種田陽平

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種田陽平
国籍 日本の旗 日本
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種田 陽平(たねだ ようへい、1960年 - [1])は、大阪府出身[1]プロダクションデザイナーアートディレクター

経歴[編集]

武蔵野美術大学油絵学科卒業。在学中から絵画助手として寺山修司監督作品『上海異人娼館』などに参加。榎戸耕史監督『・ふ・た・り・ぼ・っ・ち・』で劇場用一般映画デビュー。その後、数々の話題作の美術を務めている。

スワロウテイル』で第20回日本アカデミー賞・優秀美術賞、『不夜城』で第18回香港電影金像奨・最優秀美術監督賞、第22回日本アカデミー賞・優秀美術賞を受賞。『キル・ビル Vol.1』では米国美術監督協会の最優秀美術賞にノミネート。『THE 有頂天ホテル』『フラガール』で第61回毎日映画コンクールの美術賞、第30回日本アカデミー賞・優秀美術賞を受賞。2008年『ザ・マジックアワー』で第32回日本アカデミー賞・優秀美術賞を受賞、第3回アジアフィルムアワード美術賞にノミネートされた。

2009年『空気人形』『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。また、『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』で第33回日本アカデミー賞・最優秀美術賞、第64回毎日映画コンクール美術賞を受賞。2010年『悪人』で第34回日本アカデミー賞・優秀美術賞を受賞。

2011年には三谷幸喜監督『ステキな金縛り』、台湾映画『セデック・バレ』が公開、大ヒットを記録。同年秋の叙勲で紫綬褒章を受章[2]

2012年にはチャン・イーモウ監督の中国映画『金陵十三釵』が公開され中国本土で大ヒットを記録する。同年、俳優のキアヌ・リーブスの初監督作品『ファイティング・タイガー 〜MAN OF TAI CHI〜』を北京および香港で撮影、帰国して三谷幸喜監督作品、『THE 有頂天ホテル』『ザ・マジックアワー』『ステキな金縛り』に続き、4作目となる『清洲会議』を撮影。

2013年、香港のラマン・ホイ監督とともに挑んだ『MONSTER HUNT 〜捉妖記〜』を北京で撮影。CGのモンスターたちが生息する世界を種田は構築。この映画は、2015年夏に中国で公開され、中国映画として記録的大ヒットとなった。

2014年は、スタジオジブリ作品、米林宏昌監督の『思い出のマーニー』の美術監督をつとめる。 その美術監督としての仕事ぶりは、『プロフェッショナル仕事の流儀 “細部を突き詰め、世界を創る”』(NHK総合、2014年8月25日放送)として描かれた。 同年、『思い出のマーニー×種田陽平展』を江戸東京博物館にて開催。 2015年、この展覧会は、愛媛県美術館に巡回し、さらに愛・地球博記念公園にて『思い出のマーニー×種田陽平展』が『ジブリの大博覧会〜ナウシカからマーニーまで』とともに開催。 2014年〜2015年は、クエンティン・タランティーノ監督の『ヘイトフル・エイト』の美術監督をつとめ、南北戦争後のロッキー山中を舞台とする西部劇の世界をつくった。

著書に『ホット・セット』(メディアファクトリー)、『TOWN for the FILMS』(角川書店)、自伝的画文集『どこか遠くへ』(小学館)、角川oneテーマ21『ジブリの世界を創る』など。最新刊は初の児童書『ステラと未来』(講談社)。

国内外の映画に展覧会のほかテレビ番組やCM、イベント、空間デザイン、舞台美術、グラフィックス、イラストレーション、エッセイ、著作など幅広い分野で活動している。

その他[編集]

キネマ旬報1999年に行ったアンケートによれば、自身のベスト作品に、邦画では黒澤明隠し砦の三悪人』や内田吐夢血槍富士』を、洋画ではジョン・フォード荒野の決闘』やサム・ペキンパーガルシアの首ロバート・アルトマンロング・グッドバイコーエン兄弟ファーゴ』などを選び、コメントで「いつまでも『七人の侍』や『東京物語』が一位という結果も嫌なので、そういった作品はあえて外した」「『ガルシアの首』や『ロング・グッドバイ』に必適する熱いアメリカ映画はもう見られないのか。『ファーゴ』を演出したコーエン兄弟にはその可能性があると思います」と発言[3]

作品[編集]

映画[編集]

美術監督[編集]

美術監修ほか[編集]

ほか多数

展示[編集]

  • 2000 映画美術展:『TOWN for the FILMSーFrom City into Village, Japanese Film Architecture by Yohei Taneda』
(オランダ建築博物館/ロッテルダム・オランダ)2000年1月22日〜3月5日
  • 2000 絵画出展:日本建築展『Towards Totalscape』
(オランダ建築博物館/ロッテルダム・オランダ)2000年10月21日〜2001年1月14日
(ミノルタフォトスペース新宿/新宿・東京都)2001年9月18日〜10月1日
フジテレビシアターモール/お台場・東京都)
  • 2004 展示監修:『イノセンス・都市の情景展 Scenery of Cities from INNOCENCE』
森都市未来研究所/六本木・東京都)2004年4月10日〜5月9日
  • 2008 美術監督:『小さなルーヴル美術館展』
三鷹の森ジブリ美術館/三鷹市・東京都)2008年5月24日〜2009年5月10日
  • 2010 インスタレーション/映画美術展:『TANEDA'S COOLSINGEL CUBE』
(ロッテルダム・オランダ)ファサード 2010年1月26日〜2010年6月/地下展示 2010年1月27日〜2月7日
  • 2010 美術監督:『小さなルーヴル美術館展 in 軽井沢』巡回展
メルシャン軽井沢美術館/軽井沢・長野県)2010年4月1日〜12月5日
  • 2010 美術監督/映画美術展:『借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展』
(東京都現代美術館/木場・東京都)2010年7月17日〜10月3日
  • 2011 美術監督/映画美術展:『借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展』巡回展
愛媛県美術館/松山市・愛媛県)2011年4月3日〜6月12日
  • 2011 美術監督/映画美術展:『借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展』巡回展
兵庫県立美術館/神戸市・兵庫県)2011年7月23日〜9月25日
  • 2011 美術監督:新規常設展示『2050年くらしのかたち』
日本科学未来館/青海・東京都)2011年8月〜
新潟県立近代美術館/長岡市・新潟県)2011年11月3日〜2012年1月15日
  • 2012 美術監督/映画美術展:『種田陽平的電影世界展(種田陽平映画美術展)in 台湾』
(高雄市藝術特区 C1&C2倉庫/高雄市・台湾)2012年6月23日〜 10月14日
  • 2012 美術監督/美術展:『小小羅浮宮展(小さなルーヴル美術館展)種田陽平的美術世界展 in 台湾』
(高雄市藝術特区 P2倉庫/高雄市・台湾)2012年6月23日〜 9月16日
  • 2012 美術監督/映画美術展:『種田陽平的電影世界展(種田陽平映画美術展)in 台湾』巡回展
(台北市政府松山文創意園區/台北市・台湾)2012年10月27日〜 2013年2月17日
  • 2012 美術監督/美術展:『小小羅浮宮展(小さなルーヴル美術館展)種田陽平的美術世界展 in 台湾』巡回展
台北国立歴史博物館/台北市・台湾)2012年10月6 日〜2013 年1月8日
  • 2013 監修/美術監督:『種田陽平による三谷幸喜映画の世界観展』
上野の森美術館/東京)2013年10月12日〜2013年11月17日
  • 2014 監修/美術監督:『思い出のマーニー×種田陽平展』
江戸東京博物館/東京)2014年7月27日~9月15日
(愛媛県美術館/松山)2015年4月3日〜6月7日
(愛・地球博記念公園/長久手市)2015年9月12日〜12月8日

ほか多数

イベント[編集]

  • 2004 イベントプロデュース:『ブラボーSASEBOフェスティバル』
(美術監督をつとめた映画『69 sixty nine』の舞台/佐世保市・長崎県)2004年7月1日〜8月23日
  • 2007 美術監督:長崎ハウステンボス『夏の祝祭劇場 灯りのまつり ファントマティーコ!』
(長崎ハウステンボス/佐世保市・長崎県)2009年7月18日〜8月31日
  • 2008 美術監督:長崎ハウステンボス『夏の祝祭劇場 灯りのまつり ファントマティーコ!』
(長崎ハウステンボス/佐世保市・長崎県)2009年7月18日〜8月31日
(長崎ハウステンボス/佐世保市・長崎県)2009年7月18日〜8月31日

ほか多数

舞台[編集]

  • 2000 美術:『お迎え準備』(作・演出:斎藤久志)
(制作:茂木節美 制作協力:サードステージ 劇場:MOMO/中野・東京都)
  • 2004 美術:『二人の女兵士の物語』(作・演出:坂手洋二
(制作・劇場:新国立劇場 小劇場、LOFT公演/初台・東京都)
  • 2011 美術:『ベッジ・パードン』(作・演出:三谷幸喜
(企画・製作:シス・カンパニー 企画協力:コードリー 劇場:世田谷パブリックシアター/三軒茶屋・東京都)

CM[編集]

2014年

サントリー/企業広告 シリーズ

2013年

アサヒビール/アサヒスーパードライ CRANK UP篇

2011年
  • ハウス食品株式会社/ハウス ジャワカレー ジャワーって広がる篇 胸がジャワつく篇
2010年
2008年
  • NTTドコモ/法人向け24H通話無料 社長と社員篇
  • ハウス食品株式会社/ハウス ジャワカレー 市場篇 ガゼボのふたり篇
  • 大日本住友製薬/坂道篇 散髪篇
  • 2016年オリンピック招致プロモーション映像
2007年
  • サッポロビール株式会社/企業コマーシャル つくるしかない篇
  • ハウス食品株式会社/ハウス ジャワカレー 天国のビーチ篇 ツリーバルコニー篇
  • 森永製菓株式会社/ウイダーinゼリー カラダづくりの好きな男篇
2006年
2005年
2004年
  • ハウス食品株式会社/ハウス ジャワカレー 森高・江口登場篇 辛いが幸せテニス篇
  • NTT/春のフェア やるフィギュア篇

ほか多数

テレビ[編集]

ほか多数

ミュージックビデオ[編集]

ほか多数

グラフィック[編集]

  • 2006 タイトル・クレジットタイトル:『THE 有頂天ホテル』(三谷幸喜監督)
  • 2006 パッケージ:DVD『THE 有頂天ホテル』(三谷幸喜監督)スペシャル・エディション
  • 2008 タイトル・クレジットタイトル:『ザ・マジックアワー』(三谷幸喜監督)
  • 2008 パッケージ:DVD『ザ・マジックアワー』(三谷幸喜監督)スペシャル・エディション
  • 2009 イラストレーション:チネチッタ
  • 2010 イラストレーション:一青窈CDアルバム『花蓮街
  • 2010 タイトル・クレジットタイトル:『ステキな金縛り』(三谷幸喜監督)
  • 2011 日本映画
  • 2012 イラストレーション:チャリティーユニット・JAPAN UNITED with MUSICのシングルCD「All You Need Is Love
  • 2012 パッケージ:Blu-ray/DVD『ステキな金縛り』(三谷幸喜監督)スペシャル・エディション
  • 2013 装丁:書籍『雪月花黙示録』(恩田陸)角川書店
  • 2014 イラストレーション:日本映画専門チャンネルジングル「映画港町・シネポートタウン」放映中
  • 2014 パッケージ監修:Blu-ray/DVD『清須会議』(三谷幸喜監督)スペシャル・エディション

ほか多数

書籍[編集]

その他[編集]

  • 1996 美術監督:ビデオ『中島みゆき 夜会 vol.7』(根岸吉太郎監督)
  • 1997 美術監督:ビデオ『中島みゆき 夜会 vol.8』(根岸吉太郎監督)
  • 1998 店舗デザイン:bar LEM(麻布十番・東京都)
  • 2002 美術監督:ゲームソフト『かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄』(チュンソフト
  • 2004 プロダクトデザイン:ニュー・デザイン・パラダイス『No.13 将棋』(フジテレビ
  • 2010 タイトルバックデザイン:『ステキな金縛り』(三谷幸喜監督)
  • 2011 短編アニメディレクション:『未来予創図』(日本科学未来館『2050年くらしのかたち』)
  • 2012 内装デザイン:乃木会館 豊明(とよのあかり)

ほか多数

脚注[編集]

  1. ^ a b 映画専門チャンネル・ムービープラス
  2. ^ 大竹しのぶ 紫綬褒章を受章「みんなに感謝したい」”. スポニチ (2011年11月2日). 2023年5月12日閲覧。
  3. ^ キネマ旬報 1999年10月上旬特別号 NO.1293映画人が選ぶオールタイムベスト100(外国映画篇)』『キネマ旬報1999年10月下旬号NO.1294映画人が選んだオールタイムベスト100(日本映画篇)』
  4. ^ “種田陽平、アニメ映画の美術を初担当「思い出のマーニー×種田陽平展」の開催も決定”. CinemaCafe.net. (2014年5月9日). https://www.cinemacafe.net/article/2014/05/09/23312.html 2014年5月2日閲覧。 
  5. ^ "STUDIO GHIBLI公式サイト - 2014年5月10日「野中くん発 ジブリだより」 5月号
  6. ^ 金馬奨でホウ・シャオシェン「黒衣の刺客」が最多5冠、妻夫木聡の登壇も”. 映画ナタリー (2015年11月24日). 2015年11月25日閲覧。
  7. ^ タランティーノが贈る密室劇「ヘイトフル・エイト」、クセ者ぞろいのポスター公開”. 映画ナタリー (2015年12月21日). 2015年12月21日閲覧。
  8. ^ “福山雅治、ジョン・ウー監督作「追捕」イベントで「アクション撮影が楽しみ」”. 映画ナタリー. (2016年6月20日). https://natalie.mu/eiga/news/191482 2016年6月20日閲覧。 

外部リンク[編集]