塚本まり子

塚本 まり子（つかもと まりこ、1976年7月16日 -）は日本のモデル。彼女は2014年（37才時）に「大人AKB」のオーディションに合格し、約4ヵ月間AKB48のメンバーとして活動した。

経歴

奈良県出身。5歳頃からクラシックバレエを10年ほど習い、中学・高校では新体操をやっていた。2006年に結成したロックバンド「THE LUCY Diamond」のシンガーを務め、バンドとしてCDもリリースした。このバンドのギタリストと結婚。2014年時点で首都圏に在住し、3歳と1歳の息子を持つ専業主婦だった。（専業主婦となる前は企業の受付嬢をしていた。）

AKB48として

「大人AKB」は、江崎グリコが『パピコ』の2014年春のキャンペーンとして「期間限定で活動する30歳以上のAKBメンバー」を公募した企画である（後述）。塚本は子供を連れてファミレスに行った時（あるいはママ友の家に行った時）、ママ友から「大人AKBのオーディション知ってる？」と話を振られ、軽い気持ちでその場で写真を撮りオーディションに応募した。AKBについてはヒット曲のサビを口ずさめる程度しか知らなかったという。そののち何度かの選考を経た上で、「大人でありながら一生懸命で初々しいところが、AKB48とパピコのイメージに一致した」という理由で塚本はただ一人選出された。塚本は最終選考で工藤静香の「嵐の素顔」を歌い、スタッフたちからは「中谷美紀似の美女」「しぐさもかわいい」と評価されていたが、塚本自身は合格するとは全く思っていなかった。

合格発表は4月12日に行われ、その直後に早速『パピコ』のCM収録が行われた。4月17日に神奈川県内のスタジオで初めて塚本は報道陣に披露された。その場で、島崎遥香が塚本の愛称について「まりり。まゆゆが好きなんですよね？ まりりでどうですか？」と提案し、塚本は「うれしいです。そんなかわいらしい…」とはにかみながら即決した。（なおこの時点では塚本の芸歴は伏せられていた。後述。）

そののち塚本はAKB48のレッスンをこなし、 5月11日に京セラドーム大阪で初めて握手会に参加してファンと交流し、パピコのCMオンエアが始まった5月14日から本格的に活動を開始して、歌番組や情報番組にAKB48メンバーとして出演した。峯岸みなみが考えたという塚本の決めフレーズは「まりりりり♪ まりりりり♪ 恋のポケベル鳴らしちゃうぞ！ 大人AKBの塚本まり子です」と年代差を意識したものになった。

6月7日に、味の素スタジアムでの『AKB48 37thシングル選抜総選挙 夢の現在地〜ライバルはどこだ？』でコンサートに初出演。38歳の誕生日にあたる7月16日に、AKB48劇場でのチーム4公演『アイドルの夜明け』に出演して、劇場デビューした。8月18日に行われたAKB初の単独東京ドーム公演『AKB48グループ東京ドームコンサート〜するなよ？するなよ？絶対卒業発表するなよ？〜』では、篠田麻里子のセンター曲だった「上からマリコ」を“マリコ”つながりとしてセンターで歌った。

塚本は8月31日にポートメッセなごやで最後の握手会を行った。そして翌9月1日にAKB48劇場で「塚本まり子卒業公演」を行い、最後に「わたくしまりりは、ひとまず普通のママに戻ります」と往年のキャンディーズらしい台詞で笑いを誘い、山口百恵の引退コンサートのように舞台前方中央にマイクを置いて、ステージを締めくくった。

塚本はその活動期間を通じ、AKBの他のメンバーからお茶目で天然ボケな「AKBのママ」と慕われ、ファンからも概ね好意的に受け入れられた。

モデルとして

塚本はAKB卒業間際の時点で、既に複数のプロダクションからオファーを受けていた。

塚本は2014年10月に、光文社の40代女性向け雑誌『美ST』12月号でモデルとして改めてデビューした。（なお『美ST』にはAKB在籍中の9月号にも美容談義で登場している。）

大人AKB

「大人AKB」の企画は、パピコのCM企画として広告関係者が主に力を入れていたものだが、官公庁がらみの仕事も増えていたAKBにとっては、年配女性をメンバーに加えることでロリコンイメージ・性の商品化というイメージを払拭できるチャンスでもあった。「期間限定で活動する30歳以上のAKBメンバー」というオーディションの参加資格はプロ・アマ、未婚・既婚を問わず、応募者の総勢は5066人、うち最高齢は82歳だった。1次選考で215人、2次選考で68人が残り、最終選考で残った60人のうちの最高齢は51歳だった。芸能人ではキンタロー。や市井紗耶香などが最終選考まで進んだが、既に芸能活動をしているタレントの場合、長期にわたるスケジュール調整やギャラの問題が起こるため、当初から塚本のような一般人を採用するのが既定路線だったであろうと言われている。多くの有名芸能人が最終選考まで残ったのは、彼女ら自身およびAKB双方の話題作りのためだったとも見られている。

オーディションに合格した塚本はテレビCMのほか、店頭広告でもAKBのセンターとして起用された。CMは2本制作された。4月中旬に収録され5月14日からオンエアされた『パピコ　大人AKB48登場』篇は、育児や家事に追われる普通の専業主婦が、オーディションに合格して突然トップアイドルの仲間入りをしてスポットライトを浴びるというシンデレラストーリー。6月中旬に収録され7月21日からオンエアされた『パピコ　大人AKB48卒業』篇は、AKB48劇場のステージ上で塚本がAKBからの卒業を宣言するシーンを描いている。CMに使われた曲「教えて Mommy」は、ゆったり“ねぇ、Mommy”と問いかけを歌う、ほのぼのした雰囲気の新曲であり、またCMの最後に「大人になっても AKB48。大人になってもパピコ」というキャッチコピーが添えられ、大人世代に向けてパピコの商品イメージを訴求するものになっている。

活動開始後の塚本の評判は運営側の期待を上回る上々のものだったが、最大の誤算は塚本の以前の芸歴が早々にばれてしまった事だった。オーディションの合格発表時点で塚本は「芸能経験ゼロ」「芸能経験ほぼゼロ」「独身時代にネットのCM出演経験を持つが、それ以外では全くの素人」などと紹介されたが、報道陣に対する塚本の受け答えが素人にしては落ち着いてソツのないものだったため、塚本の素性を訝る声が早くから上がった。ネットでいわゆる正体探しが行われた結果、過去のバンド活動のみならず、夫の勤務先や写真付きプロフィールまで晒される事態になってしまった。運営側としては塚本の前歴は承知しつつも、素人の一般人というフレッシュさを前面に出して売り出す目論見だったため、塚本のプライベートな情報がそこまで大々的に暴露されてしまうのは想定外のことであり、ファンにとっても興を削がれた面はあった。また、メンバー同士のライバル関係が見どころのAKBにおいて、塚本が誰のテリトリーも侵していないという点も、塚本の立ち位置を微妙なものにした。

関係者の間では、大人AKBのプロモーションは結果的に失敗だったと見られており、当初は2人目、3人目と採用していき大人AKBで1チームを編成するなどの構想もあったが、全て立ち消えになった。

外部リンク

• 塚本まり子『大人ＡＫＢ“まりり”人生初グラビア』
• 塚本まり子『大人ＡＫＢ４８卒業グラビア 最後の恋』