防衛不祥事

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防衛不祥事(ぼうえいふしょうじ)は、軍隊や国防省庁、またはこれらに所属する職員・軍人が組織・職員としてふさわしくないこと(所謂、信用失墜行為)を起こすことをいう。国防不祥事(こくぼうふしょうじ)や軍事不祥事(ぐんじふしょうじ)とも言われる。

その態様は

  1. 個人によるもの(性犯罪、暴力事件、窃盗、横領、飲酒運転、薬物など)
  2. 組織と防衛産業の癒着によるもの並びに組織ぐるみの隠蔽工作(贈収賄談合など)

に区別される。本項では主に後者に該当する事案を列挙する。

主な不祥事

日本

2005年以前

3月 - 航空幕僚監部防衛部防衛課長の1佐が防衛関連企業関係者に秘密情報を流したとして自衛隊法違反で逮捕される。直後に上司の空将補が自殺。
7月 - 神奈川県横須賀市少年工科学校において、渡河訓練中の事故により陸上自衛隊生徒1等陸士)13名が殉職。
2月 - ダグラス・グラマン事件
7月 - 栗栖弘臣統合幕僚会議議長有事法制の制定を求める「超法規行動の可能性」発言を週刊ポスト誌上で行う。文民統制に悖るものとして事実上の解任。
  • 1980年 - 宮永スパイ事件が発覚。防衛庁長官、陸上幕僚長らが引責辞任。
  • 1981年 - 竹田五郎統合幕僚会議議長が『月刊宝石』3月号で専守防衛政策を批判。これに対し日本社会党は衆議院予算委員会において竹田の罷免を要求、同委員会は紛糾した。大村襄治防衛庁長官が竹田を注意処分とし、これを受けて責任を取る形で同年2月16日付で退官。
  • 1983年 - 防衛庁職員が勤務時間中に違法ポルノビデオ鑑賞会。参加者及びその上司ら7人が懲戒処分を受ける[1]
  • 1984年 - 訓練自衛官小銃乱射事件
  • 1986年 - 東部方面総監・増岡鼎陸将が『月曜評論』誌上での松原正との対談中、「自衛隊員は不動の姿勢を2~30分取るだけで卒倒するような落ちこぼればかり来る」と発言。加藤紘一防衛庁長官から譴責を受け、本人が引責、中村守雄陸上幕僚長も監督責任を取り辞任。増岡は退官後も「社会党中心の左翼政権など認められない、自衛隊は自民党によって作られたのだから去る者が多数出るだろう」と発言している(『軍事研究』89年11月号)。
  • 1988年 - なだしお事件
  • 1994年11月 - 東富士演習場違法射撃事件。2000年3月に関係者が逮捕・起訴され事案関係者の陸将2名と陸将補1名が引責辞任。
  • 1998年
初頭 - 防衛庁調達実施本部背任事件
末頃 - 海上自衛隊次期救難飛行艇開発をめぐり、富士重工業から現金500万円を受け取ったとして、防衛政務次官中島洋次郎が受託収賄で逮捕され、二審判決有罪の上告中に自殺する。富士重工業の会長及び専務も贈賄罪で逮捕。
  • 1999年 - さわぎり (護衛艦)事件。当時21歳の機関科所属の3等海曹自殺について、遺族が国家賠償請求を起こした。自衛官の自殺をめぐる国賠訴訟は、これが最初である。自殺の原因は不明だが遺族によると、上官からの執拗な「いじめ」を受けていたという。この裁判の中で、艦内の飲酒や博打、別の三曹学生(訓練中の海上自衛官)の貯金を上司が勝手に引き出したという事実も発覚した。このため、青山春光艦長および三尉以上の同艦幹部9人らをはじめとして乗員180名のうち61名の大量の処分者をだした。青山艦長らは2000年3月24日付で異動させられた。さわぎりの係争は2008年8月、自殺と上官の言動に因果関係があった旨認定され、遺族に350万円の賠償を命じる判決が国に下った[2]
  • 2000年9月 - ボガチョンコフ事件
  • 2001年6月25日 - 航空自衛隊F-4EJが島松射爆撃場で機関砲が暴発。
  • 2002年2月 - 防衛庁が情報公開法に基づく資料請求者の身元を本人に無断で調査しリスト化。「市民グループ」「元自衛官」「マスコミ」等とまとめ、該当者については「反基地運動の象徴」「反戦自衛官」と注釈を付けていた事も発覚(海幕3等海佐開示請求者リスト事案)。当時の長官官房長と文書課長が更迭され、事務次官が減給処分、陸海空幕僚長も内規に基づく注意処分を受ける[3]
  • 2004年10月 - 護衛艦たちかぜ暴行恐喝事件たちかぜ自衛官いじめ自殺事件。2014年5月国が遺族に賠償を命じる判決が確定。2014年9月、海上幕僚監部はいじめ自殺事件に関わる調査書類を破棄するよう指示した当時の事案関係者34名を停職や減給の懲戒処分に処したことを発表した[4]。なお、内部告発を行った三等海佐に対しては小野寺前防衛相が処分に対する否定的見解を表明していたこともあり、処分の対象とはならなかった。
  • 2005年
5月 - 5月31日付の読売新聞朝刊に、中国海軍の潜水艦が事故のため南シナ海で航行不能と報じられた。これに伴い、2008年3月25日陸上自衛隊警務隊は記者に情報を提供した情報本部の1等空佐を自衛隊法違反(防衛秘密の漏洩)で東京地検に書類送検。1佐は懲戒免職となり起訴猶予処分。
- 海上自衛隊横須賀基地で潜水艦乗員の大麻所持が判明。17人が逮捕・送検され懲戒処分。
11月 - 航空自衛隊浜松基地で3等空曹が指導役の隊員から再三にわたる暴言や暴行の上「反省文100枚、でなければ辞表だ」と強要されるパワーハラスメントを受け、うつ病で自殺。上司も放置したとして2008年に遺族から防衛省と共に提訴され、2011年7月、請求8千万円に対し3千万円の賠償を命じられる判決が確定。

2006年

  • 1月30日 - 防衛施設庁談合事件。この事件を受け防衛施設庁は、翌年防衛省に統合される形で廃止される。
  • 2月 - 護衛艦あさゆきの関係者所有とみられるPCから海上自衛隊暗号資料や自衛隊隊員名簿など極秘文書が流出。防衛庁は暴露ウイルス対策として自衛隊より私物PC持込排除を行った。
  • 5月 - イラク派遣中の陸上自衛隊第9次復興支援群の准陸尉が、9mm拳銃の実弾を宿営地外で紛失したにもかかわらず、それを隠蔽していたことが発覚。イラク派遣部隊初の懲戒処分(停職)を受ける[5]
  • 9月 - 航空自衛隊北部航空警戒管制団の女性士長が、勤務中の男性三曹から呼び出された上、性的暴力を受けたりし、その後基地幹部に訴え出たものの、逆に退職を強要されたため在職中の2007年5月に札幌地方裁判所に提訴。原告の隊員は提訴後の2009年3月任期満了後の継続任用拒否によって退官。2010年7月29日に同地裁は、「上下関係などを利用した性的暴行で、また、上官らが露骨に退職に追い込もうとした」として、組織的なセクシャルハラスメントと認定し、約580万円の支払いを命じた[6]。控訴せず一審判決が確定。
  • 6月9月 - 自衛官による薬物事案が相次いで発生したことを受け、全隊員に対する薬物検査を実施。以後の採用及び入隊時の身体検査にも薬物検査が行われるようになり、防衛省は毎年6月を薬物撲滅強化期間として取締を強化する。
  • 11月 - 真駒内駐屯地第11後方支援連隊輸送隊所属の1等陸士(当時20歳)が徒手格闘訓練中に死亡。2010年に遺族が提訴。2013年4月に国に対して総額約6500万の支払いを命じる判決が確定[7]

2007年

2008年

  • 2月19日 - イージス艦衝突事故。2人が死亡。
  • 6月12日 - 第37普通科連隊でレンジャー訓練中、疲労のため座り込んでしまった陸士長が教官の1等陸曹から「立て」などと怒鳴られた上、平手打ちを数回受け、目に障害の残る重傷を負う。1曹は12月に傷害罪で罰金40万円の略式命令、2011年4月に停職7日間の懲戒処分。陸士長は2009年8月に賠償を求めて提訴し、2011年5月、請求額の9割を受け取る内容で防衛省と和解[8]
  • 7月6日未明 - 海上自衛隊の護衛艦さわゆきの海士長が艦内の施設に放火し懲戒免職。なお、この火災の取材の為現場に向かっていたABAの取材クルーを乗せたヘリコプターが、大間沖で消息不明となり搭乗員4名が死亡。
  • 8月 - さわぎり事件。自殺した乗組員の遺族が防衛省を提訴。自殺と上官の言動に因果関係があった旨が認定され、防衛省に賠償命令が下される。
  • 8月29日 - 古河駐屯地二等陸尉が、「爆薬を舐めてみたい者はいるか」と、訓練中の新人隊員にプラスチック爆薬を舐めさせ、うち22人をトリメチレントリニトロアミンの急性中毒にしていたことが発覚。防衛省は2009年12月5日までに、当該の二等陸尉を減給5分の1の懲戒処分とするなど、関係した幹部計4人を処分[9]
  • 10月13日 - 海上自衛隊第1術科学校特別警備課程(特別警備隊員養成部門)で7月と9月に、別隊への異動が決定していた隊員に対し「餞別の対集団格闘訓練」が行われ9月に異動予定だった隊員は急性硬膜下血腫で死亡。審判役の2等海曹が2009年8月に業務上過失致死で罰金刑。防衛省の事故調査委員会は「不必要で危険度も高かった」として2等海曹を停職20日とした他19人に懲戒処分赤星慶治海上幕僚長に注意処分[10]
  • 10月15日 - 医療機器汚職。防衛医科大学校病院眼科部長が、「ヤマト樹脂光学」(破産)社長から病院への医療機器導入で便宜を図った見返りに現金250万円を受け取っていた事、他にも前任者の当時から不適切な関係が続いていた事が判明。収賄容疑で逮捕の後、2009年3月に自衛隊員倫理規定違反で懲戒免職。刑事処分としても有罪判決が下される。[11]
  • 10月31日 - 田母神俊雄航空幕僚長が民間の懸賞論文に応募し最優秀賞を受けたが、応募作は政府統一見解に真っ向から反する内容だったことが発覚。文民統制に逆らうものであるとして幕僚長を解任される。
  • 11月25日 - 航空自衛隊第1術科学校で校長のセクシャルハラスメントが発覚。8月下旬に女性隊員の身体を触るなどしていたという。航空幕僚監部付へ更迭の後停職処分を受け依願退職[12]。なお、この更迭人事は当初官報にのみ記載されており防衛省から公表されていなかったことが後に指摘されたため、これを不祥事の隠蔽にあたると判断した時の防衛大臣・浜田靖一はこれ以降、1佐以上の人事発令については不定期異動を含めすべて公表するよう指示した。

2009年

  • 2月13日 - 自衛隊鳥取地方協力本部において、公費不正流用事件に関与した本部長が停職処分を受ける[13]
  • 2月19日 - 中央情報隊隊長の陸将補が、勤務時間中に官給品のパソコンを使用して2ちゃんねるなど職務に関係のないサイトへ数次にわたり接続・閲覧していたことが内部調査で判明。自衛隊法(職務に専念する義務)違反により減給処分を受けると共に指揮官職を解かれる。[14]
  • 3月 - 弾道ミサイル防衛のため静岡県浜松基地から秋田県に向け器材を輸送していた航空自衛隊の高射教導隊の隊員が車両事故を起こす。後日、責任を取る形でこの隊司令が交代(事実上の更迭)。[15]
  • 7月 - 練馬駐屯地内における薬物汚染。所属隊員が大麻取締法違反で逮捕(後に懲戒免職)されたことを受け、駐屯地の隊員2000名の尿検査を実施したところ、4名から大麻の陽性反応を検出(うち2名が懲戒免職)。また、多賀城駐屯地で懲戒免職となった隊員は入隊前から薬物の使用歴があったことも判明。後日、この隊員に乾燥大麻を譲渡した小学生時代からの友人も同法違反の罪で逮捕。[16]
  • 8月 - 自衛隊鹿児島地方協力本部募集所長の1等陸尉が、火箱芳文陸上幕僚長も含めた全陸上自衛官14万人分の「隊員出身地カード」(隊員の本籍・家族構成・続柄・所属部隊等が記載)の内容を、防衛省人事教育局の中央コンピュータから引き出してリスト化し、データを無許可でCD-Rに複写して部外者に売却していた事が判明。行政機関個人情報保護法違反容疑で警務隊に逮捕される。同年12月、鹿児島地裁で1尉に懲役2年、情報を購入した不動産業者に懲役10ヶ月の実刑判決が下され、1尉は懲戒免職処分。

2010年

  • 6月 - 2009年11月に東富士演習場内の私有地域に植生していた木を無断で持ちだそうとしたとして、第1施設団団長(陸将補)が4日付で減給処分を受けるとともに同月8日付けをもって指揮官職を解かれ、陸上幕僚監部付に更迭される[20][21]
  • 9月
    • 横須賀地方隊横須賀造修補給所で2008年から当直員達が交代で抜け出し飲酒していた事が、泥酔者が警察に保護されたことから発覚。関係職員28人が免職を含む懲戒処分となる[22]
    • 自衛隊ハイチPKO派遣の2次隊に参加した隊員が宿営地内で短銃の誤射を起こしたにもかかわらず、上級部隊に虚偽の報告をしていたことが発覚。事案関係者である第5旅団の3等陸佐以下5名が停職を含む懲戒処分を受ける。
    • 北部方面総監部法務官(前特科群長)の1等陸佐が市内で飲酒の後、自転車で帰宅していたところを道路交通法違反(軽車両の酒気帯び運転)の現行犯で検挙される。9月17日付で総監部付となり[23]その後10月29日付で停職11日の処分を受け依願退職[24]
    • 自衛隊横須賀病院における医療ミスにより患者の1等陸尉が死亡[25]
  • 10月 - 第10普通科連隊の元連隊長3名が部外の協力団体から賛助金名目で金銭を授受していたとして減給処分[26]

2011年

  • 12月 - 米軍普天間飛行場移設を巡り田中聡・沖縄防衛局長が不適切発言を行い、11月29日付で解任。12月9日付で停職40日、また一川保夫防衛大臣が自身の在職中の大臣給与を全額、防衛副大臣及び防衛大臣政務官もそれぞれ給与1ヶ月分を国庫に返納することを発表。発言行為を理由に停職処分が科されるのは異例。

2012年

  • 5月 - 第2師団で2011年9月、陸曹候補生履修前教育に参加していた陸士長11人に対し、人間ピラミッドを組ませて熱したアイロンを尻に押し付ける・太腿を蹴るなどの暴行が行なわれていた事が発覚。教官及び助教を務めた第2後方支援連隊所属の2等陸曹・1等陸尉など5人が停職処分[27]
  • 9月 - 航空自衛隊小牧基地から2006年4月にクウェートのアリ・アルサレム空軍基地へ派遣された三等空曹の男性が、7月4日に現地で米軍の大型バスにはねられ、後遺症の残る大けがをしていた。空自の上官は、防衛庁長官の現地視察の際などは首のコルセットを外すよう命令、事故から帰国までの2ヶ月弱、早期帰国の措置も取られず、公務災害補償の手続きも指摘するまで行わないなど事故隠しに走り、まともな治療も受けられなかったとして国に損害賠償を求める訴訟を名古屋地裁に起こす。イラク特措法で派遣された自衛官が国を訴えるのは初めて。帰国後、小牧市の病院で外傷性顎関節症と診断され、医師から「なぜ放置したのか」と聞かれたと言う。7月17日、任期満了の自衛官を帰国させる専用便があり、6月27日にテコンドーの練習中にアキレス腱を切った隊員は同乗したが、大型バスに轢かれた三等空曹の帰国は認められなかった。三等空曹は痛みから執務室で横になることが多く、仕事にならないため、事実上の欠員状態だったが、交代要員が送られることはなかった。[28]イラク特措法でクウェートへ派遣された三等空曹の事故を岩崎茂統合幕僚長は「事故の報告があったとは確認できていない。」と8月30日に述べ、事故当時、航空幕僚監部人事教育部長だった岩崎氏は「事故があったとは聞いていた。いつ聞いたかは記憶にない。対応は部署ごとに任せている」と述べ報告は空幕どまりだった。[29]
  • 9月 - 陸上自衛隊の観測用ヘリコプター(OH-1)をベースにした次期多用途ヘリコプターの開発計画(UH-X)を巡る談合疑惑が浮上。受注に当たって富士重工を排除しようとした川崎重工業など関連企業と防衛省技術研究本部東京地方検察庁特別捜査部の家宅捜索を受ける[30]。この談合問題について、川崎重工業の株主らが2014年6月に同社の村山滋社長ら経営陣を相手取り、談合当時の取締役だった村山社長らが同社に談合による損失を賠償するよう、総額46億2,600万円の支払いを求める株主代表訴訟神戸地方裁判所に起こしている[31]
  • 12月 - 三菱電機住友重機械工業ほか関係会社5社による防衛装備品の調達等を巡る過大請求事案が発覚[32]

2013年

  • 6月 - 陸上自衛隊西部方面総監部が地元の熊本市や九州電力、鉄道事業者などとの会合の席で独自の天気予報を公開し警戒を呼びかける。気象業務法違反であり気象庁が注意[33]
  • 7月 - 海上自衛隊幹部候補生学校に入校していた36歳の男性海曹長が、同期の20歳代の男性の顔面を殴るなどした。他にもこの海曹長は、被害男性に対し人格否定の暴言や暴力を繰り返していたとされ、他に暴力行為などで4度の処分歴があったとされる。被害男性はこれらが元で状態となり、自殺未遂事件も起こすなどし、最終的には退校を余儀無くされた。警務隊は加害者の海曹長を呉区検暴行容疑で書類送検(その後不起訴)し、減給10分の1の懲戒処分としたが、「職務に関連しない私的行為であり、この場合は停職以上に限り公表する」などを理由として、2014年3月10日に報道されるまで公表していなかった[34]
  • 8月
  • 9月
    • 防衛大学校学生保険金詐欺事件 - けがを装い保険会社から保険金を詐取した学生13名が退校処分。真似をしていた者は更に多かった事が判明し、2014年9月、当時の学生だった3等空尉・3等海尉の計4人を警務隊が送検。全員が懲戒免職となる[36]。事案発覚当時の防衛大学校幹事が2015年3月30日付で退職。引責辞任と見られる。
    • 航空自衛隊飛行開発実験団司令が部下の女性自衛官複数にセクシャルハラスメント。航空幕僚監部への訴えで調査が進められていた。10月4日付けで上級部隊・航空開発実験集団司令部付に更迭[37]、12月13日に停職5日の処分を受け依願退職[38]
  • 10月
    • 陸上自衛隊が保有する爆薬・火薬類のうち、民間預託分88億円分について、出し入れの記録がない・費消されているはずなのに現物が残っている、など帳簿記録と実際の保管数が合わない状況にあることが会計検査院の監査で判明。物品管理法火薬類取締法武器等製造法に抵触[39]
    • 第35普通科連隊所属の陸曹が東富士演習場での訓練中、自身の89式5.56mm小銃を紛失。8万人規模で捜索するも発見に至らず東部方面警務隊が窃盗容疑で捜査開始[40]。8月に朝霞で紛失した実弾を装填すれば対人殺傷に用いることが出来るが、防衛省・自衛隊からこの件に関する事後報告は2016年現在も行われていない。2015年3月の将官人事において第10師団長が交代したため、事実上の更迭と見られる。
  • 11月 - 陸上幕僚監部情報機関「運用支援・情報部別班」が冷戦中の前身・「調査第二部」時代から独断で、東ヨーロッパ・中国・韓国・ソ連などに拠点を作って、身分を偽装して入国した陸上自衛官達による情報収集活動を行なっていた事、その事実は首相や防衛大臣(当時は防衛庁長官)にも知らされていなかったことが報道される。文民統制違反の疑い[41][42]

2014年

  • 8月 - 防衛大学校で2年生の男子学生が上級生から集団で連続暴行・嫌がらせを受けて抑鬱状態となり休職。8月7日、関与者を傷害罪で告訴[43]。本省も小野寺五典大臣が「あってはならない事」と調査を命じる[44]
  • 8月 - 愛知県三河地方の陸上自衛隊高等工科学校元生徒が、いじめや職員の体罰に適切に対処するよう求めたが学校側が対処せず退学を余儀なくされたとして国と8人部屋で暮らした同級生ら2人を相手に計約700万円の損害賠償を求め名古屋地裁岡崎支部に提訴[45]
  • 9月 - 海上自衛隊横須賀地方隊所属の護衛艦において、艦内での恒常的ないじめを原因とする隊員の自殺が発覚。いじめを多数の隊員や上司が目撃・把握していたにも関わらず適切な処置が取られなかったこと、自殺の翌日死亡した隊員の携帯電話を海に捨てるなどの証拠隠滅工作も明らかとなり被疑者である1等海曹が暴行と器物損壊容疑で書類送検[46]2015年6月、同容疑者に対し横浜簡裁から罰金80万円の略式命令が下される。

2015年

  • 8月 - 防衛省陸上幕僚監部に所属する班長の1等陸佐が2014年3月から2015年6月にかけ、部下の複数の隊員に対し「バカ」「目障りだ」などの発言を繰り返したり、机を叩いたりするなどのパワーハラスメントを繰り返す。さらに、この影響で体調不良を訴えた隊員の休養申請を承認しなかったことも判明。2015年8月26日でこの1等陸佐を停職5日間とした後、9月1日付で研究本部に左遷。上司に当たる46歳の男性課長(1等陸佐)についても、監督不行届きとして戒告処分とした[47]。12月には第1特科団でも同様のパワハラが発覚し、加害者が停職処分になっている[48]
  • 9月 - 河野克俊統合幕僚長が14年12月に訪米してアメリカ軍高官(国防副長官、陸軍参謀総長)と会談した際、「平和安全法制は夏には成立するはず」「オスプレイの不安は一部活動家が煽っているだけ」と発言した。[49][50]
  • 11月 - 元陸上自衛隊東部方面総監泉一成が退官後の2013年、現役陸将を含む幹部自衛官を通じて陸上自衛隊の部内資料をロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)所属の駐在武官に流出させたことが発覚。警視庁公安部が泉と事案関係者を12月4日付で書類送検[51]12月18日付で書類送検された関係者は不起訴(起訴猶予)となったことを受け、防衛省は関係職員を12月22日付で処分。
  • 12月 - 海上自衛隊次期多用途ヘリコプターの調達過程で不正があったとの公益通報を受け、防衛監察本部が異例となる特別防衛監察を開始したことが判明[52]

2016年

  • 3月
    • 戦闘服ビニロン製品なので一般にはほとんど需要がない)の受注を巡り、談合の疑いが判明。関係8社に公正取引委員会の調査が行われる[53]
    • 座間駐屯地駐屯地司令業務室が、座間市の許可を得ずに、市のマスコットキャラクター「ざまりん」に戦闘服を着せ武装させる画像改変を行ない、室の公用封筒に印刷使用していたことが判明。外部からの指摘を受け使用を中止[54]

韓国

  • 1971年8月 - 実尾島事件
  • 2005年1月 - 陸軍の中隊長が便所の水を流していない訓練兵らに立腹し、全員を集めて指を大便につけるよう強要し、それでも誰も自首しなかったため、大便つきの指を口に入れるよう命令した。(韓国陸軍訓練所食糞事件
  • 2005年6月 - 北朝鮮とのDMZ(非武装地帯)に隣接する最前線警戒所で任務に当たっていた22歳の兵士が、日常的な上官からの言葉の暴力に耐えかね、手榴弾と自動小銃の乱射により同僚兵士8人を射殺・爆殺するという事件が発生する。(漣川軍部隊銃乱射事件
  • 2011年7月 - 海兵隊で、19歳の兵士が部内のいじめに耐えかねて自動小銃を周囲に乱射し、手榴弾で自殺を図る。4人死亡、本人を含む2人負傷。(江華島海兵隊銃乱射事件
  • 2014年4月 - 陸軍第28師団の1等兵が死亡した事件(漣川後任兵暴行致死事件
  • 2014年6月 - 江原道高城郡で、境界線の警備などを担当していた韓国軍の兵長が、同僚に手榴弾を投げ、自動小銃を乱射し、逃亡。(江原道高城郡兵長銃乱射事件

米国

脚注

  1. ^ 「週刊日録20世紀」(講談社、1998年)
  2. ^ 「自衛官自殺 いじめ認定、原告側が逆転勝訴 福岡高裁」毎日新聞8月25日
  3. ^ 官房長ら更迭、次官は慰留 防衛庁長官、29人処分47NEWS、2012年1月23日閲覧
  4. ^ 文書隠蔽で34人処分、海自護衛艦「たちかぜ」いじめ訴訟で(MSN産経、2014/09/26閲覧)
  5. ^ 読売新聞2006年5月19日付
  6. ^ 「空自セクハラ訴訟:性暴力・退職強要、認定 国に580万円賠償命令--札幌地裁」 毎日新聞 2010年7月30日
  7. ^ 「命の雫」裁判
  8. ^ 陸自教官の暴行、隊員へ4800万円支払いで和解 朝日新聞2011年5月24日
  9. ^ 爆薬なめさせ、22人中毒に 古河・陸自教官を減給処分 47NEWS 2009年12月5日
  10. ^ 海上自衛隊特別警備隊関係の課程学生の死亡事案に関する懲戒処分等について(防衛省報道資料、2009年9月。)
  11. ^ 平成21年防衛白書、324頁。
  12. ^ 「セクハラ更迭の空将補を停職=部下の体触る、依願退職へ」 時事通信2008年11月25日
  13. ^ 自衛隊鳥取地本で不正流用、当時の本部長を停職・更迭(リンク切れ)
  14. ^ ネット閲覧、陸将補を処分…職場PCから携帯サイト読売新聞2009年2月20日
  15. ^ 2009年4月15日付防衛省人事発令(1佐人事)。
  16. ^ 時事ドットコム2009年8月7日
  17. ^ 防衛省報道資料,2010年3月31日
  18. ^ 防衛省人事発令、2010年7月26日将補人事を参照のこと
  19. ^ 空自、4年間の全契約が官製談合、航空幕僚長が退任、50人を処分
  20. ^ 防衛省:「もみの木」無断で掘り起こさせ、陸将補減給--静岡・東富士演習場内 毎日jp、2010年6月6日閲覧
  21. ^ 防衛省人事発令(6月8日付将補人事)
  22. ^ 海自隊員ら28人懲戒処分 3年間、当直抜け出し飲酒共同通信
  23. ^ 防衛省発令・2010年9月17日付1佐人事
  24. ^ 防衛省発令・2010年11月1日付1佐人事
  25. ^ 手術ミスで陸自隊員の患者死亡、病院側が公表 神奈川新聞
  26. ^ 陸自第11旅団:元連隊長3人を減給 賛助金名目で440万円受領(リンク切れ)
  27. ^ 陸曹候補生11人に暴行、旭川 5人を停職処分 共同通信
  28. ^ 2012年8月27日の中日新聞朝刊記事
  29. ^ 2012年8月31日の中日新聞朝刊記事
  30. ^ 佐官級幹部が漏洩か、川崎重工などに入札情報(MSN産経、2012/9/6閲覧)
  31. ^ 株主代表訴訟:「官製談合で損害」川崎重工業社長らを提訴 毎日新聞 2014年6月23日
  32. ^ 三菱電機等による過大請求事案の概要及び再発防止策について(防衛省報道資料、2012/12/21)
  33. ^ 「陸自が独自の天気予報公表、気象庁が注意」朝日新聞2013年6月12日
  34. ^ 書類送検:海自幹部候補生の暴行暴言受け同期生自殺未遂 毎日新聞 2014年3月10日
  35. ^ 練馬自衛隊基地ウォッチング:日米軍事演習の最大の敵は「汚物」 日本平和委員会・NPJ通信
  36. ^ 防大保険金詐欺で書類送検、男性3尉4人懲戒免 読売新聞2014年9月2日
  37. ^ セクハラの疑いで空将補更迭 複数の女性隊員被害か 日テレNEWS2013年10月4日
  38. ^ セクハラで空将補停職処分 複数隊員が被害、退職意向 共同通信2013年12月13日
  39. ^ 陸自、弾薬管理ずさん 88億円分、帳簿と在庫数合わず 朝日新聞2013年10月6日
  40. ^ 小銃紛失、窃盗容疑で捜査、8万人投入も発見できず ウォール・ストリート・ジャーナル2013年12月25日
  41. ^ 陸自、独断で海外情報活動/首相や防衛相に知らせず/文民統制を逸脱/民主国家の根幹脅かす 共同通信2013年11月28日
  42. ^ 陸自「別班」危険な暴走 ──シビリアンコントロールの危機──世界」2014年3月号、岩波書店
  43. ^ 「防大は人権や命を大切にする人を育てて」上級生ら8人告訴の防大生の母 LINEには裸写真 産経新聞2014年8月4日
  44. ^ 防大暴力問題で防衛相、調査を指示 「あってはならない」 産経新聞2014年8月5日
  45. ^ 2014年8月14日の中日新聞朝刊26面
  46. ^ 海自隊員自殺、いじめた上司、自殺翌日に携帯捨てる 「怖くなった」(MSN産経、2014/09/02)
  47. ^ パワハラ:陸自1佐処分 部下に「目障り」「ばか」 産経新聞2015年8月26日
  48. ^ パワハラの陸自3佐を停職処分 部下に「バカ」などの暴言 産経新聞2015年12月14日
  49. ^ 安保法案「統幕長が成立見通し」 昨年末、米軍幹部に伝達と共産 共同通信2015年9月2日
  50. ^ 河野統幕長「オスプレイ不安あおるのは一部活動家」 米側に発言 沖縄タイムス2015年9月3日
  51. ^ 元陸自幹部ら書類送検、ロシア側に情報漏洩容疑(産経ニュース:2015/12/4)
  52. ^ 海自ヘリ選定で特別監察「不正」との公益通報で(MSN産経、2015/12/4)
  53. ^ 戦闘服入札で談合疑い 公取委、クラレなど8社立ち入り 朝日新聞2016年3月1日
  54. ^ 武装ざまりん陸自無断作成 指摘受けイラスト使用中止 神奈川新聞2016年3月8日

書籍

  • 『自衛隊そして日本の非常識』
  • 『自衛隊裏物語』

関連項目

外部リンク