防衛不祥事

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防衛不祥事(ぼうえいふしょうじ)は、軍隊や国防省庁、またはこれらに所属する職員・軍人が組織・職員としてふさわしくないこと(所謂、信用失墜行為)を起こすことをいう。国防不祥事(こくぼうふしょうじ)や軍事不祥事(ぐんじふしょうじ)とも言われる。

その態様は

  1. 個人によるもの(性犯罪、暴力事件、窃盗、横領、飲酒運転、薬物など)
  2. 組織と防衛産業の癒着によるもの並びに組織ぐるみの隠蔽工作(贈収賄談合など)

に区別される。本項では主に後者に該当する事案を列挙する。

目次

[編集] 主な不祥事

[編集] 日本

[編集] 2005年以前

2月 - ダグラス・グラマン事件
7月 - 栗栖弘臣統合幕僚会議議長有事法制の制定を求める「超法規行動の可能性」発言を週刊ポスト誌上で行う。文民統制に悖るものとして解任。
初頭 - 防衛庁調達実施本部背任事件
末頃 - 海上自衛隊次期救難飛行艇開発をめぐり、富士重工業から現金500万円を受け取ったとして、防衛政務次官中島洋次郎が受託収賄で逮捕され、二審判決有罪の上告中に自殺する。富士重工業の会長及び専務も贈賄罪で逮捕。
  • 2000年9月 - ボガチョンコフ事件
  • 2001年6月25日 - 航空自衛隊F-4EJ北広島市上空で機関砲を誤射。老人ホームなどが被弾。[2]
  • 2002年2月 - 防衛庁が情報公開法に基づく資料請求者の身元を本人に無断で調査しリスト化。「市民グループ」「元自衛官」「マスコミ」等とまとめ、該当者については「反基地運動の象徴」「反戦自衛官」と注釈を付けていた事も発覚(海幕3等海佐開示請求者リスト事案)。当時の長官官房長と文書課長が更迭され、事務次官が減給処分、陸海空幕僚長も内規に基づく注意処分を受ける[3]
  • 2004年10月 - たちかぜ自衛官いじめ自殺事件。加害者の2等海曹と国が遺族から提訴され2011年1月に賠償命令。この海曹は護衛艦たちかぜ暴行恐喝事件で2005年に逮捕され、懲戒免職となっている。
  • 2005年 - 海上自衛隊横須賀基地で潜水艦乗員の大麻所持が判明。17人が逮捕・送検され懲戒処分。11月、航空自衛隊浜松基地で3等空曹が指導役の隊員から再三にわたる暴言や暴行の上「反省文100枚、でなければ辞表だ」と強要されるパワーハラスメントを受け、うつ病で自殺。上司も放置したとして2008年に遺族から防衛庁と共に提訴され、2011年7月、請求8千万円に対し3千万円の賠償を命じられる。

[編集] 2006年

  • 1月30日 - 防衛施設庁談合事件。この事件を受け防衛施設庁は、翌年防衛省に統合される形で廃止される。
  • 2月 - 護衛艦あさゆきの関係者所有とみられるPCから海上自衛隊暗号資料や自衛隊隊員名簿など極秘文書が流出。防衛庁は暴露ウイルス対策として40億円もの資金を投じて自衛隊より私物PC持込排除を行った。
  • 5月 - イラク派遣中の陸上自衛隊第9次復興支援群の准陸尉が、9mm拳銃の実弾を宿営地外で紛失したにもかかわらず、それを隠蔽していたことが発覚。イラク派遣部隊初の懲戒処分(停職)を受ける。[4]
  • 9月 - 航空自衛隊北部航空警戒管制団第45警戒群(当別分屯基地)の女性士長が、男性三曹の一人から部屋に呼び出された上、性的暴力を受けたりし、その後基地幹部に訴え出たものの、逆に退職を強要された。退職後、札幌地方裁判所に提訴。2010年7月29日に同地裁は、「上下関係などを利用した性的暴行で、また、上官らが露骨に退職に追い込もうとした」として、組織的なセクシャルハラスメントと認定し、約580万円の支払いを命じた[5][6]
  • 6月9月 - 自衛官による薬物事案が相次いで発生したことを受け、全隊員に対する薬物検査を実施。以後の採用及び入隊時の身体検査にも薬物検査が行われるようになり、防衛省は毎年6月を薬物撲滅強化期間として取締を強化する。

[編集] 2007年

[編集] 2008年

  • 2月19日 - イージス艦衝突事故。2人行方不明(5月に死亡宣告)。海難審判で自衛隊側の責任が認定される。
  • 6月12日 - 第37普通科連隊でレンジャー訓練中、疲労のため座り込んでしまった陸士長が教官の1等陸曹から「立て」などと怒鳴られた上、平手打ちを数回受け、目に障害の残る重傷を負う。1曹は12月に傷害罪で罰金40万円の略式命令、2011年4月に停職7日間の懲戒処分。陸士長は2009年8月に賠償を求めて提訴し、2011年5月、請求額の9割を受け取る内容で防衛省と和解[7]
  • 7月6日未明 - 海上自衛隊の護衛艦さわゆきの海士長が艦内の施設に放火し、後に逮捕された。この海士長は、その後2008年8月4日に懲戒免職となった。なお、この火災の取材の為現場に向かっていたABAの取材クルーを乗せたヘリコプターが、大間沖で消息不明となり搭乗員4名が死亡。
  • 8月 - さわぎり事件。自殺した乗組員の遺族が防衛省を提訴。自殺と上官の言動に因果関係があった旨が認定され、防衛省に賠償命令が下される。
  • 8月29日 - 古河駐屯地二等陸尉が、「爆薬を舐めてみたい者はいるか」と、訓練中の新人隊員にプラスチック爆薬を舐めさせ、うち22人をトリメチレントリニトロアミンの急性中毒にしていたことが発覚。防衛省は2009年12月5日までに、当該の二等陸尉を減給5分の1の懲戒処分とするなど、関係した幹部計4人を処分[8]
  • 10月13日 - 海上自衛隊第1術科学校特別警備課程(特別警備隊員養成部門)で7月と9月に、別隊への異動が決定していた隊員に対し「餞別の対集団格闘訓練」が行われ9月に異動予定だった隊員は急性硬膜下血腫で死亡。審判役の2等海曹が2009年8月に業務上過失致死で罰金刑。防衛省の事故調査委員会は「不必要で危険度も高かった」として2等海曹を停職20日とした他19人に懲戒処分赤星慶治海上幕僚長に注意処分[9]
  • 10月15日 - 医療機器汚職。防衛医科大学校病院眼科部長が、「ヤマト樹脂光学」(破産)社長から病院への医療機器導入で便宜を図った見返りに現金250万円を受け取っていた事、他にも前任者の当時から不適切な関係が続いていた事が判明。収賄容疑で逮捕の後、2009年3月に自衛隊員倫理規定違反で懲戒免職。刑事処分としても有罪判決が下される。[10]
  • 10月31日 - 田母神俊雄航空幕僚長が民間の懸賞論文に応募し最優秀賞を受けたが、応募作は政府統一見解に真っ向から反する内容だったことが発覚。文民統制に逆らうものであるとして幕僚長の任を解かれる。
  • 11月25日 - 航空自衛隊第1術科学校で校長のセクシャルハラスメントが発覚。8月下旬に女性隊員の身体を触るなどしていたという。航空幕僚監部付へ更迭の後停職処分を受け依願退職[11]。なお、この更迭人事は当初官報にのみ記載されており防衛省から公表されていなかったことが後に指摘されたため、これを不祥事の隠蔽にあたると判断した時の防衛大臣・浜田靖一はこれ以降、1佐以上の人事発令については不定期異動を含めすべて公表するよう指示した。

[編集] 2009年

  • 2月13日 - 自衛隊鳥取地方協力本部において、公費不正流用事件に関与した本部長が停職処分を受ける[12]
  • 2月19日 - 中央情報隊隊長の陸将補が、勤務時間中に官給品のパソコンを使用して2ちゃんねるなど職務に関係のないサイトへ数次にわたり接続・閲覧していたことが内部調査で判明。自衛隊法(職務に専念する義務)違反により減給処分を受けると共に指揮官職を解かれる。[13]
  • 3月 - 弾道ミサイル防衛のため静岡県浜松基地から秋田県に向け器材を輸送していた航空自衛隊の高射教導隊の隊員が車両事故を起こす。後日、責任を取る形でこの隊司令が交代(事実上の更迭)。[14]
  • 7月 - 練馬駐屯地内における薬物汚染。所属隊員が大麻取締法違反で逮捕(後に懲戒免職)されたことを受け、駐屯地の隊員2000名の尿検査を実施したところ、4名から大麻の陽性反応を検出(うち2名が懲戒免職)。また、多賀城駐屯地で懲戒免職となった隊員は入隊前から薬物の使用歴があったことも判明。後日、この隊員に乾燥大麻を譲渡した小学生時代からの友人も同法違反の罪で逮捕。[15]
  • 8月 - 自衛隊鹿児島地方協力本部募集所長の1等陸尉が、火箱芳文陸上幕僚長も含めた全陸上自衛官14万人分の「隊員出身地カード」(隊員の本籍・家族構成・続柄・所属部隊等が記載)の内容を、防衛省人事教育局の中央コンピュータから引き出してリスト化し、データを無許可でCD-Rに複写して部外者に売却していた事が判明。行政機関個人情報保護法違反容疑で警務隊に逮捕される。同年12月、鹿児島地裁で1尉に懲役2年、情報を購入した不動産業者に懲役10ヶ月の実刑判決が下され、1尉は懲戒免職処分。
  • 9月 - 第14旅団広報班、22日発表。第14戦車中隊所属の陸士長・片岡淳弥(20)が殺人未遂で陸上自衛隊警務隊に逮捕される。逮捕容疑は21日午後2時すぎ、富士駐屯地での訓練中、同部隊の先輩隊員(20代男性の陸曹)の後頭部を銃剣(89式多目的銃剣)で切りつけ、1週間のけがを負わせた疑い。先輩隊員の指導に対し恨みを募らせていたことが犯行動機となったとのこと。平時自衛隊では銃剣を研いでいない(歯がない)ことが不幸中の幸いとなった。

[編集] 2010年

  • 6月 - 2009年11月に東富士演習場内の私有地域に植生していた木を無断で持ちだそうとしたとして、第1施設団団長(陸将補)が4日付で減給処分を受けるとともに同月8日付けをもって指揮官職を解かれ、陸上幕僚監部付に更迭される[19][20]
  • 9月
    • 横須賀地方隊横須賀造修補給所で2008年から当直員達が交代で抜け出し飲酒していた事が、泥酔者が警察に保護されたことから発覚。関係職員28人が免職を含む懲戒処分となる[21]
    • 自衛隊ハイチPKO派遣の2次隊に参加した隊員が宿営地内で短銃の誤射を起こしたにもかかわらず、上級部隊に虚偽の報告をしていたことが発覚。事案関係者である第5旅団の3等陸佐以下5名が停職を含む懲戒処分を受ける。
    • 北部方面総監部法務官(前特科群長)の1等陸佐が市内で飲酒の後、自転車で帰宅していたところを道路交通法違反(軽車両の酒気帯び運転)の現行犯で検挙される。9月17日付で総監部付となり[22]その後10月29日付で停職11日の処分を受け依願退職[23]
    • 自衛隊横須賀病院における医療ミスにより患者の1等陸尉が死亡[24]
  • 10月 - 第10普通科連隊の元連隊長3名が部外の協力団体から賛助金名目で金銭を授受していたとして減給処分[25]

[編集] 2011年

  • 12月 - 米軍普天間飛行場移設を巡り沖縄防衛局長が不適切発言を行い、11月29日付でその職を解かれる。一川保夫防衛相は12月9日付で更迭した前局長を停職40日の処分としたほか、自身の在職中の大臣給与を全額、防衛副大臣及び防衛大臣政務官もそれぞれ給与1ヶ月分を国庫に返納することを発表。発言行為を理由に停職処分が科されるのは異例。

[編集] 韓国

  • 1971年8月 - 実尾島事件
  • 2005年1月 - 陸軍の中隊長が便所の水を流していない訓練兵らに立腹し、全員を集めて指を大便につけるよう強要し、それでも誰も自首しなかったため、大便つきの指を口に入れるよう命令した。(韓国陸軍訓練所食糞事件
  • 2005年6月 - 北朝鮮とのDMZ(非武装地帯)に隣接する最前線警戒所で任務に当たっていた22歳の兵士が、日常的な上官からの言葉の暴力に耐えかね、手榴弾と自動小銃の乱射により同僚兵士8人を射殺・爆殺するという事件が発生する。(漣川軍部隊銃乱射事件

[編集] 米国

[編集] 脚注

  1. ^ 「週刊日録20世紀」(講談社、1998年)
  2. ^ ドキュメント 北広島誤射事件
  3. ^ 官房長ら更迭、次官は慰留 防衛庁長官、29人処分47NEWS、2012年1月23日閲覧
  4. ^ 2006年5月19日付 読売新聞
  5. ^ 「空自セクハラ訴訟:性暴力・退職強要、認定 国に580万円賠償命令--札幌地裁」 毎日新聞 2010年7月30日
  6. ^ 女性自衛官の人権裁判を支援する会
  7. ^ 陸自教官の暴行、隊員へ4800万円支払いで和解 朝日新聞2011年5月24日
  8. ^ 爆薬なめさせ、22人中毒に 古河・陸自教官を減給処分 47NEWS 2009年12月5日
  9. ^ 海上自衛隊特別警備隊関係の課程学生の死亡事案に関する懲戒処分等について(防衛省報道資料、2009年9月。)
  10. ^ 平成21年防衛白書、324頁。
  11. ^ 「セクハラ更迭の空将補を停職=部下の体触る、依願退職へ」 時事通信2008年11月25日
  12. ^ 自衛隊鳥取地本で不正流用、当時の本部長を停職・更迭(リンク切れ)
  13. ^ ネット閲覧、陸将補を処分…職場PCから携帯サイト読売新聞2009年2月20日
  14. ^ 2009年4月15日付防衛省人事発令(1佐人事)。
  15. ^ 時事ドットコム2009年8月7日
  16. ^ 防衛省報道資料,2010年3月31日
  17. ^ 防衛省人事発令、2010年7月26日将補人事を参照のこと
  18. ^ 空自、4年間の全契約が官製談合、航空幕僚長が退任、50人を処分
  19. ^ 防衛省:「もみの木」無断で掘り起こさせ、陸将補減給--静岡・東富士演習場内 毎日jp、2010年6月6日閲覧
  20. ^ 防衛省人事発令(6月8日付将補人事)
  21. ^ 海自隊員ら28人懲戒処分 3年間、当直抜け出し飲酒共同通信
  22. ^ 防衛省発令・2010年9月17日付1佐人事
  23. ^ 防衛省発令・2010年11月1日付1佐人事
  24. ^ 手術ミスで陸自隊員の患者死亡、病院側が公表 神奈川新聞
  25. ^ 陸自第11旅団:元連隊長3人を減給 賛助金名目で440万円受領(リンク切れ)

[編集] 書籍

  • 『自衛隊そして日本の非常識』
  • 『自衛隊裏物語』

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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