼記』にある「苛政は虎よりも猛し」という故事をベースとした新種の怪異と推理したが、忍は「火車」という怪異を基盤とした完全なオリジナルの怪異ではない、と推測している。
- 憑藻神(つくもがみ)
- 100年経った器物が怪異となった存在。また、反魂の術によって人間の死体を怪異として蘇らせることで、憑藻神にする方法もある。
- キョンシー
- 作中では主にゾンビと呼ばれる。厳密には、吸血鬼に眷属とされたものの血が定着せず暴走したことで生まれた怪異。メメ曰く失敗した眷族、劣化した吸血鬼。自我も意思もなく、与えられた本能に忠実に行動する。日光と米を弱点とする。
- 悪魔様(あくまさま)
- 人の悩を聞き入れ、それを「絶対」に解決するとされる相談屋。ただし行き過ぎた悩みは警察等の然るべき機関にまわす。その実、人の不幸話を蒐集する怪異。また、相談事と並行して悪魔(レイニー・デヴィル)のパーツの蒐集も行っている。悪魔のパーツを持つ者の近辺に現れ、根を張り、所有者が相談に訪れると、それを奪う。泥舟は「回収屋」と称していた。
- その正体は蠟花が死した後に怪異となった存在。だが蠟花自身には、怪異となったことはおろか自分が死んだ自覚さえもなく、作中で蠟花自身が自分の来歴を語ったが、それが真実かどうかは不明。
- クチナワ
- 撫子は「クチナワさん」と呼んでいた。北白蛇神社で祀られている神であり、白い蛇の姿をしている。忍の来訪によって神社に溜まったエネルギーによって復活するも「まよいキョンシー」でそのエネルギーを使いきってしまった事で瀕死になり、撫子に蛇惨殺の償いとして自分の神体(死体)を探すよう要求してきた。普段は撫子の右腕にシュシュとして巻きついている。性格と口調はかなり凶暴かつ乱暴で「しゃしゃ」といった笑い方をし、何かにつけて「ああん?」とすごむ。あらゆる結界を無効化できる能力を持つ。撫子と知識を共有しており、暦に代わって作中における撫子の突飛な行動に対し、突っ込みを入れる。
- その正体は、もとはひたぎに嫉妬し、神に祈った撫子の「神の声を聞いている」という妄想[38]であった。
- 蛇神 (へびがみ)
- 北白蛇神社で封印されていた神の神体(このご神体は伊豆湖が暦に渡したものらしい)を撫子が取り込んだことで神として完全復活を果たす。神となった撫子は髪の一本一本すべてが白蛇となり、髪から毒牙を形成して攻撃する。前述の通り毒に弱い吸血鬼の特性もあり物語中では暦と忍を圧倒し、何度も殺し続けた。また、そこかしこから無数の白い蛇を呼び出す能力も持つ。呼び出された蛇は現実の質量を持ち、大人一人が圧殺されかかる程の量を呼び出す事もできる。
- しかし吸血鬼のように単純に身体能力が強化される訳ではないらしく、下手な殴り方をして拳が傷つくなどそこまで元の体からは変化していない。
- 「くらやみ」
- 暦が便宜上こう称しただけで、実際には名前は無い。また、怪異でもない。人によっては「神隠し」・「中立者」・「バランサー」とも呼ぶらしい。
- ブラックホールを思わせる「黒いなにか」であり、人であっても怪異であっても物であっても、呑み込まれたものを存在を完全に消し去る。伊豆湖曰く怪異の反存在であり、世界・運命の修正力そのもの。怪異の道から外れた怪異、または自分を偽った怪異の存在を消し去り、その怪異を認識した人間をも全て消し去って無かったことにする。物質として存在する物を消滅させるだけでなく、暦と忍のリンクすら切断した。
- 蛞蝓豆腐(なめくじどうふ)
- 作中で蛞蝓と呼ばれる。泥舟が神となった撫子に植えつけた、曰く偽者の低級の怪異。三竦みの理屈で蛇神である撫子から札を引き剥がして人間に戻すのに利用した。植えつけられた本人に蛞蝓のようにぬらりと生きる気が無いと効果を発揮せず、3日ほどで取れるらしい。
舞台
舞台は21世紀初頭の日本(現代日本)。名前は明かされていないが田舎町とされている。茶髪の人間は殆どおらず、ファーストフードやコンビニの店舗数もさほど多くない。また、公衆電話も結構生き残っている。雪国のため、夏休みは日本の他の地域と比べると短く、その代り冬休みが長い。暦は「海を見たことがない」と言っているため、新潟県の直江津とは関係ないと思われる。
- 私立直江津高校
- 暦、ひたぎ、翼、駿河、扇らが通う高校。校長は吉城先生。1学年の人数はおよそ200人。この地域では有数の進学校で、編入試験の難易度は非常に高いとされている。逆に運動部は弱いが、駿河の活躍で女子バスケ部は全国大会に出場したこともある。
- 公立清風中学校
- ひたぎ、翼、駿河の出身中学。ひたぎは中学時代陸上部の、駿河はバスケ部のエースでヴァルハラコンビと呼ばれていた。
- 公立七百一中学校
- 撫子が通う中学で、暦の母校。この地方にしては珍しく女子の制服がワンピースになっている。当時の暦は成績が良かったため私立に通うという選択肢もあったが、女子の制服が可愛いから公立に進学したと語っている。
- 私立栂の木第二中学校
- 火憐、月火が通う中学。阿良々木家からは遠いため、2人はバスを乗り継いで通っている。
- 私立栂の木高校
- 栂の木第二中学校からエスカレーター式に進学できる高校。栂の木第二中学校からは離れた場所にある。
- 学習塾跡の廃墟
- かつては「叡考塾」(えいこうじゅく)という学習塾だったが、駅前に進出してきた大手の予備校の煽りを受けて経営難に陥り数年前に倒産した[39]。その後、4階建てのビルディングは廃墟となっており、住所不定のメメが怪異譚の蒐集をしていた際に結界を張って根城にしていた。メメが去った後はひたぎが暦を拉致監禁したり、余弦らが根城にしていたこともある。9月に火災が発生したことで完全に瓦礫の山になってしまう。駿河や翼は思い出深い場所と感想を述べている。
- 大型書店
- 私立直江津高校からそう遠くない位置にある、この町唯一と言っていい大型書店。学習参考書、呪術・オカルト、エロ本、BLまで網羅しているのはこの田舎町ではここくらい。
- 浪白公園
- ブランコと砂場しかない[40]広めの公園。5月に彷徨っていた暦が真宵と出会った場所。羽川家や家庭崩壊前の戦場ヶ原家のあった場所の近所にある。
- 北白蛇神社
- 蛇神を祀っていたとされる神社。山の中にあるが、何年も打ち捨てられ寂れており、鳥居がなければ神社であったと分らないほど。本殿は今にも崩れそうな状態になっている。3月にこの町に怪異の王がやってきたことで「よくないもの」の吹きだまりになっていた。6月にお札を張ったことでそれが封印され、妖怪大戦争を防ぐことができたとされている。撫子が蛇切縄の呪いにかかったのもこの場所の霊的エネルギーのため。忍はこのエネルギーを利用して8月に時間移動を行った。11月に完全に倒壊したが、その後再建されている。
- ミスタードーナツ
- 国道沿いにあるドーナツ屋のチェーン店。この辺りにはこれ一軒しかなく、田舎なのでさほど大きな店舗ではない。ドーナツは忍の大好物のため、暦はちょくちょく利用している。
- ほしのさと天文台
- 暦たちが住んでいる所とは別の県にある天文台。かつて戦場ヶ原家が3人でよく訪れていた。駿河も年2回ほど行われる天体観測イベントに参加している。暦とひたぎは6月に父親の車でここを訪れた。
作中での主な出来事
日時 | 出来事 | 話 |
---|---|---|
3月25日 | 高校2年の終業式。暦、偶然翼のパンツを見たことがきっかけで彼女と友達になる。 | こよみヴァンプ |
3月26日未明 | 暦、キスショットを助け、図らずも吸血鬼になる。 | |
3月28日 | 暦、吸血鬼退治の専門家に襲われるがメメに助けられる。 | |
4月7日 | キスショットに関する一連の事件が解決。 | |
4月8日 | 高校3年の始業式。暦と翼が同じクラスになる。 | |
4月29日 | 翼が猫の怪異に魅せられる。 | つばさファミリー |
5月7日 | メメと元キスショットの助力によって、翼の事件は一応の解決に至る。 | |
5月8日 | 暦、ひたぎの秘密を知る。 | ひたぎクラブ |
5月14日(日) | 暦、真宵と出会う。その後、ひたぎに告白され恋人になる。 | まよいマイマイ |
5月23日[41] | 暦、駿河にストーキングされるようになる。 | するがモンキー |
5月26日[42] | 暦、ひたぎと勉強会。その後、怪異に襲撃される。 | |
6月11日(日) | 暦・駿河、北白蛇神社にお札を貼りに行く。 | なでこスネイク |
6月12日(月) | 暦、撫子と再会する。 | |
6月13日 | 暦、ひたぎと初デート。 | つばさキャット |
6月14日 | 翼に憑いた猫の怪異が再出現。忍の助力で事件は解決する。メメ、町を去る。 | |
6月[43](日) | 暦、翼とカラオケに行く。翼が暦に断髪を強要する。 | つばさソング[44] |
不明[45](日) | 暦、ひたぎとケーキバイキングに行く。 | ひたぎブッフェ[44] |
7月29日(土) | 暦、ひたぎに監禁される。その間に、火燐が蜂の怪異の毒に冒される。 | かれんビー |
8月14日(月) | 暦、余弦と余接に出会う。 | つきひフェニックス |
不明[46](日) | 暦、駿河とバスケットボールで対決をする。 | するがコート[44] |
8月上旬 - 中旬 | 暦、撫子とプールに行く。 | なでこプール[44] |
8月20日(日) | 夏休み最終日。暦、真宵を自室に拉致する。 | まよいルーム[44] |
暦、余接に再び出会う。 | まよいキョンシー | |
8月21日(月) | 暦、忍と共に11年前へ飛ぶ。 | |
暦、忍と共に現代へ戻る。 | ||
暦、真宵と共に自宅前で「くらやみ」に襲われる。余接に救われ学習塾跡へと離脱。 | しのぶタイム | |
暦、真宵、忍、余接と共に学習塾跡で「くらやみ」に襲われる。余接に救われ県外の山奥へと離脱。 | ||
翼、虎の怪異に睨まれる。羽川家、全焼。 | つばさタイガー | |
8月22日 | 暦、12時間ほどの眠りから目を覚ます。下山開始。 | しのぶタイム |
8月23日 | 暦、下山。伊豆湖と出会う。 | |
真宵、去る。 | ||
駿河の元に暦からメールが届く。ブラック羽川、忍と出会う。学習塾跡、全焼。 | つばさタイガー | |
8月24日 | 翼、エピソードと伊豆湖に出会う。その後、真相に至る。 | |
9月頭 | 撫子、暦とひたぎが仲睦まじく歩いているのを目撃する。 | なでこメドゥーサ |
9月上旬 - 中旬 | 撫子、北白蛇神社へ通い神頼みをする。 | |
10月31日(火) | 撫子、扇と出会い趣味の悪いシュシュを貰う。 | |
撫子、白い蛇と出会う。 | ||
11月2日 | 撫子、神になる。 | |
12月下旬 | 暦、扇に真宵成仏の顛末を語る。 | しのぶタイム |
1月1日 | 泥舟、ひたぎから電話越しで仕事の依頼を受ける。場所は京都。 | ひたぎエンド |
泥舟、ひたぎに会うために沖縄に移動。 | ||
1月2日 | 泥舟、下調べのために千石家を訪問。 | |
泥舟、北白蛇神社で撫子と出会う。 | ||
1月3日 | 泥舟、余接と再会する。 | |
泥舟、撫子の部屋へ不法侵入する。 | ||
1月4日 | 泥舟、北白蛇神社の入口で翼と出会う。 | |
1月 | 泥舟、蠟花と学習塾跡にて出会う。 | |
2月1日 | 泥舟、撫子を騙す。 | |
撫子、人間に戻る。 | ||
4月9日 | 駿河、「悪魔様」の噂を聞き、蝋花と会う。 | するがデビル |
4月10日 | 駿河の左腕から猿の手が消える。 | |
4月15日(日) | 駿河、オープンキャンパスの帰りに泥舟と出会う。 | |
4月16日 | 駿河、蠟花と再会する。 | |
4月17日 | 駿河、暦と再会する。 | |
4月20日(金) | 駿河、蠟花と対決する。 | |
4月21日(土) | 駿河、暦に散髪してもらう。 |
作品一覧
すべて講談社BOXより刊行。刊行順は作品中の時系列とは一致していない。
タイトル | 発行年月日 | ISBN | 収録話 | 初出 | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 化物語(上) | 2006年11月1日 | ISBN 978-4-06-283602-5 | 第一話 ひたぎクラブ | メフィスト 2005年9月号 |
第二話 まよいマイマイ | メフィスト 2006年1月号 | ||||
第三話 するがモンキー | メフィスト 2006年5月号 | ||||
2 | 化物語(下) | 2006年12月1日 | ISBN 978-4-06-283607-4 | 第四話 なでこスネイク | 書き下ろし |
第五話 つばさキャット | |||||
3 | 傷物語 | 2008年5月7日 | ISBN 978-4-06-283663-0 | 第零話 こよみヴァンプ | パンドラ Vol.1 SIDE-A |
4 | 偽物語(上) | 2008年9月1日 | ISBN 978-4-06-283679-1 | 第六話 かれんビー | 書き下ろし |
5 | 偽物語(下) | 2009年6月10日 | ISBN 978-4-06-283702-6 | 最終話 つきひフェニックス | |
6 | 猫物語(黒) | 2010年7月28日 | ISBN 978-4-06-283748-4 | 第禁話 つばさファミリー | |
7 | 猫物語(白) | 2010年10月27日 | ISBN 978-4-06-283758-3 | 第懇話 つばさタイガー | |
8 | 傾物語 | 2010年12月24日 | ISBN 978-4-06-283767-5 | 第閑話 まよいキョンシー | |
9 | 花物語 | 2011年3月31日 | ISBN 978-4-06-283771-2 | 第変話 するがデビル | |
10 | 囮物語 | 2011年6月28日 | ISBN 978-4-06-283776-7 | 第乱話 なでこメドゥーサ | |
11 | 鬼物語 | 2011年9月28日 | ISBN 978-4-06-283781-1 | 第忍話 しのぶタイム | |
12 | 恋物語 | 2011年12月20日 | ISBN 978-4-06-283792-7 | 第恋話 ひたぎエンド | |
13 | 憑物語 | 2012年(予定) | 第体話 よつぎドール | ||
14 | 終物語 | 2012年(予定) | 第完話 おうぎダーク | ||
15 | 続終物語 | 2012年(予定) | 第本話 こよみブック |
関連作品
関連書籍
- アニメ化物語オフィシャルガイドブック
- 2009年6月29日刊行。A3判と非常に大きい。アニメ側と小説側の両面から『化物語』を紹介するガイドブック。小説サイドでは『傷物語』『偽物語』にも触れている。
- 化物語アニメコンプリートガイドブック
- 2010年10月27日刊行。多数のビジュアルとスタッフ・キャストへの取材でアニメ『化物語』を徹底解剖する。西尾維新書き下ろしの短々編「ひたぎブッフェ」その他5編を収録。
- アニメ『化物語』副音声副読本
- 2012年4月24日刊行。ブルーレイおよびDVD版に収録された西尾維新書き下ろしによる副音声「キャラクターコメンタリー」の脚本を収録している。
ドラマCD
- 佰物語
- 2009年8月3日発売。学園にまつわる100本のショートエピソードを収録。脚本は西尾維新の書き下ろしで、パッケージイラストは渡辺明夫。講談社BOXとしての発売で、ドラマCDと脚本が同梱されている。ISBN 978-4-06-215369-0。
ゲーム
この節は、発売前あるいは配信・稼働開始前のコンピュータゲームを扱っています。 情報が解禁されていくに従い、この項目の内容も大きく変化することがありますのでご注意ください。 |
- 化物語 ポータブル
- 2012年8月23日に発売予定。開発はバンダイナムコゲームス。対応ハードはプレイステーション・ポータブル。
脚注
- ^ 講談社BOXの表紙シールやガイドブックでは「〈物語〉シリーズ」とされているが、奥付の著者紹介欄や『このライトノベルがすごい!』、講談社BOXのCMなどでは「化物語シリーズ」という呼称も使用されている
- ^ 『ザレゴトディクショナル』267 300ページより
- ^ 『ANI-COM』2009 JUNE、【かーずSP】 西尾維新先生に訊く 「化物語」アニメ化記念インタビュー・前編 など
- ^ 『ダ・ヴィンチ』2006年12月号
- ^ 『オトナアニメ』vol.13 2009年
- ^ 「西尾通信」2012年4月 講談社
- ^ 原作では巻を追うごとに髪が伸びているらしく「するがデビル」の時点では駿河から「アーティストみたいだ」と評されている
- ^ マウンテンバイクは「するがモンキー」で大破し、シティサイクルは「しのぶタイム」で消滅した
- ^ 実際は周囲に壁を作っていたために「怖い奴」と思われているらしく、周りからは影で「不動の寡黙」と呼ばれている。学校内だけでなく街中にも名前が知られている
- ^ 毒舌を矯正した以降に出番が減少した為、暦からは「キャラが薄くなったので出番が減った」と言われた事も
- ^ 神原の「ばる」と戦場ヶ原の「はら」、更に“神”々の“戦場”というヴァルハラの要素をかけたもの
- ^ 暦と駿河曰く「高校を卒業したら毒舌もR-18になった」
- ^ 暦と忍を中心に話が展開している為、彼女自身の登場は少ない
- ^ 本人曰く、抵抗しているのは「もっとやれ」というサインらしい
- ^ しかし、この話を聞いた扇(女性)は「ちゃんといなくなったのなら」とあまり信じていない模様
- ^ 「しのぶタイム」での本人の発言より
- ^ a b ひたぎや伊豆湖の発言より。しかし駿河は遠江が結婚時に神原姓に改めたと発言している
- ^ 12月頃に暦によって強制解散(壊滅)されたことが「するがデビル」の中で話されている
- ^ この間、「北白蛇神社の神であるクチナワに強要されクチナワのご神体探しに協力していた」と事実を捏造していた
- ^ 「つばさソング」でこのことが描かれており、おさげを切ったのは暦で、切った髪は大切に保管しているとのこと
- ^ 「バサ姉(ばさねえ)」という呼び名はアニメ版のキャラクターコメンタリーが初出で、作中の忍に対し、その件でメタフィクション的なツッコミが入っている
- ^ 「まよいキョンシー」では幼少期から使っていた事が語られている
- ^ その冷え切り方は私生活を説明するだけで複数の友人をなくし、暦でさえそれを目の当たりにして動揺する程だった
- ^ 本当の目的は、メメが外国に渡航したという噂を聞きつけ、彼を探しに行く為だった
- ^ 藤子不二雄の真のファンを自称しており、映画・アニメにも詳しいが、『ドラえもん』の「どくさいスイッチ」を知らなかったりする
- ^ 但し実戦を重んじる流派であるらしく、作中では空手のそれからかけ離れている技を使用していた
- ^ 小学生の頃は別行動が多かったらしい
- ^ 「するがデビル」で火憐が高校に進学してからは「ムーンファイヤー」として単独で活動している
- ^ 暦によると過去のファイヤーシスターズが絡む事件の大半は月火が事態を悪化させた事が原因らしい
- ^ 街一つに匹敵すると豪語しており、ひたぎからは「誰とでも友達になれる」と評されている
- ^ 「プチむかつく」の派生なので、それほどむかついてはいないらしいが、明らかに激怒している際に用いられた
- ^ 泥舟に関しては「つばさファミリー」において、そのことを匂わせる発言をしている。また、「なでこスネイク」のオーディオコメンタリーでも、泥舟や伊豆湖、余弦についてそれとなく触れている
- ^ しかし怪異を放置したのも、離婚を促したのもひたぎを慮ってのことであり、戦場ヶ原家から姿を消した後、ひたぎの母が傾倒していた悪徳宗教団体を詐欺で潰している
- ^ 言っていた事については「僕の中の黒歴史」と思い出したくもないらしい
- ^ 泥舟曰く「関係者は皆、彼女の下っ端にされる」との事
- ^ 元々、彼は暦がキスショットを殺すという条件の下、交渉に応じていた
- ^ 劇中には直接登場していないが、純粋な種は相手を意のままに操る事ができる魅了(チャーム)の能力も持っているらしい
- ^ 「結界の無効化能力」は、撫子が阿良々木家の鍵を盗んで使っていただけだった
- ^ 原因は大手塾に対抗しようと、各分野の有名な講師達を呼び寄せた結果、逆に彼らの給料を払いきれなくなったことだった
- ^ アニメ版『化物語』ではジャングルジム、シーソーを始め様々な遊具が設置されており、暦とひたぎが2人仲良く遊んでいる姿が描写された
- ^ 次項目の日の3日前から開始と言う記述から逆算
- ^ 告白から約2週間後の5月末の金曜日という記述から
- ^ 「つばさキャット」以降「かれんビー」以前。「かれんビー」の164頁に「『いめちぇん』から一ヵ月以上たつ」とある
- ^ a b c d e 「化物語アニメコンプリートガイドブック」収録
- ^ 忍が暦の影の中にいるため、「つばさキャット」以降であり、暦とデレる前のひたぎが毎日学校で顔を合わせている事から夏休み以前と考えられる、詳しい時系列は不明
- ^ 駿河の左手がまだ怪異のままであることから、「するがデビル」以前であるが、詳しい時系列は不明