いなづま (護衛艦・2代)
いなづま | |
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洋上を往く「いなづま」 | |
基本情報 | |
建造所 | 三菱重工業長崎造船所 |
運用者 | 海上自衛隊 |
艦種 | 汎用護衛艦(DD) |
級名 | むらさめ型護衛艦 |
母港 | 呉 |
所属 | 第4護衛隊群第4護衛隊 |
艦歴 | |
発注 | 1995年 |
起工 | 1997年5月8日 |
進水 | 1998年9月9日 |
就役 | 2000年3月15日 |
要目 | |
基準排水量 | 4,550t |
満載排水量 | 6,100t |
全長 | 151m |
最大幅 | 17.4m |
深さ | 10.9m |
吃水 | 5.2m |
機関 | COGAG方式 |
主機 |
IHILM2500ガスタービン × 2基 川崎スペイSM1C × 2基 |
出力 | 60,000PS |
推進器 | スクリュープロペラ × 2軸 |
最大速力 | 30kt |
乗員 | 165名 |
兵装 |
62口径76mm単装速射砲 × 1門 Mk.15 Mod12 高性能20mm機関砲(CIWS) × 2基 90式艦対艦誘導弾 (SSM-1B)/ ハープーン4連装発射筒 × 2基 Mk.41 Mod6 VLS (VLA SUM) × 16セル Mk.48 Mod4 VLS (ESSM 短SAM) × 16セル HOS-302 3連装短魚雷発射管 × 2基 |
搭載機 | SH-60J/K 哨戒ヘリコプター × 1/2機 |
C4ISTAR |
OYQ-9 戦術情報処理装置 OYQ-103 対潜情報処理装置 |
レーダー |
OPS-24B 対空 OPS-28D 水上 OPS-20 航海用 81式射撃指揮装置2型-31 × 2基 |
ソナー |
OQS-5 OQR-2C 曳航式 |
電子戦・ 対抗手段 |
NOLQ-3-1 電波探知妨害装置 Mk.137 デコイ発射機 × 4基 |
その他 | SLQ-25 対魚雷デコイ |
いなづま(ローマ字:JS Inazuma, DD-105)は、海上自衛隊の護衛艦。むらさめ型護衛艦の5番艦。艦名は「稲妻」に由来し、この名を受け継ぐ日本の艦艇としては旧海軍の雷型駆逐艦「電」、吹雪型駆逐艦「電」、いかづち型護衛艦「いなづま」に続き4代目。
本記事は、本艦の艦暦について主に取り扱っているため、性能や装備等の概要についてはむらさめ型護衛艦を参照されたい。
艦歴
「いなづま」は中期防衛力整備計画に基づく平成7年度計画4,400トン型護衛艦、2234号艦として三菱重工業長崎造船所で1997年5月8日に起工され、1998年9月9日に進水、2000年3月15日に就役し、第4護衛隊群第4護衛隊に編入され呉に配備された。
2002年7月1日、テロ対策特別措置法に基づき、護衛艦「あさかぜ」と共にインド洋に派遣、同年9月まで任務に従事し、10月29日に帰国した。
2006年3月14日、テロ対策特別措置法に基づき、補給艦「おうみ」と共にインド洋に派遣、同年6月まで任務に従事し、8月7日に帰国した。
2007年5月16日から8月1日の間、護衛艦「くらま」、「ちょうかい」とともに米国派遣訓練に参加。
2008年3月26日、護衛隊改編により第4護衛隊群第8護衛隊に編入された。
2009年9月21日、護衛艦「さざなみ」とともに呉に寄港したオーストラリア海軍補給艦「サクセス」、フリゲート「バララット」と交歓する。
2011年3月15日、第8次派遣海賊対処行動水上部隊として護衛艦「さざなみ」と共にソマリア沖・アデン湾に向けて呉基地から出航、同年4月9日から7月15日までの間、28回の護衛を実施し同年8月11日帰国した。
2014年3月17日、第18次派遣海賊対処行動水上部隊として護衛艦「うみぎり」と共にソマリア沖・アデン湾へ向けて呉基地から出航した[1]。同年4月23日、アデン湾にて漂流船を発見し乗船者75人を救助する[2]。等の任務に従事し、同年9月20日、帰国した[3]。
2014年10月24日、編成替えにより第4護衛隊群第4護衛隊に編入された。
2016年7月10日、第25次派遣海賊対処行動水上部隊として護衛艦「すずつき」と共にソマリア沖・アデン湾へ向けて呉基地から出航し[4]、 翌年1月12日、帰国した[5]。
2017年11月3日から6日にかけて日本海において日米印共同訓練を実施した。米海軍は空母「ロナルド・レーガン」と駆逐艦「チャフィー」、インド海軍はフリゲート「サツプラ」及びコルベット艦「カドマット」が参加した[6]。 また、同月12日には護衛艦「まきなみ」及び「いせ」とともに空母「ロナルド・レーガン」、「ニミッツ」、「セオドア・ルーズベルト」他、艦艇数隻と日米共同訓練を実施した[7]。
2018年7月の豪雨の影響により呉市内で断水が発生したことを受け、7月8日から艦内の入浴施設を被災者に開放[8]。本艦は主に呉市在住者向けの「男湯」として機能した[9]。「いなづま」の入浴・給水支援活動は7月19日まで継続された[9]。
同年8月26日から10月30日まで護衛艦「かが」、「すずつき」とともにインド太平洋方面派遣訓練に参加し、インド、インドネシア共和国、シンガポール共和国、スリランカ民主社会主義共和国、フィリピン共和国を訪問する[10]。9月13日には南シナ海で潜水艦「くろしお」と合流し、対潜戦の訓練を実施した[11][12]。9月26日にはスマトラ島西方海空域において「かが」とともに南シナ海へ向かうイギリス海軍フリゲート「アーガイル」と日英共同訓練を実施した[13]。
2019年5月21日、練習艦「かしま」と共に『令和元年度遠洋練習航海』に出発。第69期一般幹部候補生課程修了者約190名(うちタイ王国海軍少尉1名)を含む約580名と共に157日間で11カ国、13寄港地[14]を訪問、10月24日に横須賀に帰投した [15]。
2021年11月10日から12日にかけて、四国南方訓練海空域においてオーストラリア海軍フリゲート「ワラマンガ」と共同訓練を実施した[16]。なお、防衛省はその際、「ワラマンガ」に対し、安全保障関連法に基づく「武器等防護」を実施したと発表した[17]。同省によると、米軍以外を対象とした実施は初めて[17]。
2022年2月8日から3月19日にかけて、練習艦「はたかぜ」とともに第55期一般幹部候補生課程(部内課程)学生の外洋練習航海に参加する[18]。その参加途中の2月16日及び17日には沖縄東方海空域において米海軍空母「エイブラハム・リンカーン」、巡洋艦「モービル・ベイ」、駆逐艦「スプルーアンス」と共同訓練を実施した[19]。2月26日、ダナン沖においてベトナム海軍TT-400TP型哨戒艇「HQ-277」と日越親善訓練を実施した[20]。3月6日には、パラオ周辺においてパラオ共和国海上保安局巡視船「ケダム」と日パラオ親善訓練を実施した[21]。
同年4月8日から17日にかけて、護衛艦「こんごう」とともに、日本周辺(東シナ海及び日本海を含む。)において米海軍空母「エイブラハム・リンカーン」空母打撃群(巡洋艦「モービル・ベイ」、駆逐艦「スプルーアンス」、補給艦「ティピカヌー」、貨物弾薬補給艦「リチャード・E・バード」)と共同訓練を実施した[22]。その間、12日には「こんごう」、航空自衛隊のF-2戦闘機と日本海において、「エイブラハム・リンカーン」空母打撃群と日米共同訓練を実施し[23]、翌13日には、航空自衛隊F-2戦闘機と共に日本海において「エイブラハム・リンカーン」米空母打撃群と艦艇への攻撃訓練を実施した[24]。
現在、第4護衛隊群第4護衛隊に所属し、定係港は呉である。
歴代艦長
代 | 氏名 | 在任期間 | 出身校・期 | 前職 | 後職 | 備考 |
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1 | 中村泰信 | 2000.3.15 - 2001.3.22 | 防大20期 | いなづま艤装員長 | 海上幕僚監部副監察官 | |
2 | 徳永明洋 | 2001.3.23 - 2002.5.11 | 防大21期 | 海上幕僚監部副監察官 | 大湊海上訓練指導隊船務航海科長 | |
3 | 品川 隆 | 2003.5.12 - 2005.5.9 | 防大23期 | 海上訓練指導隊群司令部幕僚 | ||
4 | 大仲和弘 | 2005.5.10 - 2007.10.16 | 防大27期 | せとゆき艦長 | 海上自衛隊第1術科学校教官 兼 研究部員 |
|
5 | 関川秀樹 | 2007.10.17 - 2009.3.18 | 防大29期 | いしかり艦長 | 横須賀地方総監部管理部総務課長 | |
6 | 田中久行 | 2009.3.19 - 2010.8.17 | 防大29期 | やまぎり艦長 | 海上自衛隊第1術科学校主任教官 兼 研究部員 |
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7 | 山口正之 | 2010.8.18 - 2011.9.11 | 防大28期 | はまゆき艦長 | 自衛艦隊司令部幕僚 | |
8 | 日髙孝次 | 2011.9.12 - 2012.6.25 | 防大29期 | しらせ副長 | 海上幕僚監部防衛部運用支援課 南極観測支援室 |
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9 | 可知俊一郎 | 2012.6.26 - 2014.9.23 | すま艦長 | 横須賀海上訓練指導隊教育科長 | ||
10 | 水田英幹 | 2014.9.24 - 2015.7.23 | 防大32期 | 大湊地方総監部管理部人事課長 | くらま艦長 | 2015.7.1 1等海佐昇任 |
11 | 田代操一朗 | 2015.7.24 - 2017.3.30 | 防大41期 | こんごう船務長 兼 副長 | 中央システム通信隊副長 | |
12 | 増田信之 | 2017.3.31 - 2018.3.22 | 防大44期 | 海上幕僚監部人事教育部厚生課 | 海上幕僚監部人事教育部補任課 | |
13 | 落水酉紀 | 2018.3.23 - 2019.1.25 | 防大42期 | 護衛艦隊司令部 | 護衛艦隊司令部 | |
14 | 國分一郎 | 2019.1.26 - 2020.3.31 | いずも副長 | 護衛艦隊司令部 兼 自衛艦隊司令部 | ||
15 | 角道保史 | 2020.4.1 - 2021.8.9 | あすか運用長 兼 副長 | 護衛艦隊司令部 | ||
16 | 靏田耕平 | 2021.8.10 | 護衛艦隊司令部幕僚 兼 自衛艦隊司令部 |
その他
「いなづま」の名を持つ日本の艦艇は妙に衝突事故と縁があり、初代から3代目まで必ず一度は衝突事故に遭い、初代に至っては沈没要因にもなっているが、幸いにして4代目となるこの艦は今のところ衝突事故を起こしていない。
ギャラリー
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真珠湾に入港中の「いなづま」
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波濤を超えてゆく「いなづま」 -
後方から見た「いなづま」 -
四国南方においてオーストラリア海軍フリゲート「ワラマンガ」と共同訓練を実施中の「いなづま」
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同左 -
舞鶴港口にて -
艦首から見た「いなづま」
脚注
- ^ 派遣海賊対処行動水上部隊の交代について (PDF)
- ^ 派遣海賊対処行動水上部隊による遭難船舶への対応について (PDF)
- ^ アデン湾における派遣海賊対処行動に従事した艦艇の入港について (PDF)
- ^ 派遣海賊対処行動水上部隊の交代について (PDF)
- ^ 海上自衛隊公式フェイスブック(2017年1月12日)
- ^ 日米印共同訓練の実施について (PDF)
- ^ 米海軍との共同訓練の実施について (PDF)
- ^ “広島の豪雨災害へ支援 呉・三原のゲストハウスや温浴施設が無料サービスなど”. 広島経済新聞. (2018年7月9日). オリジナルの2018年7月17日時点におけるアーカイブ。 2018年7月17日閲覧。
- ^ a b “「災害派遣」入浴・給水・洗濯支援情報”. 海上自衛隊第4護衛隊群. 2018年8月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年8月20日閲覧。
- ^ 平成30年度インド太平洋方面派遣訓練の実施について (PDF)
- ^ “中国をけん制、南シナ海で潜水艦訓練…海自公表”. 読売新聞. (2018年9月18日) 2018年9月18日閲覧。
- ^ 対潜戦訓練の実施について (PDF)
- ^ 日英共同訓練の実施について (PDF)
- ^ アメリカ合衆国(パールハーバー、サンディエゴ、グアム)、グアテマラ共和国(プエルトケツァル)、ペルー共和国(カヤオ)、エクアドル共和国(グアヤキル)、メキシコ合衆国(マサトラン)、仏領ポリネシア(パペーテ)、フィジー共和国(スバ)、ニュージーランド(オークランド)、オーストラリア連邦(シドニー)、パプアニューギニア独立国(ラバウル)、パラオ共和国(コロール)
- ^ 海上自衛隊 (2019年10月24日). “令和元年度遠洋練習航海について”. 防衛省海上自衛隊. 2019年10月25日閲覧。
- ^ 日豪共同訓練(日豪トライデント)について 海上幕僚監部(2021年11月12日) (PDF)
- ^ a b “海自、訓練で豪軍艦を「武器等防護」 米軍以外で初”. 産経新聞 (2021年11月12日). 2021年11月12日閲覧。
- ^ 一般幹部候補生課程(部内課程)の卒業式及び外洋練習航海について 海上幕僚監部(2022年2月8日) (PDF)
- ^ 日米共同訓練について 海上幕僚監部(2022年2月18日) (PDF)
- ^ 日越親善訓練について 海上幕僚監部(2022年2月27日) (PDF)
- ^ 日パラオ親善訓練について 海上幕僚監部(2022年3月7日) (PDF)
- ^ 日米共同訓練について 海上幕僚監部(2022年4月19日) (PDF)
- ^ 防衛省 海上自衛隊 [@JMSDF_PAO] (2022年4月13日). "4月12日、護衛艦「いなづま」「こんごう」は、航空自衛隊のF-2と共に日本海において、「エイブラハム・リンカーン」米空母打撃群と日米共同訓練を実施しました。". X(旧Twitter)より2022年4月15日閲覧。
- ^ 防衛省 海上自衛隊 [@JMSDF_PAO] (2022年4月14日). "4月13日、護衛艦「いなづま」は、航空自衛隊 のF-2と共に日本海において「エイブラハム・リンカーン」米空母打撃群と艦艇への攻撃訓練を実施しました。". X(旧Twitter)より2022年4月15日閲覧。
参考文献
- 石橋孝夫『海上自衛隊全艦船 1952-2002』(並木書房、2002年)
- 『世界の艦船 増刊第66集 海上自衛隊全艦艇史』(海人社、2004年)
- 『世界の艦船』第750号(海人社、2011年11月号)