小田原競輪場

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小田原競輪場
小田原競輪場(中央のホームスタンドを望む)
地図
基本情報
所在地 神奈川県小田原市城山4-10-1
座標 北緯35度15分3.2秒 東経139度8分58.1秒 / 北緯35.250889度 東経139.149472度 / 35.250889; 139.149472座標: 北緯35度15分3.2秒 東経139度8分58.1秒 / 北緯35.250889度 東経139.149472度 / 35.250889; 139.149472
電話投票 36#
開設 1949年(昭和24年)8月15日
所有者 小田原市
施行者 小田原市
走路 333.33m
重勝式投票 チャリロト(グループA)
公式サイト 小田原競輪 Official Site
実況
担当 香川岳司
記念競輪
名称 北条早雲杯争奪戦
開催月 8月
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小田原競輪場(おだわらけいりんじょう)は、神奈川県小田原市にある競輪場。施設所有および主催者は小田原市。競技実施はJKA東日本地区本部南関東支部。実況はバリー工業で担当は香川岳司。

概要[編集]

1949年8月15日に開設された。1周は333mで、残り2周の赤板から選手が一気に動き始める高速バンクであり、以前は走路の傾斜カント(角度)が最も大きかったことから、一時期海外遠征向けの練習地に使われたこともあり、自由民主党所属の参議院議員で元オリンピック選手(スピードスケート自転車競技)の橋本聖子が練習地にしていたこともある。

周辺70Km圏内には平塚競輪場伊東温泉競輪場川崎競輪場があり、競輪の一大競合地帯となっている。この他場に挟まれた位置関係や選手宿舎が競輪場から離れている事があり、現存の競輪場では唯一GII以上のグレードのレースを開催した経験がない。記念競輪 (GIII) は『北条早雲杯争奪戦』として毎年8月[注 1]に開催されるのが恒例になっており、開催初日(2018年までは2日目)のシード優秀競走は、小田原城にある城門の一つの「銅門(あかがねもん)」から名を取り、「銅門賞」の名称で行なわれている。

なお花月園競輪場の主催者であった神奈川県競輪組合も小田原競輪場で主催していたことから、2011年より川崎競輪場と1年交代で『花月園メモリアル』(GIII)を2013年まで開催している。また、花月園競輪場で開催されていた『伊藤繁杯』は本場に移動して開催されていた。

先着入場者へのファンサービスや企業タイトルレースの募集なども積極的に行っている。場内には昭和中期を思わせるレトロな売店長屋が並んでいる。

近隣に所在する小田原城天守閣への眺望が良く、場内にも多数の桜が咲いており、市民には「小田原市内で最も場所取りのしやすいの名所」として知られ、春先の競輪開催日には花見客でも賑わう穴場的なスポットとなっている。また、入場口付近には見事な藤棚も飾られている。場内の児童公園にはタブ、車道門入口にはエノキ、公用車駐車場にはムクなどの大木が植樹されており、植栽が豊かなことでも知られる。

トータリゼータシステム富士通フロンテックを採用している。2006年4月開催から自場によるインターネットライブ中継を行っており、現在もJKAが継続している。

2007年4月にはマスコットガール「SunSunGirls」を結成した[1]。また2011年4月より2014年3月までイメージキャラクターとして加藤茶を起用していた[2]

ガールズケイリンについては、女子選手用の控室がないことから長らく開催が見送られてきたが、施設の整備を行い2021年10月10日から自場で開催される事になった[注 2][3][4](ほかにガールズケイリンの開催実績がないのは、小松島競輪場のみ[5][6][注 3])。同年度のガールズケイリンは、4開催全てがモーニング競輪として開催された。翌年度以降も同様にモーニング競輪のみで継続されている。

存廃問題[編集]

2018年11月6日、小田原市役所で開かれた総務常任委員会にて、小田原競輪場の存廃問題が議論された。小田原競輪の売上額については、全盛期に500億円以上あった一方、2017年度は過去20年間で最低となる108億4,845万6,000円に留まり[7]、約8,100万円もの赤字を計上した[8]ことで、複数の関係者が「見通しは厳しい」と見解を述べた。実際に過去にも何度か存廃問題が議論されたが、特に17年度は特別な支出がないにもかかわらず赤字となったのが決定打となり、来年(2019年)2月に結論を出すとした[9][7]

ただ、2019年2月21日、小田原市は総務常任委員会を開き、当面は小田原競輪を存続していく方針を固めた。同委員会では、これまで未実施だったミッドナイト開催を他場に委託して行う計画や、自場でのガールズケイリン開催、民間への包括委託などについて話し合われたほか、老朽化している施設の耐震補強工事の予算の検討に入ることが確認された[10][3][11]

小田原競輪の収支改善のため、2019年10月以降をめどに「ミッドナイト競輪」の開催に乗りだすことになった。ただ、小田原競輪場周辺は都市計画上の規制が多く、建て替えやナイター設備の新設ができない[3]ことから、他場での借り上げによる開催となる。また、現行の市の条例では同競輪場でしか競輪が開催できないことから、小田原市は6月の市議会にて自転車競走実施条例の一部改正案を提出し可決した後、関係団体各所に開催の打診を行った。なお、借り上げ先の競輪場は、神奈川県内で唯一ミッドナイト競輪を開催している川崎競輪場を念頭に置いている[8]。その後、同年12月4日の開催から、川崎競輪場にて借り上げでミッドナイト競輪を初開催することが決定された[12]。それ以降、ミッドナイト競輪は川崎または伊東を借り上げて開催されている。また、懸案だったガールズケイリンの開催も、場内の施設を一部改修したことで目途が立ったため、2021年10月より継続して開催されている。

その後、コロナ禍で巣ごもり需要が高まったことで、インターネットによる車券販売が好調に推移したことや、経営改革の成果もあり、2021年度は5億円の黒字見込みとなるなど経営改善の見通しが立ったことで、当面は存続することが決定した。懸案の施設改修にも目途が付き、2021年12月の市議会常任委員会で収支の黒字維持を条件に、存続の方針を報告した。市側は常任委員会で「少なくとも今後5年間は安定的に競輪事業を継続できる」と説明した[13]

チャリロト[編集]

2012年9月2日からの開催より、重勝式投票にあたるチャリロトが発売される。なお小田原は平塚競輪場川崎競輪場松山競輪場キャリーオーバーを共有する『グループA』としての発売となり、キャリーオーバーの対象外であるチャリロト3は小田原の開催では従前発売されていなかったが、市自転車競走実施規則の改正により、2021年7月のジャパンカップから発売を開始している。

バンク形状[編集]

  • 周長:333.33m 設計速度:14.5m/s 長軸:131.834m 短軸:64.952m
  • ホーム側幅員:11.3m バック側幅員:9.0m センター幅員:7.5m 見なし直線:36.1m
  • 最大カント:35° 34' 12" 直線カント:3° 26' 01"

先行選手が有利な短距離走路であり、みなし直線は全国の競輪場で最も短い数値となっているが、実際の直線距離は確保されており追込選手はやや不利な程度。しかし直線からカーブへのカントの盛り上がりが急なため、コーナーにさしかかる外側からの捲りは決まりにくい。

入場料[編集]

  • 入場料 100円(市内の有料駐車場を利用した場合は無料)
  • バックスタンド指定席 200円(現在使われていない)
  • 特別観覧席(426席全席指定)
    • 本場開催時 1000円
    • 場外開催時 500円(期間限定で300円になる場合あり)

記録[編集]

  • 最高上がりタイム ボテイシャー 8秒7(2014年7月15日)
  • 最高売上記録
    • 第1レース 104,452,300円 2007年8月19日(日曜日)
    • 決勝レース 829,676,000円 2006年8月13日(日曜日)
    • 1日 3,123,654,600円 2007年8月19日(日曜日)
    • 1開催 10,291,541,900円 2007年8月18日~21日
  • 高額払戻金記録
    • 2車単 262,430円 2002年9月17日 第3レース
    • 3連単 1,515,670円 2004年10月23日 第10レース

マスコットキャラクター[編集]

マスコットキャラクターは「輪太郎くん」。ファンからの公募により命名された、それにちなんで「輪太郎くんカップ争奪戦」が開催されている。

1999年8月11日から開催された開設50周年記念競輪を記念して、小田原競輪と小田原市を全国にPRできるようなマスコットキャラクターを募集し、応募作品総数533件の中から決定したマスコットキャラクター「輪太郎くん」は以降、小田原競輪のマスコットキャラクターとして活躍している。

4月19日 小田原競輪場マスコットキャラクター公募
6月21日 作品公募締切
7月22日 マスコットキャラクター決定(応募総数533件)。城下町小田原の歴史に登場する「武将」をモチーフにしたキャラクターと決定した。引き続きマスコットキャラクター・ネーミング公募。
10月13日 第一次選考会
10月21日 マスコットキャラクター・ネーミング「輪太郎くん」と決定。(応募総数3,586件)
12月10日 第4回小田原市営競輪第3日目S級シリーズ第9、第10レース選手紹介後場内ファンに紹介(お披露目)

2014年10月17日から「輪花ちゃん(りんかちゃん)」。輪太郎くんの彼女としてファンからの公募により命名された。これからの小田原競輪のイベントなどでの輪太郎くんとのコラボなどが期待されている。

7月27日 小田原競輪場マスコットキャラクター 輪太郎くんの彼女の名前募集
9月28日 ネーミング募集締切
10月17日 ネーミング「輪花ちゃん」と決定(応募総数747件)。

アクセス[編集]

場外車券売場[編集]

歴代記念競輪優勝者[編集]

優勝者 登録地
2002年 高木隆弘 神奈川
2003年 伏見俊昭 福島
2004年 石毛克幸 千葉
2005年 兵藤一也 群馬
2006年 荒井崇博 佐賀
2007年 佐藤友和 岩手
2008年 海老根恵太 千葉
2009年 藤原憲征 新潟
2010年 坂本亮馬 福岡
2011年 脇本雄太 福井
2012年 浅井康太 三重
2013年 長塚智広 茨城
2014年 桐山敬太郎 神奈川
2015年 池田勇人 埼玉
2016年 郡司浩平 神奈川
2017年 山岸佳太 茨城
2018年 郡司浩平 神奈川
2019年
2020年 和田真久留
2021年[注 4] 松井宏佑
2022年 深谷知広 静岡
2023年 郡司浩平 神奈川
2024年
※1節4日間制開催となった、2002年4月以降の歴代記念競輪優勝者を列記。

サンサンヒルズ小田原[編集]

選手宿舎の「サンサンヒルズ小田原」は、競輪非開催日(本場開催日前後2日間と年末年始を除く)は研修施設として市民に一般供用を行っており、宿泊することもできる。食堂はレストラン・ピガールが運営している。

  • 250-0033 小田原市水之尾143番地の1

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 2008年は6月、2023年は4月に開催された。
  2. ^ 川崎競輪場を借り上げて開催された小田原市営ミッドナイト競輪では、これよりも前に開催実績があった。
  3. ^ 厳密には、PIST6を開催しているTIPSTAR DOME CHIBAもガールズケイリンの開催実績はない。なお、開始時期は未定だが小松島競輪場、TIPSTA DOME CHIBAともにガールズケイリンの開催計画はある。
  4. ^ COVID-19対策の為無観客での開催となった。

出典[編集]

  1. ^ 小田原けいりん|データルーム|サンサンガールズ
  2. ^ 新たな顔に 小田原競輪「加トちゃん」 - タウンニュース 箱根・湯河原・真鶴版 2011年4月22日号
  3. ^ a b c “小田原競輪場存廃の結論先送り 収支改善策と改修費比較へ”. 神奈川新聞 (神奈川新聞社). (2019年2月21日). https://www.kanaloco.jp/article/entry-150824.html 2019年6月1日閲覧。 
  4. ^ 練習部屋リフォームで控え室も確保、小田原で初のガールズ開催 - 日刊スポーツ 「敢闘門の向こう側」 2021年10月9日
  5. ^ “石井寛子が全場でV達成 ~福井競輪場~”. プロスポーツ (日刊プロスポーツ新聞社). (2021年5月5日). https://www.yen-joy.net/news/daily/detail/3/20210505/20043 2021年5月9日閲覧。 
  6. ^ “当地初ガールズは地元の尾崎睦V、ガールズ開催ないのは小松島だけ/小田原”. 日刊スポーツ (日刊スポーツ新聞社). (2021年10月12日). https://www.nikkansports.com/public_race/news/202110120000386.html 2021年10月12日閲覧。 
  7. ^ a b “小田原競輪廃止へ 複数の関係者「見通しは厳しい」最短20年の3月末にも…”. スポーツ報知 (報知新聞社). (2018年11月6日). https://hochi.news/articles/20181105-OHT1T50148.html 2019年6月1日閲覧。 
  8. ^ a b “他競輪場で「ミッドナイト競輪」を検討 小田原競輪が模索”. 神奈川新聞 (神奈川新聞社). (2019年5月30日). https://www.kanaloco.jp/article/entry-171045.html 2019年6月1日閲覧。 
  9. ^ “小田原競輪、廃止の方向 赤字で存廃再検討、来年2月結論”. 神奈川新聞 (神奈川新聞社). (2018年11月6日). https://www.kanaloco.jp/article/entry-38667.html 2019年6月1日閲覧。 
  10. ^ 小田原競輪の今後に向けた検討結果について”. 小田原市 (2019年2月25日). 2019年6月1日閲覧。
  11. ^ “小田原競輪は予定通り存続へ 小田原市が方針固める”. 日刊スポーツ (日刊スポーツ新聞社). (2019年2月21日). https://www.nikkansports.com/public_race/news/201902210000625.html 2019年6月1日閲覧。 
  12. ^ 令和元年度下期開催日程” (PDF). JKA (2019年8月9日). 2019年8月11日閲覧。
  13. ^ “小田原競輪、一転存続へ 「巣ごもり需要」で黒字に転換”. 神奈川新聞 (神奈川新聞社). (2021年12月2日). https://www.kanaloco.jp/news/government/article-763357.html 2021年12月2日閲覧。 ※有料会員限定記事のため、全文閲覧には会員登録が必要

外部リンク[編集]