こじし座
Leo Minor | |
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属格形 | Leonis Minoris |
略符 | LMi |
発音 | 英語発音: [ˌliːoʊ ˈmaɪnər]、属格:/liːˈoʊnɨs mɨˈnɒrɨs/ |
象徴 | 小さいほうのライオン[1] |
概略位置:赤経 | 09h 22m 35.0s - 11h 06m 51.4s[1] |
概略位置:赤緯 | +22.84° - +41.43°[1] |
広さ | 232平方度[2] (64位) |
バイエル符号/ フラムスティード番号 を持つ恒星数 | 34 |
3.0等より明るい恒星数 | 0 |
最輝星 | 46 LMi(3.83等) |
メシエ天体数 | 0 |
確定流星群 | こじし座流星群[3] |
隣接する星座 |
おおぐま座 やまねこ座 かに座(角で接する) しし座 |
こじし座(こじしざ、Leo Minor)は現代の88星座の1つ。17世紀末に考案された新しい星座で、ライオンがモチーフとされている[1][4]。しし座とおおぐま座の間の領域に位置しており、4等星より明るい星がなく目立たない星座である。α星が存在しない4つの星座のうちの1つとして知られる[注 1]。
主な天体
[編集]この星座にはβ星はあるがα星はない。これは、フランシス・ベイリーが1845年に刊行した星図『British Association Catalogue』 の中でこの星座の星にギリシア文字の符号を振った際に、現在の46番星にαの符号を振り忘れたことによるものと考えられている[4]。
恒星
[編集]国際天文学連合 (IAU) によって2個の恒星に固有名が認証されている[5]。
- 46番星:見かけの明るさ3.83等の[6]と特に明るい星ではないが、こじし座で最も明るい恒星。「プラエキプア[7](Praecipua[5])」という固有名を持つ。
- HD 82886:国際天文学連合の100周年記念行事「IAU100 NameExoworlds」でアルバニアに命名権が与えられ、主星はIllyrian、太陽系外惑星はArberと命名された[8]。
その他、以下の恒星が知られている。
由来と歴史
[編集]2世紀頃の古代ローマの学者クラウディオス・プトレマイオスは著書『アルマゲスト』の中で、現在のこじし座の領域にある星々を「星座に属さない星」として記録していた[4]。オランダのペトルス・プランシウスは、1612年に製作した天球儀の上で、これらの星をヨルダン川に見立てた「ヨルダン座」を置いた[11]。このヨルダン座は、のちの1624年にヤコブス・バルチウスの著書『Usus Astronomicus Planisphaerii Stellati』で星図に描かれたことから、バルチウスが考案した星座であると誤解されることもある[11]。
こじし座は、17世紀末にポーランド生まれの天文学者ヨハネス・ヘヴェリウスによって考案された[4]。ヘヴェリウスの死後の1690年に妻によって刊行された著書『Prodromus Astronomiae』に収められた星図『Firmamentum Sobiescianum』と星表『Catalogus Stellarum』に記載されたのが初出である。ヘヴェリウスは、プランシウスがヨルダン座を置いた領域を、やまねこ座・りょうけん座・こじし座の3星座に改めた[4]。
1922年5月にローマで開催されたIAUの設立総会で現行の88星座が定められた際にそのうちの1つとして選定され、星座名は Leo Minor、略称は LMi と正式に定められた[12]。新しい星座のため星座にまつわる神話や伝承はない。
中国
[編集]中国の天文では、こじし座の星々は三垣の太微垣と紫微垣、二十八宿の朱雀七宿の星宿に跨っていた[13]。太微垣では「少微」という星官に52番星が「大夫」、41番星が「議士」という星名で属した[13]。紫微垣では「勢」という星官に34番星と33番星が属した[13]。星宿では「内平」という星官に22・21・13・18の4星が属した[13]。
呼称と方言
[編集]日本では、明治末期には既に「小獅子」という訳語が充てられていた。これは、1909年(明治42年)1月刊行の日本天文学会の会報『天文月報』第1巻10号に掲載された「一月の空」という記事の星図でうかがい知ることができる[14]。この訳名は、1925年(大正14年)に初版が刊行された『理科年表』にも「小獅子(こしし)」として引き継がれ[15]、この訳名が1943年(昭和18年)刊行の第19冊まで継続して使われた[16]。1944年(昭和19年)に天文学用語が改訂されると、その際に読みが「こじし」と改められた[17]。そして、戦後の1952年(昭和27年)7月に日本天文学会が「星座名はひらがなまたはカタカナで表記する」[18]とした際に、Leo Minor の日本語の学名は「こじし」と定まり[19]、これ以降は「こじし」という学名が継続して用いられている。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d “The Constellations”. 国際天文学連合. 2023年1月20日閲覧。
- ^ “星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
- ^ “流星群の和名一覧(極大の日付順)”. 国立天文台(NAOJ) (2021年12月30日). 2022年12月15日閲覧。
- ^ a b c d e Ridpath, Ian. “Leo Minor”. Star Tales. 2023年1月20日閲覧。
- ^ a b “IAU Catalog of Star Names (IAU-CSN)”. 国際天文学連合 (2022年4月4日). 2022年12月14日閲覧。
- ^ "46 LMi". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年12月15日閲覧。
- ^ “Approved names” (英語). Name Exoworlds. 国際天文学連合 (2019年12月17日). 2019年12月31日閲覧。
- ^ a b "bet LMi". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月20日閲覧。
- ^ "R LMi". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月20日閲覧。
- ^ a b Ridpath, Ian. “Jordanus”. Star Tales. 2022年12月15日閲覧。
- ^ Ridpath, Ian. “The IAU list of the 88 constellations and their abbreviations”. Star Tales. 2023年1月20日閲覧。
- ^ a b c d 大崎正次「中国の星座・星名の同定一覧表」『中国の星座の歴史』雄山閣出版、1987年5月5日、294-341頁。ISBN 4-639-00647-0。
- ^ 「星座名」『天文月報』第1巻第10号、1909年1月、10頁、ISSN 0374-2466。
- ^ 東京天文台 編『理科年表 第1冊』丸善、1925年、61-64頁 。
- ^ 東京天文台 編『理科年表 第19冊』丸善、1943年、B22-B23頁 。
- ^ 学術研究会議 編「星座名」『天文術語集』1944年1月、10頁。doi:10.11501/1124236 。
- ^ 『文部省学術用語集天文学編(増訂版)』(第1刷)日本学術振興会、1994年11月15日、316頁。ISBN 4-8181-9404-2。
- ^ 「星座名」『天文月報』第45巻第10号、1952年10月、158頁、ISSN 0374-2466。