AIR (ゲーム)

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AIR
ジャンル 恋愛アドベンチャー
ゲーム
ゲームジャンル 恋愛アドベンチャーゲーム
対応機種 Windows 95/98/Me/2000CD版)
Windows 98/Me/2000/XPDVD版)
Windows 2000/XP/Vista/7(PCメモリアル)
ドリームキャストPlayStation 2
PlayStation Portable
iOSAndroid
ゲームエンジン AVG32(17M)(PC)[1]
RealLive(PC SE版)[1]
発売元 Key/ビジュアルアーツ(PC、Android、iOS)
NECインターチャネル
(現インターチャネル
, DC / PS2)
プロトタイプ(PSP、PS2[注 1]
発売日 2000年9月8日(PC18禁)
2001年7月27日(PC全年齢)
2001年9月20日(DC)
2002年8月8日(PS2)
2005年4月8日(DVD版18禁)
2005年9月1日(PS2廉価版)
2007年11月22日(PSP版)
2010年5月28日(PCメモリアル)
不明(Android全年齢版)
2013年5月2日(iOS、Android18禁版)
レイティング ソフ倫 18禁・一般ソフト作品
(便宜上全年齢対象)
CERO C 15才以上対象(PS2・PSP版)
12+(iOS版)
キャラクター名設定 可(PC版)
画面サイズ 640×480 16bit(PC版)
480×272(PSP版)
キャラクターボイス なし(PC、iOS、Android18禁版、Android全年齢版音声無し)
一部主人公以外[注 2](DC)
フルボイス(PS2・PSP、Android全年齢版音声有)
アニメ
アニメ
原作 Key / Visual Art's
監督 石原立也
シリーズ構成 志茂文彦
脚本 志茂文彦
キャラクターデザイン 荒谷朋恵
音楽 折戸伸治、戸越まごめ、麻枝准
アニメーション制作 京都アニメーション
製作 翼人伝承会
放送局 BS-i、TBSチャンネル、テレビ埼玉
放送期間 2005年1月6日 - 3月31日
話数 12+特別編2+総集編1話
映画
映画
監督 出崎統
制作 東映アニメーション
封切日 2005年2月5日
上映時間 91分
テンプレート - ノート
ウィキプロジェクト 美少女ゲーム系アニメ漫画ライトノベル
ポータル ゲームアニメ漫画文学ラジオ

AIR』(エアー)は、Keyが制作した2作目の恋愛アドベンチャーゲーム、およびそれを原作としてメディアミックス的展開がなされたアニメコミックなどの作品群。

概要[編集]

Windows用ゲームとして2000年9月8日に18禁初回版が、2001年7月19日に18禁通常版が、7月27日に全年齢対象版が発売された。また、2005年4月8日に全年齢対象版に含まれたイベントCGを追加したWindows用DVD-ROM『AIR Standard Edition』(18禁)が発売された。2010年5月28日には、Windows VistaとWindows 7への対応版(全年齢対象)が『AIR メモリアルエディション全年齢対象版』の名称で発売された。

前作『Kanon』と同様に少年少女の恋愛劇に不可思議要素を絡めたアドベンチャーゲームであり、シナリオが感動に特化した泣きゲーとして支持を集め[2][3]、2000年度の年間セールスで10万本を超える大ヒットとなった[4]2005年には既に累計30万本を突破している[要出典][5]。家庭用版のみヒロインの声が付き、更にPS2版以降主人公に声が付いている。 コンシューマー機への移植では2001年9月20日にドリームキャスト版(全年齢対象)、2002年8月8日にPlayStation 2版(全年齢対象)が発売された。2005年9月1日には、PlayStation 2用ベスト版(廉価版CEROレーティング15歳以上対象)が発売された。プロトタイプよりPSP版が2007年11月22日に発売された(データインストール機能が搭載された、初のゲームとなった)。さらにソフトバンクモバイルSoftBank 3GNTTドコモFOMA向けにも配信されている。発売時期は不明だが、ビジュアルアーツアプリポータルにて、Android向けの全年齢版AIRが発売された。値段はDREAM編、SUMMER,AIR編(共に音声あり)、セットの音声無しが800円、セットの音声ありが1,400円である。また、2013年5月2日にはAndroid18禁版とiOS全年齢版が発売された。共に音声無しである。iTunes App StoreやGoogle Playなどで購入できる。

発売以降しばらくはコンシューマ版への移植や各種アンソロジーコミック以外にはほとんどメディアミックス的展開がなされなかった。ファンによる同人活動も前作の『Kanon』と比較すると低調であったと更科修一郎は指摘している[6][7]。しかしながら、発売後4年経過した2004年になって、コミックの連載が開始された他、翌2005年には京都アニメーションによるTVアニメ化がなされ、BS-iにて全12話、総集編と特別編前後編が放送、東映アニメーションによる劇場映画化がなされた。このように長く間が空いたにもかかわらずメディアミックス展開されるのは、同手法が広まってからでは、特にゲームを大元にするものとしては稀なケースである。

ゲーム内容[編集]

シナリオは第一部「DREAM編」・第二部「SUMMER編」・第三部「AIR編」の三部構成となっている。

第一部は現代が舞台であり、主人公であるさすらいの人形遣いの青年(国崎往人)が、海辺の田舎町で偶然出会った少女達と紡ぐひと夏の物語が描かれる。特に本作のメインヒロインである神尾観鈴のシナリオは、原因不明の病に冒された観鈴を往人が助けようとするが、結局は観鈴の前から姿を消すという内容である。ゲームの進行は、プレイヤーが選択肢を選びながら男性主人公がヒロインを攻略するというもので、一般的な美少女ゲームと同様である。

第二部では、千年前の夏が描かれ、第一部での主人公とヒロインの間の運命的なつながりが暗示される。第二部以降は、通常の美少女ゲームでは存在する「選択肢による分岐」やポルノシーンがほとんど存在することなくストーリーが進む。

第三部では、現代に戻って第一部と同じ時間・場所が舞台となり同じ物語が反復されるが、プレイヤーの視点は国崎往人ではなくカラスの「そら」となっており、その視点から第一部での往人と観鈴の物語を傍観することになる。そして、第一部で往人が姿を消したあとも、病気の進行が止まらない観鈴がその叔母の晴子と「家族ごっこ」と呼ばれる人間関係を続け、最後には死に至るまでをカラスとして傍観し続ける。

ヒロインの観鈴に世界の存亡がかかっているという意味でしばしばセカイ系作品として言及され[8][9]、また広義にはループものに分類することもできる[10]

本作の第一部・第二部・第三部に相当するないし類似するゲーム構成は麻枝准がシナリオを担当したほかの美少女ゲームにも散見され[注 3]、それには村上春樹の小説『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』からの影響が指摘されている[11]

登場キャラクター[編集]

PC版や一部の携帯端末版は声が収録されていないため、声優はそれ以外のキャスティングを記載している。

DREAM編 / AIR編[編集]

国崎 往人(くにさき ゆきと)
声:緑川光(ゲーム/映画/ドラマCD)/ 小野大輔(TVアニメ)
本作の主人公。
念を込めたものを自由に動かす力「法術」を使い、古ぼけた人形を動かす芸を糧にさすらいの一人旅をしている。目的は少年時代に亡き母から聞かされた「この空のどこかにいるの生えた少女」に出会うことだが、必死に捜し求めているわけではなく、頭の片隅に留めている程度。
観鈴に目つきの悪さを指摘されるようなぶっきらぼうな態度、物言いではあるが、本当は心優しい青年。身長は高い。
小さい頃から旅をしているため、稀に一般常識に欠けている部分をのぞかせるときもあるが、思考は比較的常識的な方である。
好物はラーメンセットだが、ヒッチハイク同然の生活を送る自称「旅人」だけに、食べ物に関しては機敏な反応を見せる。空腹が最大の敵でボウリングのボール大のおにぎりですら完食するほどである。食事の直後以外は常に空腹であると言っても過言ではない。
神尾 観鈴(かみお みすず)
声:川上とも子
テーマ曲:夏影 -summer lights-
誕生日:7月23日。しし座。血液型:O型。身長:159cm。体重:46kg。スリーサイズ:B83/W55/H82。
本作のメインヒロインで、主人公が最初に出会う少女。少々浮世離れしているが、いつもにこにこと笑っている明るくて素直な少女。叔母の晴子と二人暮らしで、仕事で忙しい晴子に代わり家事を切り盛りしている。通っている学校の友人があまりいないため、旅行者である主人公に声を掛けた。成績は良くない上に遅刻も多いので補習の対象になっている。子供の頃から恐竜好きで、恐竜のぬいぐるみ、グッズ類を収集している。困ったことがあると恐竜のように「がお…」と言うのが口癖だが、晴子には禁止されている。主人公の意地悪な態度や言葉に対して「どうしてそういうことするかなぁ(言うかなぁ)」と独特なイントネーションでぼやくのも口癖。「にはは」と声を出して笑う。
好きなジュースは武田商店店頭に設置された謎の自販機で売られている「どろり濃厚 ピーチ味」や類似品の「ゲルルンジュース」[注 4]
霧島 佳乃(きりしま かの)
声:岡本麻見
テーマ曲:水たまり -puddle-
誕生日:6月12日。ふたご座。血液型:A型。身長:156cm。体重:45kg。スリーサイズ:B82/W53/H80。観鈴・美凪とは、学年が1つ下。
魔法を使えるようになるために、右手に巻いた黄色いバンダナを外さない、明るく元気な少女。両親は他界しており、主人公が辿り着いた街の繁華街で開業医を営む姉の聖と2人暮らしをしている。
友人は多く、クラスメイトから「かのりん」と呼ばれている。友人たちに「友人1号」「隊員2号」などの「役職」を思いつくまま割り振るため、混乱をきたすこともある。クラスで飼育委員を務める。謎の毛玉生命体(本人曰く、)ポテトと仲が良く「ポテト語(ぴこ~)」を解する。料理は外見こそ普通だが、味は非常に不味いといった代物を作るため、家事全般は姉の聖が全て行っている。
遠野 美凪(とおの みなぎ)
声:柚木涼香
テーマ曲:虹 -prism-
誕生日:12月22日。いて座。血液型:A型。身長:169cm。体重:48kg。スリーサイズ:B85/W58/H84。
天文部部長で、観鈴とはクラスメート。成績は学年トップクラス。普段は物静かで感情をあまり表に出さないが、実はあふれる母性愛を持ち、穏和な性格の美少女。
主人公の問いかけにも即答せず、ボケた回答を小声で返す。反面、鋭く深いコメントを出すことも多い。料理、裁縫は抜群の腕を持つ。趣味は天体観測と読書、みちると過ごす時間。廃駅でみちると一緒にいることが多い。部員が美凪ひとりである、天文部の部長を勤める。
お米が大好きで、「進呈」と書いた封筒に入れた「お米券」を大量に常備し、折に触れては主人公たちに配布しようとする。
神尾 晴子(かみお はるこ)
声:久川綾
誕生日:11月3日。さそり座。血液型:B型。身長:168cm。体重:48kg。スリーサイズ:B88/W57/H85。
観鈴の叔母。
おっとりのんびりの観鈴とは対照的な、アクティブで関西弁で大酒呑み豪放磊落な性格。
バイクによる飲酒運転の常習者で、家に帰るときは納屋に突っ込んで停車する。
観鈴のことは心配しているものの、一定の距離を置いて生活している。
霧島 聖(きりしま ひじり)
声:冬馬由美
誕生日:1月3日。やぎ座。血液型:AB型。身長:172cm。体重:50kg。スリーサイズ:B87/W59/H86。
佳乃の姉。霧島診療所を開設している。唯一の家族である佳乃をとても大切にしており、普段は冷静であるが、妹に危害を加えるものには容赦がない。また外科医ではないのに常にメスを隠し持っており、緊急時の武器、あるいは包丁の代用品として駆使する。普段は「通天閣」と書かれたTシャツを着用している。
佳乃の望むものは何を犠牲にしても全て達成しようとし、流しそうめんや、近隣住民の迷惑を顧みないロケット花火大会を強行して主人公を呆れさせる。興奮するとべらんめぇ口調になる。
みちる
声:田村ゆかり
テーマ曲:てんとう虫 -bug walk-
誕生日:不明。血液型:不明。身長:145cm。体重39kg。スリーサイズ:B72/W49/H70。
美凪の親友の少女。口癖は「わぷっ」「にょわ」等。また主人公のことをフルネームで呼ぶ。
美凪のことが大好きで、いつも側にいようとする。一方、主人公に対しては初対面から喧嘩腰で、特技の鳩尾蹴りにより、主人公をしばしば行動不能に追い込む。
ポテト
声:今野宏美
佳乃と仲が良い、人間の言葉を理解する謎の毛玉生命体。一応犬。口癖(言語)は「ぴこ」。打たれ強く蹴られ強く流され強い。抜群の帰巣本能と強靭な生命力に主人公たちが驚愕する場面が多々ある。
橘 敬介(たちばな けいすけ)
声:三木眞一郎(ゲーム/映画/ドラマCD)/ 津田健次郎(TVアニメ)
時折、神尾家を訪問する男性。
そら
声:なし(ゲーム)/ ?(劇場版)/ 小野大輔(TVアニメ)
観鈴に拾われた子供のカラス。神尾家に居つく。

SUMMER編[編集]

柳也(りゅうや)
声:神奈延年 / 少年時代:斎藤千和
神奈備命の衛者で社殿の警備隊長。元浪人官位正八位下(しょうはちいのげ)、官職左衛門大志(さえもんふだいさかん)。特にPC版テキスト中では随身とも称している。幼少期より己の力だけを頼りに修羅場を潜り抜けてきており、実戦で培われたその剣技はかなりのもの。
周囲が畏怖する「翼人」、しかも自分の主人である神奈に対しても物怖じせず、むしろ横柄な程だが、しかし真摯に接する。
神奈が他の社へ移送されることから陰謀を察知し、裏葉と共に神奈を連れてから脱出する。
神奈備命(かんなびのみこと)
声:西村ちなみ
テーマ曲:月童 -moon child-
両肩に巨大な翼を、先天的に受け継ぐ「翼人」の末裔。1000年前の正歴5年に生きる最後の翼人であり、神の使いとして崇められながらも囚われの身であった。自分のことを「余」と呼ぶなど、独特な話し方をする。
警護という名の軟禁、畏敬の裏に隠された周囲の悪意と恐怖心など、翼人としての哀しい運命と冷静に向き合って生きてきたが、柳也と裏葉に出会い、その思いを素直に態度に表すようになる。
裏葉(うらは)
声:井上喜久子
神奈備命の女官。普段はとてもマイペースで、どこまでが真剣なのか判別しがたい。おっとりしている様だが、剣の達人である柳也にも気配を悟らせずに背後を取ることもできる。
主人思いで忠実な女官であるが、主君たる神奈を玩んで楽しむことも。極めて優秀な女官であるが、上記の通り気配を消せることに加え、社殿が焼き討ちにあう当夜に逃亡を企てる、野宿の見張りができる、市の立地条件が不自然であることを見抜く、忍び寄る敵に気づき、それでいて平静でいられる、名前に「裏」の字が付いている、など、ただの女官としては不可解な点も多い。
神奈と柳也に同行した彼女が、1000年後の物語の発端となる。
八百比丘尼(やおびくに)
声:潘恵子
神奈備命の母親。その強大なる力故に紀州の霊山に封印されている。厳格な性格。

主題歌・音楽[編集]

オープニングテーマ「鳥の詩
作詞:麻枝准(Key) / 作曲:折戸伸治 / 編曲:高瀬一矢I've) / 歌:Lia
挿入歌「青空」
作詞・作曲:麻枝准(Key) / 編曲:折戸伸治 / 歌:Lia
エンディングテーマ「Farewell song」
作詞:麻枝准(Key) / 作曲・編曲:戸越まごめ / 歌:Lia

主題歌である「鳥の詩」はアメリカロサンゼルスでレコーディングが行われた。

なおコンシューマー機版ではDREAM編のEDテーマが、メロディにアレンジを加えてインストゥルメンタルにした「Farewell song(dream version)」に変更されている。

ゲーム主要スタッフ[編集]

  • 企画:麻枝准
  • 脚本:麻枝准、イシカワタカシ
  • シナリオアシスタンス:涼元悠一、雲龍寺魁、丘野塔也、藤井知貴
  • 原画:樋上いたる
  • 音楽:折戸伸治、戸越まごめ、麻枝准
  • エグゼクティブプロデューサー:馬場隆博

批評[編集]

評論家更科修一郎は、本作を「素晴らしい作品」と評価しながらも、その素晴らしさがゆえに煮詰まってしまっており、ノベルゲーム美少女ゲームというどちらの面からもジャンルを自壊させる臨界点の直前まで達しているのではないかと述べている[12]

評論家の東浩紀は、本作を批評性の高い作品として評価している。東浩紀は、多くの男性向け美少女ゲームは、男性プレイヤーがゲーム中の男性主人公の視点に同一化し、ヒロインを性的に所有して異性からの承認を受けることにより(比喩的に)「父になる」というプロセスを経験させるためのものだとした上で、本作のプレイヤーはプレイを通して「父になる」ことを2度挫折すると指摘する。つまり、1回目は第一部において観鈴の「父になる」ことができないまま姿を消さざるを得なくなってしまったこと(シナリオ内のキャラクターレベルでの挫折)であり、2回目は第三部において自身が単なるカラスであるがゆえに物語に介入することすら許されず悲劇を傍観するほか無いということ(プレイヤーレベルでの挫折)である。そして、そのことがギャルゲーの持つ二層性、すなわち「物語の中に没入しているときは責任や主体性を伴ってヒロインと向き合おうとするが、物語の外のプレイヤーの立場に戻ったときにはヒロインは数ある攻略対象のひとつにすぎない」という解離的な態度に対する自覚を促すものとして作用し、それゆえ本作は他の大多数の美少女ゲームと比較して繊細で批評的な作品と考えられるという。[13]

これに対して評論家の宇野常寛は、「ヒロインが主人公の男性を無条件に必要とする」というプレイヤーの所有の欲望を満たすための構造自体は反省の対象となっていないため、あくまでそれは「安全に痛い自己反省のパフォーマンス」にすぎないと批判した[14]

評論家の前島賢は、上記の宇野常寛の批判は「「「「マチズモ」を批判する美少女ゲーム」を批判する『AIR』=東浩紀」を批判する宇野常寛」という入れ子状態の構造になっていると指摘し、自分を外部に位置づけて批判を加えるような一連の議論は作品内容の読解を離れて単なるメタゲーム化してしまう危険性があると述べている[15]

社会学者大澤真幸は、従来であれば(例えば看守が一方的に囚人を監視できる全展望監視システムパノプティコンを考えればわかるように)「見られることなく見る」ということは神のような全能性の象徴として捉えられていたが、本作の第三部ではそれが逆に無能性の象徴として描かれていることに注目し、『AIR』は現代社会における「第三者の審級[注 5]の撤退」を象徴するものと解釈できると述べている[20]

テレビアニメ版[編集]

TVアニメ版が2005年1月6日から3月31日までBS-iで放送され、続いて夏・特別編が8月28日9月4日に前後編で放送された。

シリーズ総数でのDVD売上数において2005年アニメDVD売上ランキング年間2位を記録するヒットアニメとなった。また2006年12月22日にはBlu-rayディスクBOXが販売された。映像をHD解像度にアップコンバートした他、音声には、テッド・ジェンセンを起用し5.1chサラウンドリマスタリングを行っている。このように映像と音声の両面においてアニメの次世代光ディスクソフト市場での先駆けとなった。なお、PS3ファームウェア1.80アップデートで搭載されたDVDのアップコンバート機能は、AIRのDVD版がBlu-rayディスク版と同レベルに見えることを目標に開発されている[21]。なお総集編は、BD版には収録されていない。

スタッフ[編集]

  • 原作 - Key / Visual Art's
  • 監督 - 石原立也
  • シリーズ構成 - 志茂文彦
  • キャラクター原案 - 樋上いたる
  • キャラクターデザイン・総作画監督 - 荒谷朋恵
  • 色彩設計 - 竹田明代
  • 美術監督・美術設定 - 鵜ノ口穣二
  • 撮影監督 - 中上竜太
  • 編集 - 森田清次
  • 音楽 - 折戸伸治、戸越まごめ、麻枝准
  • 音楽リマスタリング - テッド・ジェンセン
  • 音響監督 - 鶴岡陽太
  • プロデューサー - 中山佳久、中村伸一、金庭こず恵(特別編は除く)、八田陽子
  • アニメーション制作 - 京都アニメーション
  • 製作 - 翼人伝承会(TBSポニーキャニオンムービック(特別編は除く)、京都アニメーション)

主題歌[編集]

オープニングテーマ「鳥の詩」
作詞 - 麻枝准(Key) / 作曲 - 折戸伸治 / 編曲 - 高瀬一矢(I've) / 歌 - Lia
最終話(総編集)ではエンディングテーマとして使用された。
エンディングテーマ「Farewell song」
作詞 - 麻枝准(Key) / 作曲・編曲 - 戸越まごめ / 歌 - Lia
挿入歌「青空」
作詞・作曲 - 麻枝准(Key) / 編曲 - 折戸伸治 / 歌 - Lia

各話リスト[編集]

話数 サブタイトル 脚本 絵コンテ 演出 作画監督
第1話 かぜ〜breeze〜 志茂文彦 石原立也 米田光良
第2話 まち〜town〜 山本寛 池田和美
第3話 こえ〜whisper〜 武本康弘 池田晶子
第4話 はね〜plume〜 北之原孝将 米田光良
第5話 つばさ〜wing〜 山本寛 池田和美
第6話 ほし〜star〜 武本康弘
石原立也
石原立也 池田晶子
第7話 ゆめ〜dream〜 北之原孝将 米田光良
第8話 なつ〜summer〜 山本寛 池田和美
第9話 つき〜moon〜 石原立也 荒谷朋恵 池田晶子
第10話 ひかり〜light〜 北之原孝将 米田光良
第11話 うみ〜sea〜 三好一郎 門脇聡
最終話 そら〜air〜 石原立也 荒谷朋恵
総集編 - -
特別編前編 やまみち 荒谷朋恵
特別編後編 あめつち

放送局[編集]

放送地域 放送局 放送期間 放送日時 放送系列 備考
日本全域 BS-i 2005年1月6日 - 3月31日
2005年8月28日 - 9月4日
木曜 24:30 - 25:00
日曜 23:30 - 24:00
BSデジタル放送 2006年4月12日から6月28日まで、毎週水曜26時より再放送
特別編「AIR IN SUMMER」
TBSチャンネル 2008年2月1日 - 5月30日 金曜 22:30 - 23:00 CS放送 総集編、特別編「AIR IN SUMMER」も放送
埼玉県 テレ玉 2008年7月3日 - 9月25日 木曜 24:30 - 25:00 独立UHF局 地上波初放送
BS-i 木曜24:30枠
前番組 番組名 次番組
AIR

劇場版[編集]

2005年2月5日東映アニメーションによる劇場版アニメが公開された。

当初は2004年秋公開予定だったものの約半年延期となって公開された。

劇場版は中村誠の脚本の案を元に監督の出崎統が原作者によるアドバイスや要請も踏まえて脚色した「もう一つのAIR」というコンセプトとなっている。[22]上映当時はミニシアターランクで上位をキープした。後にこの劇場版は、劇場版CLANNADロードショー記念として短期間ながらリバイバル上映が行われた。

大きく脚色した物語故に、原作ファンの支持が思ったように得られなかったことが、コメンタリーで出崎と中村によって語られている。事実、出崎統の公式ファンサイトでは、頻繁に荒らしが多発し、掲示板の体制を変えざるを得ない事態にまで陥った。

プロデューサーの東、脚本の中村とともに、90分に収められるかどうかということを非常に悩んでおり、特に中村は準備稿を少なくとも十稿は重ねていた。入場者数は上述の通りの成績を残しており、劇場版CLANNADを上映するキッカケの一つとなった(コメンタリーの中で、出崎自身が「リベンジしたい」と語っていることも関係していると考えられる)。DVD発売においては、二種類の初回限定版(スペシャル、コレクターズ)が用意された。

スタッフ(劇場版)[編集]

  • 製作 - 高橋浩、及川武
  • 企画 - 東伊里弥、横田守
  • 原作・監修 - ビジュアルアーツ / Key
  • 監督 - 出崎統
  • 脚本 - 中村誠
  • キャラクター原案 - 樋上いたる
  • キャラクターデザイン - 小林明美
  • 色彩設定 - 塚田劭
  • 作画監督 - 窪秀已
  • 美術監督 - 行信三
  • 原曲 - 折戸伸治、戸越まごめ、麻枝准
  • 音楽 - 周防義和
  • 音楽監督 - 鈴木清司
  • 音響監督 - はたしょうじ
  • 音響効果 - 糸川幸良
  • CGディレクター - 吉安徹
  • デジタル撮影監督 - 三晃プロダクション 福田岳志、白鳥友和
  • 編集 - 後藤正浩
  • 製作担当 - 松坂一光、森山義秀
  • 製作 - 東映アニメーション、フロンティアワークス

主題歌(劇場版)[編集]

オープニングテーマ「鳥の詩」
作詞 - 麻枝准(Key) / 作曲 - 折戸伸治 / 編曲 - 高瀬一矢(I've) / 歌 - Lia
挿入歌 「青空」
作詞・作曲 - 麻枝准(Key) / 編曲 - 折戸伸治 / 歌 - Lia
エンディングテーマ「Farewell song」
作詞 - 麻枝准(Key) / 作曲・編曲 - 戸越まごめ / 歌 - Lia
劇場版イメージソング兼エンディングテーマ「IF DREAMS CAME TRUE」
作詞 - Linda Hennrick / 作曲 - 羽岡佳 / 編曲 - 岡崎雄二郎 / 歌 - 河井英里(原曲:「ふたり」原作曲:折戸伸治)

EDテーマは「Farewell song」、「IF DREAMS CAME TRUE」の順で流れる。

その他[編集]

  • 中村誠は、企画が本格化した後の構成のプロット(監督の出崎の目も通したもの)を幾度か麻枝准に見せ、アイデアや意見を貰って製作していた。結局一年間の長きに渡って付き合ったそれは、大学ノート三冊分にまで達していたという。その一部はパンフレットなどに記載されている。
  • 出崎統に本作の監督就任をオファーしたのは、横田守である。[23]
  • 公開初日と二日目は、一部の劇場では昼頃までに、殺到した客に対し劇場側が配布した整理券や販売チケットが全て終了してしまうという事態が起こった[24]
  • 前売り券第一弾のPVでは、佳乃や美凪といったヒロインも登場するかのような演出がなされていたが、本編ではみちる共々ゲスト出演となった。

音楽CD、その他イメージソング[編集]

Ornithopter
Windows CD-ROM版の初回限定版に同梱されている。ゲーム中のボーカル曲3曲のフルコーラス版とBGMのアレンジ曲が収録されている。単体では発売されていない。
AIR ORIGINAL SOUNDTRACK
2枚組。本作BGM、主題歌及び未使用曲が収録されている。
Kanon AIR Piano Arrange Album 'Re-Feel'
(Kanonと)本作のBGMのピアノアレンジが収録されている。
劇場版Air サウンドトラック
劇場版のBGMと主題歌が収録されている。
  • その他のイメージソング
    • 夏影
      本作BGMの「夏影」のメロディーをサビに使用した曲。KEY+LIAのシングルCD『Natukage/nostalgia』に初収録された。
    • 月童
      Liaのアルバム『Lia*COLLECTION ALBUM Vol.2 Crystal Voice』に初収録された、同名BGM曲をボーカル化した曲。

ドラマCD[編集]

Mellow Headから発売された[1]

  • 第1 - 3巻 2005年8月24日発売
  • 第4 - 6巻 2005年10月21日発売
  • 第7巻 2005年11月25日発売
  • 第8巻 2005年12月22日発売
  • 第9巻 2006年1月25日発売

小説[編集]

初空の章(はつぞらのしょう)
角川書店より2000年に発行された『かのうぉ』に掲載の涼元悠一書き下ろし外伝小説。神奈と裏葉の出会いが描かれている。

漫画版[編集]

桂遊生丸作画でコンプティーク角川書店刊)にて2004年9月号から2006年3月号まで連載。SUMMER編は省略されており、DREAM編とAIR編の一部を、メーカーからの指定により作家独自の解釈で描いた[25]ものとなっている。

単行本(全2巻)
  1. 2005年8月10日発売 ISBN 4-04-713742-1
  2. 2006年7月10日発売 ISBN 4-04-713820-7

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 2008年以降出荷分より。
  2. ^ AIR編にのみ主人公のボイスもある。
  3. ^ 例えば『CLANNAD』における「学園編/幻想世界/AFTER STORY」の3つのパートが、それぞれ本作における「DREAM編/SUMMER編/AIR編」に対応している。
  4. ^ Keyの他作品でも小ネタとして登場している。
  5. ^ 「第三者の審級」とは大澤真幸の造語で、「規範の妥当性を担保する超越的な他者」としている[16]ポストモダンの到来によって失われたとされる「大きな物語」[17][18]あるいはラカンの三界でいう「象徴界」[19]のような意味で使われている。

出典[編集]

  1. ^ a b 実行ファイルのプロパティに記載。
  2. ^ PSPで再びよみがえる「AIR」 ITmedia +D Games (2007年11月2日)
  3. ^ さまざまな事情を持つ少女たちと作られる恋の物語『AIR』 ファミ通.com (2006年10月2日)
  4. ^ Windows初版のみ、「PC-NEWS」調べ。
  5. ^ 電撃G'sマガジン』より。
  6. ^ 東浩紀、佐藤心、更科修一郎、元長柾木 「どうか、幸せな記憶を。」『美少女ゲームの臨界点』 佐藤心、丹羽洋介、前島賢、波状言論、2004年8月15日、初版、118頁(日本語)。ISBN 4-9902177-0-5。「2000年の秋に『AIR』が出て、その後の冬コミで『月姫』が出た。『AIR』の同人や商業アンソロジーが『Kanon』ほど盛り上がらなくて、それで冬コミが終わったあたりから、「『月姫』っていうのがあるらしいぜ」と話題になり始めた。」
  7. ^ 東浩紀・佐藤心・更科修一郎・元長柾木 「どうか、幸せな記憶を。」『批評の精神分析 東浩紀コレクションD』 講談社、2007年、261頁。ISBN 978-4062836296
  8. ^ 黒瀬陽平「新しい「風景」の誕生」『思想地図〈vol.4〉特集・想像力』 日本放送出版協会、2009年、115-116頁・118頁。ISBN 978-4140093474
  9. ^ 小森健太朗 「〈セカイ系〉作品の進化と頽落――「最終兵器彼女」、『灼眼のシャナ』、「エルフェンリート」」『社会は存在しない――セカイ系文化論』 南雲堂、2009年、151-152頁。ISBN 978-4523264842
  10. ^ 東浩紀 「『CROSS†CHANNEL』について」『文学環境論集 東浩紀コレクションL』 講談社、2007年、345頁。ISBN 978-4062836210
  11. ^ 東浩紀 「メタリアル・クリティーク」『文学環境論集 東浩紀コレクションL』 講談社、2007年、670頁。ISBN 978-4062836210
  12. ^ 東浩紀・佐藤心・更科修一郎・元長柾木 「どうか、幸せな記憶を。」『批評の精神分析 東浩紀コレクションD』 講談社、2007年、238-239頁。ISBN 978-4062836296
  13. ^ 東浩紀 「萌えの手前、不能性に止まること」『ゲーム的リアリズムの誕生~動物化するポストモダン2』 講談社、2007年、304-326頁。ISBN 978-4061498839
  14. ^ 宇野常寛 『ゼロ年代の想像力』 早川書房、2008年、203-205頁。ISBN 978-4152089410
  15. ^ 前島賢 『セカイ系とは何か ポスト・エヴァのオタク史』 ソフトバンククリエイティブ、2010年、203-204頁。ISBN 978-4797357165
  16. ^ 大澤真幸 『不可能性の時代』 岩波書店、2008年、103頁。ISBN 978-4004311225
  17. ^ 東浩紀・大澤真幸「ナショナリズムとゲーム的リアリズム」『批評の精神分析 東浩紀コレクションD』415頁。
  18. ^ 東浩紀・大澤真幸「虚構から動物へ」『批評の精神分析 東浩紀コレクションD』65頁。
  19. ^ 東浩紀・大澤真幸・斎藤環「シニシズムと動物化を超えて」『批評の精神分析 東浩紀コレクションD』164頁。
  20. ^ 『不可能性の時代』103頁・205-206頁。
  21. ^ AV Watch 本田雅一のAVTrends - 専用プレーヤーを超える「PS3」アプコンの秘密「“Air”BD版と同レベルを目指した」
  22. ^ 劇場版AIR 公式サイト中村誠コメント(2004年11月23日時点のアーカイブ
  23. ^ 劇場版AIR 公式サイト東伊里弥プロデューサーコメント(2004年11月23日時点のアーカイブ
  24. ^ 劇場版 AIR
  25. ^ 桂遊生丸 『AIR』 角川書店〈角川コミックス・エース〉、2006年、160頁

関連項目[編集]

外部リンク[編集]